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第12話 移民と労い飯。

 





 1ヶ月後、隣村の村人達がやってきた。

 さすがに大人数での長距離移動だったので、体力的はかなり辛くみな限界に近かっただろう。




 持ってきた荷物などを整理してもらう為各区に案内し、食事を用意して皆を広場に集めた。


 空腹では成ることさせ成せなくなるからね。


 そしてなんと! 本日の『(ねぎら)い飯』は……『カレー』と『ナン』です!




 なぜこのメニューなのかというと、簡単かつ楽かつ美味しいからである。


 大鍋に材料を詰め込み煮込むだけ。はぁ……なんて簡単なの! 収穫祭の時に比べればどれだけ楽なことよ……。

 カレー様々である。いつかカレー神を崇め出すかもしれない。




『ナン』については『石窯』じゃなくても『フライパン』で焼けちゃうから意外に手間がかからなかった。




 そしてこの『労う会』にはもう一つ狙いがある。


 現村人との親睦を深めてもらいたかったのだ。


 双方にとってある意味異物のような存在だろう。自分の領地に他人が入ってくることは想像以上に嫌悪感を抱くものである。

 だからこそ、ここで親睦を含めることが大切なのだ。同じ釜の飯……もとい『カレー』をつつけばジンルイ ミナ キョウダイ。



 その為、現村人の分も作らなくてはいけなかったが、『ナン』だけは時間かかるので作り方を教え手伝ってもらった。




 ちなみに移民人数はなんと500人。一気に倍になってしまった。この人数はさすがに色々と大変かもしれない……。





 俺は壇上(手作り)に立ち、村人達に向かって大声を張りあげる。



「皆! 遠路はるばるご苦労であった! これから生きるため、この村で様々なことを手伝ってもらうことになるだろう! だけど、それは村の発展の為であると同時に君たちの『力』になる! 物理的な力ではなく、『知識』と『経験』という名の『力』だ! この『力』を蓄えれば、どこにいっても生きていける! そしてこの村では自分達の作った作物を他の区の作物と少しづつ交換し、皆で助け合って生きている! ここに来たからにはこの村の方針に乗っ取ってもらことになるが、俺がいる限りお前達を飢え死になんて絶対にさせない!! だから、皆ついてきてくれ!」



 みなお腹を空かせているか天を衝くような歓声はあげられていなかったが、とても喜んでいた。

 俺はただ君の笑顔がみたいだけなのサッ。なんてのは嘘でちゃんと税金ハーレムスローライフの夢は叶えてみせるのサッ!!



「それでは、食事を用意したから、腹一杯食べてくれ! 以上だ!」



 その後『いただきます』を皆でしてもらい食事兼親睦会に突入した。



「なんだこの茶色いの。いや! でもうまいぞ!」

「なんだが力が漲るようだ!」

「全身の毛穴が開いていく!」

「辛ーい! けどやめられないとまらない!」



 などなど感想を述べていた。

 最初空腹で、元隣村の人々は親睦を深める余裕はなかったみたいだが、お腹が膨れるとみんなと打ち解けていったようだ。




 ……こうやって見ているとこの村の人達と隣村の人達とでは肉の付き方が全然違うな……。

 確かにこの村に来たばかりの時は皆の細さに驚いたけど、こんな人々が村の外にはまだ……。



 くそ……こんな人達がたくさんいるっていうのか……。日本にいた頃は、世界では秒単位で何人もの人達が飢えで亡くなるということを情報でしか知らなかった……。

 でもいざ目の前にすると、俺1人の力なんてたかが知れていると思い知らせられる……。いくら『スキル』があるといっても途方も無いことだ……。

 ……でも、俺は間違ってはいないはず。ゆっくりと、少しずつだけど前に進めているはずだ。今は目の前の人でいっぱいいっぱいだけど、まずはそこから、だよな……。



 ってあれ? 俺そんなん違うんだから! ほんとは税金ハーレムスローライフするんだから!!(2回目)



 用意した『カレー』と『ナン』は綺麗に平らげられ、みなしばらく談話した後に解散となった。



 ……ここまで綺麗に食べてくれるとおばさん嬉しいよ……。

 給食のおばちゃんの気持ちってこんなんだろうか。

 顔も名前も知らないけど、あの頃はいつもありがとう……。




 その後ロマ村長と幸薄青年アルフにこれからのことを説明した。



 ・居住区兼畑は12区〜22区。


 ・12区〜22区内で今まで通り村長をしてもらうこと。


 ・農作物を育ててもらうこと。


 ・作物が収穫できるようになったら、1区〜10区までの人達と分け合うこと。


 ・作物が育つまでの間は俺が作物を供給すること。


 ・みんな仲良くすること。ケンカ、ダメゼッタイ。



 こんなとこか。



 −−を説明し、解散した。




 あと、村が大きくなるので新しい要素を追加した。


 1〜22区それぞれに『区長』を決めた。


 小さい括りで管轄してもらい、その上に各村長がいるという感じだ。


 月に一度それぞれ『区長会議』を開きもっとこうした方が良いことや不満などを話し合ってもらう。

 それらを2人の村長に報告し、その次に『村長会議』として俺と村長達で話し合うのだ。


 これで『小さい種』が生まれるのであれば一つずつ潰す。そうすればよほど大きなことは起こらないであろう。……多分。



 そして12区〜22区に育ててもらう作物は、



『小麦』

『かぼちゃ』

『ねぎ』

『白菜』



 とりあえずこの4種類だ。まずここから慣れてもらおう。

『小麦』だけはかなり広めに作って大量生産してもらうことにする。

 主食がずっと『じゃがいも』ってのも飽きがくるだろうし。身体の大半がでんぷんになっちゃうよ。

 小麦なら色んな種類を作れるようになれば『パン』だけでなく、麺類だって作れてしまうからね。




 ちなみに1区〜10区には今までの作物に加え、



『とうもろこし』

『とまと』

『なす』

『にんじん』

『ニンニク』



 この5種類を少し前に育ててもらっている。

 ええ。夏野菜です。



 このままでももちろん美味しいのだが、『夏野菜カレー』とかにしたらみんな昇天しちゃうかもしれないな。死因が『夏野菜カレー』食べて死ぬ、だったら本望かもしれない。俺なんて牛に潰されて死んだんだしネ!




 とりあえずこれで様子を見てみるしかないかな。





 この村も大所帯になってきたなぁ……。





「でも、まだ足りない−−」







昨日カレー作っちゃいました。。。

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