ギルドと道具屋
「ここが動物型用のギルドかな?」
今自分は一つの建物の前にいる。看板には犬と猫のマークがついており、犬や猫、鳥、はては蛇なんてものも出入りしている。
「たのもー」
建物の中に入る。
そこには動物園かな?と思うほどたくさんの動物がいた。
そんな中、
「はーい、依頼を受けたい人は3番カウンターまでー、新しく来た異界人の方は1番カウンターまで来てくださーい」
異界人とはこのゲームでのプレイヤーの呼び名だ。
女の人の声でフクロウがしゃべっているのはちょっと違和感があるが、自分もモグラだしすぐ慣れるだろう。
1番カウンターは、ここか。
「並んでくださーいギルド証を発行しますので並んでくださーい」
周りを見るとほんとにいろんな動物がいる。
犬、猫、鳥、狸、狐、昆虫、魚。
・・・昆虫はなんとなくわかるが魚ってなんだ?空中浮いてるんだが・・・
「はいこちらギルド証になります。なくさないでくださいねー」
周りに圧倒されているうちに自分の番になったのか目の前に1番カウンターがあった。
ギルド証を手渡してくれてるのは一応人間なのだが犬耳がついてる。
(犬獣人ってやつかな)
「奥でギルドに関しての説明があるので聞いていってくださいね」
「あ、わかりました」
笑顔がまぶしい。
その後ギルドに関しての説明を受けた。
内容としては掲示板に貼ってある依頼表を確認し達成したら報告。
書かれてある報酬をもらうのが基本的なやり取りのようだ。
あとは街でやってはならないこと、店の場所なども教えてもらった。
ギルド証はインベントリに入らずキーアイテム扱いで別枠になるらしい。
インベントリとは30個までアイテムが持てる異次元バッグみたいなものだ。
同じ種類のアイテムは10個までスタックできるらしい。
最大で300個持てるわけだ。
(ギルド証で枠つぶさないのはありがたいな)
今現在のインベントリは空っぽだ。
こういうのって普通簡単な回復アイテムとか初期装備とかあるもんじゃないのか?
とも思ったがこういうものだと思いギルドで教えてもらった道具屋に向かった。
道具屋には人、動物、魔物が殺到していた。
が、みんな道具屋の中や周りで立ち止まってウィンドウをいじってる。
「ん?たくさんいる割には落ち着いてるな」
「あらモグラさん、この店は初めて?」
そこには恰幅のいいおかみさんともいえる人が立っていた。
「はい、今から外に出て狩りをしてみようと思って、回復アイテムなんかを買いに来たんですけど」
「そうなのね、それならこの店の前でトレードウィンドウを開くと買い物ができるよ」
なるほど、店の中でアイテムを見るってのをしなくてもいいのか。
「教えてくださってありがとうございます」
お礼は大事だ。
「ところでおすすめのアイテムとかってありますか?」
聞いてみると
「そうだねぇ、見たところまだLv1なんだろ?だったら初心者用ポーションだねぇ。
あとは危ないときのためにけむり玉くらい買っておきな」
「初心者用ポーションと、けむり玉ですね。 ありがとうございます」
「じゃ、がんばりな」
えーと、トレードウィンドウを出して、これか。
所持金は500Gあるからえーっと、初心者用ポーション1個50G、3個くらい買っておくか。
んで、けむり玉を1個と、うげ、これ一個300Gするのか。
まぁ命には代えられないか、1個買っとこ。
これで残金は50Gだな
さて初心者用ポーションの性能を見てみようか。
初心者用HPポーション
使用者のHPを50回復する
Lvが10を超えると回復量が半分になる。
うん?50回復?
自分のステータスを見る。
HP:10
うん?50回復?
もう一度自分のステータスを見る
HP:10
「あの、すいません」
「なんだい?」
「この初心者用ポーションなんですけど回復量間違ってませんか?」
「どれどれ、うんや?まちがってないよ。レベル10までは50回復だ」
「自分の最大HPの5倍も回復するんですけど?」
「あれま、そんなに低いのかい? おかしいねぇ異界人様たちはもっと強いって聞いてたんだけど」
「ちなみに普通ってどれくらいなんですか?」
「そうさねぇ、まあだいたいは30から50ってとこかねえ。
レベル1だったら全回復するけどちょっと上がると物足りなくなるからねぇ」
「そうなんですか・・・ありがとうございます」
どうやら自分のHPはよっぽど低いようだ。
種族特性としてあきらめるしかないのだろうか?
「いや、レベルが上がればHPもあがるはずだ!きっと!多分・・・おそらく・・・」
未来に希望があると信じて!