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イベント4 魔法講座

「はい、モグラさんー。あーん」

「あ、あーん」

ぱく。

「おいしー?」

「はい、あの、おいしいです」

「よかったー」

今自分はマリーンさんの膝の上でおやつを食べている。


今、自分は、マリーンさんの、膝の上で、おやつを、食べている。


どうしてこうなった!


それは中央の砦を落とし、要石を破壊してすぐのこと。

自分はボスがいたであろう大広間の一角に連れられていた。

「あーつかれたよー、モグラさんー、おつかれー」

「お疲れ様です。って言っても自分穴掘っただけですけど」

特に仕事をしたような気分ではない。

穴を掘っただけだ。

「それでよかったんだよー、じゃー、要石も壊したしー、休憩しよっかー」

「はい?」

「だからー、きゅうけいー」

「まだ始まったばかりで、20分くらいしかたってませんけど?」

イベントの残り時間を見るとあと11時間37分と書いてあった。

「いいんだよー、私のMPなくなっちゃったしー、あーちゃんもそれでいいよねー」

「あの、アーサーさんもそれでいいんですか?」

近くにいる赤髪の少女に声をかける。

砦攻略の前に聞いたのだが、この少女はアーサーというらしい。

「いいんじゃない?まだこっちくる敵もいないでしょ」

「いいんだろうか、残党狩りとか仕事ある気がするんですけど」

「ドリュー、だっけ?あんたも休んどきなさい。

 残党なんて他のプレイヤーがなんとかするわよ。

 あんたの言う通りまだ始まったばかりなんだから。

 今から張り切ってもしょうがないでしょ」

「張り切ってイベント頑張ろうとしてた自分は一体・・・」

「それにあんたのレベルじゃこの辺の残党にも勝てないと思うわ

 第2エリアの奥の方に出てくるやつもいたし」

「え」

「まーまー気を落とさずにー。あ、そうだーお菓子たべるー?」

「・・・はい、食べます」

「じゃ、モグラさんはここー」

ヒョイっと浮遊感。

そして本日何度味わったかわからない至高の柔らかさ。

今度は足元にも柔らかな感触ががががが。


というわけで今に至る。


『あのモグラ、なんて羨ましい』

『あぁ、そうだな。なるほど、これが殺意か』

『このイベントフレンドリーファイアあったよな、やっちまうか』


うぅ、周りの目が怖いよぉ。

他のプレイヤーからの殺意を受けながらお菓子を食べていると。

「そうだーもぐらさんにーいいこと教えてあげるー」

「いいこと?」

この状況よりもいいことがあるのだろうか。

いや周りの目は怖いけど。

「もぐらさんはー、魔法の使い方にはー、主に2種類あるってー、知ってるー?」

「2種類?」

「そうだよー、もぐらさんはー、ロックボールを使うときー、どうやって発動してるー?」

ロックボールというと【土魔法】の初期アーツだ。

「どうもこうも、こう、手を前にしてポンっと」

それ以外どうしろというのか。

「うんうんー、普通はそうだよねー」

マリーンさんはうなずき、

「でもねー、もう一つやり方があってー」

マリーンさんは地面を指さし、

「地面の土を素材にー、ロックボールをー、撃ちだすこともできるんだよー」

「どういうことです?」

「つまりー、魔法っていうのはー、自分の魔力で無から作りだすだけじゃなくてー、

 既存の物質やー、状態を利用してー、使うこともできるわけだよー」

「うん、うん?」

よくわからない。

「はぁ、つまりこういうことよ」

アーサーがわかってない自分にため息をついた。

え、自分が悪いんですか?

「<アクアボール>」

アーサーはいきなり手を壁に向けて魔法を放った。

放たれた魔法はまっすぐ壁にぶつかり、大きな穴をあけた。

「これがあんたが普段やってる方法。

 で、もう一つの方法が」

アーサーはインベントリから水を取り出し地面にぶちまける。

「<アクアボール>」

もう一度壁に向かって魔法を放つ。

しかし今度は地面に撒かれた水が集まり、玉を形作る。

形成された水の塊は壁に向かって飛んでいきぶつかる。

先ほどと同じく壁に穴が開く。

「わかった?」

「なるほど、つまり自分の周りにあるものを使って魔法が撃てるわけだな」

「さっきからー、そう言ってるのにー」

マリーンさんはすねたように膨れていた。

「これどっちが強いとかあるんですか?」

「いやー、ないよー、魔法の威力はー、魔力に依存するしー、消費するMPもー、かわらないー」

「じゃあこれ何の意味があるんですか?」

「あんたの目は節穴?私が撃った壁見なさい」

「節穴って」

言われて壁を見る。

壁には大きく二つの穴が開いていた。

「なんか違いが・・・」

よく見ると後に開いた穴からは水がしたたり落ちている。

最初に開いた穴の方には水がない。

「あとから撃った方の魔法は水が残ってる?」

「そゆこと、それともう一つ」

アーサーは自分が立っている地面を指さす。

「撒いた水がなくなってる」

地面は水なんかなかったように乾いていた。

「はい、これを土魔法で考えてみなさい」

「土魔法で?」

土魔法で考える。

土魔法の初期アーツはロックボールだ。

対象に向かって石の塊を撃ちだす魔法。

それを地面を素材に撃つことができる。

試しに撃ってみよう。

「<ロックボール>」

地面を素材に魔法を撃ちだすイメージ。

壁に向け手は下に向けたまま魔法を使う。

すると足元の地面からボコッという音がしたと思った瞬間、ロックボールが撃ちだされた。

撃ちだされたロックボールは勢いよく壁にぶつかる。

ドゴッ

壁には撃ったロックボールが埋まっていた。

足元を見ると、ロックボールと同じくらいの穴が開いている。

「<ロックボール>」

今度は手を前に向け今まで通りに撃ちだす。

突き出した手の先から石の塊が射出され、同じスピードで飛んでいく。

ドゴッ

壁を見ると少し大きめの穴が開いている。

しかし撃ちだしたはずのロックボールは影も形も無くなっている。

「土魔法だと地形を変化させることができるんですね」

「そういうこと。ま、初期魔法だとあんまり実感できないかもしれないけどね」

「へー」

地面に潜れる自分だと面白い使い方ができそうだ。

「魚のプレイヤーが水魔法で面白い使い方をしてるわね」

「というと?」

「自分の周りの水をアクアボールにしてその中に自分も入っちゃうのよ。

 で、撃ちだして移動するわけ」

「それ、ダメージとか受けないんですか?」

「もちろん受けるわよ。でも、致命的な攻撃を避けたいときに使ったりとかするみたいね」

「つまりー、モグラさんもー、自分の周りの土でー、ロックボール作ってー、ビューンって飛べるわけですー」

「おお!なるほど!」

そういう使い方もあるのか!

「それすると多分”いしのなかにいる”になって死ぬわね」

「ですよねー」

そううまくはいかんということか。

「えー、だめなのー?」

「みたいですね。あ、いい情報教えてくださってありがとうございます」

色々と幅が広がりそうだ。

「むー」

だが、マリーンさんは納得がいかないらしい。

「じゃあこれも教えてあげるー!」

と、おもむろに自分を抱き上げるマリーンさん。

「え、なにを」

「むむむむむむー」

何やら唸っている。


ざわざわざわさわざわざわ!


突然体の中がざわめきだした。

「うわわわわわわわ、なんですかこれなんですかこれ!」

体中をこねくりまわされてるような感覚が続いている。

「!?ちょっとマリーン!」

アーサーが焦ったように自分とマリーンに近づいてくる。

「むむむむむむー!」

体のざわめきが強くなる。

「マリーンさん!?何やってるんですか!?」

マリーンさんに聞いてみるも、集中しているのか聞いてない。

「むむむむむむむむむむむむむむむー!」

すると。


『これまでの行動により【魔力操作】を習得しました。』


「ぷはー!」

「!?」

「あちゃー」

なんかスキルが生えてきた。

「ふふふー、どうですかー、モグラさんー!」

なんかめっちゃどや顔されてる。

「どうですかと言われましても」

「スキル習得できましたかー?」

「えぇ、【魔力操作】のスキルが生えてきましたけど、なんですかこれ?」

「はぁ、しょうがないか。スキルの説明見てみなさい」

「説明ねぇ」


【魔力操作】:魔力を操作できるようになる


「?」

よくわからない。

「よくわからないっていう顔してるわね」

「それはー、魔力操作のスキルと言ってー、あるといろいろ便利なんですよー」

「便利というと?」

「たとえばー、魔法を撃つときにー、魔力を多めに込めて撃つとー、威力が上がったりするしー、

 魔法の形をー、変えることもできたりー、するんですよー」

「!?」

それはとんでもないスキルなのではないだろうか?

「あんたの思ってる通り、そのスキルは割と秘伝っぽい感じのスキルなの。

 いい?もし勝手に他の人に言いふらしたりしたら地獄の底まで追いかけて切り刻んであげるからね」

「はい・・・」

この人怖い。

でもなんか周りの人はすんごい羨望のまなざしで見てくる。

なんでだ?

誰も助けてくれそうにないことに悲観していると。


バアアアアアン!


突然大広間の扉が勢いよく開けられた。

広場にいる全員が扉に目をやるとそこには、


ヤクザキックの構えを取っている一匹のウサギがいた。


「ここにいたのかアーサー」


ウサギの声はすごい渋かった。

名前:ドリュー Lv11

種族:スモールメイジモール

職業:魔法使い

HP:42

MP:67

SP:52

筋力:15

器用:17

敏捷:53

魔力:48

幸運:17

スキル:【爪】Lv4

    【火魔法】Lv7

    【土魔法】Lv2

    【敏捷強化】Lv8

    【地中探査】Lv8

    【掘削】Lv7

    【気配察知】Lv5

    【気配遮断】Lv5

    【ジャイアントキリング】Lv1

    【魔力操作】Lv1 New!


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