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第21話 新スキル、そして出発。

新章スタートです!

 





「っ気持ちいい天気だなぁ〜!」



 お日様の心地よい日差しを浴びながら伸びをする。


 いつの間にかもう春になりましたわ。

 俺がこの世界にきてもう1年になるのか。


 早かったような、そうでなかったような……。


 でも、農業は中々いい感じに進んでいる。

 まだ作れないものはもちろんあるけど、ある程度の種類は作れるようになった。

 それに村の人達も知識を貯え経験を積むことができたから、もう俺の力がなくてもある程度は自分達でやっていけるだろう。

 まだまだ教えることはたくさんあるけれど、とりあえずってところだろうか。


 ただ一つ気になることがある。

 俺のスキル【農畜産業】の《農業》スキルはある程度覚えることが出来た。

 だけど、《畜産業》のスキルはまだ何一つ覚えていなかった。



「なんで覚えないんだろうなー。まあ今覚えても多分まだ使える環境じゃないだろうけど……」



 そう呟いた瞬間、突如聞き慣れた音が頭に響く。


『スキル《召喚》を習得しました」



「え?」



 は? まじ? このタイミングで覚える?

 ウィンドウを開き確認する。

 ……《召喚》って表示されているけど……これ家畜のことだよな……。でもこれが《創造》じゃなくてよかったよ……もし牛とか《創る》ってなるとそれこそ神様みたいなもんだ。

 でもなんか、より異世界感が強くなったな……。


 試しに何を《召喚》できるのか確認してみる。



 ーーーーー


 《召喚》Lv:1


 鶏


 ーーーーー



 ……なるほど、まずは鶏からってことか……。

 ちなみに《召喚》ってどこから呼び寄せるんだろうか……いや、これは考えないようにしよう……もしかしたら実家の子達の可能性もあるよな。

 いや、これについては考えないようにしよう……。きりがない。そもそも《種創造》ってだけでもわけわかんないからな。



 しかしこれは……すぐには試せないな。


 仮に成体として《召喚》できたとして、育てるスペースを作るのと餌や育てる人を確保しなければならない。


 こればっかりは俺1人では手に余るだろう



「……よし。いずれとは思っていたけどそろそろ行かないとダメだよなぁ」



 俺は覚悟を決め、村長——ヤン爺——の元へ足を運ぶ。





「ヤン爺、いる?」


「おお、チサノ殿。どうかしましたかの」


「うん。ちょっと話があるんだけど、今いいかな?」


「もちろんですとも。玄関で立ち話もあれですし、中へ入ってくだされ」


「ありがとう」



 家の中に招き入れてくれ、飲み物を出してくれる。



「それで話というのは?」


「ああ、率直にいうと王都へ行き『王様』に謁見したいんだ」


「王、ですか……。またなぜ今なんですじゃ?」


「ヤン爺には話したことあると思うけど、俺は王様にあったことがない。だからそろそろ正式に挨拶をしたいと思ってね」


「なるほどのぅ」



 俺はこの村に来たときに倒れているところを村長に発見された。

 そして村の言い伝え通りだった為、村長は俺を信じてくれた。そして俺が王都から来たわけではないことも伝えてある。



「あと今のままではこの村の発展にも限界があります。もっと発展させる為には王都に行き国王に会うことがあると思ったんです」


「ほう。そういうことかのぅ。チサノ殿がやってくれることにはいつも驚かされるからの。今回も何か策があるんじゃろうな」


「そうです。だから、国王に会う方法ってありますか?」


「もちろんありますとも。村から書状をだせば良いのじゃ」


「書状?」


「うむ。本来は村の領主様が書くのじゃが、この村にはずっと領主はいなかったのでな。儂が準備しよう。国王様もこの辺りの村に領主様がいないのは知っているはずじゃから村長である儂の書状でも謁見できるじゃろう」


「ほんとですか! ありがとうございます!」


「儂にできることはなんでもやらせてもらうからの。あとは馬車の手配もしておこうかの」


「さすがヤン爺! 助かるよ!」


「それで、いつ向かうのかの?」


「そうですね。明日にでも行きたいと思ってますが……大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫じゃ。あとは一緒に何人か連れて行った方がいいじゃろう。領主様がお供なしで行くというのもおかしな話じゃからの」


「わかりました。何人か探しておきます」


「うむ。それでは明日の昼に村の入り口、でよいかの?」


「それでお願いします! では、よろしくお願いします!」



 ヤン爺に別れを告げ、明日のメンバー探しに行く。



「まあまずはあいつだな」




 1区の畑へ向かい、狼人の男を捜し、見つける。




「ダンテ、ちょっといいか?」


「おお、チサノじゃァねぇか。どうしたんだ?」


「悪いな仕事中なのに。頼みがあるんだが聞いてくれないか」


「いいぜ。受けてやるよ」


「え?! まだなにも言ってないけど?!」


「冗談だァ。まあ大抵の頼みは受けてやるつもりだがなァ」


「そ、そうか。いつもありがとうな。実は王都に行くんだけど一緒についてきてほしいんだ」


「王都? もちろんいいがなんでだァ?」



 ダンテが疑問を投げかけてくる。

 村長に答えたものと同じことを説明し改めて承諾を得る。



「他には誰を連れていくんだァ?」


「そうだな。あとはアルフも連れて行こうかと思ってる」


「アルかァ。まああいつも来るだろうよ」


「ああ。とりあえず今から声かけに言ってくる。じゃあ、明日の昼前に俺の屋敷まで来てくれ」


「わかった。屋敷だな」



 一連のやり取りを交わしダンテの元を後にする。


 よし、次はアルフだな。

 あんまり多すぎても意味はないからダンテとアルフの2人でいいかな。




「アルフ、ちょっといいか?」


「チサノさん? いいですよ、ちょっと待っててくださいね」



 仕事中の手を止めるとこちらへやってくる。



「仕事中にごめんな。頼みがあるんだが——」



 ダンテと同じような会話をし、承諾を得る。

 そしてアルフの元を後にし屋敷へと戻る。



「よし、これで人材は確保できたな。あとは謁見だから——」



 その後諸々の準備をし、明日を迎える。




「チサノォ。きたぜェ」



 ダンテとアルフが屋敷へとやってきた。



「おう、2人とも。ちょっとこれを馬車まで運んで欲しいんだが、頼めるか?」



 そこにはいくつかの箱が積まれてあった。



「おう。じゃあさっさともってくかァ」


「ですね」



 2人は二つ返事をし、手伝ってくれる。



「これなに入ってるんですか?」


「これ? 王様への献上物だ」


「そういうことですか」



 アルフは納得し黙々と運び出す。




 ーーーーーーー

 ーーーー

 ーー




「あれ、なんでお前達がいるんだ?」



 そこには犬耳、狐耳、普通の耳の3人の少女がいた。



「なんで私達に声をかけてくれなかったんですか!」


「そうよ! ずるい!」


「わ、わたしも行きたかったです……」



 シル、フィア、ヘラの三人がそれぞれ不満を口にする。



「すまんのぅ……。今朝シルに話したら広まってしまったようじゃ……」



 ヤン爺が謝る。



「もー! 昨日言ってくれれば準備できたのに!」


「フィア、今回は遊びじゃないんだ。わかってくれ……」


「じゃあチサノ様! お土産買ってきてくださいね!!」


「わ、わかったよ……」



 シルがふてくされている。



「つ、次は私も連れて行ってくださいね?」


「わかったヘラ。次行くときは絶対だ」



 全く、こんな美少女にせがまれるなんて、俺はいつから罪作りなやつになってしまったんだろうか。フっ。

 今度は皆まとめてバカンスと洒落込もうじゃないか。ダンテとアルフはもちろん抜きでだ!



「さ、そろそろ行かないと遅くなるから。もう行くな」



 3人の少女と村長に見送られ、村を出る。




 そういえば、村の外に行くのは初めてだな……森には行ったことあるけど。あ、なんか嫌なこと思い出しそう。怖い。熊怖い!





 3人と積み荷を引きづり、馬車は村を出発した——。








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