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優しい魔皇の冒険記  作者: たんたん
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魔皇、王子と謁見

魔道士を倒し、オーブの事など、知りたいことは聞けた。後は王に謁見し、ゼオンにも会いに行かないといけない。

気軽に冒険に出れると思っていたが、そうではなかったらしい。


「とりあえず、王子起こして。王に謁見せなあかん。事が事やしな。イザベラ、お前もおいで。王に今回の主犯のことを話して、今ギルドに出てるヴァンパイア討伐も消してもらわなあかん」


「やはり、ここはあの勇者パーティーを向かせた国、アルメンテなんですね」


俺を討伐するために、勇者パーティーを集め、向かわせた国、アルメンテ。ヴァンパイア討伐の依頼を出し、ヴァンパイアの王を殺した。それは全て、ペルーノという魔道士が起こさせたものだっだ。多分他の国でも、ヴァンパイアではなくとも違う魔族を討伐させる理由を作り、魔族を減らしているんだろう。ただ、一斉に出せばゼオンも黙っていない。計算しながらしているのは明らかだ。


「せや。近場でやらななかなか出来へんことやしな。とりあえず行こか」


王子の顔を軽く叩く。


「・・・う、な、なんだ・・・」


「王子、起きてやぁ。ちょっと王の元に向かうので、一緒に来てくれるか?」


「な、何だ貴様は!?私に向かって何という口の利き方・・・・・・あれ?あなたは・・・」


オーブの力は相当強力だったらしい。本来、俺のことは、王族なら誰でも知っている。あの覇皇ゼオンと戦友ということもあり、粗相がないよう他国の王にも知れ渡っているからだ。


「やっぱり知ってたんやね。初めまして、俺はタナトスや。よろしくね」


「し、失礼致しました!!魔皇様の御前だと言うのに、このような場所で・・・あれ?ここは私の私室ですが・・・あれ?何故私はここに・・・」


「それに関しては、後から説明するさかい王に謁見しよ。ちょっとめんどいことなってるしな」


疑問は残るだろうが、今はさっさと動かないと後から面倒事が増える。切り替えてもらおう。


「・・・わかりました。タナトス様が動いてらっしゃるのです、何か重大な事柄なのでしょう。すぐに参りましょう」


王子の部屋を出て階段に向かって歩いていると、早速衛兵に阻まれた。


「セ、セルシオ王子!!ご無事ですか!?おいそこの貴様!!王子の元から離れろ!!」


「な!?お前達!!誰に口をきいている!?タナトス様に粗相のないようにと昔から言われていただろう!!何をしていたのだ貴様らは!!!」


王子の身を案じた衛兵達が、その王子に咎められている。シュールやなぁこれ。


「タ、タナトス様ですと!?こ、この者は王の命令で捉えた囚人を逃がした挙句、衛兵を何人も殺害したのですぞ!?」


「囚人?ここ最近国で罪人を捉えた記憶はないが・・・しかし、衛兵を殺害したというのは本当ですか?タナトス様」


「せや。後で詳しく説明するけど、君はペルーノっていう魔道士が持ってたオーブに記憶あるか?」


「・・・はい。確か、最近王宮魔道士に任命された者ですが・・・」


「そいつがオーブを使って、王と君を洗脳したんや。洗脳した後捕まえさせたんがこの子、イザベラや。この子はヴァンパイアで、人間の罪人、悪人のみを捉えてたんやけど、君らの命令で家族を殺されたんや。助けた後、この子を嘲笑った君を消しに行く途中で邪魔されたから消した」


「わ、私達が洗脳それた?不干渉を約束していたヴァンパイア達を殺し、さらには投獄したと・・・?そして私を消しに・・・」


「けど、君と王は悪くなかった。全部あの魔道士の企みやった。あのオーブは魔力を汚染する魔道具で、人を洗脳することも出来たみたいやった。壊してから多少時間かかる予定やったけど、君は運良くすぐに治った。やから今から事情を説明しに王に会いに行くんや」


「・・・そういうことだったのですね。確かに、私にはここ数ヶ月の記憶がないようですね・・・ヴァンパイアを捉えたことなど、全く知りませんでした」


「せやろな。ただ、あくまでも君達が洗脳されたんや。そのせいでこの子の家族が死んだ。衛兵が亡くなったことを、僕は謝るつもりはないで」


「・・・そうですね。残念ながら、私どもが洗脳されたことで、彼らにも貴方方にも迷惑をかけてしまったようです。本当に申し訳ありません。すぐに王の元に向かいましょう」


悔しさと情けなさが滲んだ顔をしている。実際、こちらのヴァンパイアも洗脳され、王の娘を誘拐しているかもしれない。そこに関しては、元を辿ればペルーノを迎えた王の責任である為、こちらも謝る気はない。


「王子・・・しかし、我らの仲間が・・・」


「お前らの仲間の頭が弾け飛んだ時、そのお仲間は死んだ彼を捨ておったよ?」


「!?そ、そんな訳ないだろう!!」


「事実や。そこは僕も窘めたけど、無駄やったわ。君はそんなことせんかもやけど、僕の目の前に立った奴はそうしたで?」


「・・・」


じっと俯き、手を握りながら震わせている。彼は優しく、良い衛兵なのだろう。仲間の失態を悔やんでいるのだから。


「さっさと行くで。王の様子も見に行かな」


落ち込む彼らを余所に、俺達は王の元へ急ぐ。




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