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おっさん騎士、逆行転生してドラゴンの妻となる  作者: 未羊


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第96話 その血のさだめ

 ドラゴニルによる調査は一応進んでいる。傍流の家系を拾い上げるだけでも相当の数になっていたので、脳筋のドラゴニルにはかなり厳しいものだった。


「助かったぞ、クロウラー伯爵」


「いえいえ、お役に立てて嬉しい限りです。なんでもブレアが巻き込まれたらしいですからね。娘の安全を思えば、協力は当然でございます」


「ふっ、貴様も娘には甘いようだな」


「ドラゴニル様ほどでもないかとは思います。ですが、子の心配をせぬ親など普通は居りませんからね」


「そうだな。はっはっはっ」


 調べ物が落ち着いた事もあって、ドラゴニルとクロウラー伯爵は笑い合っていた。


「しかし、思いの外かなり多くなっていたな」


「そうでございますね。フェイダン公爵家が誕生してから、これ程の月日が経ったのだと、改めて思い知らされました」


 フェイダン公爵家から分岐した傍流の家系の数を見て、ドラゴニルもクロウラー伯爵もその数に驚かされていた。この中から宝珠を使ったとされる犯人を見つけ出すのは、実に骨が折れそうな話だった。

 ところが、改めてその名前を眺めていると、よく知る家系の名前が目に入った。


「……ランドルフ。こいつも傍流の家系だったか」


「私たちの両方と領地を接する家ですな。……確かに家系図に載っておりますね」


 長々とした家系図の端の方に記されていた『ランドルフ子爵』の名前。そこに何か引っ掛かりを覚える二人である。


「領地を接しているし、足元というのは地味に見づらい。……調べてみる価値はありそうだな」


「そうでございますね。ですが、ドラゴニル様のお手をわざわざ煩わせる必要もございませんでしょう。私の方で調べてみます」


 ドラゴニルが真剣な表情で眺めていると、クロウラー伯爵は自らの力で調べてみると申し出てきた。

 ドラゴニルとしても、他に調べてみる事があるので、これはちょうどいいと思ったようだ。


「分かった。ランドルフの奴の事は任せるぞ。我にも調べ物はたくさんあるからな」


「お任せ下さいませ。フェイダン公爵家に忠誠を誓う一族として、必ずや成し遂げてみせましょうぞ」


 実に頼りがいのある一族である。だからこそ、クロウラー伯爵家は傍流として、隣人として、フェイダン公爵家との間で交流を続けられているのである。先代フェイダン公爵からも、ドラゴニルからも信頼の厚い一族なのである。

 ドラゴニルが帰った後のクロウラー伯爵は、部下を呼び寄せる。


「なんでございましょうか、伯爵様」


「人を使って、隣のランドルフ子爵領を調べてほしいのです。彼らにはちょっとした嫌疑が掛かっていますのでね、私としてはそれを払拭したいのです」


「畏まりました。すぐさま手配致します」


 部下は元気よく返事をすると部屋を出ていった。

 クロウラー伯爵は窓際へと歩いて行き、窓の外へと目を遣る。眼下には先程の指示を与えた部下が走っていくさまが見える。


(まったく、私の娘まで巻き込んでくれるとは、本当に許せませんね。私がドラゴニル様ほどの力を持っていたのなら、今すぐにでも血祭りにあげてやりたいですが……)


 クロウラー伯爵はそこまで思ってはっと我に返る。


「……いけませんね。つい熱くなってしまったようです」


 目を覆いながら、首を左右に振るクロウラー伯爵。傍流の家系なので血が薄まっているとはいえど、さすがはあのブレアの父親、油断するとドラゴンから受け継がれた血が騒いでしまうようだ。薄まっているとはいってもブレアがあの通りなので、その影響力は甚大なのである。


(なんとしてもこの件ははっきりさせないといけませんね。今回の騎士の養成学園を狙ったのはやりすぎという他ありません。ただの貴族の小競り合いだったものが、国家への反逆へと扱いが変わってしまったのですからね)


 クロウラー伯爵はくるりと振り返って窓際から離れていく。そして、自室のソファーへと勢いよく座る。


「やれやれ、こうも制御できない感情を抱くと、ドラゴンの血というものの恐ろしさを感じる。……ブレアは大丈夫だろうかな」


 頭を抱えながら、クロウラー伯爵は娘の身を案じていた。

 しかし、すでにドラゴンの血に目覚めて暴れていようとは、この時のクロウラー伯爵は思いもしていなかっただろう。


(私でできる事ならば、多少の無茶をしても構わない。なんとしてもこの国を守らなければな。それが、ドラゴンの血を引く者としての盟約であり使命なのだから)


 盟約、それはドラゴンが当時の姫を妻として迎える際に誓ったとされる約束事である。

 この王国がこうやって存在していられるのも、この盟約によるものだ。フェイダン公爵家が中心となって、王国に迫りくる脅威を薙ぎ払う、そういった約束なのである。

 時を経てかなり形骸化してきてはいるものの、その血を受け継ぐ者たちの中には今なおしっかりと刻み込まれているのだ。


(しかし、宝珠が使われたという事は、その盟約も綻びが見えてきているという事か……。こればかりはとても許せる事ではありません。犯人を見つけてしっかり処罰しなければ……)


 クロウラー伯爵はかなり思い詰めているようだった。

 しばらく考え込んだ後、次の行動に移るべく、クロウラー伯爵は机に向かって何かを認め始めたのだった。

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