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第7話

台詞の前後に改行をいれてみました。

読みやすくなるといいんですが。

 国王一家が夕食を摂る広間へ、サーシャマリーに付き従い第三近衛隊の隊長とともに歩いていく。扉の前でちょっとこちらを振り返った王女へにっこりと笑いかけると、フレアは優雅に腰を折った。

給仕の侍女は他にいるのでフレアが広間に入ることはない。隣の控室で彼女が出て来るのを待つばかりだ。不安そうな表情を覗かせていたサーシャマリーだったが、フレアの顔を見るとひとつ頷いて開かれた扉の中へと入って行く。扉が閉まったところで顔を上げると、ちょうど廊下の先からユーリックが歩いてくるのが見えた。彼のために道を開け、頭を下げていると視線の先にユーリックの靴が見えて、止まった。


「…あ~、フレア」

気まずげに掛けられた声に顔を上げると、背後に略式の礼装を着たオーランジュを従えユーリックが立っていた。――――マントはこの時のために必要だったんだ。一人で合点がいっていたフレアに、ユーリックが不思議そうな視線を向けてきたので、慌てて彼に向き合う。


「今日は、すまなかった。デュークに君のことを話してしまって…」


わざわざ直接ユーリックに謝られ、フレアは驚いて頭を下げる。


「とんでもございません!殿下のお役に立てたのなら光栄でございます」

「だが、オーランジュにも言われてしまったよ。あまり広めるとフレアの立場にとって良くない、とね。それにサーシャにも怒られてしまったし」


整った顔を申し訳なさそうにしかめるユーリックの言葉に、思わず彼の背後に立つオーランジュにキツイ視線を向ける。――――なんとか、ってこういうことかっ!!

だが、それを見たユーリックも慌てて


「ああ、彼を責めないでくれ。非があるったのは私のほうだ。デュークには今回のことは特別で、二度目はないことも口外しないことも言っておいたから」

「お気遣いいただきありがとうございます。ですが殿下。本当にもうお気になさらないでくださいませ。それに…後ろの方も同罪ですわ」

「なに?」


最後の方は声をひそめて告げるフレアに、ユーリックは後ろを振り返る。だが、背後に控えた男は悪びれた様子もない。まったく、といいたげに二人が向ける視線の先でオーランジュはあっさりと


「殿下。皆様がお待ちですよ」

と促した。やれやれ、と再びフレアに向き直ったユーリックは


「まあ、そういうことで、今後のことは気にしないでくれるとありがたい」

「心得ましてございます、ユーリック様」


感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げたフレアの前を二人が通って行った。

扉が閉まる前、ちらっと視線を向けるとオーランジュと目があった。その表情が『まったく、手がかかる』と言っているようで、フレアは人目もはばからず地団駄も踏みたくなった。


 控えの間に入りフレアは今日ようやく一息つけた、と肩の力を抜いた。

今日一日ひたすら時間に追われていたような気がする。部屋の隅に用意されているワゴンから温かいお茶を注ぎ、椅子に腰かけると知らずほぅっ、と息が出る。


「それにしても…お腹空いたな~」


食事の付き添い担当になると自分の夕食は遅い。おそらくサーシャマリーが部屋から出てくるのは一時程後だろう。いつ呼ばれるかわからない付き添いの侍女は、その間この部屋を離れてはならない。

――――今頃みんなご飯食べてるんだろうな~

昼は縫物に追われ結局差し入れてもらったパンだけで済ませるハメになってしまったし、普段なら夕方のお茶の時間に何かつまんだりもできたのだが、今日はオーランジュの下へ行っていたのでそれも抜き。とりあえずお茶でお腹を膨らませようとしてみたのだが、あまり効果はないようだった。

――――しょうがない。後で食べようと思ってたんだけどな。

こっそりポケットから出した飴の包み紙を、ゆっくりと開いた。




レイアウト変更お試し版です。

2,3話続けてみて良さそうな方に全体を変更していきたいと思います。

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