森にて
というわけで平原を越えて森にやってきました。
道中はもちろん穴を掘り掘りしながら来ましたよ。
運がよかったのかは分からないが道中ウルフには出会わなかった。
地面から顔を出してみる。
森にはうっそうと木々が生い茂っており太陽は葉っぱに隠れてて薄暗い。
奥のほうを見ようとしても木が邪魔で奥まで見通せない。
前回のウルフとの戦いで【気配察知】のスキルが生えてきていたので意識して使ってみる。
周りには大きな生き物の気配はなく、いたとしても小さな虫や小動物くらいだ。
といっても今は自分も小動物。警戒するに越したことはない。
「さて、ハチミツはどこかなーっと」
ハチミツのだいたいの場所はリザードマンのお姉さんに教えてもらったが細かい場所まではわからない。
ここからは地面に潜らずに周りを探索していく。
ハチミツのある場所には木の上の方に大きめのハチの巣があり、ハチミツが樹液のように垂れてきているという。
「なんともファンタジーなことで」
そんなことを考えつつハチの巣を探す。
森は昔流行ったらしいマイナスイオン?があふれているのかなんとも心地よい風が流れてきている。
森林浴をするにはとてもよさそうだ。
「森林浴しに来たわけじゃないけどな」
誰も聞いているわけではないがひとりごちる。
10分近くうろうろしていると。
「お、あれか?」
大きな一本の木の上からとろとろと黄色くて粘り気のあるような水が滴っているのが見えた。
「えーと、これを借りた瓶に詰めてっと」
ギルドから借りてきた瓶をはちみつが流れている下に置く。
少しずつだがハチミツがたまっていく。
借りた瓶は5つでこれでなんと5回分の依頼達成になるそうだ。
「あとは待ってるだけか」
待ってる間は暇だが報酬がうまいので仕方がない。
報酬が高い理由は危険度が高いというよりは時間がかかるからだそうだ。
地面を掘り掘りしつつハチミツがたまるのを待っていると。
ダッダッダッダッダッダ!
何かが走ってくる音が聞こえてきた。
「なんだ、【気配察知】に引っかからなかったぞ?」
『【気配察知】のLvが上がりました』
アナウンスが流れてきた瞬間、【気配察知】に二つの気配が引っかかった。
「スキルレベルが低かっただけかよ」
ぶつぶつと文句を言いつつ穴を掘って隠れる。
「なんで自分は隠れたんだ?別に悪いことしてるわけでもないのに」
と不思議に思いつつも隠れるを続行。
『これまでの行動により【気配遮断】を獲得しました』
なぜかスキルが生えてきた。
「まぁ結果オーライということで」
そうこうしてるうちに足音が近づいてくる。
顔だけ地面から出し様子をうかがってみる。
軽装の男と鎧姿の男が並んで走ってくる。
「そろそろ撒いたんじゃないのか?」
「そうかもな、【気配察知】には・・・引っかかってない」
「よし、少し休憩しよう」
「そうだな。全くここどこだよ」
どうやら二人組はこの辺で休憩していくようだ。
よく見るとHPバーがかなり減っている。
すると二人のうち鎧を着た一人が。
「うん?なんだあれ」
どうやらハチミツに気が付いたらしい。
「すげぇなこれ、ハチミツか?なんかとろとろ流れてきてる」
ハチミツの滝?に近づいていき
「お、なんか瓶みたいなのがあるな。へーこうやって採ってるのか」
あ、それ自分が置いておいた瓶・・・
「なぁこれ持って帰ってもいいのかな?」
鎧の男が軽装の男に聞いている。
「ん、いいんじゃね?別に誰が見てるわけでもないしな」
ちょっと待て!それは自分のハチミツだ!
「待て!待ってくれ!」
地面から飛び出て鎧男に向かって走る。
「なんだ?も、モグラ!?」
鎧男が驚いている隙にハチミツの入った瓶に抱き着きインベントリに入れる。
「ふぅ、よかった」
「よかったじゃねえよ!何俺のモン横取りしてんだ!」
鎧男はこちらを向いて激昂している。
「いや、これはもともと自分の物であってだな」
「知るかよ!俺が取ろうとしたんだから俺のモンだ」
「えー」
なんかすごいこと言ってる。
「おら、さっきの返せよ俺のアイテムを!」
「だからこれは・・・」
「おいどうした?」
軽装の男が近づいてくる。
「あ、おんなじパーティの方ですか? この人止めてくださいよ」
「このモグラ野郎が俺のアイテム横取りしやがったんだ!」
「はぁ、どうでもいいけどさっさと行くぞ。 いつまたあいつが来るか」
止めてくれるわけでもないのかと思ったその時。
グチャッ!
「「え」」
目の前にいた鎧の男が何か黒くて大きなものに潰されていた。
何が起こったのかわからなくてぽかんとしていると、軽装の男が慌てだした。
「なんでだ!【気配察知】には何も・・・」
そう言われれば自分の【気配察知】にも引っかからなかった。
あれ、さっきも同じようなことが。
『【気配察知】のLvが上がりました』
なぜか【気配察知】のレベルが上がった。
「「つ、つかえねー!」」
どうやら同じタイミングで軽装の男と【気配察知】のLvが上がったようだ。
「ぐるるるるるぅ」
それは鎧男をつぶしただけでは満足してないのか今度は軽装の男に顔を向ける。
「ひっ、く、来るな!」
軽装の男は腰に下げてあった短刀を抜き構える。
しかしおびえているのか腰が引けていて構えが震えている。
軽装の男が対峙している間にそれを見る。
3メートルは超えるかという大きな体躯。
一抱えある丸太ぐらいある大きな腕
足も太く、力強く地面を踏みしめている。
一応警戒していたがまさか出会うとは思わなかった。
フォレストベア。
どうしてここにいるかは分からないが、ここにいるとまずそうだ。
「とりあえず穴を掘って逃げよう」
地面に潜りながらも一応【気配察知】と【地中探査】は気にかけておく。
さらに【気配遮断】も使っての逃走だ。
「あ、おい! 汚いぞ!」
軽装の男がこちらに叫んでいるが無視だ無視!
あんなのと戦ってられるか!
地面に潜って逃げていく。
「ガァアアア!」
フォレストベアは大きく咆哮すると軽装の男に近づいていきその大きな腕を振るう。
「ひっ!」
グチュ!っと嫌な音がしたと思ったら気配が一つ消えていた。
南無南無と拝みながらも地面を潜って逃げていく。
「逃げるが勝ちだー」
潜ってフォレストベアから逃げていると
「グルァア!」
フォレストベアの声が聞こえたかと思うと急に視界が開けた。
「なん、で」
自分の体が宙を舞っている。
ウルフに振り回された時以上のスピードで飛んでいき、
ちいさなモグラの体が木にぶつかった。
「がっ」
そのままやられたかと思ったがどうやら生きているようだ。
HPを見ると8割がた削られていた。
「ふー、ふー。一体なんで」
今しがた自分がいた場所を見ると大きく掘られた穴の横にフォレストベアが腕を振りぬいた体勢で立っている。
「一発で自分の場所を掘り当てたのか。 【気配遮断】も使ってたのに何で」
『【敏捷強化】のLvが上がりました
【気配遮断】のLvが上がりました』
「くそ、もうそれは良いよ」
どうやらこちらの【気配遮断】のスキルレベルが相手の探知能力を下回ってたらしい。
フォレストベアはなおもこちらを睨んでいる。
「逃げるか? いやでもさっきも逃げてたのに追い付かれたしなあ」
【敏捷強化】のレベルが上がったとはいえ直線だとフォレストベアのほうが速いようだ。
「はぁー死に戻りかぁ」
死に戻りを覚悟した時ふとフォレストベアのHPバーが目に入った。
なんとフォレストベアのHPバーが2割ほど減っているのが見えた。
「なんで、ってさっきのやつらが攻撃してたのか?」
もしかするとフォレストベアが怒ってるように見えるのはそのせいかもしれない。
しかしそのとばっちりが自分にもやってきたのではたまったものではない。
「なんかむかむかしてきたな。ハチミツは取られそうになるわモンスターはトレインされるわ」
こっちは平和にハチミツを取りに来ただけなのになんでこんな目に遭わなければならないのだ。
そう考えると途端に腹が立ってくる。
「死に戻ろうかと思ったがやめだ。悪いけど八つ当たりに付き合ってもらうぞ」
ちいさなモグラが大きなフォレストベアと対峙する。
戦力差は絶望的だと思われる。
相手は3メートルを超える熊でこちらは30センチくらいのモグラだ。
勝てる要素はほとんどないと言ってもいいだろう。
「せいぜいあがいて見せましょう!」
モグラとクマの戦いが始まった。
名前:ドリュー Lv5
種族:スモールモール
職業:魔法使い
HP:22
MP:35
SP:32
筋力:7
器用:9
敏捷:28
魔力:20
幸運:9
スキル:【爪】Lv1
【火魔法】Lv4
【敏捷強化】Lv5 UP!
【地中探査】Lv5 UP!
【掘削】Lv4
【気配察知】Lv2 UP!
【気配遮断】Lv2 New!
【気配遮断】:自身から発せられる気配を薄くする。




