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王女と王子と傭兵

改行、表現その他、読みやすく直しました。(2016.8.3)

「私がモンスコール第一王子タペスだとわかったのなら、キミ、アイリス王女を放したまえ。私は、彼女の婚約者候補なのだぞ? 私の未来の花嫁となる姫の身体に、たかが警備兵ごときが触れるなど、無礼じゃないかね!」


 ケインは、アイリスから手を放そうとするが、王女がしがみつく。

 タペスを受け入れる気がないのは、一目瞭然だったが、タペス自身は、気が付かないようであった。


 震えているアイリスに視線を落としてから、ケインは顔を上げた。


「王女殿下は、お身体の調子が、このところ万全ではないとお聞きします。差し出がましいようですが、少しお休みになられてから、またお話の続きをされる方がよいかと思いますが」


 タペスは、じろじろとケインを見ていたが、そこへ、いつの間にか現れたマスカーナのサンスエラ王子が口を挟んだ。


「お加減が、あまりよくないことは、わたくしも聞いておりました。タペス殿、アイリス様を独り占めなさりたいお気持ちはわかりますが、少し休ませて差し上げては如何(いかが)でしょう?」


 王女を気遣うついでに、タペスにも穏やかな笑顔で微笑みかけ、彼の機嫌を損ねないように心がけているのが、彼の気持ちのやさしいところに、ケインには見えた。


「タペス殿は細剣(レイピア)の名手だとお聞き致しました。私も武道には少々心得があるので、いつかお手合わせ願いたいものですな!」


 武人らしい、いかついデロスのカール王子も、後ろ手から現れる。


「いつまでご滞在ですか? タペス殿、滞在期間中に、一度くらいどうです?」


 デロスの王子に肩をぽんと叩かれると、モンスコール王子は顔をこわばらせた。


「さ、ケイン殿。今のうちに、姫をお連れして」


 マスカーナ王子は、ケインに小声で告げた。




 姫の自室に戻り、ケインは、王女に紅茶を注いだ。

 アイリスは、ソファに座り、その紅茶を啜った。


「宮廷医師は、なんて?」

「……別に異常はないそうです」


 王女は、小さい声で答えた。


「では、何か悩み事でも、おありなのですか? クレアも心配していましたよ」


 アイリスは、ちらっとケインを見るが、沈んだ顔で、すぐにうつむいてしまった。


「失礼ですが、今回、花婿に立候補なさったというあの方とのことが、気になっているのでは……?」


 アイリスは、微かに頷く。


「……わたくし、……あの方、苦手です」


(……だよな……)


 ケインも、心の中で、同情していた。


「では、少しお休みになったら、サロンに戻りましょう。私があの王子殿下をガードしておきますから、アイリス様は、ご安心して、マリユスとお踊り下さい」


 やさしく微笑んでみせるケインを尻目に、アイリスは、ずっと俯いたままだ。


「なぜ、皆、わたくしを放っておいて下さらないの? お父様だって『いそいで結婚しなくていい』って言われる割には、あのように王子殿下方を招いてしまうし、マリユス様にはその気はないのに、アストーレの騎士にならないかと勧めてみたり……」


 王女は、顔を手で覆った。


「サンスエラ様もカール様も、いつもわたくしのことを気に掛けて下さるけど、わたくしは、今はどなたともお話ししたくないのです。今は、とても舞踏会でダンスをする気分ではないのに……!」


 一体、何をそれほどまでに悩んでいるのか、ケインにはまったく見当もつかない。


「皆は、殿下のことを心配しておられるのですよ。殿下に早く今までのように、お元気になって頂きたいから、どうすれば気が晴れるのかと、あれこれ考えておいでなのです。少々うっとおしくても、それだけは、わかっておあげにならないと……」


「ケイン様には、わたくしの気持ちなんかわからないわ!」


 突然の、アイリスの強い口調に、ケインは驚いて彼女を見た。


 王女の瞳からは、大粒の涙が零れ落ちた。


「わたくしの知らない間に、勝手にお姉様の国に行ってしまうし、わたくしには冷たいし……どうせ、わたくしは、あなたから見れば、世間知らずの、甘やかされた、わがままな王女なんだわ!」


「何を突然言われるんです? 私がフェルディナンドへ行ったのは仕事で……」

「わたくしの護衛は、違うのですか!?」


 アイリスは顔を上げて、睨むように彼を見ていた。

 ムッと来たケインは、それを隠せるほど、大人にはなり切れなかった。


「今回のことは、私の連れの一大事だと聞かされて、やむを得ず、フェルディナンドへ向かったのです。それが、お気に召さなかったというのですか?」


 アイリスは、いやいやをするように、首を振った。


「わかっています! どのような事情であれ、あなたがお姉様の国に行って、お姉様がどれだけ助かったのかも、わかっています。……でも、わたくしは、どうなるのです? クレアも行ってしまって、わたくしは、ずっと、ひとりで淋しかった……」


 たかが二週間ほどで、いちいち淋しがられても……とケインは思った。


「外でお待ちしておりますから、お加減がよくなられたら、サロンに戻りましょう」


 感情のこもっていない言い方で伝えると、ケインは、扉へ向かった。

 これ以上、王女の、わけのわからないわがままには、付き合いきれないと思っていた。


 突然、か細い腕が、後ろから巻き付く。

 ケインの足は、その場に留まった。


「……いかないで……」


 確かに、ケインには、そう聞こえた。


「いかないで。……もう、わたくしを、ひとりにしないで」


 ケインは、その場に固まっていた。

 王女は、ぎゅっと、彼の身体を締め付けた。


「あなたがわからない……。わたくしのことを嫌いではないとおっしゃって、あんなにやさしく微笑んで下さったかと思えば、わたくしが白い騎士に憧れても何も動じず、彼とダンスまでお勧めになるわ。わたくしの結婚の話が出ても、常に冷静で……。何も言わずにフェルディナンドに行ってしまった時は、あなたが、なんだか、もうここには帰ってこない気がして、……ずっと、ずっと気が気でなかった……」


 王女の鼓動が、彼の背から伝わってくるような感覚だった。


「あなたのお気持ちだけを……それだけを知りたくて……わたくしは、いつも眠れなかった。クレアが、あなたと旅を続けていたのを知って、あのような綺麗な人がずっと側にいたのだったら、もしかしたら、あなたは彼女を好きなのではないかと、勝手に気を揉んだり……。


 あなたが、せめて貴族だったら……それか、わたくしが平凡な町娘ででもあったならと……いいえ、それよりも、私がもっと美人で、しっかりとしていて、物怖じしない性格だったら……身分など気にせず、……あなたに……」


 アイリスは、ケインの背に顔を埋めたまま、啜り泣いていた。


「ごめんなさい……わたくしは……」


 それ以上は、声にならなかった。


 ケインは振り向くと、思わず、アイリスを、そっと抱きしめた。


(いつの間にか大変な展開に……? どうしよ? でも、俺は……)


 ケインの青い瞳は、一瞬、過去に飛ぶと、どう声をかけていいかわからず、アイリスから視線を反らした。


「ずっと、こうしていたい……。もう、舞踏会なんて、どうでもいい……」


 アイリスは、もたれかけていた頭を起こし、涙にぬれたその大きな栗色の瞳に、ケインを映した。


「殿下、……俺は……」


「今夜だけは……!」


 ケインが何かを告げるのを恐れるかのように、アイリスは遮った。


「今夜だけは、わたくしの身分を、お忘れください。……どうか、お願い……」


 アイリスは、涙にぬれた瞳を、静かに閉じていった。


 ピンク色に彩られた唇は引き結び、上を向く。


 ケインの頬に、赤みが差した。


 部屋には、他に誰もいない。例え、ここで、一瞬、触れ合ったところで、誰にも気付かれないだろう。

 ましてや、王女は、それを望んでいる。


 誰にもわかりはしない。

 だが、ケインの心は、何かに引っかかっていた。


 それは、刑罰を恐れてのことなのか、過去の恋愛を思い起こさせるせいであるのか、今後の戦いを予測して、うつつを抜かしている場合ではないと、自分に警告を発しているのか、……はたまた別の何かであるのかは、今の彼には、わからなかった。


「アイリス様、……俺は……」


 その時、扉の外で足音が近付いてくると、

「アイリス、具合はどうかね?」

 扉が開き、アトレキア国王が護衛を連れて現れた。


「ま、まあ、お父様! ど、どうかなさったの?」


 王女は、声をうわずらせて、父親に駆け寄った。


 その前に、人の気配を察したケインは、素早く移動し、何食わぬ顔で、紅茶のカップを片付けていた。


 王女に迫られた時よりも、よほど動揺し、心臓がバクバク鳴っている。


「そなた、具合の方はどうなのかね? 舞踏会では、まだ一度もダンスをしておらんだろう? タペス殿もマリユス殿も、皆お待ちだぞ」


「えっ? そ、そうですか? で、でも、わたくし……」


 王女がもじもじして、ケインの方をちらっと見る。

 ケインは、何気ない顔で、そのまま食器を片付けに、奥の部屋へ引っ込んでいった。


「おお、なんだか顔色も良くなったようだな。やはり、少し休んでおいたのが良かったと見える。さあさあ、舞踏会の主役がいなくてどうする。これからが、メインイベントだ。はっはっはっ!」


 王は笑いながら、王女の背中を押して、部屋から連れ出した。

 王女は、父親に強く出られずに、後ろ髪を引かれながらも、連れていかれてしまった。


 『身分を忘れて……』と言っても、結局は、身分をわきまえさせられてしまった気のしたケインであった。




 ケインが後から舞踏会場へ戻ると、王女は、中央で、タペス王子と踊っていた。

 王女は、彼から顔を背けているが、王子の方は気付かずに、ベラベラと一人で話している。


 そこへ、デロス国のカール王子が割り込み、王女と踊る。

 マリユスには、ダンスの順番待ちの行列が出来ていて、貴族の娘たちと、次々と踊っているため、抜け出せそうにない。


「先程は、どうも」


 マスカーナ王国王子サンスエラがやってくると、ケインも、慌てて挨拶をする。


「サンスエラ殿下は、アイリス様と踊られないのですか?」


 ケインの質問に、王子は力なく笑って答えた。


「あの押しの強いお二人がお相手では、僕など入り込む隙はありませんよ。しかも、白い騎士という、どこかの国の騎士もいらっしゃるようで、アイリス殿下のお気に入りだとか。随分、美しい方ですね。あの方も、アイリス様が神殿で襲われた時に、悪者を倒したそうではありませんか。そんな方まで来られたら、一層、僕の居場所なんてありはしませんよ」


 王子は、少し淋しそうに微笑んだ。


「デロス王国とは隣国ということもあり、彼とは幼い頃から友人で、気も合うのですが、いざという時は、いつも彼に譲ってしまって……押しが弱いんですよ。それに、僕は武術はあまり得意ではありませんが、タペス殿にしろ、マリユス殿にしろ、皆さん、武道を極めていらっしゃる。アイリス殿下も、どうやら武道の出来る逞しいお方がお好きのようだというお話ですしね……」


 王子は言葉を区切り、微笑みながらではあったが、慎重に切り出した。


「ここだけの話ですが……、アイリス殿下は……あなたのことが、お好きなのではないですか?」


 サンスエラ王子は、ケインの瞳をじっと覗き込んだ。

 思わずたじろいだケインは、とっさにトボケてみせた。


「そんな……、殿下、おからかいにならないでください」


 王子は、ふっと笑った。


「あなたも姫のことは、可愛いと思われている……そうなのでしょう?」

「……そ、それは……」


 どう答えていいものか困惑しているケインに、助け舟を出すかのように、マスカーナ王子は続けた。


「もちろん、僕の想像です。アトレキア陛下になど、(ほの)めかしたりはしませんから、安心して下さい」


 王子は、視線を広間の中央へ映した。

 フロアでは、またタペスとアイリスが踊っている。


「ケイン殿も、姫と踊ってくればいいのに」


「またまた! からかわないでくださいよ。だいたい、私はこのような宮廷のダンスなどは、したことがありませんし……」

「じゃあ、僕が教えてあげるよ」

「は!?」


 王子は、イヤミでもなんでもなく、親切心で言っているらしかった。


「おっと、勘違いしないでくれよ。僕がきみにダンスを教えるって言ったのは、姫のためだよ」


 彼は、にこにこと続けた。


「気を悪くしないで欲しいんだけど、きみたちが一緒になるのは、非常に難しいと思うよ。もちろん、アイリス様が、きみとのことを陛下に頼めば、陛下は許して下さるかも知れない。だけど、周りは、きみをどう見るだろうか。


 よその国から現れたダミアス殿が参謀になられた時、かなりの反対があり、この間、僕たちが訪問した時だって、それを利用されて、濡れ衣を着せられたりしていたくらいだし。


 きみの場合は、きっと、それ以上に風当たりが強くなることだろうね。旅の傭兵がみるみる出世し、将軍ならまだしも、王女の婿になることをーー後に、一国の王となる地位を、この宮廷の誰もが簡単に約束させてくれるだろうか」


 それには、ケインも同感であった。


「城では、常に陰謀がつきまとう。このような舞踏会のように華やかな場は、ほんの一部分に過ぎない。誰が王に認めてもらい、出世するか、そのために、水面下では、誰かを蹴落とすための、時には王でさえその対象になってしまうような、おぞましい陰謀が企てられることだってある世界なんだ。


 それは、ここアストーレだって例外ではなかっただろう。ダミアス殿が、それを王の耳には入れないように、なんとか対処していたのだと思うよ。


 そんな陰険な場所に、きみのような健全な傭兵が入り込めるだろうか。そのような排他的な人々の中で、一生、明るく元気に過ごすことなど、出来るのだろうか」


 王子は、何とも言えない瞳を、ケインに向けていた。

 意地悪をいっているのではいと、ケインには、わかっていた。

 サンスエラ王子自身も、そのような世界で生きなくてはならないことに、()る瀬なさを感じている、そう受け取れた。


 王子は、ふっと力が抜けたように、息をついた。


「僕は、多分、彼女とは結婚出来ないだろう。花婿は、彼らのうちの誰かに決まるだろうね。当の彼女の想うところではない誰かに。それなら、ささやかだけど、僕がしてあげられるのは、彼女が最も踊りたい相手――つまり、きみと、せめて踊れるように協力して差し上げようと思ったのさ。どうかな?」


(身を引き、静かに見守る愛もあるということか)


 この(ひと)は、自分のことよりも相手のことを思い遣れる男なんだ。

 顔は整っていても、少し頼りなさそうに見えたマスカーナ王子サンスエラは、ただの優男(やさおとこ)ではなく、根っからの気持ちのやさしい人なのだと、ケインには思えた。




「貴様、決闘だ!」

「望むところだ!」


 サンスエラとケインが再びサロンに顔を出してみると、モンスコールとデロスの王子が、今にも剣を抜かんばかりの剣幕で、怒鳴り合っていた。

 貴婦人たちが悲鳴を上げている。


「勝った方が姫の婚約者だ!」

「おお、上等だ!」


 王女がおろおろしながら、二人の王子の前に行く。


「やめてください! わたくし、そのようなことは、困ります!」


 さすがの王女も、これまでにない、強い口調だった。


「負けた方は、今後、一切、姫に近付くことは、まかりならんと思え!」


 タペスがカール王子に人差し指を突き立てた。


「その言葉に、偽りはないでしょうね」


 そう返したのは、カール王子ではなかった。


 誰もが驚いて、声のする方を探す。

 つかつかと二人に歩み寄っていったのは、マリユスだった。


「マリユス様……?」


 不適な笑みを浮かべたマリユスは、両手を揉み絞って驚いたように見ている王女を、庇うように進み出た。


「なんだ、おぬしは!」


 タペス王子が、マリユスを、うさん臭そうにじろじろ見る。


「白い騎士マリユス・ミラーと申します。モンスコール王子タペス殿下、ただ今の『負けた方は、姫との婚約権を放棄する』というお約束、本当でしょうか?」


「当たり前だ!」


 タペス王子は、忌々しそうに、カール王子を見る。カールも、タペスを睨み返した。


「その決闘に、私も入れてもらえないでしょうか?」

「なんだと!?」


 場内にも、来賓の悲鳴や、驚きの声が湧いた。


「貴様……! 流れ者の騎士のくせに、我々と対等に勝負するだけでなく、その上、アイリス王女殿下までも手に入れようというのか!?」


 タペスは牙を剥くような形相であった。

 そうしていると、一層ブタみたいだ、とケインは密かに思ったが、すぐに、そんな考えを振り払う。


「滅相もございません。私はただの流浪の騎士。そのような恐れ多いことは望んでおりません。その代わり、私に負けた方は、姫との婚約権を放棄して頂きたいのです」


「なっ、なんだと!?」


 ギャラリーの叫び声と、二人の王子の声は同時であった。


「姫の婚約者の地位を望んでいないのならば、なぜそのような約束をするのだ!」


 タペスが、興奮して叫ぶ。


「私が参戦しなくても、負けた者は婚約権を放棄するのでしたら、同じことでしょう?」


 白い騎士は、横目で見ながら、冷たく言い放った。

 余計に腹を立てたタペスが何か言い出す前に、少し冷静になったカール王子が割り込んだ。


「……して、決闘のやり方は? 三人では、組み合わせや順番を、決めなくてはなるまい」


「その必要はございません。三人同時、または、お二人対私ということで、いかがです?」


 またしても、場内全体がどよめく。


「なんと!? 私とタペス殿二人を同時に、しかも、勝利するおつもりか!?」


 カール王子が驚いてマリユスを見つめる。

 それへ、『彼』は、不適にもにっこり頷いてみせた。


「なめおって……! いいだろう! チャラチャラと女たちを周りにハベらし、いい気になっている貴様は、もともと気に食わなかった! まずは貴様を倒し、その後でデロス王子と、改めて決闘し直してやるわ!」


 タペスは、(いき)り立っていた。


「明日の正午に北の山で決闘だ。貴様ら、遅れるなよ!」


 彼はそう言うと、不快な足音を立てながら、室内から出て行った。


 途端に黄色い声が上がり、マリユスの周りに娘たちが駆け寄っていく。


「マリユス様、素敵!」

「あのお二人を、同時にお相手なさるなんて! 明日の決闘は、是非拝見したいものですわ!」


「いやあ、まさかこんな展開になるなんて……。せっかくダンスを教えて差し上げたけど、なんだか無駄になっちゃったみたいで……」


 マスカーナ王子は、自分のせいではなくとも、申し訳なさそうにケインに言った。


(マリス、決闘なんかして、どうするつもりなんだ?)


 ケインには、マリスの真意がわからなかった。


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