表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

3 見知らぬ森

 突然のことに、皆、言葉も出ずに立ち止まった。私も。ただ、この光には見覚えあるな、と思った。そのときには周辺が薄い水色の光に包まれていた。

 それが消えると、辺りは薄暗くなっていた。森の中ではあったが、間違いなく場所が違うとわかる。何しろ、生えている木の種類が全く違うのだ。さっきまでいた森は、広葉樹の森だった。が、今目の前に林立しているのは、ほぼ針葉樹だ。

「シホちゃん、さっきのって……」

 マリちゃんが呟きながら私の傍に寄ってきた。私は顔をしかめながら言った。

「転移陣、だよね」

 ゼンタとクロウもこちらにやってきた。

「あー、それかあ。でも、何で?俺たち、どこに飛ばされたんだ?」

 それが問題だ。誰がなぜ転移門を私たち相手に使ったのか、という問題は後回しだ。

 私は上方を見上げた。太陽の位置を確認できれば、方位が確認できるかなと思ったのだ。が、木々の枝に遮られ、空は見えない。昼間なのに森が暗すぎて、木々の影の向きで方向を見定めることもできない。

 私は、口元を少しゆがめながら、木々の尖った葉っぱを軽く見つめていた。マリちゃんが心配そうに私に声を掛ける。

「シホちゃん、どうかした……?」

「いや、大したことじゃないんだけど。針葉樹の葉っぱって、掴んだら結構痛いんだよなあ、とか」

「まさか、シホちゃん……?」

 さすが、マリちゃん。私のこと、よくわかってる。

 私は、自分のリュックから手袋を取りだした。森に入って何か採集したくなったときのために荷物に入れていたものだ。

 手袋は片方だけはめた。手袋をはめていない方の手をリュックに突っ込み、今度は手巾を取り出す。畳んでいたそれを少し振れば、さらさらと広がる。長さはちょうど襷くらいだ。

 私は、手巾に魔素をまとわせながら、上に振り上げた。手巾の端を木の枝の先に絡ませると、思い切り引っ張り、反動をつけて飛び上がる。飛び上がった体が落ち始める前に手袋をしている方の手で近くの枝を掴み、一方の手で手巾をまた振り上げ、手巾に纏わせた魔素を木の枝に張り付けて反動をつけて飛び上がり、と繰り返しているうちに、森の上層に出た。魔素を木にまとわせて足場を作りながら、木のてっぺんに立った。

 私は辺りを見回した。見渡す限り、針葉樹ばかりだった。森の端は山裾に繋がっていた。

 私は山を見た。連なる山々のうちの二つが特徴的な形をしており、それを見てここがどこかわかってしまった。

 私たちは、テッサ山脈を越えていた。方角を確認し、下に降りようとしたところで、固まった。木々の上を、体をうねらせながら悠々と飛ぶ大きな生き物がいた。蛇のように細長い体に銀色のたてがみ、大きな一つ目。言うまでもない、異形だ。

 向こうと目が合ったのを私は察した。それと同時に、向こうが加速し、こちらに向かって飛んできた。

 私は、木々の上を滑るように跳んだ。

 それでも、背後の気配は離れない。

本日三話連続投稿の三話目。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ