8/5 小説家らしいアイデア①
小説においてキャラクターというのは大切な要素の一つだ。
それは物語形式でないエッセイや日記においても、もし誰かに読んでもらうならその作者自身がそのまま投影されてキャラクターとなってることだってある。
私にとって物語の主人公というものは成長する人間で書くことが多い。
成長できる人間に私は魅力を感じる。
重要なのは伸びしろがあることとか、可能性が大きいことなんかじゃない。
自ら進んで、あるいは促されて成長すると決めた人間がいい。
修行したり、戦ったりっていうのは分かりやすい指標だ、経験を増やすことも成長の一歩。ありふれているが成長過程が丁度良く適当に描かれている作品はそのキャラクターに感情移入しやすい。
読者から応援されるようなキャラクターであることが個人的な主人公鉄則だ。
それからチートに行き過ぎないように注意もしないといけない。
いや、チートを主軸とした小説であるなら別だが、私の小説はチートは使うなら最後の最後まで取っておきたい派なので、あまり使いすぎないように気を付けている。
まぁ、異世界転移や転生なんていうモノは言語が伝わる限りチートなのかもしれないが。その加減も作者の技量。チートな分敵の強さが上げにくい。
もしジョジョで最初からスタープラチナが時を止めるスタンドとして出ていたら、敵はそれを上回る強さでなくちゃならない。そうなると、ディオ様のメンツも丸つぶれだ。
そして感情や性格というのはどことなく矛盾している方がリアルな人間臭さが出る。
人の心というものは100%揺らがないということはない。片方に重きを置けば、もう片方に影が出る。子供の恋心のように好きなのに悪戯してしまうというようんことが多い。
好きなのに、嫌いなようにふるまってしまう。
尊敬と軽蔑、苦痛と快楽。そういう風に相反する感情のことをアンビバレントというそうだ。
愛するときにはどこかに相手に対する憎しみや嫌悪感があって、しかしそれすらも飲み込んでしまうようなほど大きな愛が両者を健全に育む。
子供にはそれがなく、一つの感情に動かされる。
愛という感情は誰か一人に向けられ、それ以外は嫌い。そしてその愛が揺らぐことがあれば、愛は勝手に対象を変える。子供は純粋とはよく言ったものだ。
100%であるがゆえに、何かすぐれないことがあればすぐに途切れてしまう。
ただ自分の正義を信じて、相手のことを知ろうとしないとそこには葛藤が生まれず、成長しない。それでは子供のままだ。
環境や時代の変化で変わっていくものがあるように、キャラクターも常に変化し続けねばならない。それはただ上へ延びるだけではなく、下にも伸びなければならない。




