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《 切望 》
息が、苦しかった。
喉が、焼け付くように痛かった。
声は、もう既に出なかった。
陽の光は、照り付けるように僕を照らす。
目の端に見えた海は、まるで美しい宝石のように輝いていた。
初めての太陽は、僕には、少し眩しくて。
なによりも痛かった。
望んだそれが、
正しいのかどうか。
答えは、知らない。
ただ、僕の足は刺すように痛くて。
これが現実なのだと、僕を奮い立たせた。
会いに行きたい。君に。
もう一度。会いに行けたら。
その為の手段を僕は手に入れた。
その代償の大きさもまだ、知らずに。