準備完了
『依頼の品ができたので受け取りに来てください。
僕の店で待ってます』
『おまたせ、服できたから取りに来てー。
レイジくんの店で待ってるよ』
『薬が完成しました。受け渡しを行いますので、
レイジくんの店でお待ちしております』
色々と依頼をしていた3人から連絡が来た。
どうやら装備品と薬ができたようだ。
というか最後のはドクターMか?
なんか君しゃべってるときと感じ違くない?
あとなんでレイジのこと知ってんの?
自分の名前も知ってたしよくわからんな。
「ま、いいやとりあえずレイジの店に行こう」
街の南、露店通りにやってきた。
「相変わらず人が多いなー」
前に来た時も多かったが一層多くなっている。
おそらくイベントが近いせいだろう。
生産職はイベントに参加するプレイヤー目当てに自分の作ったものを売り込もうとし、
戦闘職はイベントで活躍するために少しでもいいものを探している。
「うんうん。いい感じに盛り上がってるねー」
どこ目線だという心の突っ込みを無視しつつ、レイジの店に足を向ける。
「あ、ドリューさーん!」
店に近づいて行くと向こうから声がかかった。
赤みがかった短めに揃えられた髪。
歓喜に染まった緑色の目がこちらを見ている。
美少女と言っても過言ではない存在がこちらに手を振っていた。
かわいい。
・・・なんで男なんだ?
湧いてきた疑問を振り払いながらレイジのもとへ歩いていく。
「お、やっと来たね。待ってたよ」
「待ってましたよモグラ君!」
そこには青虫と白衣を着た女性が立っていた。
青虫のそれは立っていたでいいのか?
いかんさっきから変な疑問ばかり湧いてくるな。
頭を振り3人のもとへ向かう。
「すまない、待たせたな」
「別にいいよ、じゃ、さっそく装備を、ってもしかして進化してる?」
「あ、ほんとだ!ドリューさん進化したんですね!おめでとうございます!」
レイジが自分のことのように喜んでくれている。
「ありがとう、やっとレベルが10になったんでね」
「うーん」
何やらピヨさんがうなっている。
「どうかしたのか?」
「いえね、進化したんでしょう?
ということは体型が変わった可能性があるのよ」
「あ」
そういえば自分が採寸してもらったときはスモールモールの時で、
今のスモールメイジモールだと寸法が違う可能性があるのか。
「すまない、連絡し忘れてた」
「いや、こっちもドリューの予定を聞いてなかったからね。
とりあえずサイズ測っていい?」
「頼む」
レイジとピヨさんははかりを取り出し自分の体を採寸していく。
パッと見た感じ変わったところと言えば体毛の色くらいだがやはり違うのだろうか。
「・・・うん、大丈夫かな」
「そうですね、これなら手直しも必要ないかな」
二人はインベントリの中身を見てほっとしていた。
どうやら手直しの必要はないらしい。
「ところでなんでこいつも一緒にいるんだ?」
ドクターMを指さして聞いてみる。
「それが今日いきなりやってきてね、
『モグラ君に薬を渡すから一緒に渡しましょう』って言ってきたの」
「知り合いなのか?」
「知り合いというかなんというか・・・」
ピヨさんは少し言いづらそうに、
「この人ね、第1陣の間だと結構有名でね」
「何言ってるんですか、ピヨさんに比べればまだまだですよ」
「あなたにはどれだけ迷惑かけられたかわかったもんじゃないわよ」
「だからあれはちょっとした事故だったって言ってるじゃないですか。
いつまでも昔のことをぐちぐちと」
何やら喧嘩が始まりそうなのでレイジに聞いてみる。
「で、この二人は何なんだ?」
「えっと、この白衣の人はよくわかりませんが、
ピヨさんは生産職クランのクランマスターなので多分そのあたりに関係してるんだと思います」
「・・・クランマスター?」
なんか新情報が出てきた。
「え、ピヨさんってクラマスなの?」
「はい、ぼくも入ってるんですけど『パピヨン』っていうクランのマスターをしています」
「へー、じゃあ偉い人だったか」
「クランって言ってもたいしたものじゃないよ」
喧嘩はやめたのかピヨさんがこちらに来ていた。
ドクターMはくいっと眼鏡をあげて、
「何言ってるんです?。
パピヨンと言えば生産職クランでも3本の指に入るくらい有名なクランじゃないですか」
「まぁそうなんだけどさ」
ピヨさんはテレているようで頭を下げている。
「でもこの人ひどいんですよ!私がちょっと失敗したくらいで素材屋出禁にするし、
ほかの生産職や素材取ってくる人にも声かけて取引禁止にしたんです!」
「それはあなたのせいでしょう?あなたの失敗の被害が大きすぎて収拾するのに苦労したんだから!」
やいのやいのとまた始まってしまった。
「あの、とりあえず依頼の物いただけませんか?」
話が進まないので提案してみる。
「おっと、忘れてたわ。ごめんねすぐ用意するから」
「あ、ぼくも用意します」
「私は最後でいいですよ」
レイジとピヨさんの二人はインベントリからアイテムを取り出していく。
レイジが取り出したのは、前に見たフィンガーアーマーの形からずいぶんと変わってるものだった。
まず目を引くのは先端についている鋭い爪だ。
大フォレストベアの爪を使用した物だろう。
そこから根元にかけて装飾がなされており、一生懸命掘ったであろう彫刻もされている。
腕を装着すると思われる部分は金属でできており、可動部も曲がりやすくなっているようだ。
さらに肩の部分には簡易な装甲のようなものまでついている。
「ど、どうですか」
レイジは緊張しているのかびくびくしながら渡してくる。
「どれどれ」
フィンガーアーマーの詳細を見る。
武器:モールズベアクロー
攻撃力+25
防御力+8
「おー、いいんじゃないか?」
レイジから受け取ったものを装備する。
腕を動かしてみるが邪魔することはない。
さらに地面に潜ってみる。
「ちょ!ドリューさん何してるんですか!?」
急に穴を掘ったので驚いたのかレイジが慌てる。
地面から顔を出し、
「穴を掘るときも邪魔にならないし、いい感じだな」
「そうですか、よかったぁ」
レイジはほっとしたのか息をつきこちらを見てくる。
「よかったぁじゃないわ、その装備普通に強いんだからね?」
「そうなのか?」
他の装備品をあまり見てないからわからない。
「そうね、まず武器でありながら防御力も上がるっていうのはなかなかないわ。
それにその攻撃力。第2陣の持つ武器としたらトップクラスじゃないかしらね」
「そんなにすごいのか」
レイジを見つめる。
「・・・///」
それやめろ、かわいいから。
「ちなみに第1陣の持つ武器はどれくらい強いんだ?」
「そうね、たしか一番強いやつで+50くらいだったかしら?」
倍かよ。
「そう聞くと弱く感じるな」
「そりゃそうでしょ、それくらいじゃないとトップは走れないってことよ」
「すいません、ぼくがいたらないばかりに」
レイジはしゅんとしている。
それもやめろ、かわいいから。
「だからそんなことないって言ってるのに、じゃあ次は私ね」
ピヨさんはインベントリから出したアイテムを渡してくる。
「はいこれ、オーバーオールでよかったのよね?」
「お、これこれ。やっぱモグラと言ったらオーバーオールだよな」
オーバーオールの詳細がこれだ。
体装備:モグラさんのオーバーオール
防御力+28
【刺突耐性】Lv2
「うぅ、これでスカーフから卒業できる!」
防御力だけで言えばこれで今までの28倍になる。
スカーフの防御力がたったの1だったからなんだが。
「別に泣くことないでしょうに」
呆れられた。
「これでウルフのかみつきにびくびくしないですむ!」
「ウルフ程度のかみつきだったらダメージもうけなくなるわよ。
さすがはエリアボスってところね」
ピヨさんはうんうんうなずいている。
「ふっふっふ、最後は私ですね!」
ビシィ!っとポーズを決めそう叫ぶドクターM。
「はいはい、期待してないけどはよ渡せ」
「なんか私にだけそっけなくないですか!?」
うちひしがれているドクターMだった。
「いいんです、いいんですよ今のうちにそう言っておけばいいのです。
この毒薬、じゃなかった薬を見て驚けばいいんです!」
「おいやっぱ毒薬つくってんじゃねぇか」
ドクターMはこちらの突っ込みを無視。
「さぁ!これです」
と、紫色の液体で満たされた試験管のようなものを渡してくる。
試験管にはドクロのマークがついていた。
「隠す気ゼロかよ!せめてそのマークやめろや!」
「まぁまぁ効果を見てください」
「はぁ」
辟易しつつ詳細を見る。
アイテム:熊の狂躁薬
効果:使用すると3分後に死ぬ。
副作用として、使用して3分間ステータスが200%アップする。
「効果おかしくね?効果と副作用逆じゃね?あとアイテム名おかしくね?というか全部おかしくね?」
「そうでしょうそうでしょう!私の作る毒薬は世界一なんです!」
こちらの突っ込みはことごとく無視。
「ちゃんと説明しますと、あえてマイナス効果をつけることでプラスの副作用を効果を引き上げてるんですよ」
「いや死んだら意味ないだろ」
「大丈夫ですよ、今度のイベントは一回まで死んでもいいんですから」
「めちゃくちゃ言うなこいつ」
「ふぅ。さて、依頼の物ももらったし。代金の方だがいくらになる?」
「そうね、レイジくんのが3000G、私のが2500G、そいつのが2000Gってところかしら」
7500Gか。
「よかった、今までのドロップ品売ってなかったら払えなかった」
ぎりぎりだった。
ウサギの肉やウルフの毛皮は二束三文だったが大フォレストベアの肉や毛皮はいい値段で売れたのだ。
あとハチミツはおいしかったようだ。
しかし、今現在インベントリの中身は3人にもらったアイテムのみ。
金策をしなければならない。
「3人ともありがとう。これでイベントも楽しくなりそうだ」
頭を下げてお礼を言う。
お礼は大事だ。
たとえ男の娘や青虫や変な科学者でも何かしてもらったらお礼を言う。
「・・・私、薬作ってお礼言われたの初めてかもしれません」
「そりゃ毒薬作って喜んでくれるのは暗殺者くらいでしょうに」
「ぼ、ぼくの方こそありがとうございます!こんな仕事初めてでしたし、楽しかったです!」
三者三様の受け取り方のようだが感謝の気持ちは伝わっているようだ。
「イベント頑張りなよ。応援してるからさ。じゃ、私はちょっと用があるから」
ピヨさんはのそのそと歩いていく。
おそらく自分の店に戻るのだろう。
「あと、あんたは私の店に来なさい」
「え、私ですか?」
ドクターMについて来いというピヨさん。
「そ、アンタの出禁解除してあげるから、その手続きに行くわよ」
「え、え、え、え、いいんですか!」
「ま、もともと短い期間だったからね、
反省もしてるようだし。ちゃんとみんなに謝るのよ」
「もちろんです!あぁ、これでまた自由に毒が作れる!」
これ反省してるか?
「ぼくは、どうしましょうか」
「一緒に狩りでもいくか?」
「いいんですか!」
きらきらのオリジナル笑顔を向けてくる。
「でもぼく戦闘技能はそこまででもなくて。お邪魔にならないかな」
「自分が予定してるのはウサギとウルフだから大丈夫と思うぞ」
「あ、それだったら大丈夫です。ぼくがんばります!」
ふんす!っと鼻息を荒くしてぐっとするレイジ。
デートか?これはもしかしてデートになるのか?
やる気満々のレイジと一緒に西の草原へ向かうのだった。
『レベルが上がりました。
【爪】のLvが上がりました。
【火魔法】のLvが上がりました。
【土魔法】のLvが上がりました。
【敏捷強化】のLvが上がりました。
【地中探査】のLvが上がりました。
【掘削】のLvが上がりました。
【気配察知】のLvが上がりました。
【気配遮断】のLvが上がりました。』
名前:ドリュー Lv11 UP!
種族:スモールメイジモール
職業:魔法使い
HP:42
MP:67
SP:52
筋力:15
器用:17
敏捷:53
魔力:48
幸運:17
スキル:【爪】Lv4 UP!
【火魔法】Lv7 UP!
【土魔法】Lv2 UP!
【敏捷強化】Lv8 UP!
【地中探査】Lv8 UP!
【掘削】Lv7 UP!
【気配察知】Lv5 UP!
【気配遮断】Lv5 UP!
【ジャイアントキリング】Lv1
装備品
武器:モールズベアクロー
攻撃力+25
防御力+8
体装備:モグラさんのオーバーオール
防御力+28
【刺突耐性】Lv2




