表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん騎士、逆行転生してドラゴンの妻となる  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/175

第93話 大人げない騎士

 魔法の授業が本格化すると、武術の時間も座学の時間も、それなりに魔法に割く時間が増えていった。

 得に武術の授業中は魔法が使える学生と使えない学生で内容が少し変わってくる。魔法が使える者はマキュリに魔法を教えてもらっている。そして、使えない者たちはというと……。


「おらあっ! 魔法が何だっていうんだ。己が肉体が一番だろうが! 筋肉こそ至高、使われる前に潰しちまえばいいんだよ!」


 ジークの八つ当たりの餌食となっていた。

 どうやらジークも魔法が使えない側の騎士のようである。そういう事もあってか、魔法が使えないとうじうじする学生たちに腹を立てているようだ。あとは憂さ晴らしのためか、本気で学生の戦闘訓練を行っていた。なかなかの迫力なんだが、八つ当たりっていう動機のせいで評価できねえよ。

 評価はできないが、さすがは武術担当の教官として抜擢されるだけの事はある。戦闘の技術は荒削りの部類だけどセンスがある感じなのだ。

 だが、俺はその姿にどうしても既視感を覚えざるを得なかった。

 ……大体ドラゴニルのせいだな。ドラゴニルはドラゴンの力に魔法も使えるという反則的な存在だが、ほとんどその圧倒的な力で相手を組み伏せるというものなのだ。そういう点では、力の差があるとはいえどジークとドラゴニルは似たタイプと言えるのである。

 それにしても、どうしてこうも俺の周りは脳筋ばかりなんだろうな。ドラゴニルは論外だし、ブレアもどんどん影響されてるし……。俺まで脳筋になっちまったら、一体誰が俺たちを制御するんだよ。

 ジークの授業を受けながら、本気で俺は頭を悩ませ始めていた。本当に本気でシャレにならねえ話だ。

 騎士って脳筋の園なのか?

 男だった時にも身を置いていたが、まったくほとんどと言っていいほど覚えがないだけに怖いものだ。


「アリス・フェイダン!」


 ジークがいきなり俺の事を名指ししてくる。


「俺の授業中に考え事とはいい度胸だな。どれだけ腕を上げたか、見せてみろ!」


「ええ、なんでそうなるのですか……」


 いきなり戦いを申し込まれて困惑する俺。だから、脳筋は嫌なんだよ。

 そんなわけで、授業中にもかかわらず、突如として俺とジークとの模擬戦が行われる事になってしまった。どうしてこうなるんだよ。


「ドラゴニル・フェイダンの娘と聞いて、最初から気に食わなかったんだ。奴の娘だというのなら、俺ごときに何度も負け続けるわけがないよなぁ?」


 おい、こら。そんな事をここで堂々と言い放つバカが居るか?

 うん、ここに居たわ。いやはや、俺は耳を疑うばかりだった。

 ちらりと周りを見てみれば、フリードが顔を押さえて左右に首を振っている。フリードもジークには相当手を焼いているようである。あれだけ大きな声で不適切発言をされちゃ、同僚として悩ましいもんな。

 だが、フリードも今現在は学生の相手をしており、ジークを止める事はできないようだった。自然と俺とジークとの戦いが成立してしまったのだ。……マジかよ。


 しばらくすると、訓練場の空いたスペースで、俺とジークとの直接対決が実現してしまっていた。俺はため息を吐きながら、やむなくジークの相手をする事になったのである。


「勝敗は単純に、相手を気絶させるか降参させるかだ。分かりやすいだろう?」


 ジークはよほど自信があるのか、俺の方を見てニヤつきながら話してくる。見てるだけで気持ち悪いぜ。男の感覚の俺としても、はっきり言ってお断りしたい相手だった。


「それでは始めようじゃないか、アリス・フェイダン!」


 そう言って、ジークは俺へと襲い掛かってきた。おいおい、教師がそんな感じでいいのかよ?!

 ものすごい踏み込みで、一気に俺との間を詰めるジーク。本当に手加減なしといった感じだった。

 だが、逆に言えば、俺の方も本気を出せるというわけだ。全力の相手には全力で応じるのが騎士の作法だっていうしな?

 そんなわけで、俺は全力でジークに対応する。踏み込みは速く、あっという間に俺との距離を詰めているが、ドラゴンの力を使ったブレアに比べれば十分遅い。剣筋は鋭いとはいえど、この程度の剣速ならば、俺はブレアで十分慣れてしまっているのだ。


「ほう……、これは止めてくれるか。実に面白い!」


 ジークが思い切り笑みを浮かべている。こいつも脳筋の戦闘狂かよ。マジで勘弁してもらいたいもんだぜ……。

 俺に剣を受け止められながらも、ジークは実に楽しそうな表情をしている。それがゆえに、俺ははっきり言って気持ち悪くなってきてしまった。

 だが、だからといってこの戦いが簡単に終わるものではなかった。気が付けば、他の学生どころか教師たちまで授業の手を止めてしまうレベルだったのだから。いいのか、それで。

 それからも、俺とジークの間では激しい戦いが繰り広げられた。さすがは粗暴とはいえども騎士の一人。少しでも気を抜けば容赦なくその木剣が俺の体を打ち据えそうだった。

 この戦いはしばらくの間続き、先に体力を消耗してしまった俺の敗北で決着したのだった。

 その時のジークは大人げなく大喜びしており、その後、フリードとマキュリの二人から揃って雷を落とされたそうだ。

 ただ、その時の激しい木剣の打ち合いは、本気で騎士を目指す学生たちにはいい刺激となったようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ