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決闘

改行、表現その他、読みやすく直しました。(2016.8.5)

 王族の決闘というものは、命を賭けた本当の決闘とは違うことは、有名な話であった。

 偽の細剣(レイピア)を使い、誓いの言葉――今回の場合、負けた方は、アイリス王女との婚約者候補となることを断念する――を、決闘の発案者であるモンスコール王国王子が述べ、次に、負けの判定となる要項があげられる。


 『まいった』と言えば負け。戦闘不能も、当然負けである。

 その他、泣いたら負け、逃げ回っているだけでも負け。

 注意事項としては、木に登ってはいけないなどが挙げられた。


 要するに、制限時間のない武道大会のようなものであった。

 厄介なことに、ごくたまに、決闘の結果が気に入らず、国同士がその後戦争になることもある。


 武道大会などでは、その時の禍根を残してはいけない決まりではあるが、決闘の場合、その辺は、曖昧にされている。


 モンスコールもデロスも、武力に力を入れている国として知られている。屈強の騎士たちが揃っているのはもちろんのこと、歴代の王子たちも、軍を率いて戦ってきたことは、中原では有名な話であり、彼ら二人も例外ではない。


 更に、モンスコールは、中原から東方を縦断する、とてつもない大山脈の並びに位置していることをいいことに、東側の情報を一切ストップしてしまっていた。


 東方の文化も取り入れた、独自の文化を築いていたために、服装でも甲冑でも、東洋がベースではあっても、他国からすれば、どこか奇妙で共感しにくい部分がある。


 そして、現在の中原において、もっとも好戦的という、一番危険度の高い国であった。勝つためならば手段を選ばずというのは、実にモンスコールらしいと言えた。


 純粋に、武道を伝統とするデロス王国とは、タイプが全く違うのだった。

 その点でも、両国は、長年、表立ってはいないが、対立していた。




 北の山は、呑気にも、見物客たちで賑わっている。

 一番見晴らしの良い場所にはテントが張ってあり、アトレキア国王と、不安そうな表情のアイリス王女が、豪華な椅子に腰掛け、その後ろに立っているのが護衛のケインと、王女の侍女代行を勤めるクレアであった。

 国王のもう片方の隣には、マスカーナ王子が並ぶ。


 警備兵は、その後ろを円形に囲むよう並び、ロープを張り、観客たちを監視している。

 そこに、カイルの姿はあるが、ダミアスとヴァルドリューズの姿はない。


 いよいよ決闘が始まろうとしていた。

 王子たちは、顔に怪我をしないよう軽めに作られた決闘用の兜を抱え、軽装に、部分的に甲冑を着けている。


 デロス王国カール王子は、(いか)つく、頑丈そうな鉄の甲冑、タペス王子は、動物の角のような突起の多い、黒い奇妙な甲冑で、それぞれの国の特徴が現れている。


 白い騎士は、皮の服に、マリスお気に入りの甲冑と、リストバンド、レザーナックル、革のロングブーツという、普段よりも軽装になっていた。兜なども、持って来てはいない。


 甲冑のデザインも、二人に比べればスマートで洗練された印象を与える。

 白地に金色の模様が、日の光に照らされ、輝いていた。

 『彼』は何もしなくとも、そこに、そうして立っているだけで、見物客の女たちの心を捕えていた。


 モンスコール王子、デロス王子は、それぞれ用意された細剣を取るが、白い騎士は何も持たない。


「剣は、どうしたのだ?」


 カール王子が尋ねると、マリユスは、にっこり笑ってみせた。


「剣はいりません。素手で向かわせて頂きます」

「素手で、私たち二人と対戦しようというのか!?」


 またしても、女たちから悲鳴のような歓声が沸いた。

 二人の王子の立場は、まったくといっていいほど、なかった。


 カールも、さすがにプライドが傷付いたらしく、その表情は怒りで引きつっている。


 タペスは最初から、ぶすっとしていたが、ケインには、それは生まれつきに思えた。


 王子たちは兜を被り、鞘から剣を抜き取り、構えた。

 それに応え、マリユスが素手で構える。


 戦いの火蓋が切られた!


 二人の王子の同時に繰り出す剣を、白い騎士が舞うように飛んで(かわ)す。

 王子二人は、すぐに向きを変え、マリユスの背後を狙った。


 マリユスが両手を地面に着き、逆立ちをするようにして、カール王子の顎を蹴り上げた!

 そのフォームの美しさと、鮮やかな技には、「おおっ!」と、声が上がる。


 よろめくカールを尻目に、タペスが剣を突き出し、突進していく。

 脚を降ろし、立ち上がると同時に、マリユスが、振り下ろされたレイピアを腕で防御する。が――!


 リストバンドが受けたところからは、鮮血が吹き出した。


 ケインを始め、観客たちも身を乗り出す。


 マリユスの左腕からは、ぼたぼたと血がしたたり落ちる。

 途端に、観客から悲鳴が起こり、中には、卒倒している貴婦人たちもいた。


 ケインも、彼の側で見ていたクレアも、今にも駆け出したい衝動を、やっとのことで抑えた。


「タペス殿! それは、真剣か!?」


 体勢を立て直したカール王子が驚き、不適な笑いを浮かべているであろうタペスを、兜の間から、(とが)めるように睨む。


 決闘用レイピアに、刃はない。刃に見せかけた幅の細い剣だが、タペスの物は、本来の両刃のレイピアだ。


 マリユスは、無事な方の手で、カールを制すると、「やはり、真剣だったか」と、タペスに向かって、嘲笑した。


「手当をしなくては……!」

「大丈夫です、殿下。出血多量で倒れる前に、勝負を決めてご覧に入れますよ」


 その言葉で、観客もカールも、動きが静止した。

 言葉の内容と共に、その時のマリユスの微笑みが、妖しいほど美しく映ったせいもあっただろう。


「でやーっ!」


 剣を振り翳したタペス王子は、マリユス目がけて突進するが、相変わらず躱される。


(なんでもいいから、早く勝負を決めてくれ! 頼むから、マリス、手当くらいしてくれ!)


 ケインは、今にも叫んでしまいそうだった。


 ショックだった。

 マリスが――わざとにしろ、あのマリスが、戦闘で傷付くところを見たのは、初めてであった。


 ケインから見たタペスは、野盗などより、よほど訓練され、それなりの実力であったが、マリスに怪我を負わせるなどとは、予想もしなかった。


 本気で手合わせをしたことのない、いずれしてみたいと思ったほどの戦士など、それまで出会ったこともない。

 それが、出会えた。自分よりも年下の少女であり、エルフのように、人間離れした美しい外見という、思いがけない人物だった。


 自分よりも実力は上だと思っていたマリスを傷付けたのが、最大級のモンスターや魔道士ではなく、よりによって、卑怯なやり方をしたタペス王子であったのが、ケインにとって、神聖なものを汚されたように思えてならなかった。


 決闘は、武道家としての誇りからか、カールは一旦引き、ほとんどタペスとマリユスの一騎打ちとなっていた。


「おのれ、ちょろちょろと動き回って、小賢しいマネを……!」


 タペスの突いた剣は、よけたマリユスの頬を(かす)め、オレンジに輝く髪の毛先が、僅かに、はらりと風に舞った。


 すかさず、タペスは足を引っかけ、マリユスを転ばせた。その上を、(また)いで立ち、『彼』の顔にレイピアを向けると、女たちの悲鳴は、ますます大きくなった。


「フッフッフッ……」


 勝ち誇ったような笑いが、タペスの兜から漏れる。


「勝負はついたな。素手にしては、よくやったと言えるが、所詮、この俺様には(かな)わなかったのだ。どうだ? 負けを認めるか? この期に及んで、なおも認めないのなら、ここで、貴様のその綺麗な顔を、ギタギタに切り裂いてやってもいいのだぞ?」


 タペスが、高らかに笑った。


「お父様、お願いです! もうやめさせて下さい! このままでは、マリユス様が殺されてしまうわ!」


 アイリス王女が泣きながら訴えるが、王は、悲しそうに首を振った。


「アイリスや、決闘とは、どんなことがあっても、第三者は介入出来ないものなのだよ」


「でも、でも……! タペス様は、本物のレイピアをお使いだわ! 反則なのでしょう?」


 王は、またしても悲しそうな瞳を、娘に向ける。


「マリユス殿が、それでも構わないと言ったのだ。これは、彼ら男同士の尊い戦いだ。余たちには、どうすることも出来ぬ」


「そんな……!」


 アイリスは、後ろに立つクレアにしがみつき、むせび泣いた。

 クレアは王女を慰めながら、ハラハラとした面持ちで戦況を見守る。

 ケインは、拳を固く握り締めて、ぐっと(こら)えていた。


「どうだ? 負けを認めるか?」


 タペスが勝ち誇ったように、再びマリユスに問う。

 マリユスは、ふんと挑発するように笑った。


「おのれ! 貴様、バカにしおって! まだ悪あがきをしようというのか!」


 タペスがレイピアを突き刺そうと構え直すが、突然、絶叫しながら空高く舞い上がった。


 どさん! と、彼が地面に叩き付けられた時には、マリユスは、既に立ち上がっていた。


「お、おのれ……! 貴様、……この俺に、……なんてことを……!」


 伏せた体勢で、タペスは股間を抑えながら、ぜえぜえ息をしている。


(ムゴい……、なんてムゴいことを……!)


 何が起きたのか、見えていたケインとカイルは、途端にタペスに同情した。


「これは、決闘だ。先程のルールの中にも、なかったしな」


 マリユスが、にやっと笑い、タペスの丸まった背中に、片足をかけ、兜の中を覗き込む。

 タペスは、唸り声しか上げられず、何も言えずにいた。


(マリス、もしかして、野盗をやっつけている時のような感覚になってしまったのか? だとしたら、いけない! 逃げるんだ、タペス王子! 身ぐるみ剥がされて、大衆の面前で大恥をかかされる前に!)


 つい先程までマリスを心配していたケインは、今では、完全にタペス王子の身を案じていた。


 マリユスは、タペスの兜の角を掴んで、上に向かせた。

 タペスは、返事もろくに出来ず、唸っているだけである。


「図に乗るんじゃない、ブタ野郎が」


 マリユスは、もう上品な言葉遣いをしてはいなかった。

 ガツッと片足で、丸まった王子をひっくり返すと、傷付いていない右手を、仰向けの腹に、くい込ませた。


 タペスが悲鳴を上げ、腹を抱えて、のたうち回る。

 それを、マリユスが見下したように笑い、もう一度、レザーナックルを振り下ろそうとした時――!


「よせ!」


 ケインは、自分でも無意識のうちに駆け出し、マリユスの腕を掴んでいた。


「もう、よせ! 戦闘不能だ!」


 紫色の瞳が、ケインを睨む。

 目の前で見るマリユスの頬に滲んだ赤い線は、痛々しく、ケインに映った。


「隊長、タペス殿下のお手当を!」


 呆気に取られていたアストーレの警備隊も、ケインの声で我に返り、タペスを城へ運ぶ準備を急いだ。


 小声で、マリスが言う。


「なにすんのよ、ケイン。邪魔するなんて、最低よ! あのブタ男、あたしの大事な髪を切りやがって……! 仕返ししてやんなきゃ、気が済まないんだから!」


「顔じゃなくて、髪!?」


 目を丸くしたケインは、すぐに真面目な顔になると、声のトーンを落とした。


「タペスに何かあったら、アストーレに、とばっちりが行くんだぞ? モンスコールがどういう国かわかってるだろ? 逆恨みして、アストーレを攻めたりしたらどうするんだ? ただ立ち寄っただけの国に、いくさの火種を蒔いていく気か!」


 マリユスは黙って目を反らし、ケインの手を振り解くと、気を取り直して、カール王子の方に向いた。


「それでは、第二ラウンドを始めましょうか?」


 カールは、はっとしたように顔を上げた。


「その前に、マリユス殿、そのキズ、手当された方がよろしいのでは?」


 マリユスの左腕からは、流れたまま固まってしまった血の跡も生々しくも、新しい血も出続けている。


「これくらい、平気だ」キッと睨むようにして、カールに答える。


「せめて、止血くらいしろ」


 ケインは、警備の制服である、詰め襟の中に巻いている白いスカーフを取り出し、マリユスの腕をきつく縛った。


「やっぱり傷口深いじゃないか」

「平気だって!」


 『彼』は、乱暴にケインの手を払うと、カールに向かって構えた。


 カールも剣を捨て、後半戦は、まともな武道大会のような決闘に終わった。


 結果は、ケインたちの最初の予想通り、マリユスの勝利に終わった。

 カールは、負傷した相手に全力で向かうというのは彼の武士道に反したらしく、本気でないように、人々にも見えた。


 マリユスの勝利で、ギャラリーの貴婦人たちは、キャーキャーと歓声を上げた。




「ケガ、もう大丈夫か?」


 決闘が行われていた北の山では、片付けが終わり、モンスターを倒した後と変わらない景色となっていた。


 そこには、ケインとマリス、ヴァルドリューズのみが残っていた。


「ええ。ヴァルに『治療』してもらったから、この通り。キズも何も残ってないでしょ? 魔法って便利ね」


 マリスが、さっきまで負傷していた腕を、ケインに見せる。

 頬の傷も、完全に消えていた。


「俺に用って?」

「これ、遅くなっちゃったけど、……報酬」


 それは、マリスがケインに支払う、最初の報酬であった。


 ケインは、なぜ今なのか、不思議に思いながら、マリスから受け取った布袋の中身を確かめる。


「ちょっと多いんじゃないか?」


「退職金も兼ねてるから。……あなたを解雇するわ。短い間だったけど、ありがとう」


「えっ? ちょ、ちょっと待てよ。どういうことだよ!?」


 マリスは、さわやかな笑顔になっていた。


「ケイン、自由にしていいのよ。あたしたちは、旅を続けるけど、あなたは、ここに残ることも可能だわ」


 ケインは、信じられない思いで、しばらく、マリスを見つめていた。


 マリスは、近くの岩を見つけると、足を組んで座った。


「以前ね、……とても印象的な(ひと)がいたの」


 彼女にしてみれば、もってまわった言い方かも知れなかった。


「男のくせに、ひ弱で、か弱くて、儚くてね。まったく、ガラス細工のようだったの。だけど、あたしには、一目見た時から、その(ひと)のことが忘れられなくて、……好きだとか、そういう感情より先に、……変かも知れないけど、『守ってあげなくちゃ』っていう気になっていたの。ずっと一緒にいようって、ずっとあたしが守っていくんだって、思っていたのに……」


 山肌を、やさしく、風が撫でていった。

 マリスの、オレンジに輝いた髪がなびく。


「ゴールダヌスに導かれるままに、あたしは、国を出たわ。そのことは、悔やんではいないけど、彼のことは、正直言うと、今でも時々、引っかかってるの。ちゃんとした説明が出来なかったこともそうだけど、側を離れてしまったことを。彼は、きっと、あたしが裏切って、見捨てていったと思っているでしょう。そう考えるだけで、居たたまれない気持ちになって……」


 マリスは、自分の身体を抱え込んだ。


「……もう、守ってあげることは、出来なくなってしまったわ……」


 彼が今まで見た中で、最も悲哀に満ちた、アメジストの瞳であった。


 口に出すのを躊躇(ためら)いながらも、ケインは尋ねた。


「それが、……セルフィス王子――ベアトリクス王国セルフィス王子のことだったのか?」


 マリスはピクッと身体を震わせたが、ケインの方を見ずに、静かに頷いた。


「アイリス王女を見ているうちに、彼の姿と重なったの。彼女もまた、彼のように、純粋で、儚くて、……まるで、誰かが側についていないと、壊れてしまいそうな……」


 目を伏せてから、マリスは、顔を上げた。


「ケイン、お願い。あの()を守ってあげて。彼女は、あなたを求めてる。王女なんて、何でも手に入る身に見えるかも知れないけど、自由は許されない、決められた以外の人を好きになることすら、許されないの。


 あの娘には、アストーレの期待を背負っていくなんて、押しつぶされるほどの、かなりの重圧だわ。汚れを知らない、純真無垢な人間なんて、貴族の中、ましてや、王族の中にだって、そうはいないのよ。だからこそ、守ってあげなくちゃ……!」


 紫水晶の瞳は、強い光が照らされたように、強く輝き出す。


「城の中って、陰謀が渦巻いていて、本当にイヤなとこだけど、ケインなら、そんなものには、負けないと思うわ。王女様にまとわりつく、うるさいハエは、さっき、餞別代わりに、あたしが追い払っておいたし、ダミアスさんも、ケインのことは信頼しているから、後ろ盾になってくれるでしょう。あなたなら、世にも珍しい、傭兵上がりの王にだって、なれるんじゃないかしら」


 ケインには、やっと、マリユスが決闘に加わった意図がわかった。


「な、何言ってんだ」


 冗談を……と言いそうになるが、ケインは、それ以上、何も言えずにいた。

 彼女の表情は、からかっている時の様ではなかったからだった。


「ほんとよ。でなきゃ、せっかく出会った仲間だもの、簡単に解雇なんてしないわ。ね、だから、アイリス王女の側にいてあげて。あの娘は、ただただ、あなただけを求めているのよ。……それに応えてあげて……」


 真剣な眼差しに、ケインは、じっと見入っていた。アメジストの瞳には、熱い物が込められていた。


「マリス……」


 揺るぎない瞳を向けていたマリスは、しばらくすると、照れたように微笑んでから、岩から、元気に飛び降りた。


「あたしが言いたかったのは、それだけ。三日後、旅立つわ。……じゃ、……元気で」


 手を振ってから、(きびす)を返し、彼女は、山を下っていく。


 もう会うことは、ないのだろうか……?


 そう思った時、ケインは、思わず尋ねていた。


「マリス……! ……フルネームは?」


 聞きたいこと、話したいことは、もっと他にあったはずだった。

 しかし、自分でも、なぜだかわからなかったが、ケインは、そんなことを問いかけていた。


 マリスは、ゆっくりと振り向き、何かを吹っ切ったような素直な表情を見せると、そのうち、ケインから目を反らし、前方を――そこに見える景色を通り越した、もっと前方を見据えて、口を開いた。


「……マリス・アル・ティアナ・……ベアトリクス」


 強い風が山間から吹き込み、彼女の髪を掬い上げる。


 マリスは、それからは、振り向きもせず、まっすぐに進んでいった。


 ケインは、追いかけなかった。

 正確には、動くことが出来ず、追いかけられなかったのだ。


「……本当に……?」


 その衝撃は、しばらく彼の身体を、がんじがらめにした。


「……まさか、マリスが、……ベアトリクス王女だったなんて……!」

次回、最終話です。


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