令和4年12月第2週
12月5日(月曜)
厚生労働省が発表した本日の新たな感染者は空港検疫を含めて4万7621人。死亡者は北海道で15人、東京都で14人、神奈川県で8人、愛知県で7人、滋賀県で5人、大阪府で4人、山形県で4人、広島県で4人、青森県で4人、兵庫県で3人、千葉県で3人、埼玉県で3人、奈良県で3人、宮城県で3人、山梨県で3人、岩手県で3人、栃木県で3人、群馬県で3人、香川県で3人、三重県で2人、京都府で2人、熊本県で2人、石川県で2人、福井県で2人、茨城県で2人、鳥取県で2人、佐賀県で1人、和歌山県で1人、岐阜県で1人、島根県で1人、徳島県で1人、福岡県で1人、秋田県で1人、静岡県で1人の総計117人で、重症者は348人。
政府が公表した最新の状況に拠ると、国内でオミクロン株対応型ワクチンの接種を受けた者は2681万7266人、全人口に対する接種率は21.3%に到達。65歳以上の高齢者は1152万6480人で、接種率32.1%に相当。
先月下旬に中国各地で所謂ゼロコロナ政策に対する抗議活動が頻発した事に押され、中国政府は先週に感染対策の適正化を進める意向を表明。本日から上海/Shanghaiでは、地下鉄を含む公共交通機関や公園等の屋外公共施設を利用する際に求められていたPCR陰性証明の提示が不要となり、首都の北京/Beijingでも乗合自動車の地下鉄を利用に陰性証明を提示せずとも良くなったが、何れの都市でも商業施設や会社施設への立入には陰性証明が必須。
北京では依然として超級市場や居住する集合住宅にへの立入に一つにもPCR検査の陰性証明が求められるので、数日毎に検査を受けねばならず、気温零度前後の寒さの中、今日も北京市民は検査を受ける為に長蛇の列を成した由。激しい住民と警察の衝突が繰り返された広東/Guangzhou省の広州/Guangzhou市でも対策が大幅に緩和されたそうだが、一連の措置が市民の不満解消や経済の回復に繋がるか否かは不明。一つ間違えば国を揺るがすかも知れぬ状況は未だ終わって居らず、同国主席の習近平/Xi Jinping氏や側近達は戦々恐々としている事は想像に難くない。
12月6日(火曜)
我が国では本日の新規感染13万7193人、死亡147人、重症361人。中国では、本日から北京や上海に於ける感染対策が更に緩和され、商業施設や会社施設へ入る際もPCR陰性証明が不要となるも、学校や医療機関、飲食店等では引き続き必要で、商業施設訪問時は「現地に掲示されているQR codeを自らのsmartphoneで読み込み、訪問記録を残す」事が求められる。斯うした中で、本日に確認された感染者数は中国全土で約2万7000人と高止まりしていたとの事。
各製造会社が発表した、先月の同国内に於ける新車販売台数はトヨタ自動車がおよそ14万台で前年同月から18.4%減少、半年振りに減少に転じた。ホンダは約7万8000台で42.8%、日産自動車が約4万7000台で52.5%とそれぞれ減少。3社の販売台数がともに減少したのは、最大の経済都市たる上海で厳しい外出制限が行われていた本年5月以来だが、先月は「感染再拡大の影響で販売店も営業出来ず、客足が遠退いた」等の要因が影響した模様。特にトヨタは一時、凡そ3分の1の店舗が営業停止を余儀無くされたとの事。原因が「行動制限による中国経済の停滞」だろうが「感染拡大に伴う人手や物資の不足」だろうが、日系企業は影響不可避。
此の問題に関し、外務大臣の林芳正氏は記者会見で「引き続き中国に於ける防疫措置が中国経済や市民活動等に与える影響について、強い関心を持って注視して行く」と発言。中国の日本大使館から「予め登録した者に電子郵便を送信」して「防疫措置の周知、食料の備蓄」等を呼びかけ、現地に滞在する日本人からの相談に応じる等の支援を行っている旨を説明。「在留邦人の具体的な状況を踏まえながら、中国側との遣り取りを含めて、引き続き邦人保護や日系企業の活動支援に万全を期して行く」との事。
12月7日(水曜)
厚生労働省の発表に曰く、本日の新規感染者は14万9383人に増加。うち東京都は1万4946人、大阪府は7815人。国内で211人が死亡するも、重症者数は昨日より15人を減じて346人となった由。
所謂、専門家会合。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは本日で第109回。席上で提示された資料に拠ると、昨日迄の一週間に於ける全国の新規感染者数は前週比1.06倍と増加が続くも、増加の幅は縮小。首都圏では東京都と神奈川県が1.09倍、埼玉県が1.15倍、千葉県が1.13倍。関西では大阪府1.11倍、京都府1.13倍、兵庫県1.19倍。東海でも愛知県1.02倍、岐阜県1.04倍、三重県1.08倍。沖縄県1.27倍、熊本県1.24倍、徳島県1.21倍、鳥取県1.20倍等と34都府県で増加を認めた一方、北海道で0.87倍、長野県で0.88倍、岩手県と山形県、山梨県で0.95倍等と北海道と東北を中心とした11の道県では先週より減少。直近1週間に於ける人口10万当たりの感染者数は、宮城県が1007.00人と唯一の千人超で全国最多、秋田県が940.07人、福島県が925.95人、北海道が900.35人等と矢張り北海道や東北を中心とした地域で多く、東京都は588.28人、大阪府は431.80人、全国では595.24人となった由。
会合後の記者会見にて、座長の脇田隆字氏は、現在の感染状況について「北海道や東北地方では減少に転じている地域も有る」が、「大都市圏では緩やかな増加が続き、全国的には増加傾向」。今夏の第7波に引き続いて「オミクロン株のBA.5が感染の主流」なれども「BQ.1系統の割合も徐々に増えて」居り、既にBQ.1への置換が進んだ欧州に於ける感染拡大を鑑みると「国内でも置き換わりが進めば同様に影響する」と考えられる。年末年始に「普段、会わない人との接触が増える事で、感染が拡大して行く」事への懸念も有り、「若い世代の感染者は減って来て」も「高齢者の感染者は緩やかに増加」して「重症者数や死亡者の増加に影響する可能性が有る」。「年末年始に高齢者に会う」予定が有れば、「事前に検査をする等の注意が重要だ」と発言。
また感染症法に於けるCOVID扱いの再検討に関しては「ウイルスの伝播力や重症度、医療への影響を如何評価するか」が重要で、例えば「入院勧告や濃厚接触者の隔離等が何処迄、必要なのか」「医療提供体制を通常の医療と同じ水準に移行して行く際に行政からどの様な支援が必要なのか」等を評価した上で「類型を考えて行く必要が有る」と指摘した由。
12月8日(木曜)
本日の新たな感染者は13万3065人、死亡は243人、重症者は363人。東京都内では新たに1万4104人が感染。先週木曜より1772人増え、三日連続で前週同じ曜を超過。本日に公表された専門家に依るモニタリング項目の分析結果に拠ると、新規感染者数の7日間平均は昨日時点で1万1882人。800人余の増加で前週比108%、六週続いて前週比100%超を記録し。入院患者数も3301人と前週より235人増。4段階で設定される感染状況と医療提供体制の警戒水準に関し、専門家達は何れも上から第2位を維持。大阪府内でも新たに6950人の感染を確認。
Moderna製のCOVID用ワクチンは「3回目以降の追加接種では対象年齢が18歳以上」されて居り、同社が対象年齢の引き下げを申請していたが、本日に厚生労働省の専門家による部会が開催。「臨床試験の結果、有効性や安全性が確認された」として、対象年齢を12歳以上に引き下げる事が了承された。現在、接種が進められているオミクロン株BA.5型ワクチンやBA.1対応型ワクチンに加えて、従来型のワクチンも対象となるとの事だが、特段の事情が無い限りは今更、従来型を接種する意義は無かろう。「従来のワクチンを用いて、12歳から17歳までに行った臨床試験」では「体内で生成される中和抗体の値が18歳から25歳までに行った臨床試験の結果と同程度に上昇」して有効性が期待出来ると考えられる一方、安全性に就いては重大な懸念は認められ、接種対象年齢の引き下げは、今月中にも運用が始まる見通しとの事。
厚生労働省は「第7波で感染が拡大した本年7月と8月の2ヶ月間」に「COVID陽性となり自宅で死亡した者」に関して全都道府県を通じて調べた所、「自宅で死亡した感染者は少なくとも776人」に上ったとの事。年代別に見ると最も多かったのは80代以上で58%、次いで70代が21%で、70代以上が全体の79%と8割近くを占めた。このほか60代が9%、50代が5%、40代が3%、30代が2%、20代以下が2%。全体の69%の人には基礎疾患が有り、亡くなる直前にCOVID診断を受けた者のうち41.4%は軽症か無症状。自宅療養に関して「希望あり」は22.8%、「希望無し」は10.3%で、「不明」若しくは「亡くなった後に陽性が判明した」者は66.9%。「自宅療養中に急速に重症化した人や家族が入院を希望したものの自宅療養となっていた人がいた」「感染前から末期の癌等を患っていて自宅で最期を迎える事を希望した人も居た」等の情報有るも、厚生労働省は「入院治療が必要な患者への対応の強化や、療養中に症状が悪化した際に医療機関の紹介等を迅速に行える」様に「健康追跡調査中心の拡充や情報提供を進めて行きたい」との意向。
東京大学医科学研究所の特任教授、河岡義裕氏を含む研究者集団は、昨日にNew England Journal of Medicine誌上で“Efficacy of Antiviral Agents against Omicron Subvariants BQ.1.1 and XBB”と題した論文を発表。B米国や印度を含む複数の国家で急速に増加しつつ在るBQ.1.1系統はBA.5の流れを汲み、XBB系統はBA.2に由来する。しかし、スパイク蛋白質の受容体結合ドメインに追加の置換を有する為に、此等はBA.5やBA.2よりも免疫回避性が高い可能性が指摘されている。斯様な二種の変異株に対する治療効果を調べた所、日本国内で使用可能な薬剤としては内服薬のLagevrio/一般名MolnupiravirやPaxlovid/一般名Nirmatrelvir。点滴で用いるRemdesivir/商品名Vekluryが従来型やBA.5に対するのと同等の有効性を示す一方で、人工的に作った抗体を投与する抗体医薬は何れも効果が減弱。オミクロン変異株が進化し続けており、COVID-19に対する新しい治療用モノクローナル抗体の必要性は強まっていると考えられる由。
12月9日(金曜)
厚生労働省が発表した感染者数に基づき、NHKが新規感染者数一週間平均の動向を報道。全国では先月10日迄の1週間に前週比1.30倍、先月17日は1.24倍、先月24日は1.08倍、今月1日は1.27倍と七週連続で増加が続くも、8日になると1.003倍と横這いとなり、一日当たりの全国の平均の新規感染者数は凡そ11万1000人。西日本を中心に28都府県では前週より多くなり、宮崎県1.24倍、熊本県1.19倍、愛媛県と兵庫県が1.17倍等は増加幅が大きいが、北海道や東北では既に盛りを過ぎたのか、北海道0.79倍、山形県と長野県が0.85倍、岩手県0.87倍等と減少傾向を認めた由。
人口当たりの感染者数が最も多いのは宮城県で、先月24日迄の1週間は前週の1.18倍、今月1日は1.17倍と七週連続で増加が続いたが、8日はは0.93倍と減少に転じた。一日当たりの新規感染者数は凡そ3285人で、人口10万当たりの感染者数は999.05人。政府分科会の構成員、且つ東邦大学教授の舘田一博氏は「今、主流となっているオミクロン株のBA.5だけなら爆発的な感染拡大に繋がらない」かも知れぬが、「BQ.1系統の新たな変異ウイルスへの置き換わり」が「急激な感染拡大の危険性」と成り得る。既にBQ.1は東京都内等で増加中にして「今月末から年明けに掛けて」本格的な置換が進むものと推定されるが、「其の時に感染状況が如何なるか」を「注視しなければならない」と警鐘を鳴らしたとの事。
厚生労働省が発表した本日の新たな感染者は12万7090人。国内で亡くなった者は東京都で22人、北海道で21人、愛知県で15人、埼玉県で14人、秋田県で14人、神奈川県で11人、大阪府で9人、千葉県で8人、群馬県で8人、長野県で8人、宮城県で7人、福岡県で7人、茨城県で7人、青森県で7人、新潟県で6人、栃木県で6人、兵庫県で5人、岐阜県で5人、岩手県で5人、愛媛県で5人、滋賀県で5人、大分県で4人、広島県で4人、三重県で3人、京都府で3人、熊本県で3人、佐賀県で2人、宮崎県で2人、山口県で2人、岡山県で2人、島根県で2人、長崎県で2人、和歌山県で1人、奈良県で1人、富山県で1人、静岡県で1人の総計228人。重症者は昨日より15人増で378人。新たに東京都内で1万3556人、大阪府内で7076人が感染。
都は「COVIDと流行性感冒の同時流行」に因る発熱外来の逼迫に備え、臨時の回線接続発熱診療中心」を、来週12日から開設予定。本日に診療の様子が公開され、医師がPC画面に映った検査結果を確認した後に症状や持病の有無等を問診、処方を行う流れを実演して見せた由。「都内在住の13歳から64歳」、且つ「重症化危険性の低い」者が診療対象となるが、受診前に自主検査が必要。診療時間は9時から24時迄で当面は休診日無し、年末年始の利用や都homepageからの予約も可能との事。
今月1日から回線接続診療事業の“LINEドクター”を拡充し、全国で処方薬の配送を始めたLINE株式会社が次の一手。2019年12月から運用されていた先行事業、遠隔健康相談の“LINEヘルスケア”は「来年1月19日に新規相談の受付を停止」。「2月2日を以て事業終了」とし、生じた余力を“LINEドクター”に集中、強化を図る由。引き続き遠隔健康相談を希望する者には、同じSoftbank group内のHEALTHCARE TECHNOLOGIESが提供する“HELPO”の利用を推奨。24時間365日対応の健康相談に加えて、此方も回線接続診療やPCR検査の仲介が可能で「提携調剤薬局であれば処方薬の配送も可能」、更に病院検索、健康管理に特化した商品を取り扱う電脳商店街等の利用も可能な模様。当方は未だに電話再診しか対応して居ない地方公立病院に勤務しているものの、全国的に回線接続診療の体制が整備される日も或いは近いのかも知れぬ。
本日に政府の分科会が開かれ、感染症法上に於けるCOVIDの扱いに関して議論。経済畑の委員からは「重症化率や致死率が下がり、季節性流行性感冒に近づきつつ在る」「扱いの見直しについて早急に検討すべき」との意見が出されるも、医療界の代表からは「オミクロン株は感染力が強く、死亡者数自体は非常に多い」、「年間を通じて感染が続く事も有り、季節性流行性感冒と同等との評価は不適」と反論。侃々諤々の議論に決着は付かず、一旦は「厚生労働省の専門家会合が最新情報に基づき、改めて病原性等を評価」、其の上で「分科会が改めて議論する」事に決した由。分科会会長の尾身茂氏が会合後に曰く、会議に於いては「2類相当か5類か」の結論を急ぐよりも「今、新型コロナがどのような病気か」との評価を行った上で「今、行われている措置のうち、何を止めるべきで何を続けるべきなのか」を議論すべきだとの意見が多かったとの事。
12月10日(土曜)
本日の新規感染者は13万5761人、死亡は222人で、重症は378人。中国の税関当局が発表した先月の貿易統計に拠ると、輸出額は弗換算で昨年同月と比べて8.7%少なく、2ヶ月連続で減少。欧米向けの輸出が落ち込んだ事が主な要因と見られ、輸入額も昨年同月と比べて10.6%減。「厳しい行動制限を伴う所謂ゼロコロナ政策の影響で内需が停滞」「輸出の不振によって更に景気が下押しされるのではないか」との懸念が囁かれる、露西亜との間では輸出が約17%、輸入が約28%と昨年同月より大幅増加となり、勢力を中心に活発な貿易が続く由。
ゼロコロナ政策下での厳しい行動制限が中国経済を停滞させるのは今に始まった事では無く、本年4月から6月に掛けて同国の国内総生産(GDP)は「最大の経済都市、上海に於ける外出制限」等の影響で、昨年同時期より0.4%の正成長に留まった。続く7月から9月も3.9%と回復は鈍く、1年間の伸び率は中国政府が掲げた「5.5%前後の正成長」の目標を大きく下回る可能性大。「感染が拡大した地区毎に封鎖措置が執られ、工場の操業停止が相次ぐ」「操業を継続する際も外部との接触を避け、泊まり込みでの対応が求められる」等の状況が工場の稼働率を低下させ、生産の減少に繋がった様だが、感染が拡大した地域で「店内での飲食禁止」「商業施設の営業停止」、「省を跨ぐ移動制限が頻繁に課された」等が観光業へも打撃を与えた。個人消費の低迷が続き、10月の消費動向を示す指標が5ヶ月振りに昨年同月より下落して雇用不安も広がり、都市部に於ける16歳から24歳の失業率は同月時点で17.9%と高止まり。ゼロコロナ政策が何時まで続くかも分からず、先が見えぬ中で節約志向が強まり、景気を下押しする悪循環が指摘されていた。
今週6日の時点で国営の中国中央テレビは、同国内の報道機関が続けて来た「オミクロン株は感染力が強い」「故にゼロコロナ政策は継続しなくてはならない」と云う論調の報道から一変。「オミクロン株の特徴に関する専門家のインタビュー」を繰り返し放送。この中で専門家を名乗る人物は「オミクロン株の毒性は明らかに弱く、感染者の90%以上が無症状か軽い症状に留まる」「季節性の流行性感冒に良く似ている」と説明。また別の専門家は「症状が軽ければ感冒薬等を服用し、在宅での治療も可能」で「従前の様に感染者全員を病院や隔離施設に移す措置は必要無い」との見解を語り、政府が規制緩和を進める前触れかと噂された。同日から北京の飲食店で店内に於ける飲食が可能になるも「感染状況が如何なるか分からぬので今の所、店内で飲食する心算は無い」と語る市民も居た模様。
7日になると、中国政府は「感染対策を更に適正化する」と宣言。全ての感染者を病院や隔離施設に移す措置を止めて、「無症状や症状の軽い者は自宅での隔離」を認める。「自宅での隔離期間は原則7日間」とし、高齢者施設や医療機関、学校等を除いて「PCR検査に依る陰性証明を抗原検査に変更」。また「臨時の接種会場を設け、或いは車で巡回する」等で、遅れ馳せながら「60歳以上のワクチン接種を推進」等が実行される一方、「感染者が確認された集合住宅を封鎖」する際に「避難経路を確保し、安全対策を徹底する」事を強く求めたが、此れは先月下旬に新疆維吾爾自治区の高層マンションで火災が発生した際に「感染対策で避難経路が閉鎖され救助が遅れた」との情報が広がり、厳しい行動制限を伴う政策に反発する抗議活動が各地で相次いだ事を意識した措置だと見られる。
また中国政府が「省や自治区を跨いで移動する際の陰性証明を不要とする」事を発表したのを受けて、高速鉄道が発着する北京駅では旅行鞄等の大荷物を抱えた商取引客や帰省する出稼ぎ労働者で混雑。しかし、7日の記者会見で保健当局の担当者は「今回は主に国内の見直し」だと語り、入国者に対する「航空機が出発する時刻の48時間以内にPCR検査を1回受けて陰性を証明」「旅舎や自宅等で合計8日間の隔離」等の義務は緩和されなかった。当局担当者は「水際対策については法律や規則にしたがって、更に適正化を進めて行く」とも述べたものの、具体的な展望に関する言及無し。先月25日に再開となるも、感染拡大を経て再び閉園となっていた上海迪士尼 楽園も、8日に営業再開。同日午前から若者や家族連れ等大勢の人が訪れ、上海市も「9日からは飲食店等でも陰性証明の提示は求めない」と発表。
中国のPCR検査は「10人分の検体を1つの試験管に纏めて実施する」方式が一般的で、陽性と疑われる結果が出た後、更に1人ずつ再検査を行い、感染者を特定する由。感染者が少なかった時期には多くの人の感染状況を迅速に把握する方法として効果的に機能していた様だが、感染拡大が続く中で疑陽性が疑われる事例も増え、再検査で陰性の結果が出る迄は自宅待機を求められる等で市民生活に支障が生じている模様。北京の日本大使館に於いても、複数の大使館員に陽性が疑われる結果が出たため、7日から一般人の入館を規制したとの事。北京市内の薬局では市民が解熱剤や抗原検査キットを購入するべく長蛇の列を為し、売り切れとなる薬局も出現。
中国の近況に関し、同国の社会問題に詳しい東京大学大学院教授の阿古智子氏からは「短期間のうちに此処迄、緩和を進めたのは驚き」だが「中国各地で同時多発的に抗議活動が広がった事が影響した」可能性大。「習近平指導部は広く支持されている」と思われていたが実際の所、「権力内部は盤石では無く、国民の不満の声も高まっていて表面化した」様で、今回は「3期目に入ったばかりの時期」に「相当な打撃」が加えられた構図か。対策緩和で感染が再び拡大すれば医療崩壊が生じる可能性も高く、特に「医療環境が悪い地方で対応できるのか如何か」が懸念される。今後の感染拡大に関する予想は困難なれども「感染者が急増して重症者も出ているのに医療機関が対応できない」との状況に陥れば、「不満の矛先は矢張り政権に向かう」等の見解が語られたとの事。
12月11日(日曜)
此迄に受けた社会の下部構造に対する被害が修復され、緊急停電の終了が期待された今週5日、烏克蘭各地に対して露西亜軍が弾頭弾攻撃を加え、一部地域では気温が氷点下となる中で再び停電に見舞われた。烏国大統領のVolodymyr Zelensky氏は「露国の攻撃で少なくとも4人が死亡」したが「露軍が発射した弾頭弾、約70発の大半は撃ち落とした」と語り、同国大統領府で副長官を務めるKyrylo Tymoshenko氏曰く、Zaporizhzhia州では露軍の攻撃で2人が死亡し、複数の住宅が崩壊した由。首都Kyiv 、中部Vinnytsia州、南部Odesa州、北部Sumy 州の勢力施設にも攻撃が有ったとの事で、烏国と隣接する模爾杜亜の警察は、同日に「烏国境付近で弾頭弾の破片を発見した」と発表。
一方、露西亜国防省によると、Ryazan州のDyagilevo 空軍基地とSaratov州のEngels空軍基地が烏国の無人機攻撃を受け、軍事要員3人が死亡。他に4人が負傷し、航空機2機も軽い損傷を受けたという。3人の死者は莫斯科の南東185粁に在るDyagilevo 空軍基地で報告されたという。烏克蘭側は関与を直接認めていないが、New York Times紙は「露西亜国内2箇所の基地に烏克蘭領土から発射された無人機が攻撃」「うち1カ所で航空機2機以上が破壊され、その他の複数の機体が損傷を受けた」旨を烏国政府高官談として報じた。同国が仕掛けたのであれば、今年2月に烏国侵攻が始まって以来、露西亜深奥部に最も近い攻撃となる。Engels基地は莫斯科の南東、約730粁に位置し、露国の空輸核戦力を収容する2箇所の戦略爆撃機基地の一角。Saratovは最も近い烏国境から600粁以上も離れて居り、「烏国が其処迄、深く攻撃出来るとすれば莫斯科攻撃も可能」との声有り。其の後も烏国による無人機攻撃は続くが、露軍撤退の気配は皆目無し。
華太瑠の蹴球世界杯で熱戦が繰り広げられる中、現地時間12月8日に大会実行委員会のCEOを務めるNasser Al Khater氏に対し、英国放送協会(British Broadcasting Corporation; BBC)が取材。2021年に同じく英国のGuardian紙が「華太瑠開催が決定した2010年からの約10年間で、主に亜細亜の5箇国から訪れた6500人以上の外国人労働者が亡くなっている」等と報じられている件に就いて質問されると、同氏は「世界杯を成功させたのに今頃、こんな話をするのか」「今は大会の真只中だ」と苛立ち、更に「仕事中で在ろうと、寝て居る間で在ろうと死ぬのは自然な事」。「労働者の死亡数に関する、有りと諸有報道は全てが嘘だ」。「一部報道が物語をより悪化させ、人々を失望させている」等と言い放った由。
氏の発言に対し、米国の人権団体“Human Rights Watch”の代表は「彼の発言は、外国人労働者たちの死が防げたという真実を無慈悲に無視している」と非難。英国の人権団体“Amnesty International”の移民労働権研究者も「彼等は全ての死亡事故が調査されていると言っているが、其れは誤りだ」と断じ、「労働者たちが極端な温度での仕事に伴う健康被害が明らかで在るにも関わらず、彼等は膨大な数の死亡を単なる自然死として片付け続けている」。「華太瑠政府は、数々の悲劇的な事件を全て調査する必要が有る」と糾弾した由。日本蹴球協会の田嶋幸三会長は日独戦前に「飽く迄、蹴球に集中」、「今は蹴球に集中する時」等と発言したと記憶しているが、日本代表が敗退して、今後は如何にして開催国の理不尽に立ち向かう御心算だろうか。