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嫉妬
「話聞いてた?」
私は、あんりから視線を逸らして聞いてみた。
壁にもたれているあんりは、何も言わずにただ、腕を組んでるだけ。
不機嫌ってのが、手にとるように分かる。
「あんり…あの」
「お姉ちゃんさ、何があったかわからないけど、そーゆーの家でやらない方がいいよ」
あんりが何のことを話してるか分からない。
「キス、したんでしょ?あの人と」
キスした時、あんりは扉の向こうにいたはず。
なぜ、キスしたことを知っているんだろう。
「怒ってる?」
私が聞くと、あんりは睨むように私を見てきた。
その瞳が何を言おうとしてるのかは、分かっていた。
あえて、わからないふりをして一度合わせた目を逸らした。
「答えれないの?」
少し、キレ気味なあんりに私はどうしたらいいか分からなくなって、
気づいたら、泣いていた。
「はぁ」
あんりは、泣いた私を見るなりこちらに向かって来た。
「邪魔」
あんりは、そういって、勢いよくドアを閉めた。
始めてのあんりの行動や言動に、風邪をひいてメンタルが弱くなってる私は何も言えずにただ、床に座り込んでいるだけしかできなかった。