獣風情が!
すみません、忘れてました。
クソガキ勇者は、壁に激突しかけたところで止まった。
「クソ! なんだこれ、何にも見えねぇぞ!」
勇者の視界が戻るまであと十秒弱。 それまでに狙いをすまして、視界が戻るのを待つ。
「よし! 見えるようになったぞ!」
「キュ!(閃光)」
この魔法は、光属性魔法で、闇属性魔法との合わせ技でよく使う。 いい例が今のような感じだ。 闇で相手の視界を奪い、回復したタイミングで再び視界を奪う、この二つの合わせ技ある程度強い魔物にも有効だ。
「次は光か!」
勇者がそう言うのと同時に、とある魔法を構成する。 これが決まれば、勇者に多大な精神ダメージを負わせられるはずだ。
「ーーッ! 獣風情が! 俺の邪魔をするなぁ!! 輝く光の斬撃!!」
『『迫り来る二つの岩弾』』
勇者が輝く光の斬撃を発動し、振るタイミングで、迫り来る二つの岩弾を黄金の剣に向けて発動した。
俺の発動した魔法は、左右から一つずつの岩弾が、黄金の剣の腹を殴るような形で決まった。 岩弾が決まると、バリィン! と大きい音を立てて黄金の剣が刃先を残して砕けた。
「なッ!?」
やっぱりな、あいつの粗悪品。 剣の腹が壊れやすい、あいつの癖だ。
「クソ! なんでこいつが壊れるんだよ!」
「キュ、キュキュキュー(それがニセモノ、あいつの失敗作だからだよ)」
「バカにしやがって!」
勇者は、壊れた剣の柄を投げ捨て拳を構えた。
お? やるか、拳はねぇけどやるのか?
人としての身体があれば、シャドウボクシングをしていただろう。
「食らいやがれ!」
大きく振りかぶって、大声を出して、いい例が一つもない、力任せの拳をふるった。
まぁ、当たることはないんだけど。 それじゃあ、一つ俺の固有魔法ととある系統のものを使ってせましょうかね。
『『水鏡』、『付加術反射』』
ボソボソと、つぶやくような声で言ったので、聞こえていないだろう。
水鏡、この姿になった時も使った魔法。 汎用性の高い固有魔法でもある。 一応、操作可能である。
その水鏡を目の前に出し、さらにも一個付加術、これ単体だけでも勝てるけど、人体に影響が大きいからなぁ。
「ちょこまかと避けたんじゃねぇよ!!」
勇者は、透けている水鏡を思いっきり殴った。
すると、思いっきり殴ったダメージと衝撃がそのまま自分に返ってきたような感じで、飛ばされた。
『おぉ!! スゲェぞ! ロゼの嬢ちゃんの従魔! 勇者様を一人で圧倒してやがる!』
と、外野がうるさく騒いでいるのが鮮明に聞こえ出した。
「チッ、今のはカウンター系の技か。 だったら、こっちに!」
と言って、魔力を練っているため、未だに一歩も動いていないロゼに向かって走り出した。
クソ! ロゼの方を狙いやがって、あと発動出来る魔法は、中級一発か初級五発だけか……
「キュー!(ここから先は行かせん!)」
「邪魔だ!」
勇者は、俺をロゼの方に蹴り飛ばした。
多少痛くても、耐えられないほどではないからな!
「コンちゃん! 大丈夫!?」
『いいからお前は集中しろ!』
「わかった」
あと二秒も待てば、ここまで来るだろう。 というより、あそこから広範囲の魔法をぶっ放すかもしれないしな。
色々な思考をしていたが、勇者はそのまま突っ込むように迫り来ていた。
一つ目の初級魔法! これであとは四。 これが失敗したら負けだ!
「うおぉぉぉ!!」
「キュ!(今!)」
猪のように突進をしてくる勇者にバックステップで、猪狩りのをロゼのようにした。
「うぉ!」
見事に地面を踏み抜き、勇者は落ちていった。
これで数秒の時間稼ぎができた。
『ロゼ、あとどのくらいだ!』
「あと少し、もう少しだけだから!」
もう一回、最初にした魔法をやってみるか? でも、あれは二回目以降はほとんどかからないからな。
クソ! どうすればいい!




