令和5年8 月第2週
8月7日(月曜)
昨日に広島市の平和記念公園で行われた原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式には広島市長や広島市議会議長、遺族代表と被爆者代表、市民代表や広島県知事、広島県議会議長に加えて、我が国の内閣総理大臣たる岸田文雄氏、衆議院議長、参議院議長、外務大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣。更には国際連合事務総長、包括的核実験禁止条約機関準備委員会事務局長を含む各国からの来賓が猛暑の中を参列したが、同じく被爆地で在る長崎市で「今週9日、長崎原爆の日に予定されている平和祈念式典」に関し、主催者たる同市の市長、鈴木史朗氏が「屋内で縮小開催する」旨を昨日の臨時記者会見にて発表。
台風6号の接近で「長崎市に暴風警報が発令される可能性が高い」状況を考慮し、「参列者の安全確保を優先する観点から、会場を平和公園から市内の国際会議場などを備えた出島メッセ長崎に変更する」との事だが、屋内での開催は昭和38年以来で六十年振り。被爆者や遺族、総理大臣や各国大使を含む来賓や一般参加者の招待も見送り、市関係者のみで実施する予定だが、市関係者のみで式典に被爆者が参列しないのは昭和31年に市主催の式典が始まって以来初、今後の気象状況によっては式自体の中止も検討される模様。
8月8日(火曜)
先月末に比律賓の東で発生した台風六号、英名KHANUNは勢力を強めつつ、今月に入って沖縄本島に接近。其の暴風により、2日には沖縄で総戸数の約1/3が停電。一旦は沖縄を離れるも海上で旋回して、先週末に再び沖縄や奄美を襲った後、昨日に2回目の旋回を終えて北西に移動。
本日は鹿児島県を暴風域に巻き込みながら北寄りに進んで、局地的に激しい雨が降っているが、更に今週後半は西日本と東日本の太平洋側で平年の1か月分を大きく上回る記録的な大雨の恐れが有るのみならず、南鳥島近海で台風七号、英名LANが発生済。小笠原諸島近海を通過して本州の南に進むと予想されて居り、予断を許さぬ日々が続く模様。
8月9日(水曜)
近畿日本Tourist社が「自治体から請け負ったCOVID関連の委託事業」に於いて「人件費を偽り費用を過大に請求していた」問題に関し、親会社のKNTーCT持株会社が本日に会見。一時は14億円余に上るかとも言われた過大請求は自治体との照合を経て、現時点では「最大50自治体の事業で総額9億円に上る可能性有り」との事。また外部の有識者に依る調査調査で、上司が支店長に「売上や利益が見込みに届くのは必達だ」と云う趣旨の電子郵便を送信していた等を挙げ、利益を最優先する中で法令遵守の意識が軽視されて旨が指摘された。
一連の問題に対し、近畿日本Tourist社長の高浦雅彦氏が今月31日付で引責辞任。KNTーCT持株会社社長の米田昭正氏は「お客様は固より、関係先の皆様からの信用を裏切り、多大なる御迷惑を御掛けし、改めて心より御詫び申し上げます」等と謝罪する事態に至った由。
一方、株式会社電通の子会社、電通北海道も本日に記者会見。一昨年4月から本年3月に「道から委託を受けて行ったCOVID対策の四つの電話窓口業務」に於いて「人件費を含む凡そ1億5800万円を過大請求」「電通北海道が企業集団内の別会社に再委託し、想定より多く人員を確保」「実際の人員稼働状況と異なる勤務実績で人件費を請求」等の手段で過大請求が行われたと見られるが、一昨年11月に道から勤務実績の提出を求められた際に別会社の担当者達は「過大請求に合わせる形で勤務表を書き換えていた」との事。今年5月以降に提出された勤務実績に不審が指摘され、電通北海道等の調査で過大請求が判明したとの事。
会社側は過大請求分を速やかに道に返納する方針との事。四代目社長が唱えた鬼十則を尊び、過労死が多発する社風を引き摺り、先般の東京五輪に際しても標章盗作問題、同社元専務の高橋治之氏の贈収賄事件、招致を巡る裏金疑惑等に関与した電通が何を遣ろうが今更、驚くには当たらぬかも知れぬが。コロナ禍で弱った社会から生血を啜る連中が多い事に辟易。
8月10日(木曜)
先月10日から今月6日へと至る28日間に、世界では約150万人のCOVID-19新規症例と2500人以上の死亡が報告され、先の28日間と比較すると80%の増加と57%の減少。世界中で7億6900万人以上の確定症例と690万人以上の死亡が報告されるに至った由。
本日に中国政府は「中国人の団体旅行と一部の旅行商品について日本、韓国や印度、米国、豪州、英国、独逸を含む78の国と地域を対象に解禁する」と発表。SARS-CoV2感染が最初に拡大した2020年1月以降、中国政府は国内の旅行会社に海外への団体旅行の取り扱いを制限して来たが、本年2月以降は段階的に禁則を緩和。「日中を行き来する航空便はコロナ禍前の水準に戻っていない」「中国経済が以前より減速」等の問題は有るものの、今後に日本を訪れる中国人旅行者の数は大幅増と見られる情勢に対し、岸田総理大臣が訪問先の富山県で「政府は今年3月に観光立国推進基本計画を定め」て「2025年に向けて訪日客をコロナ前の水準まで回復する」事や「外国人の旅行消費額5兆円の早期達成」等を目標に掲げている。「今回の中国から日本への団体旅行の解禁で、中国からの内向需要の回復が今後更に進む」事を期待し「我が国の観光の持続可能な形での復活を目指していきたい」と述べた由。
COVIDが感染症法上で五類に移行されて全数把握が終わり、全国5000の医療機関から1週間ごとに報告を受ける定点把握に変わるも、同様に定点把握を行っている季節性流行性感冒の様に都道府県が注意報や警報を出す為の指標が存在しなかった状況に対し、厚生労働省が指標を作成し、昨日に自治体へ提示。「医療機関が受診者数等を報告する機制に『外来が逼迫している』と回答した割合が25%を超える」「感染者数が、直近の感染拡大時に外来が逼迫していると回答した割合が、頂点となる2週間前の数を超える」「入院者数がこれまでのオミクロン株による感染拡大時の半数を超える」「確保病床の使用率が50%超」の4指標に対し、既に独自基準を設定済の都道府県では、国の目安を使用するか如何かを、各自治体が医療提供体制の特性などを踏まえて判断する事になる模様。
本日に東京都がCOVID感染状況を発表。定点把握の対象たる都内419の医療機関のうち、412箇所からの報告に拠れば、感染者数は今月6日迄の1週間で合わせて4750人。1医療機関当たりでは11.53人となり、前週11.12人の1.04倍と七週連続の増加。今月7日時点での入院患者数も前週より303人増えて2060人となり、「感染者数の増加速度は鈍化するも、緩やかな増加が続く」とし注意を呼び掛けたとの事。
8月11日(金曜)
沖縄や西日本に大きな影響をもたらしたKHANUNこと台風六号は我が国を離れ、本日3時には朝鮮半島で勢力を落として熱帯低気圧に移行。台風として存在した期間は今年の台風二号と共に歴代15位の14日間となったが、間髪を入れずLANこと台風七号が続発。
本日に小笠原諸島が暴風域に入り、明朝に紀伊半島に上陸して午後に大阪付近を通過し、福井県西部を通過して日本海に入ると見られるが、「盆休み中に六号よりも一段上の強さでの本州直撃が不可避」との情勢。
8月12日(土曜)
先月23日の時点でTwitter同社を所有するElon Musk氏が“And soon we shall bid adieu to the twitter brand and, gradually, all the birds”と投稿。そして翌24日、Twitterの商標名が“X”に変更され、広く知られた青い鳥の意匠も廃止。投稿を表す“tweet”の用語も、今後は“x's”に移行する模様。一連の動きは旧Twitterを中国の微信/WeChatや支付宝/Alipay、印度のPayTM、印度尼西亜のGoJekの如きスーパーアプリ/Super Appとし、基盤となる一つのアプリ内に多種多様な機能や事業が統合された形に変えて行く為にマスク氏が打った布石だとの世評。
終ぞTwitter接続権を取得する事も無かった時代遅れの当方には良く分からぬが、災害時に避難指示の情報をTwitterで周知していた自治体にとっては、マスク氏のTwitter社買収以来、相次いだ仕様変更は大いに影響した模様。刻々と変化する状況に関する情報を速やかに市民へ伝える為に活用されて来た自動投稿機能も、現在は回数制限が課されている。今回、台風六号が接近した九州沖縄8県のうち、熊本県と鹿児島県は避難指示等の投稿を中止して、熊本県は「先月5日から旧Twitterでの投稿自体を停止」、鹿児島県は「高齢者等避難や避難指示、避難所開設等の情報に関する自動投稿を中止」「線状降水帯の発生情報や、雨の特別警報、土砂災害警戒情報等と云った高度の警戒を要する情報は手動で投稿」。
一方、長崎県は「気象や河川の情報を自動で投稿」しているが「今後の対応を検討中」との事で、今後にCOVIDの感染再拡大が起こった場合にも相応の影響が避けられまい。私の営利団体が行う事業に自治体が振り回されるのは望ましくないものの今日日、事を為さんとすればsocial mediaを含む情報産業を無視出来ぬのも事実。Super Appが既存の事業を駆逐した後は世界各国のSuper App同士が覇を競い、最後に勝ち残った業者は大国を超えて世界を左右する存在へと成り上がるのか。或いは、今は未だ見えぬ何らかの要素が再び時代を揺り動かすのか。
8月13日(日曜)
今週10日付で厚生労働省が発行した「令和5年秋開始接種第1報」に曰く、本年「9月20日以降」来年3月末日迄、「生後6か月以上のすべての方」を対象に「オミクロン株(XBB.1.5)」に対応した1価ワクチン、即ち「XBB対応ワクチン」の接種を開始。現在に至るもCOVID用ワクチンの初回接種を受けていない者は「XBB対応ワクチンでの初回接種を受けてください」と書かれて居り、特に接種が推奨されるのは「重症化リスクの高い高齢者等」だが「若い方にも接種を受けていただけます」との事。
蔓延予防の為に緊急の必要有りとの判断に基づき、一昨年2月から「接種費用を全額公費で負担する」特例臨時接種の扱いで施行されて来たCOVID用ワクチン接種に関し、国は更に予防接種法上の二つの規定、努力義務と接種勧奨を適用。努力義務は「対象の国民は接種を受ける様、努めなければならない」と規定するものなれども強制には非ず、本人や保護者が有効性や安全性を考慮して接種するか否かを決めるべきもので、受けなかったとしても罰則は無い。接種勧奨は「市町村が対象となっている住民に対して接種券やチラシを送る」等で接種を勧める事を規定。本年5月に始まった今年度接種に於いては、一度も接種をしていない者への初回接種に関しては「接種可能な全年齢」で「接種勧奨」「努力義務」を適用。3回目以降の追加接種に関しては、基礎疾患を有する者や高齢者を含む「重症化危険性を伴う者」に「接種勧奨」「努力義務」を適用。
本年3月に世界保健機関(World Health Organization; WHO)が「高齢者等には更なる追加接種を推奨」する一方で「健康な乳幼児、小児、大人に対する更なる追加接種は定期的には推奨せず」、「健康な乳幼児、小児の初回接種に就いても、疾病の負荷等を踏まえた上で各国で検討すべき」との新たな指針を提示した事を踏まえて、今週9日に開かれた厚生労働省の専門家分科会では、冒頭に記した対象や期間で接種を実施する事に加えて「重症化危険性の高い者にのみ努力義務や接種勧奨を適用する」事、昨年度迄の接種では努力義務や接種勧奨が適用された「65歳未満」或いは「6ヶ月から11歳」の年代でも「健康ならば此等の対象にならぬ」と規定。此の判断に関し、分科会の委員からは「接種勧奨を適用しない人々に、接種しない方が良いのだと云う誤ったnuanceで伝わらない様にすべき」。「接種勧奨の対象で無くても希望者が接種の機会を確保出来る様に、自治体から住民に対してワクチン接種の情報提供を引き続き行うべき」。小児科学会の関係者から「生後6ヶ月から17歳まで全ての子供に接種を推奨する」が「掛かり付け医や近くの小児科医等とも相談」「納得した上で判断する事が重要」等の意見有り。
昨今に国内で流行するのはXBB系統だが、同系統のうちで更に枝分かれした複数の株が存在し、此等が同時に流行する状況有り。国立感染症研究所が纏めた資料に拠ると、先月16日に至る1週間に検出された変異ウイルスの91.8%がXBB系統。此等の情報から現時点の流行状況はXBB.1.9系統が37%、XBB.1.16系統が36%、XBB.2.3系統が15%と推定される由。本年2月以降、世界的にはXBB.2.3系統が増加しているらしく、7月にWHOが「XBB.1.9系統から変異したEG.5が増加傾向に在る」として監視下の変異株(VUM; Variants Under Monitoring)へ追加したとの事。
無料の特例臨時接種は来年3月末が期限だが、来年度以降に関しては「平時から蔓延を予防する観点で、疾患毎に接種期間や対象を定めて行う」定期接種に変更するか如何か、厚労省が年内に結論を出す予定。定期接種に二つの類型有り。A類は「集団の感染予防」に重点が置かれて、努力義務と接種勧奨が適用され、感染性の強い麻疹や風疹、結核、日本脳炎等が該当。交付税が9割、自治体が実質無料にする場合が多い。対してB類は「個人の重症化予防」が主眼で努力義務や接種勧奨の適用無し。季節性流行性感冒や高齢者の肺炎球菌感染症が該当し、 交付税が3割、自治体が被接種者に一部自己負担を求める場合が有るとの事。無尽蔵に国家予算を費やす訳にも行かぬが、今後も世界的感染状況に応じ、国家の進むべき道は分岐するだろう。