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第1話


「ねえ、聞いた?オーランジュ様がお戻りになったって!」

――――…マジで?

「知ってるわ!今朝ちらっとお見かけしたもの。相変わらず素敵だったわ~」

――――…は?素敵?

「あのグリーンの瞳が朝日に輝いて眩しそうに細められて。いつもより精悍なお顔立ちでしたわ」

――――目つきが悪いだけじゃない

「まあ。あなた朝からすごい幸運じゃない!いいわね~。私も早くお会いしたいわ~」

「ふふふ。今日一日分の幸運を使ってしまったわ。でもおかげで今日は朝から気分がいいのよ」

――――そんなことで運を使うなんてもったいない…

「遠くからでも一目でわかるあの立ち姿。近衛隊の深紅のマントがよく映えていらっしゃって。オーランジュ様ほど隊服を着こなせる方もそうそういらっしゃらないわよね、フレア?」

「え?ええ…」

突然侍女仲間から振られた問いかけに、心の中で毒づいていたフレアはとっさに返事ができなくなる。


アーデルヴァイド王国城内の一室。

侍女たちは部屋の主が留守なのをいいことに、のんきにおしゃべりしがら掃除をしていた。

しかし、そこは腐っても良家の子女上がりの娘たち。口と同時に手もてきぱきと動かしながら働いている。

先ほど王城敷地内にある庭園へ散策に出かけられた部屋の主である王女は、まだしばらく戻らないだろう。一通りの掃除やベッドメイキングなどを終えると、道具の片付けに一行は部屋を後にする。

これから貴重な昼前の休憩に入るため、道具を片付け侍女たちが集う控えの間に向かって歩き出した。


「オーランジュ様といえば、最近近衛隊の副隊長に任命されたんですってね。これでまたご令嬢方がオーランジュ様をめぐって騒がれるでしょうね」

ふふっと笑いながらそう皆に告げるのは王妃付きの侍女で唯一の既婚者アデリーだ。やわらかい栗毛がよく似合う顔でほほ笑みながら、それでも他人事で言えるのは彼女が新婚の夫から溺愛されている事実があるからだろう。しかし、現在恋人募集中真っ盛りの他の侍女たちにはそんな余裕はなさそうだ。

「そうなんですわ!オーランジュ様といえば次男とはいえ侯爵家の方。国内でも1,2位を争う剣の腕前に加えてあのご容姿!ご令嬢方のかっこうの婿候補ですわ!」

「なのに、どんな美貌のご令嬢に声を掛けられてもそっけなく返されるばかりで…そこがまたいい、と評判ですわね」

「たしかに、言い寄ってこられる方にはそっけないけれど…でも普段のオーランジュ様はお優しい方だわ。隊の方たちにも普段は厳しいけれどいつもさりげなく声を掛けられて。私たち侍女にも分け隔てなく接してくださって。上流階級のお生まれなのに鼻にかけたりなんかなさらない、まっすぐなお方だわ」

「そのせいで勘違いしてる女性も多いって噂ですけどね」

「でも副隊長に任命されたからにはさすがに侯爵様が黙っていないのではないかしら?オーランジュ様ってたしか24歳、でしたっけ?」

きゃっきゃとはしゃぐ他の二人に苦笑しながらアデリーがこちらに顔を向けて問うてくる。

話に混ざろうとしないフレアにちょっと心配したような瞳を向けるアデリーにこっそり溜息をついて

「――もうじき25歳になられるはずですよ」

無愛想にならない程度の笑みを顔に張り付けてそう答えた。

アデリーはそれになるほど、と一つうなづいただけだったが、前を歩いていた二人には驚きだったらしい。

がばっ、と二人同時に振り向くとびっくりして思わず足を止めたフレアに詰め寄ってくる。

「もうすぐ!?オーランジュ様ってもうすぐお誕生日なんですの!?」

「25歳なんて、まさに適齢期ではないですか!しかも近衛隊副隊長へのご就任。このタイミングでのお誕生日。…絶好のチャンスですわね!」

グっとこぶしを握り締めて空に何かを誓うような姿勢の彼女を、もう一人の侍女がどけるようにフレアにさらに詰め寄ってきた。

「フレア…あなたなんでオーランジュ様のお誕生日なんて知っているの?」

「えっ?」

――――…まずった?

「…みんな知ってると思うんだけど」

取り繕うように言うフレアに、侍女の一人は訝しげな目を向ける。

「まさかあなた…」

思わずドキッとして身を引きかける。しかし、彼女はフレアの両手を自分の手で握りこむようにして押さえると

「あなたまでオーランジュ様のファンなの!?『今まで全く興味ありません』って顔しといて、実はお誕生日までしっかり押さえてる隠れファンだったわけ!?」

「……は?」

「オーランジュ様のお誕生日なんて誰も知らないわ!『知らない人間に祝われるほどご大層な人間じゃない』って以前オーランジュ様がおっしゃってから誰もお誕生日を聞き出すこともできなかったのに!」

思いもかけない言葉に半ば呆然とするフレアを侍女は振り回さんばかりの勢いでなおも詰め寄ってくる。

その剣幕にそばにいた二人も止められず困惑していると、思いもかけないところから声がかかった。

「――――フレア」

聞き覚えのある低音に、その場にいた4人の動きが止まった。


ノリだけで書き始めたので、きっと読みにくい箇所があちこちに…

あ~文才がほしい!!

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