令和4年4月最終週
4月24日(月曜)
厚生労働省が発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫を含めて4091人。東京都内で新たに571人。国内で亡くなった者は愛知県で3人、東京都で3人、三重県で1人、京都府で1人、北海道で1人、大阪府で1人、奈良県で1人、宮城県で1人、広島県で1人の総計13人。新型コロナウイルスへの感染が確認された上で人工呼吸器やECMO、集中治療室等を用いた治療を受ける重症者は昨日より2人減り、57人となった由。
4月25日(火曜)
慶應義塾大学、及びAIR WATER株式会社の発表に拠ると、同大のKeio Photonics Research Instituteで所長を務める小池康博氏、同大医学部整形外科学教室教授の中村雅也教授とエア・ウォーター社が共同で極細硬性内視鏡の開発に世界で初めて成功した由。硬性内視鏡とは主に外科手術用に使用される体内を観察するための内視鏡で、体内への挿入部分が硬く屈せぬものを指し、所謂「胃カメラ」の様な挿入部分が曲がるものは軟性内視鏡と称される。
Graded Index(GI)型は核の屈折率分布に勾配を有する光学繊維。Plastic Optical Fiber(POF)は硝子素材に非ず、可塑性物質材料の光学繊維を指す由。今回開発された極細硬性内視鏡は、先端に設置された GI 型POF鏡玉を通して体内の映像を体外へ伝送し得る特性を有する故に、検査目的に応じた撮影機を体外に設置する事が可能。直径0.1 から0.5粍のGI 型POF鏡玉は、屈曲可能で難折性。点滴等で使う注射針の内腔から挿入すれば、解像度の高い映像を撮影可能で、可塑性物質で安価に作成された鏡玉を用いる事で先端部を注射針と同様、単回使用の使い捨てとし、清潔性を保つ事も容易となる。
極細硬性内視鏡の使用に依り「患者の関節内を低侵襲で手術前後に直接観察」、「迅速、且つ正確な病状把握や手術後の経過観察を効率良く行う」事が可能となり、従来は全身麻酔を用いて入院で行われて来た関節内視鏡検査を局所麻酔下で、外来にて行う事が期待されているとの事。中村教授からは「細い上に画質が良いので血管や神経等、今まで見えなかった部分が見える様になる」「関節だけで無く様々な領域に展開して行きたい」との抱負が語られ、試作機の改善や前臨床評価を推し進めた後は「2024 年の実用化」「整形外科領域以外への応用、検査だけで無く治療用途へ適用拡大」等と期待されているらしく、或いはCOVID診療にも応用されるかも知れぬ。
そして本日の新たな感染者は1万2475人。東京都内では1909人で先週火曜より213人増え、前週同曜を上回るのは9日連続。国内で亡くなった人は18人。重症者は59人。本日に行われた政府と与野党の実務者協議で、与野党は「来月8日に感染症法に於けるCOVIDの位置付けが五類に移行された後も当面、医療提供体制や検査体制の整備や強化に取り組む」事を政府に要望。会合では「救急搬送が困難な事例の再発防止や後遺症に悩む者への相談体制の整備、COVID対策の課題や効果の検証」等が必要との指摘も出て、政府側が「確り対応したい」と応じた辺りで実務者協議は一旦終了。感染が再び急拡大した場合等に開催する事を申し合わせた由。
名古屋工業大学教授の平田晃正氏を含む研究者集団は「更に感染力が強い変異ウイルスが現れず、本年夏頃には人出が世界的大流行以前の水準に戻る」との想定で「24日までの感染者数」、「飲み会」や「バーベキュー」等の「社会活動の活発さを示すSNS投稿の件数」等の情報から、人口知能を用いて今後の感染者数を試算。5月8日以降に「マスク着用率が20%」、或いは「50%」、そして「大半がマスクを着用している場合」を比較。何れの場合も推算値は「来月中旬に東京都の1週間平均での1日当たりの感染者数は約3100人」となるが、以降の感染者数は着用率に応じて差が生じ、盆休み明けの8月下旬で着用率20%だと6900人、50%ならば5400人、大半が着用の場合は4100人との結果。今回の試算では以前に行った試算より感染者数が少なく、4月に入ってから飲み会を示唆するSNSの投稿が減っていてAIが感染の広がりが小さくなると認識した可能性が有る模様。平田教授曰く「多くの人は感染対策をしながら徐々に緩和に向かっているのではないか。5類への移行後も高齢者と会うとき等場面に応じた対策をしながら過ごしてほしい」との事。
中国政府は従前「中国への入国者に対し、各地を出発する48時間以内にPCR検査を受ける」事を要求して来たが、本日の記者会見で中国外務省の報道官、毛寧/Mao Ning氏が「PCR検査に代わって今月29日からは抗原検査に切り替える」「航空会社が搭乗前に行っていた陰性証明の確認も実施しない事とする」旨を発表。理由に就いては「中国と海外の往来をより便利にするためだ。引き続き感染状況に応じて対策を最適化していく」と述べたそうだが、同国のCOVID対策も緩和に向かう模様。
4月26日(水曜)
本日の新規感染は1万3233人、東京都内で先週同様より231人増の1745人。死亡は福岡5人、北海4人、大阪3人、長野3人、埼玉2人、奈良2人、愛知2人、福島2人、高知2人、三重1人、京都1人、佐賀1人、兵庫1人、千葉1人、山形1人、岩手1人、島根1人、東京都で1人、石川1人、青森1人の総計36人で、重症58人。
来月8日の五類移行が迫る中、本日に全国知事会がCOVID対策本部の会合。席上で会長を務める鳥取県知事の平井 伸治氏は「5類移行でコロナの局面が変わる」一方、「第九波が来ると云う予測」も有り、「国には機動的に現場の声を聞いて貰いたい」と発言。全国知事会として「移行後も感染者数等に応じて医療費、病床確保やワクチン接種等の費用に関し、自治体に対する十分な財政支援を行う」事を国へ求める提言を纏めた由。
4月27日(木曜)
本日の新たな感染者は1万1764人で、死亡は24人、重症者は48人。東京都に於ける新規感染は1663人。先週木曜より214人増え、前週同曜を上回るのは十一日連続だが、当初の予定より前倒しとなり「5月8日の時点でCOVIDを季節性流行性感冒他と同等の5類に移行する」と正式に決定した旨、厚生労働省から発表有り。
移行後は感染者数の確認方法も、全数把握から定点把握へと変更される事が決定済。本日に厚生労働省が「全数把握に基づく現行の発表は、五類に移行する5月8日を以て終了」「以後は指定された医療機関が1週間分の感染者数を翌週にまとめて報告し、厚生労働省が集計して毎週金曜日に発表する」が「初回の発表は5月8日から14日までの感染者数が5月19日の金曜日に発表される予定」との日程を公表した由。過去の資料と今後の感染者数推移との比較を可能にする為、指定された医療機関5000箇所に於ける感染第八波から現在迄の感染者数の推移が参考情報として提示され、全ての医療機関からの報告を基に「毎週の入院者数、重症者数の公表は続ける」との事だが、死亡者数に関するの毎日の公表は終了。厚生労働省は人口動態統計に基づき、「2ヶ月後に判明する死亡者数」や「5ヶ月後に判明する死因別の死亡者数」から動向を把握する方針との事だが、従前とは事情が一変すると評しても過言では在るまい。
4月28日(金曜)
観光庁の発表に曰く、先月宿泊者数の速報値は延べ4973万人で、即ち前年同月比にして48%の増加。日本人の宿泊者が延べ4184万人と前年より26%増加し、コロナ禍以前の水準まで回復した上に外国人の宿泊者も延べ789万人。前年同月の23倍と大幅に増加し、コロナ禍前の83%の水準まで回復した由。一方、本日の専門家部会で、厚生労働省は「本年2月に3回目のワクチン接種を受けた1歳男児が死亡したと医療機関から報告を受けた」旨を公表。生後6ヶ月から4歳が対象の接種後に死亡が確認されたのは初めてで、当該男児は抑々(そもそも)「末期の腎不全で透析治療を受けて居り、Pfizer製ワクチンの3回目接種を受けた2日後に亡くなった」ものの、情報不足等から「ワクチン接種と死亡との因果関係は評価出来ぬ」との事だが、小児対象の接種に反対する勢力は関連の疑い有りと主張する事だろう。
全国の新規感染者数1週間平均は、今月13日までの1週間で前週の1.10倍。今月20日は1.09倍、7日は1.15倍と五週連続で増加傾向で、一日当たりの新規感染者数平均は先週より1300人余を加えた1万人余。人口当たりの感染者数が最も多いのは富山県で、人口10万人あたり100.60人、新規感染者数の1週間平均は今月13日までの1週間が前週の1.11倍、今月20日は1.56倍、27日は1.49倍で1日当たりの新規感染者数は凡そ149人。新規感染者数1週間平均の前週比は東京都で27日迄が1.18倍、神奈川県1.18倍、埼玉1.26倍、千葉県1.05倍。関西は大阪府1.15倍、京都府0.94倍、兵庫県1.19倍。東海が愛知県1.13倍、岐阜県1.35倍、三重県1.06倍。他に北海道1.41倍、宮城県1.22倍、広島県1.16倍、福岡県1.07倍、沖縄県1.29倍となり、36都道府県にて前週より増加した由。
対して本日の新たな感染者は1万1428人、死亡者は34人、重症者は46人。東京都内で新規感染1613人、重症4人と死亡4人の報告有り。本日に都が開催した最終のモニタリング会議で、4段階の警戒水準は2項目とも下から第2位を維持。会議の席上で「新規感染者数の7日間平均、入院患者数とも増加傾向」を認め、来月の五類移行後は「モニタリング項目を限定しつつも専門家に依る分析を続行」する方針を確認。
また都はCOVID対策本部会議を開き、5月8日以降も「高齢者等の為に臨時の医療施設8箇所、合計692病床の確保」「妊婦等の為に宿泊療養施設1か所の開設を延長」、「現在休止中の酸素・医療提供ステーション1か所については、状況によって再開を検討」等を決定。外来対応を受け付ける都内の医療機関、約5000箇所の一覧を都のhomepageで公表し、飛沫感染を防ぐため飲食店等に設置されて来た隔壁に就いても「可能な限り保管する」様に飲食店等の事業者に呼び掛けるとの事。
同じ関東の一角では、市原市と大多喜町の39.1粁を結ぶ私鉄の小湊鐵道が今月20日、市原市に支援を求める要請書を提出。「台風やコロナ禍等の災害が重なり、鉄道事業は赤字」だが「設備や車両の維持、補修等に向こう10年間で凡そ60億円が必要」で「利用者が少ない上総牛久駅と上総中野駅の間、22.7粁の区間は廃線も検討せねばならぬ事態」との報告に対し、市側は廃線となった場合の影響や安全運行に要する費用の調査費として、一先ず2700万円の補正予算を計上したとの事。
五類移行が近づく中で、本日閣議で政府は「新型コロナウイルス感染症対策本部の廃止」を決定。国内で初めて感染が確認された後、令和2年1月30日に総理大臣を本部長に頂き、全閣僚を構成員として設置されて以来、総計104回の開催。「感染拡大時に緊急事態宣言を発出するか否か」等の重要な判断も検討された対策本部も其の役割を終え、今後に感染再拡大や重要な変異株が発生した場合は新型流行性感冒等対策閣僚会議が開かれ、対応が協議される模様。一つの時代が終わるか。
4月29日(土曜)
本日は国内の新たな感染者が1万3047人。国内の死者は宮城県で3人、東京都で3人、三重県で2人、北海道で2人、千葉県で2人、埼玉県で2人、栃木県で2人、石川県で2人、青森県で2人、兵庫県で1人、大分県で1人、大阪府で1人、富山県で1人、山梨県で1人、愛知県で1人、福岡県で1人の総計27人で、重症者は49人。東京に於いては新規感染1915人で先週土曜より438人増、十三日連続で前週同曜を上回るも重症は4人、死亡は3人に留まった由。
政府は従前、感染症法に基づき、日本への入国者に対して「ワクチン接種を3回受けた旨の証明書」や「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書」の提出を求めて来たが、本日から水際対策を緩和。何れの証明も不要となり、中国本土からの直行便を対象として入国者の一部に施行して来た抽出標本検査も終了。上海からの直行便に乗って今日、成田空港へと降り立った人々は何らの検査も受けずに入国審査に向かう事を許されたとの事。また台湾当局は、5月1日から「台湾以外の旅券で入境し、滞在期間が3日間から90日間の個人旅行客」に対して「抽選で2万円相当の電子通貨、或いは宿泊引換券を配布」。海外から個人旅行客を呼び込んで観光需要を喚起するべく、50万人分の当選金を予算化し、再来年6月まで実施予定との事。
国家規模で観光客の奪い合いが激化しようとも、公立病院勤めの当方は5月1日、2日と出勤せねばならぬ定めだが、一定数の日本国民は本日から九連休に突入。早速に東海道、及び山陽の新幹線が午前中を中心に混雑し、一部区間で自由席乗車率が百%に到達。東北と北陸の新幹線も東京発の乗車率が午前中と午後の早い時間で指定、自由席ともに80%前後に及び、全日空は午前に羽田空港や大阪空港から各地に向かう国内便が略満席。日本航空も羽田や大阪から各地に向かう便の予約率が75%となり、高速道路も午前中を中心に各地で混雑して随所で渋滞が発生した模様。
4月30日(日曜)
本日は新たな感染者が6722人で死亡した者が14人、重症者は51人。東京では976人の重症4人、死亡は零名との事。我が国に於いても感染対策緩和が進む一方、今年に入って低く抑えられて来た感染者数が微増に向かう状況下で、大型連休に突入。此処も少々の増加程度で乗り越え、今年こそ社会が再建されて行くのか。留まる事無く患者が増え続け、遂には第九波へと突き進むのか。潜伏期間を考慮すると、来月半ばには其の結果が示されよう。