令和2年8月第3週
8月10日(月曜)
島根県松江市の立正大学淞南高等学校で、サッカー部員86人と教員2人の88人が新型コロナウイルスに感染。国内で学校由来のものとしては、異例の規模となる感染者集団が発生した。同校教頭が取材に答えて曰く「最初に感染が確認された男子生徒は寮生」で「5日夜の就寝前に38度台発熱を認める」も「翌6日朝は平熱に下がったとして登校」、「約30人のクラスで授業を受けた」が「午後に体調不良を訴えて早退」、「寮で療養した」との事。
県外出身者が多い為、部員138人のうち122人がサッカー部専用の寮で生活していたとの情報が有り、感染した生徒も約80人が寮生。寮は二人一部屋で共同風呂、食堂は1カ所で、識者は「食事を介して感染が広がったのではないか」と推測。「若年男性が集団で寮生活を送る環境下で感染が蔓延して行く」と云う構図は、歌舞伎町のホストクラブとも共通するか。同校は部活動に力を入れており、特にマーチングバンド部は複数回全国大会に出場。渦中のサッカー部等も県内の強豪として知られていて、男女共学で寮も複数存在するらしく、更なる感染拡大が懸念される。
本日夜に松江市が発表した所に依ると、同部以外の生徒や教職員合計200人程と一部サッカー部員を対象に、改めてPCR検査を実施。当初は陰性だったサッカー部員と野球部員、陽性が確認されたサッカー部員の同居者の計3人の陽性が新たに確認されたが、検査結果未着の生徒は96人残っている由。
祝日月曜なので、漫然とテレビを眺める。俳優の吉沢悠氏は先月末発熱、8月1日にPCR検査を受けるも陰性。大事を取って自宅待機となるも熱発を反復、4日に抗原検査を受けるも陰性。其の後に咳や背部痛を訴え、6日に二度目のPCR検査を受けた所、今度は陽性と判定され、そのまま入院を開始した由。
今年は春夏とも高校野球の全国大会は中止となったが、「第92回選抜高等学校野球大会出場校の野球部員に甲子園球場での1試合を提供する」という趣旨で、本日から甲子園高校野球交流試合。飛沫対策の為、グローブで口元を覆いながら次の一球を相談する様が画面に映っていた。
8月11日(火曜)
立正大淞南高の校長と教頭が、本日未明に松江市役所で記者会見。昨日の項に記した同校サッカー部の集団感染に関して「大変重く受け止めている」と語り、「学校としての感染症対策が不十分だった」と反省の弁を述べた。
説明に依ると最初に部員が発症したのは5日で、6日に19人が一斉に発症するも「寮の2人部屋から1人ずつの部屋に移った」上で経過観察。7日になって部員に味覚障害を訴えた時点で、初めて保健所に相談した由。寮内に於ける感染防止対策として「出来るだけ分散して食事するよう指導」し、「入浴も可能な限り大人数にならないよう呼び掛けた」との事だが、チームの20~25人がマイクロバスに同乗して7月23~25日に大阪府、8月3~4日に鳥取県、4~7日に香川県へ遠征に赴いていた事も判明。
学校側が感染対策の不備を認めて謝罪する会見となる一方で、同校の公式ブログに掲載されるも後に削除された写真が物議を醸した。県大会で準優勝した野球部をサッカー部を含む他の部の生徒達が出迎えている様子を捉えたもので、撮影されたのは集団感染が判明する直前の8月5日。「サッカー部始めマーチングや射撃部などみんなで迎えました」と云う一文が添えられているが、迎えられた野球部はマスクの着用無し。出迎える側は口に当てたメガホンから声援を飛ばしている様子だが、感染者ならばウイルス込みの飛沫も盛大に舞った事だろう。
ネット上で批判の声が上がるも、テレビ局の取材に対して学校側は、マスクをしなかった理由は熱中症対策で「ギリギリの判断」、「熱中症が危ないのか、マスクをしないのが危ないのか」に就いては「判断が分かれると思います」等と抗弁した由。「そもそも感染拡大中に、熱中症の危険に曝されながら行わねばならぬ儀式では無い」という認識が欠如しているのか、理解した上で話を逸らしたのかは不明。
視線を経済面に転じ、調査会社の報告に耳を傾けると、先月の倒産件数は847件。二ヶ月連続で増加し、今年最多を更新。負債総額は1048億100万円と前年同月を14.3%上回り、やはり2ヶ月連続の増加。負債上位の企業は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、得意先飲食店の不振や自動車メーカーの生産調整を受けて売上が低迷していた状況が共通。行動自粛が経営不振に追い打ちを掛けたと思われる医療機関や第三セクターの倒産も初めて発生した等と、あまり景気の良い話は聞こえて来ない。
8月12日(水曜)
香港の民主化運動に奔走して「学民の女神」と呼ばれた周庭/Agnes Chow Ting氏が、今月10日に香港国家安全維持法違反容疑で逮捕され、香港北東部の警察署で拘束。23歳の美しい女性活動家が逮捕された事は全世界で報じられたが、彼女が日本のpop cultureを好み、独学で学んだ日本語でSNS発信、昨年に日本記者クラブでの単独会見や明治大学での講演、山本太郎氏との対談等の活動にも取り組んで居た為か、日本国内でも種々の反応有り。
Twitterで「#FreeAgnes」「#周庭氏の逮捕に抗議する」等のhashtagが拡散。政界では超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」が抗議声明を出し、民主化運動への弾圧には沈黙し勝ちな官邸でも菅官房長官が「重大な懸念」を表明。裁判官の判断で拘留延長も可能となる新法条文への懸念も有ったが、11日深夜の時点で周庭氏は保釈されて帰宅。
保釈後に周氏は「政治的な目的による摘発で馬鹿気ている」と当局の対応を批判しつつも「今まで4回逮捕されましたけれども」「正直、今回は一番怖かった」と告白。当局からは「7月以降にSNS等を使って外国の勢力と繋がった」事が逮捕理由だと言われたものの「どのSNSの内容が問題なのか、私とどう関係があるのかについて何も説明してくれていない」、「私は依然として、今回の逮捕理由が何なのか良く解らない」と述べた由。
同時に逮捕された民主派寄りの「蘋果日報/Apple Daily」創業者、黎智英/Jimmy Lai Chee-ying氏も保釈されたが、当局は引き続き両氏の捜査を続け、起訴を目指す模様。周氏が有罪判決を受けた場合は「海外勢力との結託」の法定刑である3年以上の懲役、最高で無期懲役という重い刑が科せられる事になる。黎氏に関し、現地では「中国本土に身柄を移送される可能性が有る」との報道有り。
香港当局が周庭氏達を逮捕し、後に保釈した真の理由は不明だが、一つには「中国や香港政府を批判すると逮捕されるのではないか」と云う恐怖を市民に与え、大規模な街頭抗議活動に参加し難い雰囲気を醸成する事が考えられる。或いは周氏が「諸外国に中国や香港政府への制裁を求めるSNSの集団」に関係して居り、此の集団に黎氏が「外国の銀行口座を使って資金援助した」と疑われた、此の集団が「crowd-funding campaignで170万US dollars超、日本円にして1億8000万円以上を獲得し、今後の国際ロビー活動に遣おうとしていた」等の報道から「民主派の資金源潰し」が目的だったかと読む向きも有る様だ。
8月13日(木曜)
石川県内で本日、13人の新規感染者が確認。うち7人は或る「カラオケ大会」に関連した感染で、其処からの集団感染は既に51人に及ぶ由。5月末の時点で日本カラオケボックス協会連合会等から感染拡大予防ガイドラインを公表されるも、集団感染の起こったカラオケスナックを経営する60代店主は「自分の店はカラオケボックスに該当しない」と判断。ガイドラインの内容も把握しないまま、カラオケ大会を開催した由。
大会は7月30日11時半から4時間に渡って開催。50代から80代の客が26人とスタッフ5人、合計31人が30畳程度の店内に集い、歌唱や飲食を楽しんだ模様。「60席有る座席を30席に制限」、「6本のマイクは一人が歌い終える度にアルコール入り除菌シートで消毒」、「食事は弁当と個別包装の菓子を提供」、「向かい合う客の距離は約三メートルを確保」等と一定の感染症対策は実行されていた反面、「隣の客との間隔は約30センチ」で、空気清浄機の導入を理由に「換気は一回しか行わない」、「検温はしない」等、十分とは言い難い部分も有った模様。
カラオケ大会は月一度開催される店の恒例行事だったが、コロナ禍のため3月以降は休止、6月末の再開から僅か二回で集団感染が発生したとの経緯有り。「最後までマスクをしていた客は陰性だった」、「マスク着用が一番大事だと思う」と云う主の言葉を残し、店は「暫く休業する」模様。
8月14日(金曜)
検査に於ける陽性者数を感染者数と考え、各自治体の公表した値を集計した結果、本日迄に日本国内の感染者は5万2869名、死亡者は1084名となった由。此れにチャーター便の感染者15名、空港検疫の感染者693名を合算すると5万3577名。国内死亡者は空港検疫での死亡1名を加えた1085名となる模様。
2月18日から8月12日迄の国内に於けるPCR検査。即ち国立感染症研究所、検疫所、地方衛生研究所・保健所等で実施された検査の件数は、暫定値だが144万0957件。一昨日の時点で、国内に於ける対新型コロナウイルスのPCR検査は、最大で一日当たり5万3799件が可能となった。以上、厚生労働省の報告より。
8月15日(土曜)
本日は75回目の終戦記念日。政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開催され、天皇や皇后と戦没者遺族達が参列。日中戦争と第二次世界大戦で犠牲になった軍人や軍属約230万人と民間人約80万人。約310万の御霊に対し、鎮魂の祈りが捧げられた由。
安倍晋三首相も「私たちが享受する平和と繁栄は戦没者の尊い犠牲の上に築かれた」との式辞で、哀悼の意を表明。政権が掲げる「積極的平和主義」を初めて盛り込む一方で「歴史の教訓を深く胸に刻み」の文言は消え、歴代首相が述べて来た亜細亜諸国への加害責任や謝罪には触れなかった由。戦没者父母の参列は2010年を最後に終了しているが、残る参列者も8割は70歳以上と高齢化が進み、遺族の最高齢は長屋昭次氏93歳。
今年も最年少の井田雪花氏12歳を含む193人の遺族が参列したが、新型コロナウイルスの影響で20府県が参列を中止する等の状況が有り、昨年の約6200人と比べると大幅な規模縮小を余儀無くされた。来賓を含めても540人と此の式典が始まった1963年以降で参加者人数は最少となったが、全参列者のマスク着用や事前の検温を徹底。国歌斉唱は行わずに奏楽のみとし、参列出来ぬ人の為にインターネット中継を導入する等の工夫が凝らされた模様。
8月16日(日曜)
インド共和国首相のNarendra Damodardas Modi氏に宛てて、同国の医師会が今月7日付で書簡を送付。新型コロナウイルスに感染して死亡した医師が196人に達した旨を訴えた由。
書簡に依れば、医師死亡の最多は南部のタミルナド州で43人、西部のマハラシュトラ、グジャラート両州が各々23人と続く。「亡くなった医師の相当部分は一般開業医」で「多数の開業医が毎日のように高熱や他の症状を抱えて来院する患者を治療しながら死亡して」居り、「医師や家族が入院したくても病床を確保出来ず、医薬品不足に陥っている」事例が多い事を示唆する情報も有り、医師会は「新型コロナに襲われた医師の死亡が憂慮すべき水準に達している」と主張。政府に対し、「高い感染リスクに直面する医師と其の家族への十分な配慮」を促した由。
米国Johns Hopkins University大学の本日集計では、全世界に於ける新型コロナウイルス感染者数の累計は2146万2593人。77万1111人が死亡、1344万8779人が回復。インドの感染者数は258万9682人と世界で3番目に多く、4万9980人が死亡、186万2258人が回復した模様。