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優しい魔皇の冒険記  作者: たんたん
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魔皇、ヴァンパイアと対面

ここから、タナトス目線で書いていきます。まだまだ未熟ですが、暖かい目で見てやってください!

アイラとティティを連れながら、ヴァンパイアがいると思われる洞窟に向かう。


「はぁ、ほんまに何で二人がおるんか全然わからんわ・・・」


アギダスが心配して、二人を連れて来たのは仕方がないとは思う。

確かに、人間界のルールや礼儀はある程度しかわからない。アイラ達は、よく人間界に遊びに行っているから、そういうことは俺より知っている。

だから、アドバイザーとして向かわせたのは理解出来るが、一言言ってくれても良かったのではないかと、内心モヤモヤしている。



「タナトス様に、人間界の常識をお伝えし、かつタナトス様の盾と剣となる為でございます!」


「それはわかるけど、言うてくれても良かったやん・・・」


「申し訳ありません。ただ、我々がそう言って聞いてくれたことがございませんので!」


「そ、そんなこと・・・ある、かぁ・・・」


「今回ばかりは、我々のワガママでもございます。タナトス様のお傍にいなければ、街一つ滅ぼしかねませんので!!!」


「はい、これからもよろしくやからそれはやめてね!?」


何だかんだ、一人でないということに内心喜びを感じていることに気付いてはいる。

だから、これ以上言うのはやめとこう。


街道から逸れて、森の中をしばらく進むと、川があり、その川を超えた先に岩陰があった。そこは一見洞窟には見えなかったが、奥まで続く道があることがわかった。


「ここやな。問題ないとは思うけど、あんまり気抜かんようにね?」


「お任せ下さい。我らが魔皇を裏切る輩など、根絶やしにしてやります」


「根絶やしにしてやるです!!」


「ティティが真似するから、そういう怖い言葉には気つけてや!!ティティもそんなん言うたらあかん!!」


憤る二人を横目に、洞窟に足を踏み入れた。

洞窟に入ると、冷たい空気が頬を撫でる。その風は湿気を帯びており、肌にまとわりつくようだ。


その風に、ほんの少しだが血の匂いが混じっていることに、すぐに三人とも気づいた。


「あぁ、おるなぁ。懐かしい匂いや。ヴァンパイアは元気みたいやなぁ。あとなんか人間もおったんやろか?匂い残ってんなぁ」


その匂いや気配を頼りに、前に進み続ける。


先に進むにつれ、血の匂いが濃くなり、重厚な雰囲気が辺りを包んでいく。


何度か別れ道があったが、魔力探知をしているので何ら問題なく進んでいくと、行き止まりだった。


「ここの奥におるなぁ。さっきから一体もヴァンパイアがおらんかったから、中に集まってんな。魔力隠してたんやけど、流石やね」


ヴァンパイアは夜に生きる魔族だ。その気配察知能力と隠密能力は生きていく上で何よりも重要視される。

本来はその能力はある程度しか使わないが、タナトスの命により、他の人間に疑いをかけられぬようひたすら行使し続けた結果、その能力が強化されていたようだ。


「ティティ、アイラ。準備ええか?」


「うん、大丈夫だよ」


「いつでも」


二人と顔を見合わせたあと、タナトスが目の前の壁を蒼い瞳で見つめると、壁が爆発によって砕かれた。


壁を打ち砕いた瞬間、炎の塊がタナトスに直撃した。


辺り一面が焼け焦げる程の強力な火炎魔法だ。


「隠蔽魔法で魔力を隠してるかて、僕のことに気付かへんってのは悲しいなぁ」


火傷一つおわずに、タナトスは再びゆっくりと歩き出す。


そこにはヴァンパイアらしき者が三人いた。

魔力の残り香、集まり具合を見る限り、先程の炎は三人で打ったのだろう。


渾身の火炎魔法を放ったにも関わらず無傷でいるタナトスを見て、ヴァンパイア達は驚愕していた。


「な、何だと!?我ら三人の魔力を集め魔法を・・・貴様何者だ!?」


右端のヴァンパイアが口を開いた。

どうやらこの男が、一番マシな魔力を持っているようだ。


「君ら、人間の女の子拐ったんやって?何してんの?魔皇との約束とはちゃうやろ?」


タナトスは歩きながら、彼らに話しかける。

その姿を見た彼らは、未だタナトスが魔皇ということに気付いていないようだ。


「貴様!ギルドの手の者か!!おかしな魔力を持つようだが、貴様ら人間風情が我らヴァンパイアに勝てると思っているのか!?」


目の前にいるのか魔界を統べる魔皇だと言うのに、威勢が良いことだ。

残念だ。自身の顔や名前を知らないことはどうでもいいが、相手の力量を測れぬ程愚かとは思わなかったのだ。


「人間風情?そういう言葉はやめてって昔お願いしたやんな?何も聞いてへんのか?」


ヴァンパイアの言葉に、イラっとしたタナトスを見て、ティティが心配そうに見つめる。


「た、タナタナ?大丈夫?」


ティティアを心配させてしまったことにすぐに気づき、タナトスは笑顔を見せた。


「ごめん、大丈夫やで。パッと片付けよ?」


「パッとだと?貴様、誰に向かって口を・・・」


そうヴァンパイアが言い放つ瞬間、彼の身体は二つに別れていた。

夜の王とも言われるヴァンパイアが、手加減してるにも関わらず反応すら出来ぬことが、残念でならない。


「!?こ、こいつ!!」


「気をつけろ!こいつただの人間ではない!!」


一人の仲間が息絶えたことで、彼らの油断がなくなった。一人のヴァンパイアは腰の剣を抜き、一瞬でタナトスの眼前に飛び込み、袈裟斬りを放つ。

もう一人のヴァンパイアは詠唱を始め、左右の腕から、炎の塊を放とうとした。

しかし、次の瞬間彼の詠唱が止まってしまう。


剣を振りかぶったヴァンパイアの身体が縦に真っ二つに切られた。

しかし、ヴァンパイアから見ても、相手は動いてないように見える。


なんだ?何が起こった?

魔法を放つ隙を逃したが、ヴァンパイアは再度火炎魔法を詠唱し、特大の魔法は放つ。

「くそ!何者かは知らんが、くたばるがいい!!

爆砕炎フォル・ブレイズ!!」

上級魔法の一つであるこの魔法は、当たった対象を内部まで焼き尽くす。彼がもつ最大火力の魔法であり、ヴァンパイアでさえ、骨一つ残らない特大の炎だ。


勝った・・・そう思った彼の目には、男が剣を抜き放った瞬間が見えた。


それと同時に、彼の首は炎と共に吹き飛んだ。


「うーん、ヴァンパイアとはちょくちょく関係を保ってたんやけどなぁ。あいつどないしたんや。代替わりでもしたんか」




ヴァンパイア、討伐

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