8/22 日焼けの苦痛
肩が回らない。
寝返りも打てない。こんな、こんな苦痛。
涙は出なくとも、歯がゆさと屈辱が全身の血液を煮えたぎらせる。
まるで焼かれ続ける蛾にでもなった気分だ。
光を拒んだ自室で、風もなく引きこもっていると体内にこもる文字通りの灼熱の体温に焼かれて死ぬみたい。
夢を見た。
暗い森の中でゆらりゆらりと歩いていたら、全身を夥しい蛾に食われる夢。
逃げても逃げても逃げきれない。
恐怖と嫌悪感で叫ぶと、口の中にその生き物たちが飛び込んでくる。
苦い綿のような食感、ドロリと流れて口の中を満たす。
猛烈な狂気で体温が下がったと思ったのに、いつの間にか目の前は燃えている。
そうか、と気づく。
燃えているのは私だ。
ウィッカーマンは私だったんだ。
蛾は集まり続けても火に燃やされていく。森も火のついた蛾が飛び交って燃えていく。
夜空も暗闇も何故か照らされることもないけど、燃えて燃えて燃えていく。
痛い、怖い。
蛾の翅が私の背中から激痛を伴って生えてきた。
でも私は燃えているから、すぐに翅は燃えて穴だらけになっていく。
燃え続ける。
燦燦たる、散々たる光景はそこで終わった。
起きた後も私は起き上がれずにいた。暗い部屋の中でずっとずっと眠ったままでいたい。この苦痛を忘れたい。背中の痛みはまだ引かない。
蛾の翅が生えていたりするのだろうか。
いや、そこにあるのは痛々しい赤くただれた日焼け痕だろう。




