これが・・・自分!?
暗転から元に戻るとそこは町だった。
わけでもなく暗転が終わらない。
「ん、どうなってんだ? かれこれ1分くらい暗いままなんだが」
バグか?と思ったが体が何かに包まれてる感覚がある。
目の前は真っ暗だが体は動かせるようだ。
自分の手足を動かしつつもぞもぞしてると
「あれ?まっくらだけど上の方向がわかるな、なんだこれ? 土? あ、掘れる」
なにかおかしいと思いつつも上に向かって土らしきものを掘り掘り。
「お、出口?が近い。よし、このままいけばっと!」
だんだんと出口らしき場所に掘り進めていき、ついに手が外に出る。
ぼこっという音とともに顔を出すとそこには・・・
「おおーこれが最初の街かー」
まず目の前に広がる街並みにこれが本当にゲームなのだろうかと驚いた。
石造りの家、木でつくられた家など様々な様式の家々が立ち並んでいる。
生えている木々は風を受けたなびき、近くにある花からは花の匂いが漂っている。
その中をたくさんの人や動物が歩いている。
よく見るとゴブリンらしき緑色の肌をした魔物や不定形のスライムらしきものがずりずりと歩いて?いる。
「あれはプレイヤーなのかなぁ・・・すげー」
周りの景色に見とれているとふいに影が差した。
「うん?」
上を見ると何やら靴底が見えてこちらにちかづいて
「って、うわわわわわわわ踏まれる踏まれる!」
「うおぉっと!」
何やら男の声がして靴底が遠ざかっていく。
「あ、危なかったぁ」
「すまねぇな、踏むつもりはなかったんだ。
というかあんちゃんも悪いんだぜ? そんなところで埋まってるなんてよ」
「埋まってる?」
そう言われて自分の状態を見てみる。
まず手だ。
小さい手に鋭い爪がついている。
土で汚れているのを見るにさっきまでいたところは地面の下だったのだろうか。
それから体を見る。
黒っぽい毛におおわれたちょっと硬い皮膚が見える。
そこから下を見ると下半身?であろう部分は地面に埋まっていた。
「どうなってんだ?」
「ん?あんちゃんもしかして第2陣の新規プレイヤーかい?
だったらまずステータス確認したほうがいいな。じゃ、俺っちは急いでるんで」
といいつつ男は足早に去っていった。
「そうだそうだステータスだ、たしか念じればでてくるんだっけな」
と言いつつステータスでろでろーと念じると青いウィンドウが出てきた。
そこには
名前:ドリュー Lv1
種族:スモールモール
「種族すもーるもーる?」
そう、種族スモールモールと書かれていた。
ふいに横にあるガラスに目を向ける。
そこに映っていたのは、
ちいさな手に鋭い爪を携え、とがった鼻につぶらな瞳。
体形は細長く、黒っぽい毛におおわれた毛むくじゃらの小さな動物。
そう・・・
「スモールモールって、モグラじゃねぇか!」
街中にちょっと甲高い声が響いた。