令和5年7月第5週
7月24日(月曜)
新西蘭では、直近の1週間に3764人の新規症例が報告され、1844例の再感染のうち90日以内は98例で、感染者の総数は243万3293人。回復した者は 4294件で、回復者の総数は242万6363件。死者は16人で、死者の総数は3188人に達した由。
朝鮮戦争に於ける休戦協定の締結から70年。本日に国営の朝鮮中央通信を通じて、北朝鮮は「戦勝記念日たる今月27日に中国共産党と政府の代表団が北朝鮮を訪れる」旨を発表。代表団の団長は中国共産党の政治局委員で、全国人民代表大会の副委員長たる李鴻忠/Li Hongzhong氏が務め、祝賀行事に参加する模様。中国側からも「代表団は26日から北朝鮮を訪れる予定」との発表有り。北朝鮮がCOVID感染対策として2020年1月に国境管理を厳しくして以降、外国の代表団を公式に受け入れるのは今回が初。米国との対決姿勢を強める北朝鮮が中露と更に接近した場合、或いは烏克蘭に関する諸問題にも間接的影響が出るかも知れぬ。
7月25日(火曜)
厚生労働省は感染症法上に於けるCOVIDの位置付けを五類に移行させた本年5月以降、凡そ5000箇所に及ぶ全国の医療機関から新規患者数の報告を受け、1医療機関当たりの平均患者数等を毎週金曜日に公表する定点把握を実施。一方で新規入院者数、人工呼吸器を使用する等の重症者数に関しては引き続き医療機関からの報告を義務付けて来たが、此等に関しても今後は流行性感冒と同様、「9月下旬から指定した医療機関からの報告に基づく定点把握」「全国の医療機関、凡そ500箇所から受けた報告結果を毎週金曜日に公表する」形に移行予定との事。
COVID後遺症に関し、大阪府は茨木市に在る国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所や医療法人徳洲会等に所属する研究者達が「2020年から去年6月までの3年間」に全国の徳洲会病院を受診した「0歳から85歳迄の新型コロナの患者12万2000人余」の診療録情報に基づき、初の大規模調査を実施。症状毎の分析に依ると、発症から2週間以上が経過しても「頭痛」「倦怠感や疲労感」、「味覚障害」、「嗅覚障害」の4症状を有した患者は、夫々(それぞれ)が概ね10人に1人の割合。また60歳以上では、2週間以降も約2割の患者で「鬱の症状」が、半数程度の患者で「療養生活に依る身体機能低下」等の症状が続いていたとの事。
COVID用ワクチン接種後の健康被害に関し、国が「接種との因果関係が否定出来ぬ」と認定した者には予防接種法の救済制度で医療費や死亡一時金が支給されるが、厚生労働省曰く「今月14日迄に申請8138件、うち4229件は未審査」。此の現状に対し、本日に「新型コロナワクチン後遺症患者の会」が厚生労働省で記者会見を開き、「救済申請の書類を自治体に提出してから国に届く迄、時間がか掛かる」。「不安な気持ちで治療を続けている患者が居る事を知って欲しい」と述べ、実態の把握と迅速な救済を国や自治体に求めた由。
7月26日(水曜)
本日に日本医師会が行った定例記者会見で、萢常任理事の釜萢敏氏は「65歳以上の人や基礎疾患が有る人以外が重症になる割合は其程、高くは無い」。「全体の感染を抑える為に無理をして接種して貰う」のでは無く「個人で選択して貰う時期に入った」との認識を示すと共に「ワクチン接種後に体調を崩した人への対応が非常に重要」だが、予防接種法に基づいた健康被害の救済制度に関しては「審査が遅れているのでは無いかという指摘も有り、医師会としても力を尽くしたい」と述べた由。
拙作では何度も指摘している通り、日本医師会は日本国の医師全ての上に立つ存在等では無く、釜萢氏は開業から35年目の小児科医で、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の構成員も務めた人物では在るが、感染症の専門家と云う訳でも無い。発言自体は現状に於いて当然と言えば当然の内容で、「世間に受け入れ易い情報発信を行い、医師会の存在感を高めよう」と云う以上の意図は無い様にも思われるが、ワクチン政策に関して物申したい人々には聞き捨てならぬ発言かも知れぬ。
7月27日(木曜)
世界保健機関(World Health Organization; WHO)の報告に拠れば、先月26日から今月23日迄の28日間に、世界中でCOVID-19新規症例が86万8000人超、死亡3700人超。WHOが統括する世界6地域のうち、亜米利加州、阿弗利加、南東亜細亜、欧州、東地中海の5地域では症例数と死亡者数の減少が報告されているのに対し、西太平洋地域では症例数と死亡者数の両方が増加。今月23日の時点で世界中の確定奨励は7億6800万人、死亡は 690万人を超えたが、世界的に検査と報告の減少が続き、実際は更に多いものと予想される。
一昨年4月1日に厚生労働省が開始した「新興・再興感染症の患者の臨床情報と臨床検体」を「収集」且つ「一括管理」し、COVID-19のみならず「次の新興・再興感染症」への「備え」として「国内外の各種開発研究を促進する」事業。国立国際医療研究中心と国立感染症研究所が共同で行うREpository of Data and Biospecimen of INfectious Disease、略称REBIND。同事業にはCOVIDや旧名猿痘のmpox等に関して8万6000件余の症例情報、約6000人分の検体が集まり、「40本の論文等の研究」、諮問委員会や 「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」等の「公衆衛生的な利活用実績」に資するも、一般の研究者や企業が情報を利用出来る仕組みが無く、治療薬やワクチンの開発にも繋がらぬ儘に2年以上が経過。
斯様な現状に対し、昨日に開催された第78回厚生科学審議会感染症部会にて、厚労省は「検体の情報についても研究者や企業を対象に8月から情報を公開する」方針を提示。「事前に症例収集の目的を明確化」「目的毎の必要症例数を設定」「参加施設の役割分担を明確にする」、「研究者や企業に広く利用可能な情報や試料の 情報を周知し、利用機会を増やす」「検査薬や治療薬やワクチン開発等を行えるよう、企業と研究機関の共同提案体制等の仕組みを設けて支援を行う」等の方針転換が行われる模様。情報は時に金子、時に弾薬にして徒や疎かにすべからざるもの也。
7月28日(金曜)
厚生労働省の発表に曰く、今月23日迄の1週間に全国の医療機関、約5000箇所から報告されたCOVID患者数は前週から1万4451人増えて6万8601人。医療機関当たりの平均患者数が13.91人となり、前週の1.26倍に上昇して16週連続の増加を記録。都道府県別では多い順に佐賀27.44人、宮崎24.47人、長崎22.94人、沖縄22.43人、熊本22.05人、鹿児島21.42人、大分21.12人、岐阜20.72人と45都道府県で前週より増加し、沖縄が一時より減る一方、九州で患者が増えている模様。今月23日までの1週間に新たに入院した人は全国で8983人で、前週と比べて1281人増となった模様。また死亡診断書等に「新型コロナ」と書かれた事例を集計した結果、COVIDが「最も死亡に影響した」死者は610人で前月より50人増えたが、COVIDが「死因となった病気の経過に影響を及ぼした」事例も含めた死者は1367人で前月より58人減との事。
政府分科会の構成員、東邦大学教授の舘田一博氏からは「全国的に感染者の増加傾向が続き」、「夏休みに入り、14歳以下」「特に10歳未満」の感染が全国的に増え、「今後、大人や高齢者にも感染が広がって行く」事が考えられるが、「此の第九波の頂点は未だ見えない」。昨年迄の状況を考えれば「来月半ばから下旬に掛けては感染者が増え続ける」可能性が有り、COVID患者用病床が埋まる一方、「コロナ以外の感染症や熱中症で搬送される患者」「夏休みに治療を予定していた子どもの入院患者」が重なって「医療の逼迫が起き易い時期」が始まる。五類移行後に初めて公表された死亡者数として公表された前述の数値は「感染者数が少なかった」5月の死亡者数だったが、「6月、7月と感染者が増え」、「其れに比例して死亡者数が増加」しているかも知れぬ等の指摘有り。
日本肝臓学会が「2018年から2021年に至る4年間」に「全国の病院で発生した肝硬変患者、総計2万3847人」の病因を調査した所、最多は酒精の影響で28.8%。次にC型肝炎ウイルスだったが、以前より割合が減少して27.1%。肥満や運動不足等が原因とされる非酒精性脂肪肝炎12.7%が続くとの結果。コロナ禍に於いて外出が減り、自宅で過ごす事が増える中で飲酒量は増加、運動量は減少した事との関連が懸念される。一方、朝日麦酒等を運営するAsahi Group Japanは「原材料価格の高騰や人件費の上昇」に「コロナ禍に因る外食機会の減少」が重なる現状を鑑みて、外食事業からの撤退を決定。全国6箇所で運営していた工場併設の麦酒園は、既に2箇所の閉鎖を発表。2014年に同社が買収し、国内外に77箇所の店舗を有する傘下の日本料理店「なだ万」も売却を検討中との事。
其の他に本日は「感染症対策を一元的に担う司令塔となるべき新組織、内閣感染症危機管理統括庁の発足が9月1日と決定」。「昨年8月のCOVID用ワクチン接種後に心筋心膜炎で死亡した14歳女性に関し、厚生労働省の専門家部会が接種との因果関係を否定出来ぬと判定」。専門家部会が此の判断を下すのは昨年11月に亡くなった愛知県の女性に続いて2例目」。「昨年に於ける日本人の平均寿命は女性87.09歳、男性81.05歳で両性とも2年連続で前年より短縮」「昨年にCOVIDのため死亡した者は4万7635人で、前年に比して3万人余と増加した影響が大きかったものと見られる」。「来月に甲子園球場で催される全国高等学校野球選手権大会では感染対策上の禁が解かれ、四年振りに選手達が試合後に球場の土を持ち帰る事が許可される」等の報道有り。
7月29日(土曜)
本日に馬来西亜では130人の新規感染者が報告され、感染者の総数は512万0581人。感染から回復した者は115人で、総数は506万9820人。死亡は1人で、死者の総数は3万7164人に達した由。今週末の関東地方では、本日に東京都台東区で東京で「享保18年、両国の川開きに由来する」と云う第46回隅田川花火大会。明日に埼玉県さいたま市北区で、令和5年度 さいたま市花火大会が四年振りに開催される予定。前者が約2万発の花火打上を予定しており、嘗ては約95万人の人出が有ったとされ、後者も約5000発と約10万人との事。他にも各地で花火大会の復活が報じられている模様。
今週25日に国際連合(United Nations)人権理事会の「商取引(ビジネス」と人権」作業部会が「ジャニーズ性加害問題当事者の会」、石丸志門氏を含む4名から聴取を実施。また今月18日にDewi Sukarno氏がTwitter上で吐いた暴言に対し、英国はKeele大学の教授にして「現代的形態の奴隷制」に関する国連特別報告者も務める小保方智也氏が同じくTwitterで発言。「某有名人」から「最近出されたジャニーズ事務所の性加害疑惑関する発言」に「深い懸念を表明します」。「未成年で被害を受けたとされる方々に即時法的措置などを求める」のは「非現実的」で在り、「人権を著しく侵害する発言と解釈されても仕方ありません」と指摘した由。第三夫人の発言こそが日本の恥。
7月30日(日曜)
TIME誌の公式サイトが、本日付で“What to Know About the U.S. Summer Uptick in COVID-19 Cases”を掲載。当該記事に拠れば、米国の疾病管理予防中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)が報告する「過去数週間からのCOVID-19症例数の増加」は、同国に於ける夏の感染拡大を示すのかも知れぬが、7月中旬以降に入院や検査陽性率、ウイルスに感染した者達の救急外来受診が全国的に増加したと云えども、其の数は比較的低値に留まっている。
CDCの報道官、Kathleen Conleyは「米国のCOVID-19率は、7か月の着実な低下の後、依然として歴史的な低水準に近い」「米国では過去3回の夏にCOVID-19が増加しているため、上昇が見られるのは当然の事だ」とCBS Newsに語ったが、専門家達は「此の増加が、より大きな感染拡大に繋がるか否かの証拠は不足している」との見解を持つ。米国では1億4400万回以上のワクチンが配布され、約5640万人が追加接種を実施。「16歳以上の献血者の96%」が「既感染、又はワクチン接種による抗体を持っていた」旨がCDCの研究から報告された事から、「殆どの米国人はSARS-CoV2に対して或る程度、保護されている」ものと推定される。
CDCの発表を信ずれば、COVID-19に関連する入院は7月9日から15日に10.3%増加。米国全体で入院患者数が7000人以上増加し、救急外来受診後に“with the virus”と診断された人の割合も6月半ばから終わりの 0.5%前後から、数週間経つと7月24日は0.78%に上昇した。一方、COVID-19に因る死亡に明らかな増減は無く、6月24日の週は549人、7月1日の週には494人のCOVID関連死が確認された。昨年12月31日の週と2023年1月7日の週に4万4000人以上の入院が見られた等を考えると、今夏の感染状況は「今冬の感染増加を基準にすれば未だ下限に留まる」と言っても過言では無かろう。
今夏に感染拡大が起きる事への懸念は米国以外でも共有されて居り、我が国のCOVID-19症例数が「5月から7月に掛けて4倍に増加した」旨をJapan Times紙が報道。今年初めに症例が急増した中国に於いても依然、COVID-19は深刻な危険因子の筈だが、国家の公式統計に疑義が残る故に、COVID-19関連死と感染者数の実情は判然としないとの事。