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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
141/178

令和4年12月第4週

12月19日(月曜)

 本日の新規感染は7万921人、死亡は180人、重症は476人で、昨日より6人減。政府公表の最新状況に(いわ)く、国内でオミクロン株に対応したワクチンの接種を受けた者は3758万2513人で、全人口に対する接種率は29.8%。65歳以上の高齢者に限定すると1759万8399人で、接種率は49%に達した由。

 中国では今月7日の感染対策緩和を受け、各地の学校で対面授業が再開されるも、()の後に感染が拡大。上海/Shanghaiでは「市内の全ての学校で、19日から中学3年と高校3年を除いて再び回線(オン)接続(ライン)授業に切替」と決定。江蘇/Jiangsu省、南京/Nanjingでも「同じく19日から中3と高2、3を除いて市内の全学校で回線接続授業」となった模様。一方、北京/Beijing市政府は「復工復産」なる標語(スローガン)を掲げ、地区を(また)ぐ通勤や出勤に対する制限を撤廃。内陸部、重慶市政府からは18日に「無症状や軽症であれば、政府機関や企業の幹部や従業員等は感染対策を行った上で出勤を許可する」旨の通知が出され、経済活動の正常化を急ぐ意向が窺われた。

 中国の保健当局は「北京で18日、感染者2人が死亡したのに続き、19日も5人が死亡した」と発表するも、各地の発熱外来には大勢が()()け、医師や看護師の感染も増加。北京市内の病院では「患者が数倍に増すも感染や隔離措置で救急外来を担当する人員は減り、十数時間の勤務が常態化」、吉林/Jilin省や河北/Hebei省等、各地の病院でも「医療に対する需要(ニーズ)が高まる一方、医療従事者の感染は増え続け、人員不足が深刻化」等の情勢に対し、中国政府は「5年以内に退職した医療従事者を再雇用」して人手を補おうとし、上海市が「市内の医療機関、(およ)そ2600箇所に発熱外来を設け、24時間対応の電話相談窓口を開設」、北京市も「94箇所の発熱外来を1263箇所へと増設」、広州/Guangzhou市も「退職した医療関係者1000人近くを現場復帰させた」旨を発表。

 一方、「2ちゃんねる」開設者として知られる西村(にしむら)博之(ひろゆき)氏が、19日にTwitter投稿。「北京、コロナで死者急増『40遺体が地面に』国内死者67万人に?」と題する朝日新聞DIGITALの記事を引用して「中国のワクチンであるシノバックやシノファームは性能が微妙」「コロナワクチンが普及する前の欧米のような死者が放置されているような状況」で「中国製ワクチンの不備を認めて、ファイザーやモデルナを輸入した方が良いような」等の指摘は正論だが、面子(メンツ)を気にする同国首脳に(これ)()の見解を受け入れる度量は有るまい。


12月20日(火曜)

 厚生労働省が発表した国内の新たな感染者は、空港検疫を含めて18万5694人。うち東京都内が2万513人、大阪府内は1万2068人。北海道で18人、千葉県で18人、埼玉県で15人、東京都で14人、福島県で12人、新潟県で10人、山口県で9人、岐阜県で9人、愛知県で9人、長野県で9人、大阪府で8人、宮崎県で8人、福岡県で8人、茨城県で7人、岡山県で6人、栃木県で6人、熊本県で5人、青森県で5人、兵庫県で4人、富山県で4人、岩手県で4人、島根県で4人、神奈川県で4人、三重県で3人、京都府で3人、和歌山県で3人、山形県で3人、徳島県で3人、宮城県で2人、愛媛県で2人、滋賀県で2人、秋田県で2人、群馬県で2人、香川県で2人、高知県で2人、佐賀県で1人、山梨県で1人、福井県で1人、長崎県で1人、静岡県で1人、鳥取県で1人の総計231人で、重症者は493人。

 本日午後に総理大臣官邸で、内閣総理大臣の岸田(きしだ)文雄(ふみお)氏と全国知事会を含む地方6団体が会合。岸田総理大臣は「感染が拡大し(やす)い年末年始を迎える」に際して「救急搬送や外来等の医療体制の確保、換気の呼び掛け等に協力を()(ねが)いしたい」と要請。全国知事会の会長を務める鳥取県知事の平井(ひらい) 伸治(しんじ)氏も「年末年始には厳しい状況も有るのでは無いかと覚悟している」と応じると共に「感染症の今の局面を分析し、相応(ふさわ)しい対策に変えて行く必要が有る」と述べ、実態に即した対策を求めた由。


12月21日(水曜)

 本日の新たな感染者は20万6943人で前週同曜より1万6100人の増加、()つ本年8月25日以来の二十万人超。東京都2万1186人、大阪府1万2225人、鳥取県でも過去最多となる1582人の新規感染が確認された由。重症者は昨日より37人増の530人。斯様な折に第111回の新型コロナウイルス感染症対策諮問(アドバイザリー)委員会(・ボード)開催。

 ()所謂(いわゆる)、厚生労働省の専門家会合にて示された資料に()ると、昨日に至る1週間に於ける全国の新規感染者数は前週比1.18倍と増加。首都圏では東京都と埼玉県が1.16倍で、神奈川県と千葉県が1.18倍。関西では大阪府1.23倍、京都府1.19倍の兵庫県1.28倍となり、東海が愛知県1.18倍、岐阜県1.16倍、三重県1.34倍と増加。また鹿児島県で1.56倍、熊本県で1.51倍、福岡県1.45倍と大分県1.41倍、山口県が1.40倍等と九州や中国地方で増加の幅が比較的大なり。北海道や秋田県、山形県等を除いた41都府県で前週より増え、人口10万当たりに()ける直近1週間の感染者数は佐賀県が1331.95人、鳥取県が1310.79人、熊本県が1270.21人、島根県が1202.61人等の10県で千人を上回るも、東京都は796.57人、大阪府は693.19人で、全国では844.53人との事。

 ()(ほか)に会合の席上にて「免疫逃避の性質が強いとされるBQ. 1系統が国内でも増加」「東京や大阪、愛知等で20時から10時、夜間の繁華街に於ける人出がコロナ禍が始まって以来、最多の水準に達した」。「多くの地域で高齢者の感染者数が増加」し、「全国で重症者数や死亡者数の増加傾向が続いている」。「全国的に病床使用率が上昇傾向」「COVID以外での救急搬送困難事例は今夏に於ける(だい)(なな)()頂点(ピーク)時を超過」、「年末年始の救急医療体制の確保に注意が必要」。「流行性感冒(インフルエンザ)の感染者数も、一部の地域で流行が懸念される水準に到達」等の報告有り。専門家会合は「年内にオミクロン株対応のワクチン接種を終える」「自ら検査が出来る様に抗原検査キットを準備」、会食は「極力、少人数」で「(まさ)に飲食する瞬間の他はマスクを着用する」、「換気の徹底」「症状が有れば外出を控える」等の基本的感染対策の再点検、及び徹底を改めて呼び掛けた由。

 また厚生労働省は「協力が得られた石川、茨城、広島の3県の患者」の資料(データ)から致死率や重症化率を分析し、専門家会合で報告。(いわ)く、致死率は第五波の去年7月から11月迄が80歳以上が7.92%、60代と70代が1.34%、60歳未満が0.08%だったが、第七波の今年7月から8月では致死率は80歳以上が1.69%、60代と70代が0.18%、60歳未満が0%に減少。重症化率は第5波の去年7月から11月までで80歳以上が10.21%、60代と70代が3.88%、60歳未満が0.56%だったが、第7波の7月から8月まででは80歳以上が1.86%。60代と70代が0.26%、60歳未満が0.1%に減少。厚生労働省は「病原性が一定程度低いオミクロン株が流行の主体となった」、「自然感染やワクチン接種で国民の多数が免疫を獲得」「重症化率が発生初期と比べ低下」する一方、「循環器疾患を始めとする合併症」等の危険性(リスク)に就いて指摘。

 会合後の記者会見で、座長の脇田(わきた)隆字(たかじ)氏は「新型コロナの感染症法上の扱いの見直しに就いて、専門家会合で如何(いか)なる議論が有ったか」を問われると「オミクロン株に因る圧倒的な数の感染者に対応する為、様々(さまざま)な公的な支援が行われて来た」が、「五類相当に移行」した場合は「()うした施策が行われなくなる一方で、感染者に対応出来る病院や診療所が増えない」可能性も有り「十分な医療提供体制を執る為に如何(どう)調整していくか考えるべきだ」という議論が有ったと説明。また米国では気温低下と共に、流行性感冒(インフルエンザ)とRSウイルス感染症の流行が拡大。特に流行性感冒に()る入院が今月に入って(じゅう)(ねん)()りの増加となり、「年末の休暇(ホリデイ・)期間(シーズン)にCOVIDとの(さん)(じゅう)(りゅう)(こう)」も懸念される事態。治療薬の需要も急増し、本日に同国の厚生省が「流行性感冒治療用の抗ウイルス薬、Tamifluの非常時用国家備蓄分を放出した」と発表した由。


12月22日(木曜)

 今週は全国的に大雪。新潟県では雪に埋まり、排気口にも雪が詰まった車の中から「恐らくは一酸化炭素中毒死で死亡した」女性の遺体、用水路から「除雪中に転落したと見られる」男性の遺体が発見された。長岡市を中心とした国道8号と国道17号の区間、柏崎市内の国道8号で20から30キロメートルに渡って車列が続き、数百台が()往生(おうじょう)。県は柏崎市、長岡市、小千谷市、魚沼市の県内4市に災害救助法を適用。現場に職員を派遣して運転手(ドライバー)に飲料水や簡易トイレを提供。県の要請に(もと)づいて陸上自衛隊も現場入り、雪で車輪が空回りする車を救出、交差点で車を誘導する等の活動を行った由。

 一昨日18時の時点で県内の約1万3700戸が停電する一方で物流も(とどこお)り、高速道路の通行止めや連絡船(フェリー)の欠航等を理由に、ヤマト運輸と佐川急便は同県に()てた荷物受付を停止。新潟市の超級(スーパー)市場(マーケット)では食料品の入荷が遅れて品薄になり、更に北日本から西日本の日本海側では再び警報級の大雪が懸念される情勢に対し、本日の関係閣僚会議で岸田総理が「大雪や交通状況の情報発信や被害が発生した場合は人命第一の方針で速やかな救命救助と被災者支援に当たる様に」と関係閣僚に指示を飛ばした由。

 そして、本日の新規感染は18万4375人、死亡は339人で、重症は昨日より15人増の545人。東京都内でも新規1万8820人の感染が報告される中、本日に都は専門家によるモニタリング項目の分析結果を公表。「今月14日以降に病床使用率50%超が続き、昨日も51.9%」「入院患者、重症患者が増加」「医療従事者の感染や一般の救急患者も増加」等の情勢から「医療提供体制が逼迫(ひっぱく)し始めている」と判定され、医療提供体制に関しては4段階の警戒水準(レベル)が1段引き上げられ、9月中旬以来の最重症域に在ると評価された。感染状況に()いては上から第二位の水準が維持されるも、新規感染者の七日間平均は昨日に1万6324人と先週より2000人余を加えて八週連続の増加を示し、今後の急増も懸念される由。

 都内品川区の昭和(しょうわ)大学(だいがく)病院(びょういん)では先月からCOVID入院が漸増、一般病床からの転用で凡そ50床を確保するも、本日の時点で38人が入院。大半は軽症なれども「基礎疾患を有する80代以上の高齢者」等の重症化危険性の高い患者が増えると共に、「COVID以外の診断名で入院が決定した患者」が「入院時検査でCOVID陽性と診断される」事例も加わる中で、専用病床の8割近くが埋まっていては如何(いか)にも(こころ)(もと)無し(なし)。同院では年末年始に向けて30床程度、専用病床を増やす運用を検討しているそうだが、無から有を生み出す事も出来ぬ故に苦労の程が(しの)ばれる。大阪府内からは、新たに1万1182人が感染との発表有り。

 当院が市から委託されるワクチン接種業務に於いて、今月前半には「(だい)(はっ)()襲来に伴い、接種希望者が激増」「市から接種枠を増やす様に打診が来るか」と伝えられるも、本日の最新情報では「其の後、急速に希望者が減り、予約が埋まらなくなった」「既存の枠も一部撤廃」との情勢。オミクロン対応型ワクチン接種に消極的な市民が大多数を占めるのは嘆かわしいが、我が国が第八波に突入した事実を長らく厚労大臣が否認し続けて来た事等を想えば致し方無いのかも知れず、年末年始は更に感染者が増え続けると見た。


12月23日(金曜)

 厚生労働省(いわ)く、先週18日迄の一週間に約5000箇所の医療機関から報告された流行性感冒(インフルエンザ)の患者数は前週より1354人多い2592人で、「1医療機関当たりの1週間の患者数」は現時点で平均0.53人。「全国で1人を超過すると全国的な流行期入り」との基準は下回るも45都道府県から患者発生の報告が有り、岩手県では1医療機関当たりの患者数が2.84人、富山県1.33人、青森県1.25人、熊本県1.14人、東京都が1.12人、神奈川県1.05人とコロナ禍が始まって以降、初めて1.0超となる地域が多く、各都県では既に流行期に入ったと判定された模様。

 全国に於けるCOVID新規感染者数の1週間平均を見ると、全国では先月24日迄が前週比1.08倍、今月1日は1.27倍と七週連続で増加するも、今月8日は1.00倍で増減無し。今月15日は1.26倍と再び増加に転じ、22日は1.12倍。全国に於ける一日当たりの平均新規感染者数は先週より約1万7000人多い15万6000人余で、37都府県で前週より多く、「感染者数が増えた全ての地域で増加の進度(ペース)は低下した」と評価されるも、感染拡大の遅れた九州では鹿児島県1.52倍、福岡県1.36倍、熊本県1.35倍等と隆盛。鳥取県と島根県、岩手県では一日当たりの平均の新規感染者数が過去最多になる等と予断を許さぬ。

 人口当たりの感染者数最多は佐賀県で、今月8日までの1週間は前週の1.09倍、今月15日は1.66倍、22日は1.22倍と八週連続の増加。一日当たりの新規感染者数は約1610人で、人口10万当たりの感染者数は1389.26人との事。岐阜県に於いても「病床使用率が50%前後で推移」「19箇所の医療機関が一般病棟や救急医療を制限」「今月だけで救急搬送の困難事案が60件に上り、受入に1時間以上を要する事例も発生」等と医療が逼迫(ひっぱく)。「助かる命が助からない」「最悪の年末年始」も危惧される情勢に対し、本日に対策本部会議を開催。今秋に改訂された「オミクロン株対応の新レベル分類」の上で、現状の評価をlevel 2に当たる感染拡大期からlevel 3の医療負荷増大期に変更されたとの事。

 来月22日迄の1ヶ月間に「岐阜(ぎふ)県(けん」医療(いりょう)逼迫(ひっぱく)防止(ぼうし)対策(たいさく)強化(きょうか)宣言(せんげん)」が発令される事となるも、新方針に於けるlevel 3判定や対策強化宣言発出は全国初。「人の移動が増える年末年始」を中心に対策が強化され、「(はつ)(もうで)等で混雑した場所への外出を控える」「新年会等での長時間の飲食を避ける」「大人数の会食や大規模な催事(イベント)への参加は見合わせる」等が要請される模様。同県知事の古田(ふるた)(はじめ)氏からは「他県と比較して岐阜県の感染状況が突出しているから」では無く「level3の水準に照らして宣言が必要」と判断した旨の発言有り。

 そして本日の新たな感染者は17万3336人。都内からも新規1万7332人の感染が報告され、東京都世田谷区は今週19日に「区内の15歳以下の子どもを対象にした臨時の診療所」を開設。一日当たり最大80人の患者に対応可能な体制で、利用に際しては区homepageからの予約が必要。設置期間は来年3月迄だが、来年2月末(まで)は年末年始や土日祝日も行い、COVIDや流行性感冒(インフルエンザ)の検査や診療に当たる予定との事。目黒区も地元医師会の協力を得て、今月30日から1月3日に同様の予約制の発熱外来を開設するが、此方は重症化危険性の高い者が優先。

 文京区の東京(とうきょう)医科(いか)歯科(しか)大学(だいがく)病院は重症、及び中等症のCOVID患者用に30床を確保して治療に当たるも先週から病床が埋まり始め、今週初めに一旦満床。新患受入が難しくなり、本日に中等症用病床を6床増やすも搬送依頼が相次ぎ、其処も今日中にも埋まってしまう見通しとの事。重症患者用6床も先週の時点で満床だった所を今朝に臨時の病床を用意し、新たに1人を受け入れたが、COVID以外の救急患者は緊急度が高くとも受け入れる事が難しい情勢。病院長補佐を務める植木(うえき)(ゆたか)氏からは「入院患者の数は過去の感染の波の頂点(ピーク)と同じ(くらい)になっていて、現場は限界に近づいている」「年末年始に掛けて更(さら」に逼迫すると考えられるので、油断せずに感染対策を徹底し、病院の負担軽減に協力して欲しい」との言有り。

 所謂(いわゆる)()かり()()」に関して従前は法律上の定義が無く、「新型コロナウイルスの感染が疑われる患者が地域の医療機関から診療を断られる」事例が相次いだ情勢を受けて、厚生労働省は掛かり付け医の役割を明確化する事を検討。本日の部会で「身近な地域に於ける日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う」事こそが掛かり付け医の本分なり。と定義し、()れを法律に明記する方針に決した由。今後、各医療機関は「在籍する医師が受講した掛かり付け医に関する研修」「在宅医療や介護との連携」等の内容を都道府県に報告して、此れが公表される事となり、また「生活習慣病等で継続的診療を要する患者」は希望に応じて「掛かり付け医と書面を交わし、互いの関係を確認出来る仕組み」を新たに設ける予定で、関連法の改正案が来年の通常国会に提出される事になる模様。

 一部地域を除き、今後も全国的に感染者数増加が続くと予想される事態に対し、本日会見で新型コロナ対策担当大臣の後藤(ごとう) 茂之(しげゆき)氏は「年末年始の帰省等対人接触機会が増える」状況への対策として「明日から来月12日迄」の期間に「全国の主要駅88箇所」「空港36箇所」と「高速道路の道路休憩(パーキング)施設(エリア)と高速乗合自動車(バス)発着所(ターミナル)」、総計126箇所に臨時の無料COVID検査拠点を設置する旨を発表。後藤大臣は「帰省される場合には、地元で高齢の親族の方等との接触機会が多くなると思うので、帰省先に出発する際や、帰省先から戻って来る際には、ぜひ無料検査拠点を活用してほしい」と述べた由。


12月24日(土曜)

 日本(にほん)経済(けいざい)団体(だんたい)連合(れんごう)(かい)の調査に()ると、大手企業の支給する今冬の賞与(ボーナス)は従業員1人当たりの平均で89万4000円。前年より増加するのは2019年以来、三年振()り。7万3000円の大幅増加は現在の形で集計を始めた1981年以降で最大の伸び率となった理由に就いて、経団連は「今春以降、コロナ()に伴う行動制限が無くなり、商業や鉄道等を中心に業績が回復した」影響かと分析した由。

 日本(にほん)(せき)十字(じゅうじ)(しゃ)関東(かんとう)(こう)(しん)(えつ)(ブロック)血液中心(センター)()ると、医療機関からの需要が最も多い「400(ミリリットル)の血液製剤」の在庫は最低限の必要量を割り込み、今月16日の時点でB型が87%、A型とO型は94%止まり。斯様(かよう)な状況に対し、関東甲信越圏中心は「COVID再拡大の影響で献血者確保が困難になっている」事が原因の一つだと分析。日本赤十字社では「COVID感染者は症状消失から4週間」、「濃厚接触者も最後の接触から2週間」を空けなければ献血出来ぬ規定となっていて、感染者数が増えれば献血が出来ぬ者も多くなる道理。また企業や大学では遠隔(リモート)での仕事や授業が増え、集団献血の機会も減少して「21日までの三週間で、必要な献血者数は1600人程度も計画より不足」している模様。

 しかし、医療現場では事故や災害に因る負傷、手術、出産時の出血や血液疾患の治療で血液製剤が不可欠。関東甲信越圏中心では「献血歴の有る者に直接、電話で呼び掛ける」「人通りの多い都心駅前等に臨時の献血乗合自動車(バス)を出す」「ウルトラマンとの協業(コラボレーション)した物品を献血者に配る事業を行う」等の対策を打ったが、広島県広島市内に2箇所の献血(ルーム)に於いても、今秋から献血をする人が減少。輸血用血液に関しては「早ければ来月に医療機関への安定供給が不可能になる」事が懸念される情勢で、特に年末年始に掛けての献血協力が求められている由。

 一昨年8月4日、大阪府知事の吉村(よしむら)洋文(ひろふみ)氏が、松井(まつい)一郎(いちろう)大阪市長と合同の記者会見で「嘘みたいな本当の話」、「コロナに効くのでは無いかと()う研究結果が出た」と前置きして、府立病院機構大阪はびきの医療中心(センター)からの報告を紹介。同年6から7月に「療養中の軽症患者41人中、25人」に対し、四日間に渡って「1日4回のポビドンヨード溶液を用いた(がん)(そう)を行わせた」後、唾液を検体としたPCR検査で「非含嗽群の陽性率は初日の68.8%に対して4日目は40%」だったが「含嗽群は56%から9.5%に低下した」旨を(けん)(でん)して、熱発等の症状が有る者、其の家族、接待を伴う飲食店の従業員、医療や介護に従事する者に対し、使用を求めた。 感染(かんせん)(だい)()()()(なか)にテレビ中継された会見を観て、ポピドンヨード入り(うがい)薬を買い求める者が相次ぎ、吉村知事は翌日から「予防効果が有るとは言っていない」と()()しに追われた。()の件に関しては、「(わず)かな症例数しか調べていない初期段階の調査結果」を立証済の科学的知見で()るが(ごと)くに語っていた事等が当初から問題視されて居たが、以降も本年4月22日に至る迄、432人の被験者と共に継続されていた研究の成果が本年11月末、Scientific Reports誌の12月号に発表された模様。

 題名“A prospective, randomized, open-label trial of early versus late povidone-iodine gargling in patients with COVID-19”なる論文に()ると、同意が得られた432人の被験者が、無作為に「起床時の唾液採取後2日目にポピドンヨード含嗽を始める」早期介入群と「起床時の唾液採取後5日目にポピドンヨード含嗽を始める」後期介入群の(いず)れかに振り分けられるも、2人は介入開始以前に脱落。残る被検者のうち早期介入群215人は2日目から6日目に起床時の唾液採取前、昼食前、夕食前、就寝前の4回、ポピドンヨード含嗽を行う(よう)に指示され、後期介入群213人は2日目から4日目は水で(うがい)をした後、5日目と6日目のみ1日4回のポピドンヨード含嗽。其の後は両群にPCR検査でウイルス除去率、細胞変性効果(cytopathic effect)を調べて感染性を確認。

 結果は、ポピドンヨード含嗽主体の早期群で5日目のウイルス除去率34.5%、水含嗽主体の後期群で21.4%。6日目のウイルス除去率が早期群41.3%、後期群36.8%となるも、両群間に有意差は認められず、研究期間中のCOVID-19関連の自覚症状と客観的症状に於いても2群間に差は認められなかった由。折角(せっかく)の調査結果に関して、大阪府が記者会見を開いて積極的に公表する事も無く、はびきの医療中心(センター)としても「含嗽薬に関する研究は終了しており、今後の予定は無い」との事。専門家達は「科学には、特定の条件下では成り立つが其れ以外では分からない、としか言えない事も有る」「少ない情報ならば(なお)(さら)」「()うした科学の特性への理解を欠いていた事が混乱を招いた」、「困難の問題に対しては、狼男を一撃で仕留める銀製(シルバー・)弾丸(バレット)の如き特効薬を待望する風潮が社会に広がり易い」「危機下では単純な解決策ほど魅力的に感じてしまうものだ」等と指摘している。

 しかし、拙作では先に指摘している通り、吉村氏から問題の発言が出た一昨年8月と云うのは、同じく大阪のAnGesが開発に取り組んだDNAワクチンに関して「早ければ7月に治験を始め、9月に実用化、年内に10万~20万人に接種する」と氏が大言(たいげん)壮語(そうご)した時期に一致。治験は(やが)て行われたもののAnGes製ワクチンが有効性を示す事は遂に無く、今年に入って開発断念が決定している。抑々(そもそも)治験開始の翌々月にワクチンが実用化される等は有り得ず、自身の虚言を指摘される事を恐れた吉村氏が「何らかの景気の良い発言をして府民や報道機関の(ほこ)(さき)を逸らすべく」、新たな虚言の材料を()(あつ)めて見た所、()(ひざ)(もと)から(うぶ)(ごえ)を上げたばかりの研究に飛び付いたとの構図だろう。巧言(こうげん)令色(れいしょく)(すくな)(じん)


12月25日(日曜)

 本日は新規感染14万9665人、死亡は306人、重症が556人で昨日より26人増。今週20日の時点で中国政府は「感染に()る死者は全国で0人」と発表するも、同日に政府の記者会見に出席した「感染症の専門家」は、政府が発表する死者の定義に就いて「感染者の主な死因は基礎疾患だ」と述べ、「基礎疾患の有る感染者が重症化して死亡した場合もCOVIDに因る死者と算定していない」事を示唆する発言と考えられた。死者の数を少なく見せかける手法に対して同国内のSNS上で批判が高まる一方、「今月に入って同日迄に人口の2割近くに相当する2億4800万人が感染した」と推定する中国政府の内部資料が(インター)(ネット)上に流出したとの情報を香港の報道機関が伝えた由。

 今週22日も中国政府から「前日の新規有症状感染者は2966人、死者は0人」との発表が為されるも、日本人が多く暮らす上海/Shanghaiでは前週より感染者が増え、日本総領事館は「日系企業等でも従業員の間で感染が広がっている」と警告。河南/Henan省や山東/Shandong省では公務員の感染が相次ぎ、地元政府が「行政窓口を閉鎖し、回線(オン)接続(ライン)で手続きする」事を推奨。四川/Sichuan省の成都/Chengdu市は「市内に300箇所の発熱外来を設け、最も多い時で1日に4万2000人が診察を受けた」事を公表。

 一方、英国の医療関連調査会社、Airfinityが「中国の地域情報(データ)」と「香港や日本等、嘗てCOVID感染者が皆無だった国が制限を解除した後の症例増加率」から成る雛形(モデル)を用いて試算した結果、「中国に()ける一日当たりのSARS-CoV2感染者数は100万人以上」「感染に()る死者は一日当たり5000人以上」となった由。同社の分析によると「現在感染者が増加している地域」で「1月中旬に一日当たり370万人」、更に「()れ以外の地域」で「3月に一日当たり420万人」と感染の頂点(ピーク)は「二度、訪れる」。更に「現在の流行局面で130万から210万人が死亡する」可能性が予見されるも、他の雛形を用いた分析でも「210万人の死亡が予測されている」との事。此の件に関し、Roiterが見解(コメント)を要請するも、中国国家衛生健康委員会は沈黙を以て応じた由。

 一方、今週21日の時点で世界保健機関(World Health Organization; WHO)の事務局長、Tedros Adhanom Ghebreyesus氏が「深刻な疾患の報告が増加している中国の状況を非常に懸念している」と発言。「現地の状況を総合的に評価する」為には「患者の重症度や入院者数」「集中的な治療への支援がどれ位、必要とされているか」等の「より詳しい情報が必要だ」と指摘し、ワクチン接種等の面で中国への支援を継続していく考えを示した。WHOの週次報告に拠ると、中国が12月7日に感染対策上の規制を大幅に緩和する迄も同国のCOVID入院患者数は増加しており、12月4日には2万8859人に達して、三年前に新型コロナウイルスが出現して以来、最多となるも直近二回の報告は数値無し。

 情報(データ)の欠落に就いてWHOは中国を非難する事は避け、「当局が単に症例の集計に苦慮している為か」と理解を示すも、Georgetown大学のLawrence Gostin教授は「 “zero-COVID strategy”、所謂ゼロコロナ政策を解除の影響を完全に見極める為に不可欠な情報を、中国が隠している」可能性を指摘。欧州大学院/European University Instituteの教授で世界公衆衛生学を専門とするAdam Kamradt-Scott氏も「各国はしばしば病気の発生程度を隠そうとする」と語る一方、世界的な規則では、発生中の疾病に関する情報の報告を各国に強制する世界的な規則は存在せず「報告していない国が他に有る以上、中国を批判するのは難しい」と述べた由。

 中国や日本を含む地域でCOVID患者が増加している情勢を受けて、先月に水際対策を大幅に緩和したばかりの印度(インド)が再び水際対策を強化。同国で保健・家族福祉大臣を務めるMansukh Mandaviya氏は22日の議会で「新年を迎えるに当たり、マスク着用や消毒、対人距離の確保を推奨する」と述べ、国際線で入国した乗客のうち2%を無作為に抽出して行うPCR検査も始めた由。同じく22日、米国の国務省は「Antony Blinken国務長官が中国の外務大臣、王毅/Wang Yi氏と電話で会談した」と発表。ブリンケン長官も自ら会見を行い、「中国での感染拡大に()り新たな変異株が出現する」可能性に()いても懸念を示し、「感染状況に就いて国際社会と情報共有を行う事は重要だ」と指摘。ブリンケン長官は「我々は中国を始め、世界の人達に対し引き続き支援を行う用意が有る」と語り、中国に対しても「ワクチンを提供する用意が有る」と呼び掛けたそうだが、翌23日に中国外務省の報道官、毛寧/Mao Ning氏が語った所に拠ると、王氏は「ワクチン接種率は絶えず上昇し、医療物資の生産能力も拡大していて、全体として需要を満たしている」「中国の感染状況は予測と制御が可能だ」等と米国の協力を断った由。しかし、中国産ワクチンの信頼度に関しては、前述の如し。

 同じく23日、官房長官の松野(まつの)博一(ひろかず)氏は「中国に滞在していた日本人1人が検査で陽性となった後に死亡した」旨を公表。「所属企業を通じた家族との連絡」を含む「必要、且つ出来る限りの支援を行っていく」、中国の感染状況に関しては「鋭意情報収集」を続けて「在中国大使館や総領事館を通じ、在留邦人や日系企業と緊密に連絡を取り合い」、「邦人保護や日本企業の活動支援に万全を期していく」等と述べた。続報に拠れば、亡くなったのは「重慶/Chongqing在住の40代の男性駐在員」で、今月19日に死亡が確認されたとの事。他に「首都に於ける医療の拠点たる北京朝陽病院で1日当たりの救急患者受入が約400人、従前の4倍相当に増加」「大半が基礎疾患の有る高齢者で、咳や発熱等の症状を訴え、重症化している」、「或る病院では集中治療室が患者で溢れた」、北京/Beijingでの患者急増に対して「22日に湖南/Hunan省から呼吸器専門医等162人が北京に向かい、山東/Shandong省や福建/Fujian省からも医療従事者が派遣された」等の情報有り。

 更に同日、日系企業が数多く進出している山東省の青島/Qingdaoで、保健当局の幹部が「新たな感染者が推計で1日当たり49万人から53万人増加」と発表。製造業が集積する広東/Guangdong省、東莞/Dongguanの保健部門も「新たな感染者が1日当たり25万人から30万人の規模で増えて」「医療機関と医療従事者が前例のない試練と圧力を受けている」と報告。中国政府は「多くの無症状の感染者がPCR検査を受けて()らず、正確に実際の数を把握出来ない」として、今月14日の時点で無症状の感染者数に関する発表を中止していたが、更に「毎日発表して来た感染者数や死者数の情報も、25日から発表を取り止める」と中国の保健当局たる国家衛生健康委員会が宣言。中止の理由は不明なれども、同日に「大衆の理解と研究の(ため)に提供する」との理由で「同国内の別組織たる中国疾病預防控制中心(センター)のhomepageに最新の感染者数や死者数の情報が掲載される」と()う謎の対応。

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