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Cafe Shelly

Cafe Shelly 望みのままに

作者: 日向ひなた

 世の中に神様というのがいるのであれば、どうしてこんなに不公平な人生を作り出してくれたのか。思えば私は生まれてからずっと不公平な環境に身を置いていた。

 私には双子の妹がいる。双子と言っても二卵性なので、顔はそっくりというわけではない。正直、妹のかなえの方がかわいい。赤ちゃんの頃の写真を見ればそれがよくわかる。私は鼻ぺちゃで目も細い。これは父親似である。なのにかなえはCMに出てくるモデルの赤ちゃんのように、目もぱっちりして笑顔がかわいい。あきらかに母親似だ。

 この不公平さを感じ始めたのは、幼稚園の頃。

「のぞみちゃんって、かなえちゃんよりも不器用だよね」

 周りからそんなことをささやかれ始めた。かなえは工作も、お絵かきも、運動もそつなくこなしていた。運動会もリレーの選手に選ばれるくらい足も速かったし。なのに私はどれをとってもダメダメ。双子なのでしょっちゅうかなえと比較される言葉を耳にするようになってきた。

 そんな環境で小学校、中学校と育ってきたので、徐々に優劣の差は開いていく。結局、気がついたら私は偏差値が低い公立の高校へ、かなえは進学校へと進むことになった。私だってそれなりに努力しているのに…。

「のぞみちゃん、今日はどうする?」

 友達の咲良が声をかけてくる。

「そうね、ショップ寄ってから帰ろうかと思ったけど」

「じゃぁ私もつきあうよ。ほしいアイテムあるしー」

 部活をやるわけでもなく、ただなんとなく毎日を過ごす高校生活。放課後は友達と街をぶらぶらしたり、気が乗らなければそのまま家に帰って、友達とSNSで会話したり。将来のことなんかまったく考えることもなく時間だけが過ぎていく。

 妹のかなえは、中学の頃からやっている陸上部で毎日遅くまで練習をやっている。一年生ながらも短距離の選手に抜擢されたらしい。ほんと、頭だけじゃなくスポーツまで万能となると、家の中での扱いも全然私と違う。この姉妹格差はどこまで広がるんだろう。

 強いて私が趣味と言えるのは、想像の世界で遊ぶことだけ。こんな私だから、小学生のころから想像というか妄想の世界で一人で遊ぶことが多かった。それが徐々にエスカレートしてきて、異次元の世界で冒険ファンタジーを繰り広げる私がそこにいた。登場人物の設定や、場面の設定などをノートに書き出して、そこで物語を作る。

 中学の頃から携帯を使って、その物語を小説として書き始めた。これが私の趣味だ。

 書いたものは記録としてブログにアップする。といっても、誰が見ているわけでもない。毎日の訪問者数なんて一桁だし。ゼロのときもある。でもそれでいい。人に見せるために書いているわけじゃなく、自己満足として書いているだけだから。

「のぞみ、またこんな成績をとって。ちゃんと勉強してるの?」

 高校に入ってからの定期テスト。私の成績は中の下、いや下の上といった付近をうろちょろしている。あやうく赤点は逃れたけれど、とても人に自慢できるような成績じゃない。これは中学の頃からそうだった。

「かなえはいつも十番内にいるというのに。どうして双子なのにこんなに違っちゃったかしらねぇ…」

 それは私が聞きたいくらいだ。そもそもお母さんは自分似のかなえの方ばかり可愛がる。お父さんもお母さんに似ているかなえの方をひいきして、自分似の私の方は毛嫌いしているのがわかる。家族にも好かれていない私。けれど、唯一私のことを認めてくれる人物がいる。

「のぞみちゃん、高校はどんな感じ?」

 そうやって笑顔で私に語りかけてくる人物。それが妹のかなえだ。かなえは屈託のない笑顔で、私のことをいつも一言ほめてくれる。

「のぞみちゃんって文才があるよね」

 かなえは私の趣味の小説を読んでくれる、数少ない読者と言ってもいい。というか、ずっと読んでくれているのはかなえくらいじゃないかな。

「私はこんな小説、書けないもんなぁ。というか、こんなふうに発想が豊かじゃないから。私ね、ずっと思ってたの。のぞみちゃんの頭の中で広がる世界って、すっごく広いんだなって。私は決まりきったことしか考えられないから」

 かなえはそうやって私のことをほめてくれるが、私から見ればかなえのほうが何十倍も、何百倍も才能があると思っている。でも、そうやって言われるのは嫌じゃない。

「ありがとう」

 かなえからそういうふうに言われると、ちょっとだけ素直になれる。この世界で唯一、私の味方だって思えるから。

 でも、やはり周りは双子であるだけに、常にかなえと私を比較して見ている。このコンプレックスだけはどうしても拭い去ることができない。だから毎日、なんとなく落ち込む日々が続く。

 そんな中、ちょっとした事件が我が家に起きた。

「えーっ、一週間もいないの?」

「うん、お父さんと親戚の法事がてら旅行にも行ってこようと思って。お父さん、会社から勤続二十五年の表彰も受けて、旅行券と休暇をもらえたのよ」

 お父さんとお母さん、一週間も旅行に行くのか。そうなると家の中は私とかなえ、二人っきりになる。

「食事はお金をおいていくから、お弁当を買うか好きな材料を買ってきて作ってね」

 お母さんは私とかなえにそう言っているのだろうが、目線はあきらかにかなえである。親が留守をする間、家のことはかなえにまかせる、と言いたいのが目線でよくわかる。私は頼りにならない、ということなのだろう。

 実際、私は料理なんてしたことがない。いや、正確に言えばさせてもらったことがない。ゆで卵くらいは作れるけれど、味噌汁を作れと言われても何をどうすればいいのかさっぱりわからない。けれど、かなえは自分でお弁当も作るし、お菓子だって作れる。とても器用な一面を持っている。これも正確に言えば、小学生の頃からお母さんはかなえにばかりお手伝いをさせていたからだ。

「うん、わかった。安心していってらっしゃい」

 かなえのこの言葉に、お母さんは安心したようだ。私には何も期待していなんだろうな、きっと。

 二人の旅行はあさってから。一週間は自由にできるのはありがたい。かといってだれかと夜まで遊ぶなんてことはしない。そもそも、そこまで付き合える友達はいないし。

「のぞみちゃん、晩ごはんどうしようか?お弁当買う?それとも家でなにか作る?」

「うーん、かなえにまかせるよ」

「でも、私部活で遅くなるから…朝ごはんは私が用意するから、晩ごはんはのぞみちゃんにお願いしたいな」

 そうか、かなえは陸上の練習で帰ってくるのが夜八時くらいだもんな。疲れているのに晩ごはんを作らせるわけにはいかない。でも、私は何も作れないから、必然的にお弁当になるかな。

「じゃぁ、私がお弁当屋さんで買ってくるから。何がほしいのかを朝教えて」

「うん、わかった。でも、何を買うのかはのぞみちゃんにおまかせしたいな。だって、その方が帰ってきたときに楽しみが増えるじゃない。わぁ、今日はこのお弁当だって」

 かなえは超前向き思考だな。私にはそんな発想は思いつかない。

 ということで、私は一週間お弁当を買う係になった。そして両親が旅行へ行き、ここから一週間二人っきりの生活が始まる。それにしても、家事をするって意外に大変だということが初日からわかった。食事さえなんとかなればいいと思っていたんだけど。

 まずは洗濯。下着や普段着はいいんだけど、制服のブラウスとかきちんと洗ってアイロン掛けないといけないから大変。

 そして掃除や片付け。いつも帰ってきたらきれいになっているリビングは当たり前だと思っていた。けれど、たった一日でそれがお母さんのおかげだということに気付かされた。テレビを見ながらお茶を飲んだりできているのも、さりげなくお母さんが出してくれていたからなんだ。そんなことからやらなければ、いつものような生活は送れない。

「私、一人暮らし向いてないかも」

 二日目の朝、かなえが朝食を作っているときに私はぼそりとそうつぶやいた。

「えっ、どうして?」

「だって、掃除や洗濯、食事の準備、何から何まで自分でやらなきゃいけないんだよね。今までそんなことやってこなかったから。どうすればいいのか、さっぱりわからないんだもん」

「そんなの、今からでも少しずつ慣れていけばいいんだよ。はい、目玉焼きどうぞ」

「そういえば、目玉焼きなんて簡単な料理もつくったことないな」

「じゃぁ、明日つくってみる?私が手伝うよ」

「う、ううん…」

 かなえの提案にも今ひとつ気乗りがしない。なにからなにまで、自信をなくしている私がいる。

「今日も部活で遅くなるから。のぞみちゃん、先に晩ごはん食べてていいからね」

 そう言って、かなえは私より先に家を出ていった。

「さてと、私も学校に行くかな」

 そう思ったときに、私の携帯電話が鳴り響いた。朝から誰だろう?あわてて出たものだから、相手の名前も確認せずに会話が始まってしまった。

「あ、もしもし、のぞみ?」

 この声は友達の咲良だ。

「咲良、どうしたの、朝から」

「のぞみ、たすけてよー」

「助けてって、何がどうしたのよ?」

「大ピンチなの。今すぐ来て!」

「来てって、どこに行けばいいの?」

「えっ、えっと、ここ、どこ?」

 咲良の声は電話の向こうでハァハァ言っている。どうやら走りながら電話をかけているようだ。通学途中で何かあったのかな?しかも、今時分がいる位置がわからないということは、変なところに迷い込んでいるということか。

「咲良、落ち着いて。周りになにか目印になるようなものはない?」

「えぇっ…家ばっかりでわかんないよ」

 ここで推測。咲良はふだん電車で通学している。今の時間であれば、駅は降りているはず。駅から学校まではちょっと距離がある。その間にどこかに迷い込んだ。近くの住宅街と言えば…三原町か。あそこは新しい住宅街で、道路が碁盤の目のようになっていて、似たような家がたくさん並んでいる。ここから自転車で行けば五分位で行けるな。

「咲良、あわてないで電話は切らないで。今すぐそっちに行くから!」

 私は電話をイヤホンにして、急いで自転車で三原町へと向かった。ここからだと二、三分で着くはずだ。

「咲良、何から逃げてるの?」

 私は咲良がなにかに追われていると推測。

「なんか、なんかへんな人が私を…」

 やっぱりそうか。となると、今は咲良を安全なところへ誘導させるのが先だ。でも、あのあたりで逃げられるところと言えば…

「きゃぁぁっ!」

 電話の向こうで叫び声が。

「さくら、さくらぁっ!」

 一体どこにいるのよ。三原町の住宅街には着いたけど、まだどこにいるのか、さっぱりわからない。いや、あそこだ!

 よく見ると、なんだか黒い雲のようなものがたちこめているところがある。咲良はきっとあそこにいるに違いない。私はとにかく自転車を走らせた。そしてその場所にたどり着いたときに、私は目を覆った。

 咲良をつけ回していたのは、この世のものとは思えない異形の怪物。姿形は蜘蛛のようだが、足が何十本もある。そこに人の顔がついている。な、なによ、これは。

 その異形の怪物が、すでに咲良の胴体を真っ二つに食いちぎっている。あたりは血の海。そして、その怪物は今度は私の方を向く。

 に、逃げなきゃ。そう思った瞬間、私の頭の中でこんな声が鳴り響いた。

「望みを捨てないで。希望を持って。あなたがやるのよ」

 私がやる。こいつを倒す。こいつを倒さないと、被害がさらに広がっていく。そうだ、私がやるんだ!

「うぅぅぅわぁぁぁぁっ!」

 私は全身に力を込めて、大きな声で叫んだ。すると私の内側から光が広がり、大きな力が湧いてきた。まるでアニメで見たヒーローのような感覚。その力が私に与えられた。いや、私の中で眠っていた力が発揮されたんだ。

 私の姿も変わった。制服姿だったものが金色の鎧に包まれ、手には大きな鎌のような武器が。

「このぉぉぉっ!」

 私が怪物に向かって突進したその瞬間である。

ジリリリリリリ

 ベルの音とともに、私は眠りからさめた。

「なんだ、夢か。でも、妙にリアルで現実味のある夢だったな」

 さっきまで体験していたものがすべて夢とわかって、がっかりした気持ちと嬉しい気持ちが半々となった。あの世界なら、私は物語の主人公になれたのに。でも、あんな怖い体験はしたくない。

「のぞみちゃん、ごはんできたよー。そろそろ起きてねー」

 かなえの声が私を呼ぶ。そうだ、これが現実だったんだ。私はようやく身体を起こした。

「のぞみちゃん、おはよう」

 かなえは私よりも早く起きて、食事の準備をしている。私と言えば、ぎりぎりまで寝ている。ここでふと、こんな言葉をつぶやいた。

「私、一人暮らし向いていないかも」

「えっ、どうして?」

「だって、掃除や洗濯、食事の準備、何から何まで自分でやらなきゃいけないんだよね。今までそんなことやってこなかったから。どうすればいいのか、さっぱりわからないんだもん」

「そんなの、今からでも少しずつ慣れていけばいいんだよ。はい、目玉焼きどうぞ」

「そういえば、目玉焼きなんて簡単な料理もつくったことないな」

「じゃぁ、明日つくってみる?私が手伝うよ」

 あれ、この会話どこかでやったことがある気がする。

「今日も部活で遅くなるから。のぞみちゃん、先に晩ごはん食べてていいからね」

 かなえはそう言って学校へ出かけていった。このときに思い出した。さっきの会話、たしか夢の中でやったんだ。ってことは、まさか…

 そう思った瞬間、私の携帯電話が鳴り響いた。ちょっと驚いたので、誰からかかってきたのかも見ずに出てしまった。

「あ、もしもし、のぞみ?」

「咲良?」

 この声は咲良。となると、この次のセリフは…

「のぞみ、助けてよー」

 ドキッとした。夢の中では咲良は怪物に追われていた。まさか、それが現実に起こるなんてことはないよね。

「咲良、どうしたの?」

「いやぁ、実はどうやら定期を落としちゃったらしくてさ。おまけに財布も忘れてきちゃって。今駅なのよ。お金貸してくれない?」

 ホッとした。そんなことか。

「わかった、今から駅に行くから。ちょっと待ってて」

 私は大急ぎで学校に行く準備をして出かける。自転車を飛ばして駅に向かった。が、夢の中でも自転車を走らせたことを思い出した。あの光景と似てるな。

 そんなことを考えながら自転車を走らせていたので、交差点にさしかかったときに私は車が近づいてくるのに気づかなかった。

キキーッ!

「あぶないっ!」

 頭の中で誰かがそう叫んだ。慌ててブレーキを握る。相手の車も急ブレーキ。お互いに寸前で止まったが、私はその場で転んでしまった。

「あいたたた」

「大丈夫?ごめんなさい、ちょっと急いでいたから」

 そう言って車から出てきたのは髪の長いきれいなおねえさん。

「だ、大丈夫です。私も急いでいたので」

「あらら、制服が汚れちゃって。怪我はない?」

「あ、はい」

 多分大丈夫、だと思うけど。ちょっと腰を打ったかもしれないかな。

「もし何かあったら、ここに連絡して。病院とか行くことがあったら、必ずね」

 そう言ってお姉さんは名刺を渡してくれた。その名刺にはCafe Shellyと書かれてある。コーヒーのマークが入っているところを見ると喫茶店のようだ。

「お互いに急いでいるようだから、またあとでね」

 そう言ってお姉さんは車で走り去っていった。嫌な感じはしない。むしろ誠実で、安心できる人だって思った。よく考えてみれば、お姉さんの連絡先は教えてもらったが、私の連絡先は教えていない。むしろ私も加害者側なのに。

「あ、いけない。咲良!」

 私は慌てて、そして今度は慎重に駅へと向かった。

 それから咲良にお金を貸して、無事に学校へと向かうことができた。

「ホント、咲良はドジなんだから」

「てへへ。お詫びに明日おごるからさ。今日は金欠だから」

 ここでふとあることを思いついた。

「咲良、おごりはいいから今日の放課後、私につきあってくれない?」

「えっ、のぞみとお付き合いするの?とうとうのぞみが私に告白してくれたかぁ〜」

「なぁにバカなこと言ってんのよっ。ちょっと行きたいところがあるの」

「どこなの?」

「うん、喫茶店」

 そう言ってお姉さんの名刺を取り出した。

「この人と何か関係あるの?」

「うん、ちょっとね。なんとなくまた会いたいなって思って」

 あらためて名刺を見る。マイさんっていうんだ。でも、どうしてあのおねえさんに惹かれたんだろう。なんか不思議な感じがする。

 そうして放課後、咲良と一緒に街へと出かけた。

「確かこの通りだ」

「あ、私この通り好きなのよ」

 咲良は隣ではしゃいでいる。でも、その気持ちもよく分かる。カフェ・シェリーのある通りは街なかと駅の間にある路地を入ったところ。パステル色のタイルで敷き詰められ、両側にはいろんなお店が並んでいる。なんとなく気持ちが弾む場所だな。

「あ、あったあった。これでしょ」

 咲良が先にお店を見つけてくれた。というより、お店の看板を見つけてくれた。黒板の看板にはメニュー以外にこんな言葉が書かれてあった。

「明るい望みを持てば明るい人生が訪れますよ」

 明るい望みかぁ。思えば私には暗い人生しかない。そもそも双子のかなえの存在が、私の人生を暗くしているんだ。美人で才能があって成績優秀で。みんなかなえの方ばかり見ているんだから。私には誰も振り向いてなんかくれない。

「早く行こっ」

 咲良は軽い足取りでビルの二階へと上がっていった。

カラン・コロン・カラン

 扉を開けると、心地よいカウベルの音。それとともにコーヒーの香りがただよってくる。なんか大人の雰囲気に包まれたって感じがするな。

「いらっしゃいませ」

 同時に聞こえてくる女性の声。あのおねえさん、マイさんの声だ。恐る恐るお店に足を踏み入れる。するとおねえさんの方から私に気付いてくれた。

「あ、今朝の女の子!」

「こんにちはー」

 すると、別の方向から男性の声がした。

「あ、君がマイとぶつかりそうになった子か。大丈夫だったかな?」

 声の方向を向くと、渋い男性がカウンターに立っていた。おそらくこの店のマスターだろう。

「今朝はごめんなさい。私、急いでいたものでそれであわてて交差点に侵入しちゃって」

 私は深々と頭を下げて謝罪の言葉を伝えた。今朝、言えなかった言葉をようやく口にすることができた。

「私こそごめんなさい。今朝は忘れ物をしちゃって。それであわててお店に出勤してきたものだからあんなことになっちゃって」

 マイさんも同じように深々と頭を下げる。そして目を見合わす。お互いに笑顔があふれてきた。

「えっ、どういうこと?のぞみ、何があったの?」

 咲良だけが事情をつかめずにキョロキョロしていた。

「そもそも咲良が電話をかけてきたのがきっかけだったのよ」

 私は咲良に今朝起きた出来事を話した。マイさんやマスターも私の事情を知って、大変だったねと言ってくれた。その一言で私は救われた気がした。

「ま、ウチのマイが迷惑をかけたのは確かだから。お詫びとして今日は二人に私からコーヒーをおごらせてもらうよ。ぜひうちのスペシャルブレンドを飲んでほしいな」

「えっ、いいんですか?やったー、ラッキー」

 咲良は私に付き合って儲けたという気持ちのようだ。逆に私は申し訳ないと思っているのに。

 マスターがコーヒーを淹れている間、マイさんがこんなことを聞いてきた。

「のぞみさん、ちょっと気になることがあるんだけど、いいかな?」

「はい、なんでしょうか?」

「のぞみさん、今悩んでいることとかないかな?」

「えっ、ど、どうしてそれがわかるんですか?」

「あ、やっぱり。なんとなくね、咲良さんと比べると表情が暗い感じがしちゃったの。ごめんね、こんなこと言っちゃって」

「いえ、いいんです。そのとおりですから。正直、私は人生でいつも損をしているなって思っているから。だから生まれてからずっと、こんな感じなんです」

 そう言ったあと、ふぅっとため息。

「のぞみさん、よかったら今の思いを吐き出してみない?」

 マイさんの優しさに甘えることにしよう。

「私、双子の妹がいるんです。双子と言っても二卵性だからあまり似てなくて。妹のかなえはかわいいし、頭も良くて進学校に通っているし。陸上でもいい成績を残していて。料理だって上手だし。何一つ私、勝てるものがなくて。でも、そんな私に優しく接してくれるんです。性格面でもかなわない…」

 言えば言うほど落ち込む私。

「そんなのぞみちゃんに、ぜひ飲んでもらいたいな。はい、シェリー・ブレンドです。これを飲めば、きっと元気になれるよ」

 マスターはそう言って私と咲良にコーヒーを出してくれた。

「いっただっきまーす」

 咲良は私の言葉で暗くなった場を明るくしようと、わざとおどけてみせる。それがまた辛く感じる。

「えっ、なにこれ?うそっ、どうして?」

 コーヒーを飲んだ咲良が、急にそんなことを言い出した。何があったんだ?

「咲良さん、どんな味がした?」

「これ、ほんとにコーヒーですか?私にはすっごくあまくて、すっぱくて、そして切なくて…あ、ちょっと泣けてきた」

 ど、どういうこと?あまくて、すっぱくて、切なくてって、まるで恋の味じゃないの。

「咲良さん、ひょっとしたら恋にあこがれているって感じですか?」

 マイさん、私と同じようなことを思ったようだ。すると咲良、急に顔を真赤にして照れながらこんなことをいい始めた。

「えへっ、わかっちゃいますか。でも、まだそんな相手がいないんですよー。あー、素敵な恋がしたいな」

 そんな咲良を見て、なんだか微笑ましくなっちゃった。

「のぞみさんも、ぜひ飲んだ感想を聞かせてね」

 恋の味がするコーヒーなのかな。そう思いながら私もカップに口をつける。うん、いい香り。鼻の奥にすっと入ってくる感じがする。

 そして、舌にコーヒーが注ぎ込まれる。その瞬間、私は光り輝いて、大きな力が湧いてくる感覚を覚えた。これ、どこかで体感したことがある。そうだ、今朝見た不思議な夢の中。私はあの中で怪物を倒すために、眠っていた力を発揮したんだ。その力が私の体の中を満たしていき、そして爆発しそうになる。なんなの、これ。

「のぞみ、どうしたの?」

 咲良の声で我に返った。えっ、私、今どうしてたの?

「お味はいかがでしたか?」

「えっ、あ、そうか、コーヒーを飲んでたんだ。でも、どうしてあの感覚が?」

 マイさんの言葉で、夢の中から現実に戻った気がした。

「あの感覚ってなんなの?」

「あ、えっと…」

 咲良の問いに対して、私はすぐに答えることができなかった。だって、あんな夢を見ただなんて恥ずかしくて言えない。きっとバカにされるに決まっている。

「どんな感覚かはわからないけれど。今感じたものがのぞみさんが心の奥底で望んでいることなのは間違いないですよ」

 心の奥底で望んでいるもの、確かに私は光り輝く存在になりたい。かなえの影で、いつも比較をされながら育ってきた私にとって、自分が物語の主人公のようにふるまってみたい。その願望があるのは間違いない。

「マイさん、私、そうなれるんでしょうか?光り輝く存在になれるんでしょうか?」

「そうか、のぞみさんは光り輝く存在になりたいんだね」

 マイさんの言葉に、私は首を縦に振った。

「でも、どうして私の恋愛願望とか、のぞみの願望がコーヒーを飲んでわかっちゃうんですか?」

「実はね、このシェリー・ブレンドには魔法がかかっているんだよ」

「ま、魔法!?」

 マスターの言葉に、咲良は目を丸くした。私は逆に、魔法という言葉を聞いて胸がワクワクしてきた。まさに私が小説で描いているような世界じゃない。それが本当にあるなんて、まさに夢のようだ。

「魔法って、どういうことですか?」

 私がその話に目を輝かせて食いついたものだから、マスターもびっくりしている。

「ははは、そんなに興奮しないで。実はね、このシェリー・ブレンドは飲んだ人が望んだ味がするんだよ。場合によっては、頭の中に望んだものの映像が浮かんでくることもあるんだ。コーヒーというのはもともと薬膳として使われていて、その人が治したいところに効くというものだったんだ。その効果が、このシェリー・ブレンドの場合は『思い』と『味』にあらわれているんだ。これが魔法の正体なんだよ」

 まさか、とは思ったけれど今実際に私は自分が望んだ自分を見ることができた。そうなんだ、私はこんな自分だけれど、本当は自分の小説の中に描いているような、光り輝く存在に、そして光り輝く人生を送りたいんだ。

「のぞみさんは光り輝く存在になりたい。失礼だけど、裏を返せば今はその逆の人生だってことなのかな?」

 マスターの言葉に、私はこっくりとうなずいた。

「さっき話したとおり、私は双子の妹のかなえにはとてもかなわないんです。みんなはいつもかなえのことばかりかまって、私には見向きもしてくれない。でも、私のことをもっと見てほしい…」

「のぞみ、そんなことないよ。のぞみってすごいんだよ。気が利くし、親切だし、そしてなにより小説がすごいじゃない」

 咲良が泣きそうな顔でそう言ってきた。でも、私が小説を書いていたことなんて、咲良には一言も話したことないのに。

「咲良、どうして私が小説を書いていること知ってるの?」

「ごめん。たまたま見つけちゃったの。最初はのぞみが書いているんだって知らなくて読み始めたの。読み始めたらどんどん引き込まれちゃって。でね、のぞみが時々取り出しているノートがあるじゃない。あれ、見ちゃったことがあるの。そしたら、私が読んでいる小説の登場人物とか、場面設定とかがびっしり書いてあったから驚いたの。そしてわかった。あの小説、のぞみが書いているんだって」

 私の趣味にしている小説の設定ノート、これを咲良が目にしていただなんてびっくり。仮に目にされたところで、私の小説を読んでいなければ、ただの空想ノートにすぎないのに。

「のぞみさん、小説を書くんだね。すごいじゃない。それって誰でもできることじゃないよ。マスターも一時期小説家になろうってしてたときがあったよね」

「ははは、私は残念ながら途中で挫折してしまったけどね」

 マイさんからすごいって言われて、私はちょっとうれしくなった。何の才能も取り柄もない、見た目もダメダメな私。けれど、こうやって褒めてくれる人がいる。そして、親友の咲良が私の小説を読んでくれていただなんて。

 そういえばかなえも私の小説は褒めてくれる。これは私には書けないって言ってくれる。そんな想像力がないって言う。確かにかなえはかわいいし、頭もいい。けれど、こういった空想の世界を頭の中で広げることはできていないんだなって、今あらためて思った。

「のぞみ、あの小説、もっと世に広げていこうよ。どこか応募とかしたことないの?」

「う、うぅん。だって、あの程度の小説なら、書ける人いっぱいいるし…」

「そんなことないって。私、今までラノベとか結構読んでるけど、あんな世界観読んだことないもん」

 咲良は力を込めてそう言ってくれる。ちょっとだけ自信が湧いてきたかな。

「じゃぁ、私から一つ提案があるんだけど。いいかな?」

 マスターがそう切り出した。

「はい、どんなことでしょう?」

「実はね、このお店の常連さんに小説家もいるんだよ。その人に一度読んでもらうっていうのはどうかな?そこでアドバイスをもらえば、さらに磨きがかかるよ」

 それは願ってもないチャンス。私の文章がどこまで通用するのか、さらにどうすれば磨きがかけられるのか。今まで独学でやってきたことだけれど、どんなふうに見られるのかは楽しみ。

 そう思った瞬間に、別のことが頭に浮かんできた。

「やめとけ。どうせプロから見ればつまらない小説だって言われるだけだ。趣味の世界は趣味でとどめておけばいいんだよ」

 そうだよね。プロから批評を受けるってことは、厳しい言葉を言われることは覚悟しておかないといけない。どうせ私の文章なんて、そんなに大したものじゃないし。

「のぞみ、やってみようよ。ひょっとしたら、そこから賞をとって作家デビューできるかもしれないんだし」

 咲良はやたらと盛り上がっている。が、私の心は「やめておけ」の声の方に侵されていた。

「のぞみさん、悩んでいるようね。よかったらもう一回シェリー・ブレンドを飲んでみない。本当にどうしたいのかが見えてくるわよ」

 マイさんのその言葉、従っていいものだろうか。ちょっと悩んでしまう。これでもし、私の本当の願望が「やめておけ」だったら、私の小説はこの先ずっとこのままになるかもしれない。それが怖い。

「のぞみ、ほら、早く飲んでみて」

 早くと言われても、なかなか勇気が出ない。私の頭の中は、すぐに最悪のことを考えてしまうクセができてしまっているんだから。そうすることで、私は自分の危険を回避してきた。先に最悪のことを考えておけば、それをしないようにすればいいだけなんだから。

「でも、本当にそれでいいの?」

 えっ、今の、だれ?

 何か聞こえた気がした。キョロキョロとあたりを見回す。けれど、周りにいる人の声じゃない。

「本当に今のままでいたいの?」

 もう一度声が聞こえた。その声は、耳から聞こえたものじゃない。私の心の奥からでてきたもの。そう、私がなりたいと思っていた光り輝く存在。その種となっているものから聞こえてきたものだ。

 さっき、私はシェリー・ブレンドを飲んで光り輝く存在になりたいって思っていた。だったらどうすればいいのか。そう思った瞬間、手のほうが先に動いていた。

ゴクッ

 飲んだ瞬間、一瞬の強い苦味。けれどその後には味わったことのない、甘くて深くて美味しい味が口いっぱいに広がっていく。そうか、一瞬の試練は乗り越えなきゃいけないけれど、その次には私が欲しがっている、理想の世界が広がっているんだ。だから、痛みに耐えなきゃいけないんだ。

「のぞみ、どうだった?どんな味がしたの?」

 咲良がすかさずそう尋ねてくる。私は思ったとおりの言葉を口にしてみた。

「一時的な痛みは永遠なものではない。永遠な幸せを得るためには、一時的な痛みをともなうこともある。けれど、それは希望に向かうものだから、まずはその痛みを受け入れること。それが今の私には必要なこと」

「えっ、な、なに?」

 私が突然、ちょっとむずかしい口調で言ったものだから、咲良はポカンとしている。

「なるほど、一時的な痛みか。つまりのぞみさんは周りから自分の作品についての評価をもらったことがない。プロの目線で自分の作品を評価されることが怖かったのね。だから躊躇していた。でも、その評価は希望に向かうものだから、まずはそれを受け止める必要があるってことを、シェリー・ブレンドから教わったのね」

「はい、マイさんの言うとおりです。私、怖かったんです、自分の作品を批評されるのが。でも、それを受け入れることで私はもっと成長できる。そう感じたんです」

「なんだ、それならそうと言えばいいじゃない。急に真面目な顔して言い出すから、何が起こったのかと思っちゃったわよ」

 私の言葉、咲良にはちょっと難しかったのかな。

「じゃぁ早速、小説家の新庄くんに連絡をとってみるよ」

「ありがとうございます!」

 なんだか明るい展望が見えてきた。この日はお礼を言って、私の連絡先を渡してカフェ・シェリーをあとにした。なんだか帰りの足取りが軽く感じられる。

 翌日、早速マイさんから連絡があった。小説家の新庄さんが土曜日に会ってくれるとのこと。そのことを咲良に言ったら

「私も行く!」

って。ホント、咲良はつきあいがいいな。

 土曜日までに今までの作品の中で一番お気に入りを再編集して、プリントアウトして持っていくことにした。この作品は一連のシリーズの中でも、私の最高傑作だと思っているものだ。

 そうして土曜日。ドキドキしながら咲良と一緒にカフェ・シェリーへと足を運んだ。約束の時間は午前十時。そういえば今日はお父さんとお母さんが夕方には帰ってくるんだった。それまでには家に帰っておかないと。

カラン・コロン・カラン

 心地よいカウベルの音。今回は前回と違って、なぜかこの音を聞いたときに胸が弾んだ。ドキドキも止まらない。

「こんにちはー」

「いらっしゃいませ。あ、のぞみさん。待っていたわよ」

 そう言ってマイさんが出迎えてくれた。いつもにこやかでさわやかだな。

「こんにちは、はじめまして。新庄といいます。まだ駆け出しの推理小説家なので名前は知らないかな」

 そう言いながら握手を求めてくる若い男性。この人が新庄さんか。ふと横を見ると、咲良の目の色が変わっている。

「こ、こんにちは。私、のぞみの親友の咲良といいます。彼女、才能あるのでぜひよろしくおねがいします!」

 咲良、いつの間にか私のマネージャーみたいになってる。っていうか、私よりも自分のことを売り込もうとしてない?

「早速だけど、作品読ませてよ」

「あ、はいっ」

 カフェ・シェリーの真ん中にある丸テーブル席に腰を落ち着かせ、早速原稿を渡した。あとはしばらく待つだけ。かと思いきや、最初の数枚にさっと目を通して、新庄さんはこう切り出した。

「ボクはファンタジー小説は専門外だけど。読みやすいかどうか、読者に受け入れられるかどうかは判断できると思っている。その視点で聞いてほしいんだけど」

 早速試練がやってきた。きっとダメ出しがくるんだろうな。

「この小説、勢いがあるね。ボクがここで読むのをやめたのは、このままだと最後まで一気に読んじゃいそうだから。そうなると君たちを待たせることになっちゃうからね」

 えっ、それって褒め言葉?

「情景描写とかはきちんとできているから、あとはもっと臨場感を出すために、擬音をつかってみるといいかなって思ったな。ほら、漫画とかで背景に使っているような。あんな感じを出すと、もっと伝わってくるんじゃないかな」

 なるほど、擬音をもっと使うか。

「それと、今だれがしゃべっているのか。そこがわかりにくいところも何箇所か見られたかな。これはボクも気を使っているところなんだけどね。たとえばキャラクターをもっと際立たせてみると、その口調でだれが喋っているのかわかりやすくなるよ。そうすればセリフの中で無理やり名前を入れたりすることもなくなるし」

 あ、それ私がずっと悩んでいたところだ。

「まだ少ししか読んでいないけど、勢いでどんどん読ませていくところがあるから。今言ったところを改善すれば更に良くなると思うよ」

 新庄さん、ニコリと笑ってそう言ってくれる。うん、早速帰ったら書き直しだ。意欲が湧いてきた。

 そのあとは咲良が新庄さんに質問を浴びせまくり。咲良、新庄さんに一目惚れしちゃったみたい。迷惑かけなきゃいいけどな。

 家に帰ると、予想外にお父さんたち早く帰ってきてた。

「ただいま。あれ、のぞみ、どうしたんだ?」

 私の顔を見るなり、お父さんがそんな事を言いだした。

「どうしたって、何が?」

「だってのぞみ、お前なんだか雰囲気変わったぞ」

「そうねぇ、確かになんだか違う気がする」

 お母さんまでそんなことを言い出す。私、何か変わったのかしら?

「えっ、どうしたの?」

 かなえがひょっこりと顔を出す。すると、かなえまでこんな事を言いだした。

「のぞみちゃん、なんだかきれいになった気がする。えっ、なんで?」

 きれいだなんて初めて言われた。私が変わったといえば、これから小説を本気でやっていこうという気力が湧いてきたことくらい。そう、自分の中に生きていくことの希望が見えた。それが私を変えたのかな?

 このとき思い出した。私が初めてカフェ・シェリーに言ったときに目にした看板の言葉。

「明るい望みを持てば明るい人生が訪れますよ」

 あ、このことだったんだ。明るい望みを持てば明るい人生が訪れる。私は今まで逆のことをやっていたんだ。望みを持たなかったから、自分の人生が暗いものだった。みんなから見られる自分って、自分の心がそうしていたんだ。希望を持つだけで、きれいになったなんてことまで言われるなんて。これは大発見。よし、これも小説の中で使おう。

 この日を境に、私は変わった。なんでも積極的にできるようになってきた。小説も新庄さんから指摘されたところを修正して、思い切って公募に出してみた。一発で賞をもらえるなんて思っていない。けれど、出すことに意味があると思った。

 苦手な料理や洗濯も、少しずつお母さんやかなえに習って覚え始めた。やってみるとおもしろい。さらに工夫をこらすと時間短縮の工夫も見えてきて、逆に私が教えることもある。

 学校の成績も少しずつ伸びてきた。今まではやらなかっただけ。やってみたらどれも面白みを感じることができる。どうして今までこんなことに気づかなかったんだろう。

 これは全て「明るい望みを持った」から。周りから認められることに喜びを感じたこともあるが、自分の目標ができたからでもある。私の目標、それは本気でプロの小説家になること。そして、私の作品で多くの人を力づけたい。そう思ったから。

 そうすると作風も変わってきた。今までは単なるファンタジーだったけれど、そこに私が経験した「明るい望みを持つこと」の大切さを加えた。

 そんなある日、一本の電話が。

「翔泳社文学大賞審査員の田中と申します…」

 この電話が、私の新しい人生の幕開けとなった。


<望みのままに 完>

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