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勿忘草
よろしくお願いします。
あの日、伝えられない想いを飲み込んだ日、あなたは私に花束を渡した。
それは小さな可愛らしい花が咲いていた。
花なんて好きでも嫌いでもない。つまり、貰っても嬉しくないと言っていた私にわざわざあなたは渡した。
花には一つ一つに意味があるのだという。でも、花に興味の無い私には何の花かすら分からなかった。わざわざ渡された花束の意味すら汲み取れなかった。その意味が分かったのは随分、日が経ったあとだった。
ただ私らしくもなく、泣きながら花束を抱えて帰るしかできなかったあの日。
ねぇ、あなたはどんな顔でこれを渡したのかな?
涙で歪んだ視界では何も見えてなかった。
ねぇ、あなたはどんな想いでこれを育てていたのかな?
知らされた事実が悲しすぎて何も見たくなかった。
ねぇ、あなたはこれに想いを託したのよね?
気付くのに遅過ぎてもう確認することができない。
真実の愛、私を忘れないで、と語る花束。
勿忘草。
ありがとうございました。