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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和5年2月最終週~3月第1週

2月27日(月曜)

 本日の新たな感染者は空港検疫を含めて5330人、うち東京都 370人、大阪府339人感染。死亡者は東京都で8人、大阪府で6人、神奈川県で6人、埼玉県で5人、広島県で5人、北海道で4人、千葉県で2人、大分県で2人、熊本県で2人、香川県で2人、三重県で1人、佐賀県で1人、奈良県で1人、宮城県で1人、山口県で1人、岐阜県で1人、島根県で1人、愛知県で1人、群馬県で1人、鳥取県で1人の総計52人。重症者は170人で昨日より2人減。

 本日に厚生労働省は審議会を開き、コロナ禍で設けられた雇用調整助成金に()ける特例措置の扱いに就いて議論。通常は「直近3ヶ月間の(うり)(あげ)(など)が前年同期比で10%以上減った企業」が対象となるが、特例措置では「COVIDの影響で其の月の売上等が感染拡大前の令和元年から昨年(まで)(いず)れかの年の同じ月と比べて10%減少」若しくは「過去1年の(いず)れかの月と比べて10%減少」の条件を満たせば助成を受けられる。厚生労働省から「感染拡大後の支払い決定額が6兆3000億円を超えて財源不足が深刻化」の状況が説明され、参加した委員からも「未だに厳しい業界は在る」が財源不足の状況等を考えると移行は妥当」と受け止められた事で「特例措置を今年度で終了」、「新年度から通常の運用に戻す」との方針が正式決定したとの事。

 中国を対象にした水際措置に関し、政府は「3月1日から緩和」「全ての入国者に実施している入国時のPCR検査を一部に限定する」との新方針を発表。「同国からの直行便が到着可能な空港を羽田を含む4空港に限定」「増便を行わない様に航空会社へ要請」との措置も中止となるが、「緩和は段階的に進める必要有り」との観点から、入国者に陰性証明を求める措置は継続される模様。

 政府が公表した最新状況に拠ると、現在迄に国内でオミクロン株に対応したワクチンの接種を受けた者は5505万9781人で、全人口に対する接種率は43.7%。このうち65歳以上の高齢者は2677万1397人で、接種率は74.5%に到達したとの事。


2月28日(火曜)

 如月(きさらぎ)晦日(つごもり)。国内の新たな感染者は1万4524人。死亡者は67人、重症者はで166人。東京都内で新たに1181人、大阪府内で1003人の新規感染が確認された由。

 オミクロン株BA.5系統に対応するPfizer製ワクチンは12歳以上を対象に3回目以降の追加接種に使用されているが、昨年10月の時点で「5歳から11歳も対象に加える様に」とPfizerが厚生労働省へ申請。昨日に開かれた厚労省の専門家部会で「12歳以上への接種で発症予防効果が確認されていて有効性が期待出来る」「安全性に就いても影響を及ぼす可能性は低いと考えられる」として、5歳から11歳も対象に追加する旨が了承された。国内で5歳から11歳がオミクロン株対応ワクチンの対象となるのは初で、ワクチンに含まれる有効成分量は「12歳以上向けのワクチンの3分の1」となる予定。今後は無料で受けられる公的接種に位置付けされた上で、3月上旬から接種が始まるそうだが、同じく昨日の部会で「Novavax製ワクチンの3回目以降接種に関しても、18歳以上とされていた対象年齢を12歳以上に引き下げる」事が了承された由。

 三年前に時の安倍(あべ)政権(せいけん)(およ)そ260億円の巨費を投じたCOVID対策として「全国、全ての世帯に2枚ずつ、総計1億2000万枚」を配布した布マスク。通称「アベノマスク」等に関し、神戸学院大学教授の法学者、上脇(かみわき)博之(ひろし)氏が厚生労働省等に「納入業者の選定経緯が分かる資料」の公開を請求するも、「業者(ごと)の1枚の単価や発注枚数は今後の価格交渉に支障が有る」との理由で(かん)(じん)の部分が黒塗りで隠された情報しか公開されず()()い。「政策の妥当性が検証出来ず不当」として更に開示を求めて国が起訴された件に関し、本日に判決。大阪地方裁判所の裁判長、徳地(とくち)(あつし)氏は「単価や発注枚数を公にしても、企業の営業専門(ノウ)知識(ハウ)等に関する情報が明らかになったり、競争上の不利益が生じたりするとは言えない」。「政府が随意契約で購入する物品は、税金の使い道に就いて行政の説明責任が有る」等として、国に黒塗り部分を開示するよう命じた由。

 判決に対し、上脇教授からは「当然の判決」「国には隠したいとする判断が先にあったのではないか」「国は国民に説明する姿勢を取り戻し、政策に効果があったかを検証してほしい」。厚生労働省からは「主張が認められず、厳しい判決内容」「今後の対応は内容を十分検討し、関係省庁と協議して決定したい」との声明あり。


3月1日(水曜)

 本日は新規感染1万3950人、うち東京都1028人、大阪府797人。死亡は99人で、重症が160人確認された由。中国国家統計局が製造業3200社を対象に行った調査に拠ると、2月の製造業PMI=購買担当者景況感指数は52.6。前月から2.5ポイント上昇し、「景気の好悪を判断する節目」と言われる数値の50を2か連続で上回る等と景気が回復に向かう中で、香港では本日、3年間の長きに渡って継続されて来た「公共の場所に於けるマスク着用義務」が屋内・屋外を問わず撤廃された由。

 先週26日の時点で、Wall Stree Journal紙が「米国の勢力(エネルギー)省は『新型コロナウイルスの発生源に就いて、中国湖北省の武漢のウイルス研究所から流出した可能性が高い』と結論付ける報告書を纏め、官邸(ホワイトハウス)に提出した」と報道。一方で「他の複数省庁は動物からの感染だ」と判断しているとの事で、27日に(ひと)()(ホワイト)(・ハウス)の戦略広報調整官、John Kirby氏が「政府として未だ調査中であり、最終的な結論は出ていない」と発表。しかし昨日、連邦(れんぽう)捜査(そうさ)(きょく)( Federal Bureau of Investigation; FBI)で長官を務めるChristopher Wray氏がFOX newsの取材に対し、「武漢の研究所における事故」が原因となり、SARS-CoV2の世界的大流行(パンデミック)が発生した「可能性が高い」との見解を公表。「調査を妨害し、真実を分かりにくくしようとしている様に思える」と述べて中国を批判したとの事。

 世界的大流行の当初から我が国でも噂されて来た内容で、米国では前政権も訴えた内容だが、此の時期に改めて話題に取り上げられたのは、大統領選が近づく米国内の情勢が影響しているか。FBI長官の発言に対して中国外務省の報道官、毛寧/Mao Ning氏も記者会見。「研究所からのウイルス流出の可能性は極めて低い」と()うのが「中国と世界保健機関(World Health Organization; WHO)の調査隊が出した権威有る科学的な結論」で「国際社会や科学分野の世界で広く認められている」。「情報機関が科学的な問題を扱う事自体が問題の政治化」で「その結論に何の信頼性もない」等と強く反発した由。

 本件調査に関して中国の協力が十分だったか如何(どう)か、大いに疑わしいのはレイ長官の言う通りだが、先にWHOが行った調査で有罪に足る証拠が発見されなかったのも事実。FBIと言えども、中国に潜入して確たる証拠を(つか)むのは至難と思われるが、米国側に次の一手は有るのか。


3月2日(木曜)

 本日の新たな感染者は1万1506人。亡くなった者は千葉県で11人、埼玉県で7人、広島県で5人、愛知県で5人、福岡県で5人、京都府で4人、兵庫県で4人、神奈川県で4人、北海道で3人、大阪府で3人、東京都で3人、沖縄県で3人、滋賀県で3人、熊本県で3人、石川県で3人、奈良県で2人、宮崎県で2人、愛媛県で2人、茨城県で2人、長野県で2人、和歌山県で1人、大分県で1人、宮城県で1人、山口県で1人、山梨県で1人、岐阜県で1人、栃木県で1人、福井県で1人、福島県で1人、秋田県で1人、高知県で1人の総計87人。重症者は141人。

 東京都内では新規952人の感染が確認されるも、先週木曜より120人減。昨日時点の入院患者数も802人で、凡そ8ヶ月ぶりに千人未満となり、大阪府内の新規感染は698人。

 感染症法上に於けるCOVID五類移行後の体制を模索中の厚生労働省が「現在は公費で賄われ、窓口負担が無料」とされて来たCOVID診療の医療費に関し、「検査や陽性が判明した後の外来診療」に関しては「自己負担にする」方向で検討を始めた旨の報道有り。例外として「高齢者施設に勤務する者の検査は引き続き無料」として施設内での感染拡大を防ぎ、急激な負担の増加を避ける為に「高額な治療薬に就いても引き続き無料」。入院費は「原則として自己負担」となるが「月に最大2万円を軽減する措置」を設け、9月末まで継続した後、感染状況等を踏まえて延長の要否を検討。(これ)()の方針が自治体や医療関係者等と調整の上、今月上旬にも公表される模様。


3月3日(金曜)

 本日の新たな感染者は1万522人、67人が死亡。重症者は130人。五類移行後の体制に関し、厚労省は「重症化危険性(リスク)が高い高齢者への介護事業(サービス)を提供する事業所」への支援や措置は原則「現行通りに継続」の方向で検討。具体的には「感染対策に必要な物資や介護人材の確保に要した費用の助成」「事業所で働く職員を対象として定期的に行う集中的検査への支援」等で、感染した高齢者が入院出来ず施設内で療養する場合に支払われる1人当たり最大30万円の補助金も「要件を精査したうえで継続」となる模様。

 政府は本日、「長引くコロナ禍の影響で、孤独や孤立の問題が一層深刻になっている」情勢への対策として、孤独(こどく)孤立(こりつ)対策(たいさく)推進(すいしん)法案(ほうあん)を閣議決定。「社会の諸有(あらゆる)分野で対策を推進する」事、「当事者や家族の立場に立った支援を継続的に行う」事を基本理念とし、対策を策定して実施する事を「国や自治体の責務」と位置づけ、内閣府に総理大臣を本部長とする孤独・孤立対策推進本部を設置。対策の具体的な目標や達成期間を盛り込んだ重点計画を作成する等を定めて、今の国会で法案の成立を目指すそうだが、対策が骨抜きにならず実効性を伴うものになるか如何か。

 本日の参議院予算委員会で、立憲民主党の石垣のりこ氏は「死者の絶対数は増えている」が「(だい)(はっ)()以上に死者が増えた場合は如何、対応するのか」と糾問。岸田総理は応じて曰く「五類に位置づけた後」に「オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現する等、科学的な前提が異なる状況」に立ち至れば「(ただ)ちに対応を見直す」。具体的には「二類感染症と同様の入院勧告等の各種措置を適用する事が考えられる」と答えた由。

 同じく本日、42病院が加盟する国立(こくりつ)大学(だいがく)病院(びょういん)(ちょう)会議(かいぎ)が東京都内で記者会見。五類移行後に於いても「各地の大学病院には重症化リスクが高い患者も多く、ウイルスを持ち込ませない体制を堅持する」必要があり、診療体制は大きく変えられない。COVID対応には「通常診療の3倍程度の人手が掛かる」一方で、「重症患者を診る為には一定程度の病床を確保する必要が有る」。「コロナ禍で病院全体の病床稼働率が大幅に低下」「COVID対応の診療報酬加算や病床確保の交付金等で赤字を穴埋めしている」状況に加えて、最近は「防護服等の価格や光熱費も高騰」等の根拠を挙げて、国に対して財政支援の継続を要請したとの事。本日は(じょう)()の節句。桃の節句、(ひな)(まつり)とも云う。妻が散らし寿司と(はまぐり)(すい)(もの)で祝ってくれた。


3月4日(土曜)

 本日の新たな感染者は1万431人。東京都では795人で先週土曜より387人減、大阪府で632人。死亡は愛知11人、千葉7人、兵庫5人、埼玉5人、大阪5人、神奈川5人、北海4人、広島4人、福岡4人、静岡4人、岡山3人、長野3人、三重2人、大分2人、奈良2人、富山2人、愛媛2人、栃木2人、京都1人、佐賀1人、宮城1人、山梨1人、岩手1人、東京1人、滋賀1人、秋田1人、茨城1人の総計81人。重症者は131人。

 疾病管理予防中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)は「今月4日(まで)の1週間に米国内で新たに感染した者のうち、89.6%がオミクロン株XBB.1.5系統に感染している」との推計を発表。前週の85.4%と比して約4ポイントの増加となり、去年12月から割合が上昇し続ける一方、新規感染者の数自体は今月1日の時点で1日平均が約3万2000人と1月以降は減少傾向。新たに入院する患者数の一日平均も先月28日時点で約3300人、死者数の一日平均も今月1日の時点で約330人と同様に減少傾向を維持。CDCが米国内の感染状況を3段階に分類した所に拠ると、今月2日の時点で凡 (およ)そ82%の地域が「低い」に分類され、「高い」とされた地域は2%程度に留まった由。

 また長崎大学等に属する研究者集団が「オミクロン株のBA.5系統の感染が広がった昨年7月から9月」に「9都県の11医療機関」で「COVID疑いに()り入院した16歳以上」の789人を調査し、ワクチンの接種歴や検査結果、生じた症状等を分析した結果を先月に厚生労働省の専門家会合で報告。COVIDで入院した者が重症化する割合に就いては「ファイザーかモデルナのワクチンを2回接種した者では接種していない者と比較して16.3%、3回接種完了者で56.9%、4回接種で78.2%」の低下を認めた。入院に至った割合に就いては「2回接種で58.2%、3回接種しで72.8%、4回接種で84.8%」の低下を認めたとの事だが、今回の調査期間に接種されていたのは大半が従来型のワクチン。

 暫定的な分析結果では在るが「接種回数が多い程、有効性が高まる傾向が見られた」との事で、長崎大学特任研究員にして「新型コロナワクチンのワクチン効果の長期サーベイランスの構築と活用」の研究で国の科学研究費助成を受ける前田(まえだ)(はるか)氏は「従来型のワクチンでもBA.5に対して重症化予防等で有効だった」と考えられ、「2回目や3回目で接種が終わり、時間が経っている場合」には「若い人でも追加の接種は推奨出来る」と語ったとの事。


3月5日(日曜)

本日は新規感染8731人で死亡が50人、重症は132人。観光庁の発表に拠ると、昨年1年間に国内の旅舎(ホテル)や旅館等を利用した宿泊者数の速報値は延べ4億5397万人で、前年比42%の増加。感染拡大以前の2019年と比べても、76%の水準まで回復した由。このうち日本人宿泊者は、旅行代金が割引される全国(ぜんこく)旅行(りょこう)支援(しえん)が開始された昨年10月以降に増加。前年よりも39%多い延べ4億3721万人となるも、全国旅行支援が順次終了する4月以降の動向は未知数。外国人の宿泊者は前年比3.8倍の延べ1676万人で、10月以降は水際対策の緩和によって大幅に回復。本年も増加は続いている由。

三年前のDiamond Princess号船内に於ける集団感染以来、日本国内への国際客船受入は停止されて来たが、昨年になって国が水際対策を緩和。「港毎に準備が整い次第、受入を再開する」との方針を示し、今週1日に独逸の会社が運航するAmadea号が乗客と乗員800人余を乗せて静岡県静岡市の清水港に到着。岸壁で和太鼓の歓迎を受けつつ船が着岸すると、船内で乗客の健康状態や接種証明確認等の検疫が行われた後、乗客達が下船。入国手続を済ませて港の土産物売場を訪れた後は富士山を見に行く等で半日を過ごし、夜に出発。翌2日に東京都江東区の東京国際クルーズターミナルに入港。また和太鼓の演奏が披露された後、船を降りた乗客達は明治神宮や箱根等へと向かったが、今月は「外国のクルーズ船6隻が東京国際クルーズターミナルに入港」「来月以降も相次いで入港する」予定との事。

 今週は、滋賀県大津市で恒例の琵琶(びわ)()(びら)きが、3年ぶりに出席者を世界的大流行以前と同規模に戻して開催。徳島県の鳴門海峡でも「渦潮に鍵を投げ入れて観光時季(シーズン)の幕開けを祝う」(うず)(びら)きが行われる一方、千葉県松戸市にある佐渡ヶ嶽部屋は「(かつ)て部屋に所属していた元序二段力士」から「緊急事態宣言が出されていた一昨年1月に感染への不安から休場を希望」するも認められず、親方から「出るか辞めるかしかない」と選択を迫られた結果、「引退を余儀無くされた」との訴訟を起こされ、日本相撲協会と親方が慰謝料等410万円余の支払いを求められた模様。


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