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イベント11 青組砦にて

赤組側中央の砦


「いやー、アーサー様様だな!なんもせずに砦の占拠ができるなんてよ」

「でもいいのか?多分これあんまりポイントもらえないぞ」

「何言ってんだ。砦を守ってるんだぜ?そりゃもうポイントうはうはよ!」

複数のプレイヤーが砦内部の要石の前の広間でたむろっている。

このプレイヤーたちはアーサーについてきただけの文字通り寄生プレイヤーであった。

「そうは言ってもよ、さすがにずっとここにいるわけにはいかないだろ」

「そうか?モンスターも赤組も攻めてくるし、砦にいる意味はあると思うがな」

実際、散発的にモンスターや赤組がこの砦を奪還しようと攻めてくるのだ。

そのため、砦の防衛という意味ではここにいるのは正しかった。

「このままこの砦守って、ポイント稼ぎまくりだよ」

「そんなもんかねぇ」


ドォー・・・ン


ドォー・・・ン


「ん?」


ドォー・・・ン


ドォー・・・ン


「何の音だ?」

「どうした?」

一人のプレイヤーが遠くから音を聞き取った。

「いや、なんか変な音が聞こえて・・・」

「気のせいじゃないのか?」


ドシィン!



ドシィン!


「いや気のせいじゃないって、なんか聞こえるよ!」

「本当だ。俺も聞こえた」

「どこからだ?」


ドシィン!ドシィン!ドシィン!ドシィン!


「外だ!なんか近づいてきてるぞ!」

プレイヤーたちは砦の中から外を見る。

「なんだ、あれは・・・」

そこで目にしたものは。


四つの足で立ち、

大きな両腕を広げ。

頭には筒状の物が鎮座している。

20メートルはあろう巨大な歩く砦だった。


「砦が、歩いてる・・・」

青組のプレイヤーたちは呆然とし、歩く砦を見上げることしかできない。

すると、

「アーアー、テステス。聞こえますか青組のみなさん」

歩く砦から声が聞こえてきた。

「この砦は確かマリーンの魔法でやられたところですね。

 では、この砦に残ってる青組さんには悪いですが。

 潰れてもらいますか」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


青組本陣の砦


「よし、かなり強化できたな」

ユリウスは自分たちの砦を見る。

ぼろぼろで見る影もなかった砦の壁はきれいに修復されており、

細工士や付与術士たちのおかげで見た目よりも耐久力がある。

ちょっとやそっとの攻撃ではびくともしないだろう。

さらに近づいてきた相手を攻撃するために大砲が2門設置されており、

中には魔法使いも待機してもらっているため準備は万全だ。

まぁ相手がまだ攻めてこないから何とも言えないが。


ユリウスが砦内部を歩いていると。

「た、大変だ!赤組が攻めてきた!」

死に戻りをしたらしいプレイヤーが騒いでいる。

「どうした、何があった?」

「そ、それが」

ユリウスはプレイヤーから話を聞き、

「ふむ、歩く砦か」

「なんか見間違えたんじゃねーの?」

話を聞いていた他のプレイヤーは信じていないようだ。

「いや!あれはたしかに砦だったって!それが歩いてきたんだ!」

「どうやってやられたかは覚えているか?」

「おいおい、ユリウスさんよ、こいつの話を信じるのかい?」

「可能性はつぶしておくべきだ。それに向こうにはあの兄弟がいる」

「あの兄弟って、機械キチ兄弟か!え、あいつらとうとう巨大ロボ作ったの?」

「その可能性があると思っている。だからなるべく詳しい話が聞きたい」

機械キチ兄弟とは、β版の時からいる厄介な兄弟のことだ。

ファンタジーあふれるこのゲームに近代の車や銃。果てはミサイルまで再現しようとしている。

「ミサイルじゃないだけまだましだろう。あいつらなら本陣にいながら青組を攻撃するなんてこと普通にやってきそうだ」

「まっさかー。そこまでできないでしょー」

「で、でも巨大な砦は歩いてきたぞ」

「だからやられたときの話が聞きたい」

「そうか、って言っても正直何が起こったかわからないんだよ。

 天辺の大砲みたいなのが一瞬光ったと思ったら死に戻りしててさ」

「大砲みたいなのが一瞬光った、か」

それだけで考えられるのは、光属性の魔法か、あいつらならビームとかも撃ってきそうだ。

「わかった、ありがとう。警戒しておこう」

「そうか、すまん頼む。ちょっと頭冷やしてくるよ」

死に戻りをしたプレイヤーは歩き去っていく。

「さて、巨大な砦か。となるともうすぐ来そうだな」

「いやいやいやいやさすがにまだだろ。奥の砦からどんだけ距離あると思ってんだよ」

「20メートルはあったという話だ。少し急げばすぐに来る可能性がある。

 とりあえず生産職を逃がそう」

「はぁ、わかった。じゃあ伝えてくるぞ」

「よろしく頼む」

伝令のプレイヤーと話していると。


「た、大変だ!近くの砦に赤組が攻めてきた!」


どうやら思った以上に時間はないようだ。

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