令和5年1月第3週
1月9日(月曜)
厚生労働省の発表に曰く、成人の日たる本日に確認された新規感染者は空港権益を含めて9万5308人。また国内の死亡は愛知県で32人、大阪府で29人、東京都で28人、埼玉県で23人、福岡県で18人、神奈川県で17人、千葉県で15人、宮崎県で11人、茨城県で11人、愛媛県で10人、山口県で9人、静岡県で9人、京都府で8人、兵庫県で8人、宮城県で7人、岩手県で7人、熊本県で7人、佐賀県で6人、北海道で6人、山梨県で6人、群馬県で6人、香川県で6人、大分県で5人、滋賀県で5人、高知県で5人、三重県で4人、和歌山県で4人、岡山県で4人、石川県で4人、長崎県で4人、奈良県で3人、岐阜県で3人、島根県で3人、栃木県で3人、鳥取県で3人、秋田県で2人、富山県で1人、山形県で1人、徳島県で1人、福井県で1人、鹿児島県で1人の総計336人。累計は6万158人となり、遂に六万人を突破。SARS-CoV2感染が確認された後に人工呼吸器やECMO、集中治療室を用いた治療を受ける重症者は648人。東京都内で新たに8199人、大阪府内では5661人の感染が報告された由。
香港/Hong Kongの報道機関が伝える所に拠ると、先週7日の時点で「中国内陸部、重慶/Chongqingに在るCOVID抗原検査キットを製造する工場で、千人を超える労働者が人員削減や給与への不満から警察と衝突」。8日にRoiter通信が「怒号を上げながら物を投げる労働者」と思しき人々の映像を配信。所謂、ゼロコロナ政策が打ち切られた結果、「8日以降は感染者を把握する目的のPCR検査や抗原検査の需要が激減」「一時は品薄だった抗原検査キットの価格も下がり、工場の業績悪化から人員削減」「今回の抗議活動を招いた」と見られる情勢。
一方、中国政府は水際対策の見直しに伴い、9日から旅券申請手続を再開。同国内の3200余を超える場所に申請を受け付ける窓口が設置され、北京/Beijingの窓口では長蛇の列が生じるも、日本を含む海外への旅行制限は続く。中国に於ける感染拡大に収束の兆しは見えず、日本政府は「先月30日から臨時の水際措置」「今月8日から中国本土からの直行便に依る入国者に出国前72時間以内の陰性証明の提出を求める」等と対策を強化して来たが、更に今月12日からは「澳門/Macauからの直行便で入国する者」に対しても「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明」提出を求め、入国時のPCR検査等も実施するとの事。
1月10日(火曜)
本日の新たな感染者は7万5504人。死亡は253人で、重症者は昨日より8人増の656人。政府が公表した最新状況に拠ると、国内でオミクロン株対応型ワクチンの接種を済ませた者は4640万5637人で、全人口に対する接種率は36.9%に達し、65歳以上の高齢者に限定すると2232万4803人で接種率62.1%との事。東京都からは新規感染7462人との発表有るも先週火曜より2182人を減じ、六日振りに前週同曜を下回った。しかし東京都医師会の会長、尾﨑(おざき)治夫 (はるお)氏は本日会見で「年末年始の休みの影響が明日以降に出て来る」と思われるが「未だ油断出来ない状況」。「行動制限の無い社会」に於いて「医療や救急、介護の現場は非常に厳しい状況」が続き、「予防の柱はワクチン接種」だが「ワクチン接種の予約は今月に入ってから減って来ている」。若年者を筆頭に「打っていない人は今からでも遅くない」「少なくとも3回は接種して欲しい」と訴えた由。大阪府内でも新たに6000人が感染。
COVIDが猛威を振るい、更に流行性感冒も全国で流行する中で、小中学校の冬期休暇は終わり、3学期が開始。大阪大学教授の忽那賢志氏曰く「新型コロナとインフルエンザの同時感染」は稀な事例なれども現実に起こり得る事象にして「重症化する可能性が新型コロナのみに感染するのに比べて4倍」、「亡くなる頻度も2倍ぐらい高くなる」とも言われる由。今月7日の時点で「全国の死者数が過去最多の463人」を記録した件に関しては「全数把握の方法が変わった」事から「実際の感染者数は第7波の頂点を超えている」可能性も有り、感染第八波の終わりが見えぬ中で「免疫逃避という性質が更に強くなっている」変異株、XBB.1.5の国内流入が起これば「ますます感染者が増えやすい状況になるだろう」と不吉な予言も語られた由。
昨年10月に運用が開始された後、「放って置いても観光需要の増加する年末年始は一旦休止」となっていた全国旅行支援。本日宿泊分から再開されるも、旅行代金の割引率は従前の40%から20%に削減され、割引を受けられる金額の上限も「宿泊と交通機関での移動を組み合わせた商品で1人1泊当たり5000円迄」「日帰り旅行や宿泊施設のみの利用は3000円迄」等と切り詰められた。全国の旅行会社、凡そ1100社で構成される日本旅行業協会の会長、高橋広行氏は本日の年頭会見で、国内旅行の需要回復に於いて「全国旅行支援の効果が極めて大きく、支援内容を縮小しても可能なかぎり長く継続してほしい」と要望するも、現時点では「国から都道府県に措置した予算が無くなり次第、順次終了」の予定。
1月11日(水曜)
先週8日に至る一週間に「患者の搬送先が決まる迄に病院への照会が4回以上有った」事例を含む搬送困難事例が7558件発生し、過去最多だった前週より400件増えて三週連続で過去最多が更新された旨を、総務省消防庁が発表。厚生労働省の報告に拠れば、今週9日迄の六日間に、全国で確認された高齢者福祉施設での集団感染等は総計722件。過去最多を記録した昨年12月25日迄の週に於ける954件よりは減ったものの、年末年始を挟んだ今月3日迄の週は861件と、第7波の頂点たる昨年8月の850件を上回り、介護の現場で厳しい感染状況が続く。
COVIDを経て死亡したと発表された者の数は昨年10月には全国で1864人だったが、11月に2985人、先月は7622人と急増し、今月は10日時点で3145人と先月を上回る速度で増加。先月7日から今月3日に於ける死者のうち、年代や性別が判明した5825人を年代別にみると、10歳未満が4人で全体に占める割合は0.07%。10代が4人で0.07%、20代が5人で0.09%、30代が16人で0.27%、40代が35人で0.60%、50代が97人で1.67%と少なかったのに対し、60代は296人で5.08%、70代は996人で17.10%、80代は2398人で41.17%、90代以上は1974人で33.89%と高齢者が多数を占め、厚生労働省の専門家会合では「高齢者施設に於ける感染拡大で、今後も感染に因る高齢者死亡が増加し続ける」事への懸念が指摘されたとの事。
そして、本日の新たな感染者は19万8873人。亡くなった人は381人、重症者は665人と18時台にNHKが報じるも、朝日新聞デジタルが伝える所では、19時半時点の新規感染者数は20万3393人、死者は520人で初めて500人を超えて過去最多となった由。昨日の記者会見で中国外務省の報道官、汪文斌氏が、「科学的な事実や自国の感染状況を考慮せず」に「中国に対して差別的な入国制限」を行う「少数の国」に対して「我々は断固として反対し、対等な措置を執る」と発言。昨夜に中国当局が「中国を訪れる日本人への査証の発給を10日から一時的に停止」と発表した模様。
此れに対して、林外務大臣が訪問先の亜爾然丁、伯英諾愛斯から「我が国が新型コロナ対策を目的として、国際的な人の往来を止めるものとならないよう可能な限りの配慮を行って水際措置を実施している」にも関わらず、「中国が新型コロナ対策とは別の理由で査証発給の制限を行う」事は「極めて遺憾」。同国に「外交ルートで抗議する」と共に「措置の撤廃を求めた」と語った。実際に昨日から「人道目的」以外の査証申請は出来なくなっているものの、日本の大手商社からの同国出張は多いとは言えず、発給停止の影響は現時点で限定的との事。
松野官房長官からも中国側に抗議し、措置撤廃を求めた旨の発言が為される一方、汪文斌報道官は本日会見で再び「関係する国が中国に対し、差別的な措置をとった状況に基づいて対等に反応した」、「国民の正当な権利や国家間の正常な往来や協力に必要な環境を守るため正当かつ合理的な措置だ」等と主張。しかし「日本は中国人の訪日査証の発給を制限して居らず、中国の措置は対等性に欠けているのでは無いか」との問いには答えず、「米国も水際措置を執っているが、対等の措置を執らないのか」と云う質問に対しては「既に回答した」と逃げたとの事で、先方には先方の事情も色々有る模様。
本日に第113回の新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会。所謂、専門家会合の開催。提示された資料に曰く、今月10日に至る一週間の新規感染者数は全国では前週と比1.28倍と増加。全都道府県で前週より感染者数が増えているが「特に中国や四国、九州等では増加の幅が大きくなっている」。死亡者数も過去最多を超える状況が続いて「高齢者施設や医療機関での集団感染も増加傾向」、更なる死亡者増加が懸念される。病床使用率は多くの地域で5割を超えて7割を超える地域も生じ、救急搬送が困難な事例は昨夏に於ける第七波の頂点を超えて増加傾向。今後も多くの地域で感染者数の増加傾向が続くと予測され、「ワクチンの接種や感染から時間が経って免疫の水準が下がる」「より免疫を逃れ易いとされるオミクロン株のBQ.1系統の割合が国内でも増加している」「中国での感染拡大」等の影響にも注意が必要。季節性流行性感冒も全国で流行期に入っていて、学校の再開後に新型コロナとインフルエンザの同時流行に注意が必要等の指摘が為され、「高齢者や重症化危険性の高い者に適切な医療を提供するための医療体制の強化や重点化」「オミクロン株対応のワクチンの接種「自分で検査出来る抗原検査キットを準備」「飲食は極力、少人数で飲食時以外はマスク着用」「換気の徹底」「症状が有れば外出を控える」等の基本的感染対策の徹底を改めて呼び掛けたとの事
会合後の記者会見で、座長の脇田隆字氏は「感染者数が増えて」「高齢者や基礎疾患のある人の感染も増え」、ウイルス性肺炎と云うよりは「基礎疾患の悪化による死亡も増えて」居る情勢に対しては、「更に深掘りの分析が必要」かも知れぬ。一方、感染者数は「報告よりも可成多いのではないか」との意見も存在して「実態把握の必要が有ると考えている」と述べた。
また「感染症法に於けるCOVIDの位置付け」を「季節性流行性感冒等と同じ五類等に見直した場合」に生じ得る影響に関し、専門家会合の構成員が見解を纏め、本日の会合にて提示。此の件に関し、脇田座長は「オミクロン株は重症化率が低いが感染性が高い」ので「感染症法上の類型を見直しても適切な対応を継続しないと、医療には大きな影響が出てしまう」。感染症法上の類型に関わらず「市民が納得感を得られる施策」をすべきで「感染者や接触の有った人が他の人に感染を広げない行動、規範、指針」を示し、「人々の自主的な健康習慣としていくべき」だが「病原性が高まり、感染力も高まった変異ウイルス」が出現した場合には「感染の広がりを抑える対応も必要」。「流行状況を経過観察し、変異ウイルスによって医療に深刻な影響が出る場合は対策をすべきだ」と述べた由。
COVID対策として行われる「強制力を伴う措置」に関しては、本日の専門家会合にて倫理や法律の専門家が「自由や権利の制限が必要最小限に留まっていない」と提言。「感染症法に基づいて行われる入院勧告に従わない場合に罰則が有る」等と強制力を伴う措置の対象とされている現状に対し、「措置の有効性と人権の制限の均衡が釣り合わず、必要最小限度を超えた人権の制限を容認している状態が続いている」等と指摘し、国へ「速やかに見直す様に」と要求した由。また提言に於いては「障害者や高齢者について接触による介護が不可欠」で「制限が齎す影響は見過ごせない」として「施設での面会や付添が速やかに再開出来る」様に実態調査や指針の策定が求められ、其の他の「現時点で有効とは言い難い過度な感染対策」に対しても「取り止めるべきで在る事を明確に示す必要が有る」と説かれている由。
1月12日(木曜)
警察庁が「先月に全国の警察が変死等で扱った遺体のうち、新型コロナへの感染が確認されたのは901人」で「昨年8月の869人を上回り、過去最多を記録した」旨を発表。年代別では80代の337人が最も多く、70代が198人、90代が188人、60代が70人、50代が40人。発見場所は「自宅や高齢者施設等」が856人、「外出先」が45人で、地域別では東京都が111人、大阪府が67人、千葉県が59人、北海道が55人、神奈川県が52人となり、死因が判明した者のうちCOVID自体が原因で死亡したのは255人で、肺炎は32人だったとの事。
米国で急速に感染が広がるオミクロン株の一型、XBB.1.5は「BA.2のうち二つの型が組み合わさった変異株、XBB」に更なる変異が加わったものだが、其の特徴や危険性に関し、昨日に世界保健機関(World Health Organization; WHO)が「専門家による初期調査」の結果を公表。米国で得られた情報に於いて、XBB.1.5の有する「過去の感染やワクチン接種で得た免疫から逃れる性質」は既存の変異株と比べても「最強の部類に入る」と見られる一方で「重症化の危険性」、「現在のワクチンで得られる重症化や死亡の予防効果」を確定するには情報不足。現時点では「XBB.1.5が世界的な感染者数の拡大に繋がる可能性が有る」ものの、感染力の強さは「1箇国のみの資料に基づいた推定」しか出来ぬ故に「全体的な信頼度は低い」としか言えぬが、今後も情報収集を続けて更なる評価を行う由。
XBB.1.5に関しては、米国の疾病管理予防中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)から「同国で今月7日に至る一週間に発生したCOVID患者のうち、推計で27.6%が同株由来」との報告が有り、先月3日時点の推計2.3%から急速に拡大。WHO曰く、XBB.1.5は「昨年10月22日から今月11日までの間に38箇国で報告されるも、8割以上が米国から」。本邦に於いては、本日に東京都が開催したモニタリング会議の席上で「昨年1年間に於けるゲノム解析」の最新結果が報告されたが、9月には全体の98.4%を占めたBA.5の割合が、先月には60.6%にまで減少する一方、新たな変異株の割合は増加し、XBB.1.5は先月1日の都内に於ける初確認から現在迄に15例確認済。厚生労働省の専門家会合も「諸外国の状況等を分析」すると共に「ゲノム解析による監視を続ける」事が肝要としているが、XBB.1.5流入の時期、規模等に依って今年の感染状況が大きく変動する事も覚悟せねばなるまい。
斯様な情勢の中で、本日の新たな感染者数は18万5472人。死亡は福岡県で45人、大阪府で31人、東京都で29人、埼玉県で27人、静岡県で24人、北海道で23人、兵庫県で21人、三重県で19人、千葉県で18人、宮崎県で18人、熊本県で18人、愛知県で17人、栃木県で15人、宮城県で14人、高知県で13人、岡山県で11人、愛媛県で11人、群馬県で11人、茨城県で10人、神奈川県で9人、大分県で8人、京都府で7人、新潟県で7人、鹿児島県で7人、佐賀県で6人、岐阜県で6人、岩手県で6人、滋賀県で6人、石川県で6人、山口県で5人、山梨県で5人、長崎県で5人、和歌山県で4人、広島県で4人、長野県で4人、香川県で4人、山形県で3人、富山県で2人、島根県で2人、徳島県で2人、福井県で2人、鳥取県で2人、奈良県で1人、秋田県で1人の総計489人で、今月7日の463人を上回って過去最多。重症者は697人。
東京都内では新たに1万3427人が感染。先述の如く、本日に都庁で都内の感染状況と医療提供体制を分析、評価するモニタリング会議が開かれ、専門家は感染状況の警戒水準は4段階中の第2位、医療提供体制に関しては最重症の水準との判断を維持。埼玉県川越市の埼玉医科大学総合医療センターでは先月以降、40床のCOVID専用病床の凡そ8割が埋まる状況が持続。COVIDの疾患で一般病床に入院した後に院内で感染した患者が多く、外部から専用病床に新たな患者を受け入れる事が難しくなっているが、治療を経て回復しても、転院先となるリハビリ病院でも同様に病床がひっ迫して居て「更に入院期間が長期化」「病床が空かない」との事。医療者の感染も相次いで、頂点時には看護師を含む約100人が欠勤。手術を要する患者の受入も断らざるを得なくなる等とCOVID以外の診療にも影響が広がっているそうだが、当方勤務先も含めて全国の中枢病院で大同小異の状況が生じているものと思われる。
大阪府内でも1万1466人、三重県でも過去最多5457人の新規感染が発生。昨日の専門家会合で「感染症法に於けるCOVIDの扱いを五類へ変更する」件に関して「今後も医療がひっ迫したときに調整を行う機能を維持する」等の「必要な準備を進めながら行うべき」との見解を示された事に関し、本日午前の会見で松野官房長官が言及するも、「更に具体的な議論を進めて貰う所」だが、政府としては「現在の感染状況や科学的知見、専門家の議論等も踏まえつつ、移行の時季も含めて総合的に判断していきたい」等と言質を取られぬ発言に終始。
1月13日(金曜)
国立感染症研究所等の発表に曰く、今月8日迄の1週間に全国の約5000箇所に及ぶ医療機関から報告された流行性感冒の患者数は、前週の2.37倍となる2万3139人。1医療機関当たりの1週間に於ける患者数4.37人から推計される全国の患者数は、凡そ18万2000人。都道府県別では沖縄県が17.77人と最も高く、次いで宮崎県12.37人、佐賀県10.08人で「今後4週間以内に大きな流行が起きる恐れが高い」とされる水準の10人を超えた事から三県共に注意報を発した由。
東京消防庁からは「昨年1年間に寄せられた119番通報は速報値で103万6645件」「現在の方法で集計する様になった平成27年以降で初めて100万件を超えて最多を記録した」旨の報告有り。救急車の出動件数も「速報値で87万2101件」に上り、令和元年より4万6000件余を加えて過去最多を更新。COVID感染拡大に加えて、夏に熱中症の搬送が多かった事等の要因が影響したものと見られるが、感染第八波の中で年が明けてからも通報や救急車出動の件数は高止まりの状況が続き、元日から11日迄の救急車出動件数は2万9000件を突破した模様
全国の新型コロナウイルス新規感染者数を一週間平均で比較すると、先月22日迄は前週比1.12倍、先月29日は1.09倍。今月5日は0.71倍と減少傾向となるも、今月12日は1.46倍と再び増加傾向に転じ、一日当たりの全国の平均の新規感染者数は先週より5万5000人余り多い約17万6000人となり、全都道府県で前週より多くなった。増加速度も全ての地域で上がり、三重県では2.04倍、兵庫県では1.87倍、静岡県では1.85倍、茨城県では1.79倍、愛知県では1.72倍だったが、静岡県では一日当たりの平均の新規感染者数が過去最多。人口当たりの感染者数が最も多いのは宮崎県で、10万当たり1914.12人、一日当たりの新規感染者数はおよそ2925人。新規感染者数を1週間平均で比較すると先月29日までの1週間は前週比1.41倍、今月5日は0.93倍、今月12日は1.37倍との事。
そして本日の新たな感染者は14万4077人、死亡は480人で、重症者は695人。東京都内で新たに1万1241人が感染。板橋区に在る日本大学医学部附属板橋病院は過去の感染拡大に際して他病棟を一時的に閉鎖する事で、COVID対応に当たる看護師と最大で60床の専用病床を確保して来たが、今回の第8波では医療者の感染が相次ぎ、12日時点での看護師欠勤が48人に上り、新規のCOVID入院受入が困難になっている模様。
大阪府内でも新たに9040人の感染が報告される一方、本日に第一三共は「開発を進めて来たCOVID用mRNAワクチンに関し、厚生労働省に承認申請を行った」と発表。「18歳以上を対象に、3回目の接種としての使用を想定している」「18歳以上のおよそ5000人を対象に3回目の接種を想定して行った最終段階の臨床試験ではPfizerやModernaのワクチンと同等の有効性が確認され、安全面も問題無し」との事で、国産としては塩野義製薬の組換蛋白ワクチンに続いて2例目、mRNAワクチンとしては初の申請。額面通りならば申し分無しだが、真価が分かるのは少し先となるか。
国内で初めて感染者が確認されてから早三年が経過。内外で様々な動きは有るものの、第八波の終わりが見えぬ情勢に於いて、今夕にNHKが政府分科会の会長、尾身茂氏への取材を決行した由。
尾身会長との問答は90分の長丁場に渡り、先ずは「連日、過去最多の死者数が報じられる」現状に関して、「感染者の届出の方法が変わった事が背景に在る」と分析。報告されている感染者数は「実際の感染者の一部」に過ぎず、また「60代以上の高齢者で基礎疾患を持っている人達」の死亡が多い事が「資料ではっきりして」いるが「日本は世界に最たる高齢社会」で在る事も関連。また英国では「献血の資料を見ると国民の8割くらいが既に感染」しているのに対し、我が国では「正確には分からないが、感染を経験したのは英国の3分の1くらい」と推定され、「自然感染した人が他の国に比べて少ない」事も感染急拡大に寄与した可能性大で、今後も「暫く亡くなる人が増える傾向は続くのではないか」との事。
医療と社会経済の均衡に関しては「今、求められるのは必要な医療を確りと提供しつつ、社会経済を回して行く事」で、高齢者への対策は矢張りワクチン。「まだ打っていない人が居る」と思われるも「是非、接種をして貰いたい」。
昨今の流行を拡大させる変異株の特徴としては「致死率や重症化率は間違いなく下がって来て」いるが、風邪とは違う部分」は「感染力の強さ」。「元々、感染力が強いウイルス」で「流行性感冒よりも強い」ものが「此処に来て、更に強くなって」いるので、「致死率は低いかも」知れぬが「感染する人数の規模がとても大き」い。「死亡に至る人の数が多い」事が三番目の特徴だが、更に「季節性インフルエンザは文字通り、季節性があり、冬になると多くなる」との特徴を有するのに対して「新型コロナは此の3年間、感染拡大の波を繰り返していて」、而も「ウイルス自体の性状が変化し続けている」。感染状況が如何に展開するかの予測が付かぬ点に於いて、流行性感冒とは比較にならぬ事等が語られた由。
1月14日(土曜)
昨年10月18日、将棋の第81期名人戦A級順位戦で、佐藤天彦九段が永瀬拓矢王座と対局。当初はマスクを着用していた佐藤氏だったが終盤の23時頃、長時間に渡ってマスクを外す時間帯が有り、永瀬氏から「反則では無いか」と指摘されて関係者が協議し、佐藤氏の反則負けが確定。しかし佐藤九段は納得せず、「反則負け判定の取消」「対局の遣り直し」「臨時対局規定の適用基準の明確化、規定の趣旨に反する規則の修正」「臨時対局規定の改廃時期、条件の明確化」の四点を求め、日本将棋連盟に不服申立書を提出するに至った。
此の問題に関して昨年11月13日、女流棋士の香川愛生女流四段が自身のyoutube channelに「『マスク不着用』反則問題について、岡野タケシ弁護士とお話ししました」と題する動画を投稿。今回の件に関しては「注意が無く、いきなり反則負けになった」点に関して佐藤九段に同情する声が上がって居り、香川女流四段も「事前に注意出来なかったのかとか、然う云う議題が良く上がっている」と述べたのに対し、Atom法律事務所代表、且つYouTuber兼TikTokerの岡野武志氏は「其れは其れで問題が有る」と指摘。即ち「反則負け」とされるべき状態に於いて「第三者が注意する」事は或る意味、「支持的な」「其れは其れで肩入れして居る様な」意義を持つ。故に、当該の状況下でマスク未着用を注意する事は不可能に在らざれども「せずに反則負けという判断を其の場で下すのは有るとの見解に、岡野弁護士としては立つ由。
また問題の裁定は、コロナ禍に於ける対局の為に作成された臨時対局規定に基づくが、此の規定に関しても岡野氏は「内容も確りして」居り「色んな要件」や「違反した場合に如何なると云う事」も「キッチリ書かれて」いると評価。「規定が有る以上は、其れに乗っかって適用して行く」のが「運営側の一つの仕事」となり、佐藤九段が求める「反則負け判定の取消」に関しても、臨時対局規定を読んだ上で今回の処分を見ると「正に此処に書かれている事が粛々と行われた」との印象を受ける」。「恐らく裁定は引っ繰り返らないのでは無いかな」とは思いますね」との事。
そして今週10日にも、大阪市福島区の関西将棋会館で行われた第81期順位戦C級1組9回戦。平藤眞吾七段対日浦市郎八段戦にて「日浦八段の反則負け」の裁定が下され、翌11日に日本将棋連盟が経緯と詳細を報告。連盟の報告に拠れば、対局開始前に「鼻を出してマスクを着用していた」日浦八段に対し、平藤七段が「鼻を覆う正しいマスクの着用を求める」も日浦八段が了承せず、平藤七段が対局開始後に対応を求めた。立会人は臨時対局規定に従い、即座に「正しいマスクの着用」を行う様に注意したが、此れにも日浦八段は応じず。以降も3回に渡って繰り返された同様の注意に悉く日浦八段が従わず、断固として「正しいマスクの着用」を拒み続けた時点で、立会人が注意に従わない場合は反則負けとなる可能性が有る旨を通知。此の期に及んでも日浦氏が従わぬ旨を宣言し、立会人が「臨時対局規定の第3条及び第4条に基づき、日浦八段の反則負けを裁定」するに至ったとの事。事実ならば、今回も妥当な裁定と言えよう。
また連盟は「昨今の社会情勢を鑑みた場合、対局中のマスク着用義務の有無に就いては議論が有る所」なれども、所属棋士には「高い公共性を求められる公益法人として政府の方針・基準に則った対応をする」と云う連盟の趣旨を「定例報告会の場で」提示済と説明。本件に関しては、同じく11日に元格闘家で参議院議員の須藤元気氏がTweet。経緯を報じた記事を引用して「勝負事にはルールがある」が「競技そのもののルールではない『鼻だしマスク』で反則負けにするのはどうか」「いつまでこんなことを続けるんでしょうか」と疑義を呈したそうだが、連盟としても「コロナ禍の最新状況を見極めつつ」、「同規定の改善や改廃」に就いても「適切に判断して参ります」と現行の規則に拘泥している訳でも無し。須藤氏の言条は稍、的外れかと存ずる。
1月15日(日曜)
中国政府が所謂ゼロコロナ政策を終了させ、1月8日を最後に感染者数の発表を中止した事で、感染の実態が不明となる中、13日に同国のnews site「経済観察網」が北京大学国家発展研究院の研究者の報告書に就いて報道。
同国内では感染状況に関する信用性の高い公式情報が得られぬ事から、電網上で「発熱」「咳」等の単語の検索数、質問紙調査から感染者数を推計した結果、中国政府が12月7日に感染対策を緩和した後に感染が急拡大し、同月20日には多くの地域で頂点に達し、月末には各地で頂点を過ぎるも、今月11日迄の累計が人口の6割余りにあたる9億人に達したとの事だが、事実とすれば「僅か一ヶ月程度で過去三年間に於ける全世界の累計感染者数を上回った」事になる。内陸部の感染率が特に高く甘粛/Gansu省は91%、雲南/Yunnan省は84%、青海/Qinghai省は80%に上り、感染者の82%に発熱の症状が有ったとの事。
一方、昨日の記者会見で中国の保健当局は「新型コロナウイルスに感染して医療機関で死亡した者が、先月8日から12日までに5万9938人になった」と発表。「基礎疾患が原因で死亡した場合はCOVIDに因る死者として計上しない」とした従前の発表で「同じ期間の死者数は38人」とされて来たのに対し、同日会見では一転して「基礎疾患との合併症で死亡した場合もCOVIDに因る死者と判定している」と説明。発表では「呼吸不全で死亡した人が5503人」で「合併症で死亡した人が5万4435人」、「死亡した人の9割が65歳以上」との事で、「12日時点で全国の医療機関で治療を受ける重症者が10万人余」「重症者用の病床の使用率が75.3%に上っている」との情報も公表された。
中国政府の発表に関しては、世界保健機関(World Health Organization; WHO)等から「実態を反映していない」との批判を浴びて来たが、今回、死者数が一転して大幅に増えたことで改めて厳しい視線が注がれる事となるか。保健当局の発表に対し、中国版Twitterとも云うべき新浪微博/Sina Weiboにも「此の情報を誰が信じるのか」「私の親戚は明らかにCOVIDで死亡したのに、死亡証明書には気管支炎と書かれていた」。或いは「入院していた人だけ発表されたが、家で死亡した人は病院より多い」等と当局の発表を疑問視する書き込みが相次いで投稿されたが、前述した「経済観察網」の報道も含め、悉く当局に削除された模様。今月21日からは旧正月の春節に合わせた大型連休が始まり、中国の中で帰省等の移動が本格化。農村部への感染拡大や新たな変異株の出現が懸念される。