眠りましょう。
私は独り、夕暮れの様相に見惚れています。
夕日はいけません。
あれは眩しすぎるのです。
様々の波長がゆっくりと交わって
空は微かに、静かに虹色に沈んでいきました。
遠く遠く、歩いた日々。
それだけでこの世界を美しいと思う資格があるのでしょう。
私は独りが好きです。
独りで空を見るのが好きです。
きっとこの時だけは
私は私を許す事が出来るのでした。
―――人も空も似ていますね。
やがて花も咲きましょう。
いつか涙も滲みましょう。
それまで、子守唄を唄って下さいませんか。
私は黙って
街の隅の小さな丘から暮れる空を眺めています。
そうして、二度と来ない今日を見詰めています。
ずっとずっと、
見詰めていたのでした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「どうなすったの。何だか虚ろな目をしていらっしゃるわ。」
「ええ、先程夢から帰りましてね。」