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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和5年1月第2週

1月2日(月曜)

 公立病院は年末に3日、年始に3日を休むのが(なら)わし。()れに土日が上手く(つな)がれば最大8日間は仕事から離れられるが、今回は「(おお)(みそ)()が土曜で元日が日曜」と上手く行かず。(わず)か6日しか無い休みの半分を奈良旅行に使った事も有り、(さん)()(にち)は寝正月を決め込む。本日の新たな感染者は7万6264人。このうち東京都が7537人、大阪府が4980人で、空港検疫に於ける感染確認は12月31日に32人、12月30日は92人と、1日が84人と以前より増加。東京に於いては、流行性感冒(インフルエンザ)の患者も増加している由。

 国内で亡くなった人は東京都で25人、大阪府で14人、島根県で12人、静岡県で12人、愛媛県で9人、愛知県で8人、茨城県で8人、三重県で7人、兵庫県で7人、千葉県で7人、福岡県で7人、香川県で7人、山口県で6人、岡山県で6人、石川県で6人、佐賀県で5人、和歌山県で5人、岩手県で5人、広島県で5人、神奈川県で5人、京都府で4人、宮城県で4人、熊本県で4人、群馬県で4人、高知県で4人、北海道で3人、宮崎県で3人、栃木県で3人、長崎県で3人、青森県で3人、徳島県で2人、福井県で2人、鹿児島県で2人、富山県で1人の総計208人。重症者は595人。


1月3日(火曜)

 本日の新たな感染者は8万9643人。亡くなった人は223人で、重症者は602人。COVID患者が急増する中国では、先に「40代と70代の日本人男性2人が感染後に死亡した」事が確認されていたが、新たに広州/Guangzhouの日本総領事館が「管轄する地域に在住していた70代の日本人男性」が「COVID感染で入院した後、昨日に死亡した」旨を発表。男性には基礎疾患が有り、病院では死因を「心臓の急停止」とした由。

 中国政府は「大晦日から1月2日迄の三連休に国内を旅行した者は述べ5271万人余」で昨年同時期に比べて0.4%増加した旨を発表したが、世界的大流行(パンデミック)以前の4年前同時期と比較すると4割程度の低水準。中国政府が経済活動の再開を呼び掛け、北京では「天安門広場や商業施設に賑わいが戻りつつ在る」との情報も有るものの「省を(また)ぐ遠距離旅行は避け、近くの観光地を訪れる」傾向が目立ち、旅行客数の増加に繋がらぬ一方で、今月21日から旧正月の春節。七日間の大型連休が始まり、大勢の人が帰省する事で感染状況が更に悪化すれば、()の余波が我が国にも及ぶ事は必至(ひっし)


1月4日(水曜)

 厚生労働省の発表に(いわ)く、先月25日迄の1週間に全国、(およ)そ5000()(しょ)の医療機関から報告された流行性感冒(インフルエンザ)の患者数は前週より3511人多い6103人。流行性感冒は「1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると、全国的な流行期入り」とされるのに対し、今回は1.24人と目安を超過した事から、厚生労働省はコロナ()が始まって以来、初めて「流行期に入った」と判断した由。地域別では富山県が4.21人、沖縄県が2.91人、神奈川県が2.79人、岩手県が2.56人、東京都が2.30人、青森県が2.27人、大阪府が2.21人等と、17都道府県で「1人」を上回った。

 そして本日の新たな感染者は10万4304人。本日に至る1週間は前週に比して全国で0.68倍と減少傾向を示すも、専門家からは「年末年始は多くの医療機関が休診で検査数が減った」が、「行動制限の無い年末年始には、旅行や外食をする者は過去2年より相当に多かった」筈で、今後の感染者急増に注意を要するとの指摘有り。国内で亡くなった人は218人。重症者は、4日時点で615人。重症者の数は3日と比べて13人増えた。本日迄にオミクロン株対応型ワクチンの接種を済ませた者は4504万7514人で、全人口に対する接種率は35.8%。このうち、65歳以上の高齢者は2162万9248人で接種率は60.2%。

本日午後に成田空港国際線の到着待合室(ロビー)は帰国の最高潮(ピーク)を迎え、海外を年末年始を過ごした旅行者達で混雑。一方、内閣総理大臣の岸田(きしだ)文雄(ふみお)氏は三重県伊勢市の伊勢神宮で年頭の参拝を済ませた後に記者会見。

 会見の冒頭で「本年も覚悟を持って『先送りできない問題』への挑戦を続ける」「特に日本経済の長年の課題に終止符を打ち、新しい好循環の基盤を起動し、異次元の少子化対策に挑戦する年にしたい」と語った岸田総理は経済、少子化対策、本年にG7の議長国を務める件や露西亜の烏克蘭(ウクライナ)侵攻等の話題と共に、COVIDへの対応にも言及。「所謂(いわゆる)第8波を乗り越え、今年こそ平時の日本を取り戻して行く」。「感染症対策の司令塔となる内閣感染症危機管理統括庁や日本版CDCを創設する」為の法案を通常国会に提出し、中国の感染状況等を踏まえて「現在の水際措置を、今月8日から更に強化する」。「感染症法に(お)於ける五類への引き下げ」に就いても「専門家等の意見も聞き、最新の根拠(エビデンス)に基づきながら議論を進めて行きたい」等の見解を述べた由。


1月5日(木曜)

 総務省消防庁は「患者の搬送先が決まる(まで)に病院への照会が4回以上有った」事例(ケース)等を搬送(はんそう)困難(こんなん)事例(じれい)として、52消防機関の報告を基に毎週、整理して来たが、先月26日から今月1日に至る一週間は7158件。前週より358件増えて二週連続で過去最多を更新したが、此れはコロナ禍以前、2019年度の同時期に比して4.78倍。このうちCOVIDが疑われる事例は2311件で全体の32%を占め、地域別に見ると東京3353件、大阪市560件、横浜市445件、千葉市259件、福岡市242件、名古屋市168件、仙台市155件、札幌市126件等。2019年度の同時期と比べると東京5.11倍、大阪市2.89倍、横浜市5.93倍、千葉市2.23倍、福岡市18.62倍、名古屋市21倍、仙台市4.56倍、札幌市4.67倍等と各地で搬送困難事例が増えたとの事。

 本日に報告された新規感染者は22万6904人にして大分、宮崎、鹿児島、群馬、島根、岡山、山口、香川、愛媛、佐賀、岐阜、熊本の12県で過去最多を記録。空港検疫所で72人が確認され、死亡は334人で重症者は650人。

 世界保健機関(World Health Organization; WHO)の集計に拠ると、昨年12月26日から今月1日(まで)の一週間に於けるCOVID患者数は日本が94万6130人で世界最多。中国は韓国、米国に次いで4番目に多い21万人超に留まるも、WHOは実態を正確に反映していないものと見られる。同期間の週間死者数は、2501人の米国が最多で、日本は2番目に多い1941人。中国は5番目に多い648人だが、COVID陽性者が死亡しても呼吸器系不全が原因でない場合は死者数に含めていない。WHOは死者数も過少報告されているとの見方を示したが、同国外務省の報道官、毛寧/Mao Ning氏は本日の記者会見で、「中国は一貫して速やかな公開と透明性の原則に従って、WHOと緊密な意思疎通を保ち関連する情報や資料を共有してきた」と主張。

 一方で「先月1日以降に現地で採取された2000以上の標本(サンプル)」に基づいた情報が、昨日にWHOへ提示されるも、中国側の解析では「BA.5.2やBF.7等、各国で確認済のもので新たな変異株は確認されなかった」由。同じく昨日に欧州連合(European Union; EU)の加盟国が中国からの渡航者への対応について協議した結果、各加盟国が連携して予防的な対応を()る事で合意。具体的には「中国発着便に於ける全ての利用者」に対して「機内でマスクの着用」が推奨され、各加盟国に対しては「中国からの全ての渡航者」には「出国前48時間以内に行った検査での陰性証明」を求める様に強く推奨される模様。


1月6日(金曜)

 今月1日迄の一週間に全国、(およ)そ5000箇所の医療機関から報告された流行性感冒(インフルエンザ)の患者数は前週の値に3665人を加えて9768人。1医療機関当たりの1週間の患者数が今回は2.05人と、1.24人だった前週より0.81ポイント高く、引き続き「全国で1人を超えると全国的な流行期入り」との目安を超えた。地域別では沖縄県が9.89人と最も高く、次いで富山県が5.96人、福岡県が4.19人、大阪府が3.73人、神奈川県が3.70人、宮崎県が3.29人等と30都道府県で「1人」を上回り、厚生労働省は「流行性感冒用ワクチンの接種検討」や「適切なマスクの着用や消毒、換気」等の基本的感染対策の徹底、体調不良時に備えて検査キットや解熱鎮痛薬を用意する等を呼び掛けている由。

 厚生労働省が発表した感染者数をもとに、NHKが算出した全国に於ける1週間平均での新規感染者数は先月15日までの1週間では前週比1.26倍、先月22日は1.12倍、先月29日は1.08倍と3週連続で増加したが、5日まででは0.71倍と減少。1日当たりの全国の平均の新規感染者数は約12万人で、先週より凡そ5万人少なく、沖縄県を除く46都道府県で前週より減少したが、此の中には人口当たりの感染者数が最も多いのは宮崎県も含まれる。

 しかし、政府の分科会構成員で東邦(とうほう)大学(だいがく)教授たる舘田(たてだ)一博(かずひろ)氏は「検査数は年末年始にかけて通常の5分の1程度に少なくなっている」状況に伴う「()()け上の数字」に過ぎず、「実際の感染者は、報告されている数の2倍程度居ても可怪(おか)しくない状況だ」と指摘。「今月5日には全国で22万人を超える感染者が報告され、西日本を中心に12の県で過去最多を更新した」事から「此れから今月中旬以降に掛けて感染者は更に増える」と予想され、「去年夏の第7波の頂点(ピーク)を大きく超え」て「一日に45万人に達する可能性も有る」と分析した由。

 そして本日に厚生労働省が発表した全国の死者数は456人で、去年12月29日の420人を上回り、一日の発表としては過去最多。新たな感染者は24万5542人で、静岡8471人、大分3998人、茨城5242人、和歌山2692人、鳥取1795人、岡山5323人、山梨2201人の7県が過去最多。東京都でも新たに2万720人、大阪府にて1万5957人、福岡県は1万4859人の新規感染が報告され、総理大臣補佐官の(もり)まさこ氏もPCR検査陽性で自宅療養を開始。重症者は659人となったとの事。


1月7日(土曜)

 本日に発表された全国の死者数は463人で、昨日の456人を上回って最多。国内の新たな感染者は23万8654人で、東京都は1万9630人、大阪府は1万6704人だが、静岡県の9475人と岡山県の5332人は過去最多。重症者は668人で、昨日と比べて9人増。一方、米国に於いては、今月4日の時点で新たに入院する患者が1日平均で約6500人と1ヶ月前の3割増しとなるも、死者数の一日平均は約390人と昨年10月中旬から(おおむ)ね400人を下回る状況を維持。

 同国の疾病管理予防中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)からは「今月7日(まで)の一週間で新たにSARS-CoV2に感染した者のうち、推計で27.6%がXBB.1.5に感染していた」との発表有り。他の変異株が先月下旬から軒並み減少する中でも、XBB.1.5は先月3日時点の推計2.3%から直近一ヶ月で急速に広がり、中でも東部の紐育(ニューヨーク)州を含む地域では全体の7割を超過。オミクロン株の一系統たるXBB.1.5は、日本でも確認済のXBBに更なる変異が加わった株で、免疫から逃避する性質のみならず、感染力が強まっている可能性も指摘されている。

 Biden政権で新型コロナウイルス対策調整官を(つと)めるAshish Jha氏も今月4日に、自身のTwitterで「XBB.1.5は他の変異株に比して感染を広げる力はより強いとみられる」と語り、ワクチン接種を含む基本的対策の継続を呼び掛けた由。日米間の水際対策も相当に緩和された昨今、此の変異株が遠からず我が国へも流入すれば、現在の感染第八波が長引く可能性大。真の感染収束は(いま)(とお)し。


1月8日(日曜)

 本日は新規感染19万538人、死亡407人で、重症671人との事。東京では新たに1万5124人の感染が確認されて、先週日曜より5938人増え、前週同曜を上回るのは四日連続。大阪からは新規1万2542人の感染に関する発表が有り、茨城5542人と三重5232人は共に過去最多。

 先月25日に四回目の宮崎県知事当選を果たした河野(こうの)俊嗣(しゅんじ)氏は、先月31日に咽頭痛を感じつつも複数の神社を参拝。(がん)(じつ)(はつ)(もうで)へも()()けたが、今月2日に発熱して、抗原検査キットで検査した結果はCOVID陽性。一方で此の間、同県内でも先月から新型コロナウイルス感染の急拡大が見られ、県は医療非常事態宣言を独自に発令。「体調に異変が有らば外出を控える」事を県民に求め、河野知事自身が会見で協力を呼び掛けて居たとの事。また今月2日に知事の感染が発表された際、県の秘書広報課は「知事が初詣に出掛けた」事実を伏せ、「当日は公舎等で過ごした」と虚偽の内容を資料に記載。後に秘書広報課は「人が多く集まる場所に行っていた事が知られ、県民に不安を感じさせてはいけないと考えた」等と弁解。

 更に元日夜の時点で秘書広報課は、知事の動静として「初詣に行った」事実を地元紙の宮崎(みやざき)日日(にちにち)新聞(しんぶん)社に情報提供。しかし、翌2日に知事の感染が確認されると、担当職員が知事の感染に就いて新聞社側に伝えると共に、掲載予定だった知事動静欄の内容を「終日公舎等で過ごす」との内容に変更する様に電話と電子郵便(メール)で依頼。県の隠蔽(いんぺい)要請に新聞社は応じず、3日付の誌面に県知事が初詣に行った事実を伝える記事が掲載された。秘書広報課は「初詣の際に知事との濃厚接触者が居なかった」状況で「県民に無用な不安を与えるのは如何(どう)なのか」と考えた職員が「掲載内容を変更出来ないかと相談」したが「もっと慎重に判断すべきだった」と再び釈明。

 そして本日、河野知事が公務に復帰。一連の問題に関して県庁で会見を行い、「体調に異変を感じる中で外出をした」事や「感染していたで()ろう時期の行動歴は、通常以上に正確な情報提供をすべき」所を「適切な判断を欠いた対応になってしまった」事、「県政への信頼を失墜させてしまった」事に就いて陳謝。動静の修正依頼は「事前に秘書広報課の職員から相談を受けていた」事、自身のSNSには当初「元日は終日公舎に居た」と虚偽の内容を記載するも宮崎日日新聞に隠蔽を断られ、漸く「初詣に出かけていた」との事実へと書き換えた事も説明。

 先の選挙は河野氏の獲得票25万8646に対し、次点の(ひがし)(こく)(ばる)英夫(ひでお)氏が23万5602票と僅差。起こった時期が異なれば、県知事の首が()()わった可能性大と思われる一連の問題に対し、河野知事は「判断の誤り、また対応の誤り」等と語り、「動静の修正を依頼した2人の職員を厳重注意」として「自らにも処分を行う」意向を表明した由。

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