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第30話 王様、再び。

皆々様、私情により更新が非常に遅くなりましてほんとうにごめんなさい……!

ブクマして頂いて、楽しみにして頂いているにも関わらず、本当にすみません……!

次話は早めに更新出来ると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!!

 




 眼前には城壁が広がっている。



「久しぶり……では全然ないなぁ」



 つい先日来たばかりだから久しぶりな感じはしない。けどさすがに王都の大きさにはまだ慣れることは出来ないなぁ……。


 隣で王都に来たことの無い狐人(ソーロ)のヘラが口を開け目を開き驚愕の表情をしている。

 シルとフィアは何度か来たことがある為、驚いてはいないだろう。後ろの荷馬車にいるため顔は見えないが。



「チ、チサノさん、王都ってこんなにおっきいんですね……」


「だろ? 中々壮大だよなぁ」



『だろ?』とか知った風に言ってはみたけど俺はまだここに来るのは2回目だけど。


 とかなんとかヘラと話していると検問所へと着いた。

 するとそこには先日俺たちの検問を担当した時と同じ検問兵が立っていた。まだ数日だからなんとなく顔は憶えていたよ。



「サカモト様、お待ちしておりました! 話は伺っております故、どうぞお通りください」


「お、おお。確認しなくて大丈夫なの?」


「大丈夫ですとも! 国王陛下より到着次第すぐに通すよう許可を頂いておりますので。どうぞお通りください!」



 まさかの検問せずに通してくれるとは思わなかったけどなんかこういうのって何となく緊張するからなくてよかったな。

 ほら、車を運転してて警察に止められて免許証確認される時とかなんとなくドキドキするじゃんね。


 しかし検問兵がそういってくれるので、素通りして王都へと踏み入れる。


 検問所を抜け大通りに出ると前回も目にした貧困街の景色を横目で見やる。

 前回と比べ特に何の変化もなく、同じ光景が広がっていた。



「チサノさん……王都でもこのような人達がたくさんいるんですね……」


「ああ、でもま、以前の俺らの村に比べればまだマシなほうかもな!」



 ヘラが驚きを隠せずにぽつりと呟いた。

 しかしこちらが重たい空気になっても仕方ないから、あえて明るめに返事をしておく。

 …………ぜってぇなんとかしてやるけどな……。

 と心の中ではそう呟く。



「チサノさん、このままお城に向かっちゃっていいですか?」


「うん。そのまま向かって大丈夫。頼んだよアルフ」



 アルフにそのまま向かうように促し大通りを抜ける。

 綺麗な町並みが見え、荷馬車をゆっくり進めていると街の人々の視線を感じる。


 前回は荷馬車1台だったけど、今回は何台もの荷馬車で行進しているからかなり目立っているのだろう。

 しかし気にしてもしょうがないのでそのままお城へと向かう。



 しばらくして城が眼前に広がり、衛兵が立ちはだかる。


 この顔にも覚えがあるぞ。

 前回のチェックの時にもいた衛兵だ。さっきの検問兵といい一度とはいえ見知った顔だと少し安心するなぁ。

 あ、そういえば知らなかったけど、この国の働き方はどんな風になってるんだろうか……。機会があったら聞いてみようかな……。



「おお、サカモト様! お待ちしておりました。先日は無礼な態度失礼致しました。正式な領主への任命おめでとうございます」


「あ、ああ大丈夫だ。ありがとう、これからもよろしく頼むよ」


「ははっ! ……して話は伺っております。早速ですが積荷を拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」


「うん。頼むよ。アルフ、手伝ってあげて」


「わかりました」



 アルフが衛兵を積荷へと案内する。

 一応全ての積荷を確認してもらい、そのまま引き取ってもらった。

 かなり大量なので他の衛兵達にも手伝ってもらい運び入れていた。


 その間に国王様に来場したことを伝えてもらい、しばらく待たせてもらった。



「ねぇねぇチサノ、王様ってどんな人なの?」



 いつの間にかフィアとシルが隣に来ていた。もちろんヘラもずっといる。



「そうだなぁ。意外とおじいちゃんかな? 特徴としては白い蓄えられたお髭が印象的かな……ああ、ちょうどあんな感じの……って本物? 国王様じゃない?!」


「え?! 王様?! どれどれ!」



 フィアは恐れを知らないのか犬耳を動かしながら無邪気にはしゃぎ、辺りを見渡している。



「ど、どれじゃないよ! 言葉遣いには気をつけて!」


「ご、ごめん……」



 さすがに国王様に下手なことは言えないから少し強めに言っておく。フィアが耳を垂らしうな垂れる。

 ヘラとシルは国王様と思しき人物を確認したのか、少し緊張した面持ちをしていた。



「こ、国王陛下! なぜこんなところへ?!」



 今俺達は城門の外側に位置している。さすがに荷馬車を何台も城内には入れることが出来ないので、外側で待たせてもらっていたのだ。



「ほっほっほ、チサノよ、はるばるご苦労だったのう。ちと外の空気が吸いたくなったからついでにきたのだ」


「そ、そんな……。陛下自ら足を運んで頂き痛み入ります!」



 まさか国王様自ら外にくるなんて思っても見なかったから驚きを隠せなかった。

 それになんか前回謁見した時より雰囲気が柔らかい気がする……。ほっほっほっとか言ってるし。



「いやいや構わんよ。しかし、本当にこれだけの『じゃがいも』を3日で用意してくるとは……(まこと)だったのだな」


「も、もちろんでございます! 陛下に嘘なんてつけるはずもございません!」


「いやいや疑っていた訳ではないのだが、この大量の『じゃがいも』を見させられると私も驚きを隠せないのだよ」



 トレードマークの白い髭を触りながら満足そうに頷いている。



「そうだ。御主が帰った後『じゃがいも』を食べたのだが、あれは良い。『トマト』に比べると味は全くの違うものだが、茹でた『じゃがいも』に塩を振りかけるだけで中々美味だった。それに腹も膨れるし、腹持ちも良い」


「お褒めいただき光栄です。これだけあればしばらくは大丈夫だと思いますが、いかがでしょうか?」


「ああ。十分だ。これならなんとか飢えをしのげるだろう。チサノ、御主には本当に感謝する」



 そういい国王様が感謝を述べる。


 本当にこの国の国王様は良識のある人で良かった……。アニメやラノベだと変に高圧的や感情的な人が多かったりするからな……。



「とんでもございません! また収穫ができ次第、定期的に送らせていただきます」


「ああ。本当に助かる。……してそちらの可愛いお嬢さん方は紹介してくれないのかね?」


「え?! あ、します! 紹介します!」



 白髭を蓄えた老人が3人の少女について質問する。

 確かにすぐ傍に3人も人がいるのに紹介しないのは礼儀に欠けるだろう。

 


 すぐに俺は国王様に3人の少女を紹介する——。





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