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第1話  初めてのいもスープ

 


 ––目を覚ますと見知らぬ天井だった。


 1度やって見たかったんだが、こんな形で叶うとは思ってもいなかったな。



「––ここは……?」



 どうやら俺はベッドで寝ていたようだ。

 さて、テンプレならここで俺好みの美少女が扉を開けて「あっ、お目覚めですかぁ? よかったぁ」などと言って近づいてくるところだが––


 コンコンッと扉を叩く音がする。


 きた! こんなに早く来るとは! おお神よ! 感謝いたします!

 私の不敬な考えをお許しください!!



「どうぞ!」



 思いの外テンションの高い声が出てしまった!



「失礼しますじゃ」



 はい裏切ったー!! 神様なんて信じませーん!! 神様なんてだいっきらーい!!

 だってこんなおじいちゃんが来るなんて全然想像してなかったんだもーん!

 全く……期待させるだけさせておいてオトすなんてこんな高度な技を使うなんて許すまじ。

 634mくらいの高さから落とされた気分だよ!



「お気づきになられましたか……お身体は大丈夫ですか?」



「はい。平気です。なんの問題もございません」



 思いの外テンションの低い声が出てしまった。



「そうでございますか。ご安心いたしました。お目覚め後すぐにこんなことを聞くのも失礼ですが、あなた様はこの村の新たな領主様でお間違いないでしょうか?」


「あ、はい。俺がこの村の領主になりました。よく分かりましたね」


「ええ。この村の昔からの言い伝えで、『異国の格好をした青年が来る時、その者を領主として就かせば村を発展させてくれるであろう』というものがありましたのじゃ。まさか儂が生きているうちに来てくれるとは思わなんだもので……」



 そんな言い伝えがあったのか。

 神は一応布石を打っておいたのか?

 それとも記憶操作的な……詮索はやめておこう。


 しかし、このお爺さんめちゃ喜んでるな。

 そんなにこの村は大変なのだろうか。

 いや、その前に



「お爺さんは一体……?」


「申し遅れました。儂はこの村の村長をやっております、ヤンダ・デロイドと申します。ここも儂の家ですじゃ。以後お見知り置きを……」



 なんか病んでたりはしないよね。

 ……いや流石に失礼でした。ごめんちゃい。



 まあでもやっぱり村長ですよね。

 なんか杖ついてるし、見た目年齢的にもそんな感じだと思ったよ。



「俺はサカモト チサノです。いや、チサノ サカモトかな」



 一応外人みたいな名前だから逆にしてみたけど、多分合ってるよな。

 ちなみにぴちぴちの25歳だよ!



「サカモト様……。なんだか珍しいですな。どちらから来られたのですじゃ?」


「あーえーっとあそこあそこ! あのー東に行ったところかなー?」


「東ですか……。東と言いますとこのあたりとは違った文化のある所だと聞いたことがございますな。遠路はるばる、本当にありがとうございます」


「あーいえいえ! 全然平気ですのでね。あ、あと俺みたいな若いやつに敬語じゃなくて全然良いので。俺もやりにくいし」



 いくら俺が救世主的な存在でも目上の方は尊重しないとだからな! おれ偉い!

 そしてちゃんと東の方に国?があってよかった……。

 でも違う文化ってことはもしかしたら日本に近かったりするのかな?

 いつか行ってみたいとこリストに保存しよう。



「お心遣いありがとうございます。お言葉に甘えてでは少しだけ崩させてもらいますじゃ」



 村人との距離感とか大切大切!



「ちなみにここに運ばれてくる前はどうなってたんですかね?」


「サカモト様は村の入り口で倒れておったんじゃ。」



 なるほど、神は俺を見知らぬ地にほったらかしだったんだな!

 俺がオオカミにでも襲われたらどうするってんだい。転生損だぞぉ! ぷんぷん!



「そうじゃサカモト様、お腹は減っておらぬか?」


「言われてみると減っているかな。というか言われて気づきました」



 凄い!意識したとたんにぺこぺこですよ!

 しかし異世界の食事ってどんなんだろうか。よく海外旅行とか行っても味がしないとか口に合わないとか聞くけど、異世界も一緒じゃないといいけど……。



「では食事の準備をするので、しばらく待っててくだされ」



 そういうとヤンダ村長は部屋を後にした。

 ヤンダ村長って言いにくいな。ヤン爺とでも呼ばせていただこう。



 そういえば神より承りし至高のスキルを頂いたのであった。

 今のうちに確認だけでもしておこう。



「オープンステータス」



 呟いてみると右手付近に半透明のウィンドウが表示される。

 おお。まじででるんだな。

 VRRPGとかあったらこんな感じになるんかな。……まあ異世界人の俺には関係ないこと……。

 気を取り直して今はこっちだ。


 えーっとスキルは、っと−−



 ユニークスキル 

【農畜産業】

 スキル

【種創造】Lv:1 




「……こ、これだけ?」


 でも種創造って結構よな。創造するだけででてくんのかな。

 でもレベルがあるってことは制限されてるんだろうけども−−


 そんなことを考えているとノックが聞こえる。


 お、なんか早くないか。ほんとに作ったのか?

 てかこれどうやったら消えるんだろうか……。

 あ、手で払いのけたら消えた。べ、便利ー!



「どうぞー」



 とりあえずスキルは後で試してみるとして、ヤン爺を招き入れる。



「待たせましたな。たいしたものじゃないが食べてくだされ」



 いや、全然待ってないけどね?

 なんなら3分くらいじゃないかな?カップ麺なのかな?



「……ヤン爺、これはなんでしょうか?」



 差し出された木鉢と木製スプーンを受け取り、中身を確認すると乳白色のどろっとしたスープ?が入っていた。



「これは、小麦の粉を溶かしたものに湯がいた芋を入れたものですじゃ。サカモト様には申し訳ないが今出せる精一杯じゃ。すまんのぉ」



 なるほど。これが今の現状ということか。確かに芋なら大抵の土地でも育つがこれは……あまりにも芋の質が悪くはないだろうか?

 そう思いつつも手を合わせ「いただきます」をしてからスープを飲み、芋も食す。



 やはりとても美味しいとは言えない料理だ。

 日本という、土地に恵まれた環境で育った俺にはとてもじゃないが美味しいとは言えない料理だ。

 とりあえずはやるべき事がみえてきた……かな。



「いえ! お腹が満たされました。こちらこそ貴重な食物をありがとうございます」



 すべて食べ終わると手を合わせ「ごちそうさまでした」をしてヤン爺にお礼を言う。

 ヤン爺は「いただきます」と「ごちそうさまでした」の時不思議そうな顔をしていたが、この世界には無いのかもしれないな。

 これも今度教えよう。作物穀物も命である。しっかり感謝せねばいけない。



「それでは一度サカモト様の屋敷へご案内いたしますじゃ」



 屋敷があるのかと少し興味を覚え、部屋を後にする。





 ※※※※※※※※※※





 村長の家から少し歩くと程なく屋敷へ着いた。



「ほぉー! 結構おっきーんだなー!」



 建物自体は少し年季が入っているが、大きさは申し分ない!

 聞くと、屋敷自体はかなり昔にこの土地を治めていた領主様が立てたものらしい。

 ほぼ石材と木材で作られているのだろうか。

 建築物はあんまり詳しくないけど、ラノベテンプレを活用すると、【中世ヨーロッパ風】だな。

 ……ラノベテンプレって結構便利だな……。これからもどんどん使っていこう!



 中に入ると、


「想像していたより掃除が行き届いているようだな。結構きれいだ」



「屋敷は7日に一度村の者で掃除をしてたのじゃ。もう少し手を入れれば住めるじゃろうて」



 なんともありがたい話だなぁ。

 異世界に来たばっかりでも家が用意されてるなんて……!



「寝るだけならなんら問題ないじゃろうから今日はそろそろ休んでくだされ。良い時間じゃしのう」



 そういえば外はだいぶ暗くなってきているようだ。

 初日だし今日のところは休もうかね。



「ありがとうございます。では今日は休ませてもらいますね!」


「了解じゃ。では明日の朝にまた来るからまたその時にのぅ」



 そういいヤン爺と別れを告げた。



 屋敷へ入りいくつか部屋をあたるが、寝室らしき部屋がいくつかあり適当な部屋に入る。


 あー今日は結構疲れたなー。

 つっても寝て起きてご飯食ってただけだけど。なんかやたら疲れたな……。



 ベッドに腰を下ろすと、そのまま吸い込まれるように倒れ込む。

 座るつもりだったのに端から見れば流れるようなベッドインだろう。

 今日のところはもう寝よう。




 そして目を瞑ると、瞬く間に闇のそこへと意識を落とした。



(明日はかわいい子と出会えますように……)






ここまでご覧いただきありがとうございます!

まだプロローグをUPしただけなのに2人の方がブックマークをしてくださいました!

小説を書いて初めてのブックマークでしたので、もう跳んで喜びました!

この場を借りてお礼申し上げます!

また、次回からスキルを使っていく予定ですので楽しみにしていてください!

ちなみに、サカモトの名前ですが「農畜産」から1文字ずつ拝借してチサノと命名しました!

安直ですが個人的にお気に入りです!愛着あるキャラ作りします!

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