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キメライウ2  作者: クォート
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僕はまた、あの砂漠にいた。いつもと違うところがあるとすれば、オアシスがあるところだ。意識がはっきりとしない。めまいがする。まだはっきりしない視界の中に誰かがいる。その人はネウとは違って白いワンピースに水色の長い髪、金色の瞳をしていた。

「誰ですか...?」

「私は命をつかさどる神レイル。あなた、降魔ライに話があってきましたの 」

聞いたことのない名前の神様だ。

「レイル様」

「様付けはやめて。気軽にレイルでいいわ」

「じゃあ...レイル、僕はどうなったの?」

「身を投げたあと、地面に落ちる前に死んだわ」

「ショック死ってこと?地面にぶつかってじゃなく?」

「ええ、そうよ。というか、身を投げた人は大体死への恐怖心が原因で死ぬわ。あなただけじゃないのよ」

妙に詳しい。そういうことの専門なのだうか。正直今の状況があまり理解出来ていない。

「それでね、ライ。

あなたはこれからの人生について選べるわ」

「選べる...?」

「ええ。このまま死ぬか、あなたの人生のどこかからやり直すかの二択ではあるけどね。自殺や不毛な死に方をしてしまうのは、この理不尽な世界を作った私たちのせいでもある。神だって責任は取るわ」

「そうなんだ...」

神も案外人と変わらないのかもしれない。

「レイル、ひとつ聞かせて」

「何かしら?」

「僕だけ生き返った場合、ネウはどうなるの?」

「ネウ?...ああ、あなたの双子ね」

固唾を飲む。

「あなたが願うならあの子はあなたの脳内じゃなく、あの子の体を持つことも出来るわよ」

「...!!」

これ以上ない喜びだった。なぜこんなに優しくしてくれるのかは理解出来なかったが、ネウと目の前で話し、ネウと目の前で違う食事を食べ、ネウの温もりを感じることが叶うのだ。

選択肢はひとつしかない。

「レイル、お願い。

僕とネウにもう少しだけ息をさせて。」

「ええ、わかったわ。

それじゃ、行くわよ」

レイルの手元が光る。初めに感じためまいなどはもう感じなかった。だって、ネウにまた会えるのだから。

糸状の光が形を作り、しだいにそれはネウになった。


「また会えたね、ライ!」

「ネウ!」

僕はネウを抱きしめた。

「ちょっと、痛いよ、ライ」

「急にいなくなったネウが悪いんだぞ、もう」

あまりの嬉しさに僕は泣いていた。

ネウも泣いていた。


「レイル、本当にありがとう」

「別にいいのよ、お礼なんて。

これが私たちの仕事よ」


僕達はその場を去った。


「おはよう、ライ」

ネウが僕の前で言う。

夢の中で話をした、かつては僕だったネウが今目の前にいる。

「おはよう、ネウ」

僕は笑顔で言った。


ネウは転校生として僕のクラスに入ってきた。双子が同じクラスにいるのはなんだか不思議な気分だった。

ネウは僕よりも出来がいいので、クラスで早くも人気者になっていた。ちょっと嫉妬した。


4時限目が終わり、昼休みになった。

「ライ、お昼食べよー」

「うん」

僕はお弁当がいつもと違うことに気づいた。

「この弁当、もしかして」

「ああ、それ私が作ったんだよ。

どう?」

卵焼きをほおばる。

「めちゃくちゃ美味い...!!」

「よかった!まずいって言われたらどうしようかと思っちゃった。えへへ」

僕は大切に、味わいながら弁当を食べた。


帰りはネウと一緒に帰った。

「いやー今日も疲れたなー」

「そうね、私は1日中いろんな人から色々聞かれてちょっと怖かったわ」

「あはは、それは転校生だからねぇ、色々も聞かれるさ」

実際ネウはクラスで目立つタイプの存在だ。色々聞かれないわけがないのである。

「ねえ、ライ」

「うん?」

「これからもよろしくね」

「うん、よろしく」

夕焼けの空の下、僕達は手を繋いで帰った。

これからはネウがいる。

家族がいない僕にとって、これ以上ない喜びだった。

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