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7/31 ミラノサンド


今日は休みということもあり、朝9時に目覚まし時計をセットしたというのに起きたのは11時だった。最近は寝すぎているせいなのか、朝物凄い空腹に襲われる。その空腹が余計体を起こしたくない気分にさせて、私の眠りを深くする。

この無限ループからはいつか脱さなくてはいけないな。


起きてからシャワーを浴びて、深夜に録画していたドラマやバラエティ番組を見て気づけば3時。流石に外に出なくてはまずいと思い、運動がてら散歩に。


近くには本屋もあるが、別段このなろうサイトに載っている作品だって面白い。知識を増やしたり、地理や体験談を知りたいなら本を買うべきなのだろうが、現在はそういう欲求には苛まれてないのでスルー。しかし、今度買ってみよう。

読書感想文として日記に乗っければ、それなりに話題となる。


さて、出かけてブックオフがある交差点を左に曲がり、本屋を超えて、そのちょっと先にあるドトールでミラノサンドを気まぐれに買った。

その前にそこら周辺をぶらぶらと歩いて回ってみたが、目新しい興味を引くものはなかった。ドトールの裏手は飲食店が多いのだが、あまり私好みではない。


そうして手持無沙汰で入ったドトールには今のご時世を表すようなアクリルの仕切りがカウンター席を切り分けていた。そういう小さな変化も社会全体の大きな流れを感じさせる。


私は入る前に看板に描かれていたメニューを見た。ミラノサンドAは肉肉しい感じでとてもパワフルさを感じさせられた。Bはタマゴを使ってたらしいので、あまり注文する気にはなれなかった。Cは私の印象にすら残っていなかった。きっと可もなく不可もない普通のサンドだったんだろう。


そして私はミラノサンドAに決めて、ついでにミルクティも買っていくことにした。私は千円札をポケットに忍び込ませ、マスク越しにアルカイックスマイルを浮かべながら、店員さんに注文した。人1対1ならば、緊張しない。


買った後に気づいたことがあった。どうやら、ミラノサンドBはサーモンとアボカドをはさんだものになっていたらしい。期間限定か、新メニューか、知らないが、そういうことならもっと目に入るところに表示してほしい。

私はサーモンとアボカドという組み合わせがぶっちぎりで好きだ。それを買い損ねて、Aを買ってしまったことを凄い後悔した。


だが、ドトールのミラノサンドはどれもおいしいことには変わらない。

変らぬ味、普遍的な味。安心できるマスプロダクションな味。


そこに愛情とか、人情とか、リーズナブルとかを求める気は全くない。ドトールに求められるのは便利空間としての機能美だろう。私はスイーツなんかのバリエーションも多彩で素敵だと思うが。


ドトールを出た後は、あまり行ったことのない道を何度か選んで、大きな石造りの建築物の立て並ぶおしゃれな街道をふらふらと歩いた。久々に聞くセミの鳴き声に、懐かしさと苛立ちを感じながら、帰りの方角の目印に特徴的なビルを選んで、どこへともなく散歩した。


その間ミラノサンドの入った紙袋は吉良吉影のように手にもって行ったとも。


散歩をいくらかしても特に気が惹かれるものはなかった。


花は綺麗だし、サッカー少年たちはわんぱくだし、公園でカードゲームをしている子供を見て未来の生き方に馴染めない自分を感じた、その程度に過ぎない。


家に帰って私は家族の一人から絵を見せられた。頭に紫色の花をつけた不健康そうな少女の絵。その絵はすぐに枯れてしまいそうな淡さと切なさを含んでいて、美しく儚い絵だった。私はその人の絵を褒めたが、唯一花のリアリティに欠ける部分は指摘した。


確かにあの絵にの主体はあの儚げな少女だ。

儚さを演出する道具として紫色の花をワンポイントとして入れたのはいい発想だ。花は分かりやすいイメージを持っているからな。

けれど、そのイメージの一つとして置くだけだからと、適当に描かれるのは気に入らない。花はどうあれ全て美しいものだ。それも、儚さを演出するものならもっと繊細に描いてほしい。


紫色のラッパ型の花。

形から連想させられたのは紫色の百合か、ハイビスカス。

近い花にジャカランダというものがあるが、それの花言葉は栄光。しかし、絵の彼女からは薄幸な印象を受けた。正反対だ。


紫色の百合は神秘や高貴。

元来青っぽい花は奇跡にまつわる花言葉になりやすい。

もし彼女にバックストーリーがあるとしたら。彼女は目の下に隈を薄く作っており、顔色も悪かった。けれど、その口にはクロユリのようなダークな口紅が塗られていた。衣装も肩の出たドレスのような服。

彼女自身の体にあったドレスだとは思うが、彼女自身が選んだものではないような気がする。なぜなら彼女はファッションなんかに前向きそうなイメージが彼女自身からしなかった。


なら、あのドレスがもし他の誰かに着せられたのモノで、頭の花も誰かからつけられたものだったとするなら、彼女に衣装を施した人はきっと彼女に栄光あれ、幸あれと投げかけていたのかもしれない。


彼女が幸せであるようにと。もし、高貴であってほしいと願っていてさらにドレス姿なら、これはきっと貴族との舞踏会に参加するための姿とも受け取れる。


彼女が裕福な王子様と結婚して、幸せに暮らせるように。


絵一枚から様々な妄想ができるが、それは花言葉や服装に込められたイメージによるもの。


やはり花言葉は私に必要なものだ。


おっと、ミラノサンドの話をしようと思っていたのに、思いの外絵について話してしまったな。

私は絵画が好きだ。そこにストーリーを妄想して、絵に奥行きを描くことができる。


今日の1日は早かった。後は寝てまて。

次の朝日を何事もなく拝みたい。






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