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6、コンゼツ根絶計画  作者: 黒十二色
第一章 いじめ根絶計画
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05、時田まこと対まいぬー

 時田まことが、繁華街に降り立つ数時間前のこと。時田まことは目を疑っていた。着慣れた制服の袖で目をこすってみたが、そこに書かれた名前が変わることは無かった。

 とある用紙を渡してきた背の高い女性に話しかける。

「まいぬーさん。これって……」

「え、見ればわかるじゃん。申請書」

 四角い枠の中に、時田まことにとって馴染みのある名前が書かれていた。

「でも」

「まこっちゃん、もう結構長いんだから、仕事内容くらい覚えなさいよ」

「いえ、そうじゃなくて……ていうか睨まないでくださいです、こわいです」

「別に睨んじゃいないけどさ」

「まいぬーさんは、目つきが悪いので、睨んでるように見えますです」

「そんなこと言われてもね」

「それで、まいぬーさんに聞きたいのは、申請書の扱いとか、提出の仕方とか書き方じゃなくてですね、本当に、この人を消滅させるしかないのかということです」

「なに、生前の好きだった人とか? 女同士でイチャついてたわけ? そういうわけじゃないでしょ? 知り合いって程度でしょ?」

「えっと……」

「ま、とにかく、公私混同しちゃダメよ。その子は消えるったら消える。残念っ」

「そんな……」

「まこっちゃんは、ただでさえ上から目つけられてるんだから、余計なことしたら本当に電話番になっちまうか、窓際部署に飛ばされちまうよ?」

「…………」

「とにかく、申請しといてね。どうしても彼女の名前を書きたくないんだったら、あいにゃんにでも渡せば? ちょっと『忙しいんだからこんな簡単な自分で出来るようなの持ってこないでよ』とかって半ギレされるだろうけど、文句たれながらもやってくれるはずだし」

「…………」

「にしても、いじめ根絶計画なんてのは、小学校中学校とか、ぎりぎり高校くらいまでだと思ってたけど、まさか大人の世界でこんなの担当するなんてねぇ」

「……まいぬーさん。他の方法は、無いんでしょうか」

「しつっこいね、まこっちゃん。消えるったって、ほんの少しの間でしょうよ。対象者がいじめしなくなれば、解放されるんだから」

「でも、失敗したら……」

「それはそれで、幸せなんじゃないかね。霊界も楽しいところぞ」

「でも……」

「あーもー! うるさい! とにかく、その子と過去に何があったかってのは、一応こっちも深く知ってるけどね、今回はあんたの担当じゃないの。あんたはこっちの言うこときいて補佐に努めなさい」

「…………」

「何か文句あんのか」

「睨まないでくださいです」

「睨んでないって」




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