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おっさん騎士、逆行転生してドラゴンの妻となる  作者: 未羊


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第68話 教師たちの議論

 初日の授業を終えて、生徒たちが寮の自室に引き上げていく。

 それと同時に教師たちもひとところに集まっていた。

 なにせこの騎士の養成学園は創設したてのために、すべてが手探りの真っ只中なのだ。騎士団に入って来た面々を鍛えるのとはまた訳が違う。学校という体を取る以上、どうすべきがいいかはどの教師も頭を悩ませている点なのである。

 とはいえ、3年~5年の間で一人前の騎士に仕立て上げなければいけないので、これもまた緊張を強いられる話である。だからこそ、教師たちはこうしてひとところに集まっているのだ。


「いやはや、前線型と後方支援型では、実技の授業での動きがまったく違いましたね」


「うむ、どうだったのだ、フリード」


 フリードが切り出した話に、副学園長が反応する。学園長と副学園長が居るので、フリードの言葉遣いが丁寧になっている。


「前線型の学生は実技の授業に積極的で、一人が模擬戦に出てくると、どんどんと後に続いていましたよ」


「ほうほう、実に血気盛んでいい事だな」


「ですが、後方支援型の学生たちは、模擬戦に幾分消極的でしたね。指名しないと打ち合いに出てこなくて苦労しました」


 フリードは初日を終えて、学生たちの反応をそのように報告していた。


「ドラゴニル公爵の娘は、なかなか筋がよかったな。あとクロウラー伯爵の娘も。まだまだ粗削りだからか、動きは読みやすかったな。俺一人で十分捌けるくらいにな」


「ジークに捌けるのでしたら、まだまだといったところですかね」


 ジークの報告に反応するのは、後方支援型クラスの補佐を務める教師だ。


「あのなあ、ナリザス。なんかお前、俺の事をバカにしてないか?」


 後方支援型クラスの補佐の教師であるナリザスの言葉に頭に来たのか、ジークは凄みながら文句を言っている。だが、ナリザスはものすごく落ち着いている。


「そうやってすぐ暴力に訴えるくらい落ち着きがないですからね。そんなジークが捌けるのであるのなら、まだまだと判断されてしまうのは幾分仕方のない事だと思いますよ」


 脅しにもまったく動じない。これが後方支援型の教師にナリザスが選ばれた理由なのかも知れない。


「まったくですな。ジークはこの落ち着きのなさが欠点ですからね。それが学生たちの評価を落とさないように、言動には気を付けてほしいものですね」


 フリードからため息が漏れていた。そのくらいにはジークというのは粗暴気味なのである。

 フリードとジークの話を総合すると、やはり後方支援型と前線型だと、後者の方が剣術に関しては見込みがある事が分かった。体力がある分、体もしっかりできているという事だろう。

 気になる点を挙げるとしたら、今回入学した女性が全員前線型に居て、なおかつその方向性に見込みがあるという事だろう。

 騎士という職からしてみると、女性を前線に立たせる事には躊躇が伴ってしまうのだ。とはいえど、その四人が四人ともやる気十分なために、学園という立ち位置からすると尊重したい。言ってしまえばジレンマだった。


「やるという気持ちがあるなら、それは尊重したいものだからな。私たちとしては、それを支えてやるのが使命というものだ」


「そうですな」


 学園長と副学園長は腕を組んで頷いていた。


「して、座学の方はどうったかな」


 頷きを止めた学園長が副学園長とナリザスに話を振る。すると、二人からはあまり思わしくない反応が返ってきた。


「座学の授業態度はかなり散々でしたね。集中できていたのは一握りです。ほとんどは興味をなくして眠っていましたね」


「そうだな。私も何度こいつを飛ばしたか分からんくらいに酷かった」


 ナリザスの報告に続いて、副学園長は何かを取り出しながら話をしている。


「ほう、それを使ったのですか。懐かしいですな」


 そう話すのはフリードだ。

 フリードもどちらかといえば前線型ではあるものの、戦術の大切さを知っているのか、学園長や副学園長から戦術の手解きを受けた事があるのだ。その際に食らった事があるのが、副学園長が今触っている道具である。


「正直言って、魔法をこんなものに使いたくはないのだが、話を聞かん相手というのは許せんのでな」


 副学園長は手に持っている道具をまじまじと見つめながら語っている。


「まったくですね。話を聞けないというのは命令を聞けない事にもつながりかねません。ここは厳しくいくのは当然の話ですな」


 フリードは腕を組みながらかなり激しく頷いている。


「長々しい話を聞いていると眠くなるのも分かるけどな」


 そこに腰を折るような事を言い放つジーク。さすがにこれにはすぐさま副学園長から道具が飛んできた。


「あいてっ!」


 油断していたのか、ジークは額にそれをもろに食らってしまった。額には黒いあざが浮かび、ジークは痛そうにそれを擦っていた。


「まったく、お前さんも成長がないな。あとで説教かな?」


「そ、それは勘弁してくれ。おっさんの説教は長すぎるんだ。足が痺れちまう!」


 副学園長がぎろりと睨むと、ジークは慌てふためいていた。どうやら経験済みのようである。


 こうして、教師陣の話はしばらくの間続いたのだった。ここで話し合った内容が、今後の学園の教育に役立つ事となるのだ。

 はたして、この騎士の養成学園はその存在意義を示せるのか。これからも教師たちの試行錯誤は続くのである。

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