短ホラー
コンコン。
「誰ですか。こんな夜中に」
夜中零時、学生寮の女子寮長室にノックの音が鳴る。
「りょ、寮長先生……。話があって。3組の琴吹です」
女子寮長は新任の教師が一年間担当することになっており、いつも夜は教師が居るようになっている。
「琴吹さん?夜中に何のようですか!?何かあったんですか?」
ガチャ。扉を開けて、寮長は琴吹を部屋に入らせ、ソファに落ち着かせる。
「で、どうしたのですか?こんな時間に来るのは校則違反ですが……」
「朝、私教室に遅れてましたよね」
琴吹は普段は遅刻もせず、授業も始まる前には必ず座って待つような生徒である。
「そうですね。今朝はどうしたのかと心配になりましたが、遅刻ではありませんでした」
「はい。いつもより遅く着いてる筈です」
「……?で、どうしたのかしら」
様子がおかしいが、寮長には何がおかしいのか分からなかった。
その後、数十分話した辺りで、寮外に救急車のサイレンが鳴り、音は近づいてくる。
「寮長先生。そろそろ私、戻ります」
「あ。はい。校則はちゃんと守ってくださいね」
次の日の新聞には、琴吹が死体で発見されていることが書かれていた。
死後3日だったという。