36話 船魂
友人と横須賀に来ている。
艦船ヲタクの友人が見学の抽選に当選したのだ。
今回の目玉は他の港を根拠地としているイージス艦の見学ができることだそうだ。
久しぶりの男同士友人同士のお出かけ。
タラップを上って甲板にあがると
そこには巫女姿の女性がにこやかな顔をして立っており
俺に向かって(どうやら俺にしか見えないらしい。)
「ヘイ!ようこそ見学へ!ワタシが此の艦の船魂の「こんごう」デー…」
俺は彼女の口を手で抑えた。モゴモゴ言っている。
そんな彼女に警告する。
「……いいか?世の中には著作権という妖魔悪霊よりも恐ろしいモノがあってな?」
「削除されたくなかったら普通に話せ。わかったな?」
真っ青な顔でコクコクと頷く船魂。
そして友人とイージス艦の見学。
残念ながら艦内は入れないとのこと。
まあ機密のカタマリだから仕方ないよね。
帰るときに例の巫女姿の船魂と会ったが怯えていた。
著作権の恐ろしさというものが十分に理解出来たようで喜ばしい。
彼女にサッと海軍式の敬礼をしてタラップを降りる。
そして見学を終え帰る途中に埠頭で
隣に碇泊している艦の船魂と思われる金髪巨乳の女性がいた。
神威、妖怪を見ることのできる人間に会えるのが嬉しかったのだろう。
彼女は俺を見つけると、やはり嬉しそう手を降って
「ぱんぱかぱー…」
俺は急いで船魂の口を塞ぎに走った。