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おっさん騎士、逆行転生してドラゴンの妻となる  作者: 未羊


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第83話 フリードの報告

 俺たちは無事に野外実習から学園まで戻ってきた。

 ただ、戻るや否やフリードはそのまま王都に向かって急いで出発していった。ただの魔物の出現ではなかったので、異常事態として報告しなければならないわけだ。

 まったく、どこの誰だか知らねえが、余計な事をしてくれたものだ。フリードを見送りながら、俺は不満そうな表情を浮かべていた。

 ともかく、この事に関して、これ以上の事は王都へと判断を委ねる事になった。

 野外実習を終えた俺たちは、10日間の自主訓練へと突入した。

 この時期は、学生にとっても教師たちにとっても、短いながら貴重な長期休暇となる。さすがに毎日あの忙しいスケジュールをこなし続けていると、いろいろと疲労が溜まってしまう。つまり、そういったものを取り除くための期間というわけだった。

 まあ、俺はそんな事に関係なく鍛錬はするがな。魔物を滅する力に関して、まだまだ扱いに慣れていないからな。もっと安定して扱えるようにならないとな。

 ちなみにブレアも俺に付き合うようにして鍛錬を行う予定らしい。ブレアだって自分の力の扱いにはまだまだ自信がないわけだもんな。力が暴走するような事があれば、それこそ一大事というものだ。だからこそ、日々の鍛錬が重要なんだよ。

 とはいえ、さすがに野外実習から帰ってきたその日は、俺たちはおとなしく何もしないで眠る事にしたのだった。


 俺たちが野外実習での疲れを取っている頃、フリードは王都に到着して城へと足を運んでいた。

 そのフリードが向かった先は、騎士団ではなく、なんと国王の元だった。

 今回の騎士の養成学園の事業に関しては、国王も噛んでいるので、最高責任者たる国王に報告するのが当然と思われたからだった。


「失礼致します。フリード・グラマイス、国王陛下に報告したい事がございまして、馳せ参じました」


 国王の部屋の前に立つ近衛兵に取り次ぎを頼むフリード。


「用件の詳細を話せ」


 それに対して命令口調で返してくる近衛兵。


「騎士の養成学園の野外実習中に事案が発生した。その事の報告だ」


「しばし待て」


 フリードの話を聞いた近衛兵が、国王の部屋の中へと入っていく。しばらくして戻ってきた近衛兵は、フリードに対して告げる。


「許可が出た。入ってよし」


 近衛兵が扉を開き、フリードを中へと入らせた。

 部屋の中では国王が執務を行っていた。国家の最高権力者がゆえに、その裁量でしか決められない事も多いので、机の上にはかなりの量の書類が積み上がっていた。


「おお、フリードか。報告があるそうだな、申してみよ」


 顔を上げた国王が、フリードに対して発言の許可を出す。


「はっ、お忙しい中、報告の機会を与えて頂けた事をありがたく存じます。それでは、報告を行います」


 ピシッと姿勢を正したフリードは、野外実習中に起きた事案について、事細かに国王へと報告する。

 最初こそ冷静に聞いていた国王だったが、報告が進むにつれて、その表情は段々と険しくなっていった。そして、その最後にはため息が出るくらいにまでなっていた。


「そうか、報告ご苦労」


「はっ!」


 国王の言葉に元気に反応するフリード。


「して、そのスライムを出現させていた宝珠の現物はあるのか?」


「はっ、こちらにございます」


 フリードは包みを取り出すと、開いて中身を見せる。


「……割れておるな」


 少し遠いながらも、宝珠の状態を認識する国王である。意外と目がいい。


「はい。宝珠を発見したアリス・フェイダンが破壊したようです。水中ながらに砕くとは、さすがはフェイダン公爵家と感心するばかりでございます」


 忖度なしの感想である。まったく、王国内でフェイダン公爵家がどう思われているのかというのがよく分かる感想だ。

 国王はフリードを近くに寄らせ、割れた宝珠を間近で眺める。


「ふーむ、私も魔法の素養があるからなんとなく分かるが、召喚魔法の類か、これは……」


「そうだと思われます。水中がゆえに分かりにくかったそうですが、ここからスライムが次々と出現してたらしいです」


 国王の反応に、フリードは説明を付け加えていた。


「これは預かろう。宮廷魔術師にでも調べさせるとするか」


 国王は部屋の外の近衛兵を呼び、宮廷魔術師を呼んでくるように伝える。命令を受けた近衛兵はすぐさま駆け出していった。


「どうやら、反逆の意思を持ったネズミが潜んでいるようだな。徹底的に調べ上げてやろうではないか。我が国の未来の騎士たちを危険に晒させた罪、しっかりと味わってもらおう」


 国王は両肘をついて、不敵な笑みを浮かべている。その国王の笑みに、フリードは寒気を感じて身震いをする。


「フリード、状況をもう少し詳しく聞きたい。今夜は城へ泊っていけ」


「はっ、不肖フリード、できる限りの事をさせて頂きます」


 フリードは国王に対して深々と頭を下げていた。そして、自分の遭遇した事件の事を包み隠さずすべて国王に報告したのだった。


 王国内でくすぶる不穏な影。それがあぶり出される日はいつ来るのだろうか。王命の下、密かにこの事案に対する捜査が始まったのだった。

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