令和4年11月最終週~12月第1週
11月28日(月曜)
厚生労働省の発表に拠れば、本日の新たな感染者は空港検疫を含めて4万9117人。死亡は北海道で12人、愛知県で10人、大阪府で8人、岐阜県で6人、東京都で6人、和歌山県で5人、三重県で4人、山梨県で4人、徳島県で4人、神奈川県で4人、群馬県で4人、茨城県で4人、京都府で3人、千葉県で3人、広島県で3人、栃木県で3人、佐賀県で2人、兵庫県で2人、宮崎県で2人、長崎県で2人、宮城県で1人、山口県で1人、岡山県で1人、岩手県で1人、愛媛県で1人、熊本県で1人、福井県で1人、福岡県で1人、青森県で1人、香川県で1人、高知県で1人、鳥取県で1人の、合わせて103人。重症者は322人で、昨日より14人増。
東京都内では5767人、大阪府内では2102人の新規感染が発生。
政府公表の最新状況に曰く、国内でオミクロン株に対応したワクチンの接種を受けた者は2148万610人で、全人口に対する接種率は17.1%。このうち65歳以上の高齢者は846万862人で接種率は23.5%。今月22日に使用が緊急承認された塩野義製薬のCOVID治療用内服薬、Xocovaが本日から医療機関へ供給開始。厚生労働省は百万人分を購入する契約を締結済で、Pfizer製Paxlovidの処方実績を有する医療機関2900箇所から供給を始め、順次拡大して行く予定との事。
新型コロナウイルスと流行性感冒の感染の有無を同時に検査出来る抗原検査キットは医療機関でしか使用が認められていなかったが、「同時流行が懸念される中で医療機関の逼迫を防ぐ為(為)、自宅で検査出来る体制を整備すべき」との意見が有り、本日に厚生労働省の専門家による部会で一般向けの販売解禁に就いて審議。専門家から「自己検査という意味では有効」だが「正しい検体採取の方法や陽性だった場合の対応に就いて周知が必要」等の意見が出た事を踏まえ、「医療機関への供給を最優先にする」事を前提に「薬局や電網での販売解禁」が決定した由。現時点で厚生労働省に製造や販売を承認されている同時検査検査キットは10社12製品だが、このうち一般への販売が認められたのは「鼻腔からの検体採取が可能」等の条件を満たした4社5製品。うち1社は「一般への販売を行う」が「販売開始が出来る時期や価格等は感染状況を考慮して検討」、残りの3社は「医療機関へ供給する在庫を確保する為、現時点では一般への販売は難しい」との現状。厚生労働省は「医療機関向けには各製造会社で3900万回分の在庫が確保されている」と語るも、当面は一般向けの供給が少なくなる見通しとの事。
自宅出来ットを用いる場合は、偽陰性の確率を下げる為に「発熱から概ね12時間が経過した後に検査」。検査キットは「保管温度が2度~30度」で「冷蔵庫の中に保管」「冬場で暖房が入っていない部屋で使う」等で偽陰性になる事例が有り、逆に「真夏に入手して放置していた」検査キットの使用が偽陽性を招く事も有る。医療機関では「鼻咽頭、即ちウイルスの多い鼻腔の奥まで綿棒を差し込んで検体を採取する」のに対し、自宅検査時は出血の危険性を避けて「鼻腔入口部から2糎程度の浅い部位から採取」と定められている故に「医療機関で行う場合に比して10%ほど感度が低下する」。無事に検体を採取した後は「溶液が入った付属容器に綿棒を差し込み、検体を溶かし込む」事になるが、「綿棒を溶液の中で回す」「容器の上から複数回、揉み込む」等で十分に溶かす事が重要。検体の含まれた溶液を判定キットに垂らすと「陽性か否かを判定する線が現れ、ウイルス量が多い程、線が濃くなる」が、「検査キット毎に定められた陽性を示す色と違う色彩が示された場合」は偽陽性の可能性が有り、また「線が薄くて判断出来ぬ場合」も医療機関への相談を要する。
そもそも検査は、特に抗原検査キットは「陰性でも感染を完全に否定出来る訳では無い」との現実も考慮すると「大多数の一般人が適正に使用出来るのか」との疑念は尽きぬが、「病院を受診せずに自ら行う事の出来る選択肢」を国民に与え、流行拡大時も発熱外来が逼迫せぬ様にする効果は期待出来よう。11月20日に至る1週間で全国の医療機関から報告された流行性感冒患者数は546人。「1医療機関当たりの1週間の患者数」が「全国で1人を超える」事が全国的な流行の目安とされるのに対し、現時点では0.11人と低い。しかし、今月20日の時点で31都道府県から患者発生が報告され、1医療機関当たりの患者数は京都府が0.55人、大阪府が0.51人、東京都が0.30人と前週より増加しているらしく、予断を許さぬ状況が続く。
11月29日(火曜)
本日の新たな感染者は12万7422人。東京都は1万4680人、大阪府が6646人だったのに対し、岩手県は2248人、秋田県は1948人で共に過去最多。国内に於ける死亡は153人で、重症者は334人。重症化危険性や感染力に応じて感染症を一類から五類に分け、国や自治体が執行可能な措置の内容を定める感染症法に於いて、新型コロナウイルス感染症は「二類相当」と位置づけられ、感染拡大を防ぐ為の厳格な対応が執られて来た。斯様な現状に対し、厚生労働大臣の加藤勝信氏が記者会見で「衆議院での審議で、新型コロナの感染法上の位置付けを速やかに検討すると云う規定が追加」され、「斯うした修正も踏まえ」て「専門家の意見も聞きながら早期に議論を進めて行きたい」と発言。大臣は「季節性流行性感冒等と同じ五類への引き下げ」も含め、見直しに向けた議論を進める意向を示す一方で「新型コロナの重篤性や感染力をどう評価するのか、専門家にもう少し深掘りをして貰い、国民に共通して理解して貰える基盤作りが必要だ」とも語った由。
昨年度の大学入学共通試験に於いて、感染拡大の影響から本試験も追試験も受けられなかった受験生を救済する目的で、文部科学省は「個別入試で合否判定する様に」と全国の大学へ異例の要請を行った。しかし本日の閣議後会見で文部科学大臣の永岡桂子氏は、昨年要請は飽くまで「昨年度限りの措置」に過ぎず「同様の措置を再度要請する予定は無い」旨を宣言。理由としては「新型コロナの自宅待機期間等が大幅に短縮」、試験場で受験生が体調不良を訴えた場合に継続受験を認めない要件も「37度5分以上」から「38度0分以上」に見直された事から「受験生が本試験と追試験を受験出来ない」、「試験場で受験継続出来ない」等の状況は「通常、想定し難い」等が挙げられた模様。文部科学省に拠ると、昨年度はCOVIDを理由に共通試験を受験せず、個別入試等に依る合否判定を出願した受験生が19大学で延べ24人存在したとの事だが、諸々の規制が解かれ行く今、特例が終わるのも已むを得ぬか。
政府は新型コロナウイルス対策の基本的対処方針に「飲食は可成、少人数で黙食を基本とする」等を明記して来たが、今月25日の変更で当該の記述を削除。此れを受けて、本日に文部科学省は基本的対処方針の変更に就いて説明すると同時に「文部科学省の手引きでも黙食を必須としない」旨を全国の教育委員会に通知。座席配置の工夫や適切な換気等の措置を講じれば「給食の時間に児童生徒の間で会話を行う」事も可能として、地域の実情に応じた取り組みを検討する様に求めた由。マスク着用に就いても「児童や生徒の心情に配慮」した上で「マスクを外す場面を設ける」「体育の授業等では外す様に促す」等が改めて提示されたが、校内での感染対策に関しては「継続した対策が必要」、「黙食やマスクが子供達の精神的負荷や意思疎通不足の一因になっている」との両論有り。黙食終了に際しては「先ずは小声で話す」等の方法も検討されているそうだが、全ての児童生徒が自ら適切な判断や行動が取れるとも思えず、感染状況を見ながら試行錯誤を繰り返す他は無さそうな印象。
11月30日(水曜)
霜月も末日。本日の第108回新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会で示された資料に拠ると、昨日迄の一週間に於ける新規感染者数は全国では前週と比べて1.15倍に増加。首都圏の1都3県では東京都が1.21倍、神奈川県と埼玉県が1.16倍、千葉県が1.28倍と増加。関西では大阪府が1.19倍、京都府が1.25倍、兵庫県が1.23倍、東海でも愛知県が1.20倍、岐阜県が1.15倍、三重県が1.21倍と増加が続き、高知県で1.39倍、滋賀県で1.36倍、沖縄県で1.33倍等と46都府県で増加した一方、北海道では0.92倍と僅かながらも減少。人口10万当たりの直近1週間の感染者数は北海道が1042.62人と全国で最も多く、宮城県が1026.85人、長野県が967.23人、福島県が925.56人等と北海道や東北を中心とした地域で多い傾向有り。東京都は539.52人、大阪府は387.70人、全国では563.62人との事。
そして本日は全国で13万8396人、うち東京 1万4399人、大阪6664人の新規感染が発生。死亡は210人、重症は342人。昨日の加藤厚生労働大臣発言に対し、日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、記者会見で「今後、大きな感染拡大が有った場合に医療の提供が適切に行われる様にする為には、感染が静かになった所では無く、今の段階から確りと議論して方向性を探って置く必要が有る」と理解を示す一方、「感染防止対策は簡単には緩められない」。「社会経済活動を回す」との視点から「見直しを早めた方が良いと云う意見が有る事は承知している」が、医療を提供する立場からすると「慎重に合意形成を行った上で、国の政策判断が適切に行われる」事を願う。ワクチン接種等の公費負担に就いては「感染者が増えていて、今後の状況が分からない中では大幅に止めると云うのは反対だ」と語った由。
新型コロナウイルス対策に就いて助言する厚生労働省の専門家会合は「全国的に感染者数増加が続いているものの其の速度は比較的緩やか」となり「今夏第7波の頂点を上回った北海道では減少に転じた」が、「首都圏や近畿、九州、沖縄では増加の幅が大きい」。「北海道や長野県を含む感染者数が大きく増加した地域では死亡者数も増加」して居り、地域差や不確実性はあるものの「今後も全国的に増加が続く」と予想。「ワクチンや感染に因って得られた免疫の減少」「より免疫を逃れ易いとされるオミクロン株BQ.1等への置換」「年末に向け接触機会が増加」等の影響に注意を呼び掛けたが、既に「夜間の繁華街に於ける人出は多くの地域で増加傾向」で昨年同時期を上回り、感染拡大以前の水準まで戻った地域も存在する由。
委員会後の記者会見で座長の脇田隆字氏は「広がり易さ」と「免疫を掻い潜る」力を総合したBQ.1の「増殖していく力」は「BA.5を少し上回り、感染者数の押し上げ要因になって行く」。「BQ.1に完全に置き換わる」と云うよりは「複数の変異ウイルスが共存する」状況が予想されるが、然うなると寧ろ「少し状況は複雑かも知れない」。「感染の波がどの位、高くなるのか考えるのは難しい」が「第7の様にすんなり下がらない事は予想される」。感染症法上の扱い見直しに向けた議論に関しては、「数回前の会合」で纏めた「ウイルスの伝播性、症状の重症度、医療への影響を検討すべき」との見解に沿って検討を進めるが、流行の主体がオミクロン株となり変化した病態に対して「確り危険性評価するのが専門家会合の役割」。単に見直しへの賛否を論じるのでは無く「新型コロナがどの様な病気なのか」を「国民に正しく理解して貰える」様に「私達が答えて行く」。現在のCOVIDは「呼吸器感染症と云うよりも、心血管疾患の合併症の影響が大きい循環器の病気」では無いかとの意見も有り、「今の病気の姿自体の評価を確り行うべきだ」等と語った由。
12月1日(木曜)
本日から師走が始まり、新たな感染者は11万8201人。亡くなった人は182人、累計で4万9826人。重症者はで339人で、昨日より3人減。東京都内では新たに1万2332人が感染。都のモニタリング会議では「昨日の時点でCOVID専用病床の使用率が40.3%と前週より4.7ポイント上昇」「救急搬送が困難な事例が増加」等の状況が報告され、専門家は医療提供体制の警戒水準を1段引き上げて4段階中の第2位とする一方、感染状況は第2位が維持されたものの、新規感染者数の7日間平均は1万1047人で8月31日以来の一万人超を記録。五週連続で前週比が100%を超え、現状の比率で増加が続けば「2週後には一日の感染者数が1万5000人、4週間後には2万1000人を上回る」との予測が示された。また会議では、東京都医学総合研究所がワクチンと中和抗体価の関係に就いて調査した結果が報告されたが「4回目の接種から3か月後には中和抗体価が徐々に低下する」が「5回目の接種で再び同程度に上昇した」との事で、改めて「高齢者を含む重症化危険性の高い群には早期の5回目接種が有用」との指摘有り。
大阪府内では新規5806人の感染を確認。観光庁発表に曰く、先々月に国内の旅舎や旅館等に宿泊した者の速報値は延べ4426万人となり、昨年同月比にして38%の増加。このうち日本人宿泊者は延べ4210万人と昨年同月より32.5%増え、感染拡大以前の2019年同月と比べても5.8%の増加。外国人宿泊者は延べ216万人で、昨年同時期の7倍前後と大幅に増加。10月に「全国旅行支援の開始」、「外国人個人旅行の解禁や短期滞在の査証取得免除」等の水際対策緩和が旅行者増加に繋がった模様。一方で宮内庁の発表に依ると、同庁職員5名と「皇室が私的に雇用している職員」8名の合計13人のCOVID陽性が判明。全員が11月23日から24日に掛けて皇居で執り行われた新嘗祭に携わって居たものの何れも軽症か無症状。新嘗祭に参加した天皇や秋篠宮と感染した職員らとの接触は無かったとの事なれども、12月1日に行う宮中祭祀、旬祭に於いては天皇の拝礼を取り止め、職員が代理する形式に変更する旨が決定した由。
厚生労働省の報告で「電話を含む回線接続診療診療を行う医療機関は全体の約15%」「服薬指導は処方箋の数の1%未満」に留まるとの国内状況に於いて、LINE株式会社は一昨年12月に開始した「smartphoneの無料動画通話を使って診療を受ける事業」、“LINEドクター”の機能を本日に拡充。COVIDや流行性感冒等の感染症が多発する冬季の利用を想定し、「全国で処方薬を配送する」業務も始めた由。従前は“LINEドクター”を利用して回線接続診療を受けても、薬局まで足を運んで処方された薬を受け取らねばならなかったが、新事業を利用すれば診療後は感冒や鼻炎に対する処方薬が自宅に届く。診療費や処方量とは別個に税込660円の利用料と配送料、自宅配送には1から4日を要する見通しなれども都内一部地域では即日配送も可能。同様の事業は他社も手掛けているものの、診療と服薬指導が別事業となる等と利便性の問題が指摘されて居る。
コロナ禍以降、医療提供体制を強化する一環として政府が回線接続診療等の普及を目指し、大手調剤薬局連鎖各社も服薬指導の回線接続化を進める中、本年9月末時点で約9300万人が利用中とも言われるLINEが「同じアプリで一貫して提供する」事業に参入する意義は大きく、競争激化も予想される旨の報道有り。当方勤務先は対面診察と電話診療にしか対応して居らぬが、近い将来に地方の公立病院でも回線接続診療が通常業務の一部と化す時代が到来するのかも知れぬ。
12月2日(金曜)
全国に於ける新規感染者数を1週間平均は先月3日迄の1週間が前週比1.38倍、先月10日は1.30倍、先月17日は1.24倍、先月24日は1.08倍と一旦は増加の速度が落ちるも、今月1日は1.27倍と再加速して七週連続の増加。全国に於ける新規感染者数の一日平均は先週より2万3000人余り多い11万人余、全都道府県で前週より増加。高知県では1.56倍、沖縄県では1.46倍、千葉県では1.44倍、茨城県では1.43倍等と増加の幅が比較的大きくなり、宮城県、山梨県、三重県、広島県を除く43都道府県で増加が加速。人口当たりの感染者数が最も多いのは北海道で先月17日迄の1週間は前週比1.23倍、六週連続で増加が続いた後は先月24日が0.93倍と減少に転じるも、今月1日は1.03倍と再び増加した由。 新型コロナウイルスとの同時流行が懸念される流行性感冒に関しては、全国の医療機関から先月27日までに1週間に報告された患者の数は全国で535人。患者数は前の週とほぼ変わらず、まだ流行期入りの水準を大きく下回るも、専門家は引き続き注意するよう呼びかけている由。
本日の新たな感染者は東京1万1244人、大阪5409人、全国では10万9928人。亡くなった人は187人で、累計で5万13人を数え、遂に五万人を突破。重症者349人は昨日より10人増。参議院本会議では、地域の医療提供体制の強化策を盛り込んだ改正感染症法や改正予防接種法、改正医療法が賛成多数を以て可決、成立。今後は「感染症の予防計画を策定」「地域の中核となる医療機関と事前に協定を結んで、病床や外来医療を確保する」事等が都道府県に義務付けられ、都道府県は医療機関に対して「協定に基づいた医療の提供を勧告、指示」する事が可能となり、協定に従わぬ特定機能病院と地域医療支援病院に対しては「国や都道府県が承認を取り消す」事も有り得る一方で、協定を結んだ医療機関の収入が感染症対応で減じた場合は「流行前との差額を補填する財政支援」も盛り込まれている模様。我が国に於けるCOVID対応の課題解決を目指して行われた今回の一連の法改正には「予防計画の充実」「医療人材の広域派遣」「マスクや抗原検査キット、血中酸素飽和度測定装置等の物資確保」「入国者に対する水際対策の強化」等の条々も含まれるが、一部を除いて再来年の令和6年4月に施行される予定との事。
今冬に懸念される同時流行に関し、厚生労働省は「頂点時には新型コロナが一日45万人、流行性感冒が一日30万人」で一日75万人規模の患者が発生すると想定。都道府等に診療体制強の計画を求めたが、都道府県の推計では「同時流行の頂点時には81万人の患者」の発生が想定され、先月時点で「一日最大で90万人の患者を診療出来る体制」が整ったとの事。内訳は、重症化危険性の高い者が受診する発熱外来等が87万人、電話や回線接続診療が2万3000人で、土曜日は一日55万人、日曜日と祝日は一日23万人の患者を診療可能との事。重症化危険性の低い者が自主検査でCOVID陽性と判定された場合に登録する健康追跡調査中心の対応強化に関しても、「一日最大で20万人が登録出来る体制」が整えられた模様。
12月3日(土曜)
本日の新たな感染者は空港検疫を含めて10万9591人、うち東京1万3321人、大阪5443人。国内に於ける死亡は神奈川県23人、北海道14人、東京都13人、埼玉県9人、長野県9人、兵庫県8人、大阪府8人、宮城県7人、愛知県7人、群馬県6人、京都府5人、岐阜県5人、広島県5人、栃木県5人、沖縄県5人、三重県4人、岩手県4人、滋賀県4人、茨城県4人、和歌山県3人、富山県3人、岡山県3人、石川県3人、静岡県3人、高知県で3人、千葉県2人、大分県2人、福岡県2人、青森県2人、奈良県1人、宮崎県1人、山口県1人、山梨県1人、島根県1人、徳島県1人、長崎県1人、香川県1人、鳥取県1人の総計180人、累計で5万193人。重症者は341人、一昨日に行われたPCR検査等の検査数は自主検査を除いた速報値で7万347件。
COVID治療中の呼吸悪化時等に使用される体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)。所謂、人工心肺装置の納入を巡り、地方独立行政法人が運営する千葉県東金市の病院、東千葉Medical Centerの臨床工学部技士長、吉野英樹(ひ出来)容疑者が収賄の疑いで逮捕。東京都豊島区の医療機器販売会社、日本Medical Honestの社長、真々部良輔容疑者も贈賄の疑いで逮捕されたが、警察の捜査結果に依ると「ECMO選定会議の構成員たる吉野技士長が便宜を図った結果、昨年2月に病院がオネスト社から1793万円で購入する契約を締結」「翌3月にオネスト社側が吉野技士長へ現金百万円を渡す」との状況らしく、関与は否定し難い様に思える。技士長は過去に都内の別の病院や医療機器販売会社に勤務した経歴を持ち、社長とは此の時期に知り合ったと見られる由。医療機器には高価な物も多いが、本件も恐らくコロナ禍が無くんば起こり得ないか、異なる様相を呈していたものと思われる。
12月4日(日曜)
中国では先月27日に約3万9000人の新規感染者が発生。五日連続で過去最多を更新する一方、先週末には同国内で一斉に大規模な「ゼロコロナ」政策への抗議活動が行われ、北京では人々が白紙を掲げて政府に抗議し、上海では26日夜に群衆が「習近平は退陣せよ」「共産党は退陣せよ」等と唱和する異例の事態となり、「上海で抗議活動を取材していた英国、BBCの特派員が数時間にわたって拘束され、警察官に殴られ蹴られる等の暴力を振るわれる」事件も発生。
今週に入り、中国外務省で報道官を務める趙立堅/Zhào Lìjiān氏は、記者から「中国国内で政策への不満が高まっているのではないか」と問われたのに対して「事実とは異なる」と否定するも、各地で巻き起こる抗議活動への言及は避け、「我々は中国共産党の指導と国民の協力と支持によって新型コロナとの闘いが成功すると信じている」と語る一方、「BBCの声明は事実と異なる」、当該の記者は「記者で在る事を名乗らなかった上、記者証も自主的に提示しなかった」等と主張。しかし、中国企業が多く上場する香港株式市場では、感染再拡大や抗議活動への懸念からか、代表的な株価指数は先週末と比べて一時、4%以上の大幅下落。外国為替市場でも人民元を売って弗を買う動きが進み、一時は凡そ週間振りに1弗が7.2人民元台となった由。
新たな抗議活動を抑圧する為に警察官が動員され、街頭で警戒に当たる姿が中国各地で確認される状況に対して米国の戦略広報調整官、John Kirby氏は「集会を開き、平和的な抗議活動を行う権利は保障されるべき」で「我々は状況を注視している」と語り、英国首相のRishi Sunak氏も「中国政府は国民の抗議に耳を傾ける代わりに、BBC報道記者への暴力を含む更なる弾圧を選択した」と中国を非難。「中国に対する対応を変える」必要が有り「貿易が社会や政治の改革に繋がって行く、と云う甘い考え」と共に「黄金時代が終わった」と述べ、中国との関係を見直す事を宣言。また蹴球世界杯、華太瑠大会の中継に関して、AFP通信は「国営の中国中央テレビは、マスクをせずに応援している観客が大写しになる映像」を放送せず「別の映像に差し替えている」と報道。国民が更に不満を募らせる事を恐れた措置と見られるが、中国版Twitterとも云うべき微信でも「運動が政治化した」「試合を見る気が完全に無くなった」、或いは固有名詞を避けつつ「彼らは何を恐れているのか」等の投稿有り。
29日の時点で、中国の保健当局の幹部は「最近、民衆が示している問題は、コロナ政策そのものに対してでは無く、幾重にも規則を付け加えたり、画一的に運用したりして、民衆の訴えを無視している事に在る」。「既に各地に専門の作業チームが設けられ、電網利用者や各地の民衆等が示した様々(さまざま)な問題に対し、積極的かつ効果的な対応を行い解決を進めている」と発言。上述の外務省報道官、趙氏も「ゼロコロナ政策を貫徹するにあたっては現状に応じて調整、改善」、「科学的な水準も絶えず向上させて」居り「中国の政策が科学的に正しい事は事実が証明している」と反論。「如何なる権利と自由も法律の範囲内でなければならない」と述べ、抗議活動を牽制。当局が検閲を強めた為か、電網上では抗議活動の写真や動画が次々に削除されて、中国共産党の機関紙たる人民日報は「良くない電網情報は大衆の恐慌を増大させる」、「政府が発表する情報に注目すべきだ」との記事を掲載するも、電網を利用する事に長けた一部市民は、VPNを介して政府の統制が及ばない外国のSNS、Telegram等に抗議の写真や動画の投稿を継続。
同日に英国政府は「BBC記者が一時拘束」の問題に関し中国各地で起きた大規模な抗議活動に就いて「我々は世界の何処であっても人々が自分達の考えや懸念、不満を表す為に平和的に抗議活動を行う権利を支持する」と宣言。抗議活動には「学生を中心に多くの若者も参加して中国共産党を批判した事から、多くの大学では感染対策を理由に「授業や試験を回線接続(ラインに切り替える)「冬休みを早めて学生を帰省させる」等の対応が執られ、、国営の新華社通信は、共産党で警察や司法部門を統括する中央政法委員会が「敵対勢力の破壊活動や社会秩序を乱す違法な犯罪行為」を法に基づき、断固取り締まる」との方針を確認したと報道。
衝突が断続的に起きていた広州では30日、感染者が確認時の封鎖範囲は「感染者が確認された建物に限る」等とする感染対策の大幅緩和を地元政府が発表。1か月以上続いた封鎖が解けて、食料の買い出しに向かう住民や出身地に帰る出稼ぎ労働者の姿が見られた由。中国各地で大規模な抗議活動が起きる中、同日中に日本の東京都新宿、米国は紐育の中国総領事館前、加奈陀の多倫多、豪州の雪特尼や英国の倫敦を含む世界各地で抗議活動。同日に中国政府で新型コロナウイルス政策を担当する孫春蘭副首相が公衆衛生の専門家会合に出席。此の中で孫副首相は「ワクチン接種が普及し、経験が蓄積されるに従って感染対策が新たな局面と任務に直面している」と述べ、感染対策と経済活動を両立する必要性を強調する一方、此れ迄、繰り返し強調してきた「ゼロコロナ」政策の継続に就いては言及せず。
今月1日の会議でも孫春蘭副首相は「ゼロコロナ」政策の継続に就いて言及せず、「中国政府が感染対策を緩和する」との予想が広がり、2日に北京市政府がバスと地下鉄の運営会社に「乗客が48時間以内のPCR検査の陰性証明を持っていなくても、12月5日以降は、乗車を拒否してはならない」と発表。また1日に北京で行われた中国の習近平国家主席とEUのミシェル大統領との首脳会談に於いて、習主席は「新型コロナウイルスの感染が凡そ3年に渡って続いている」事に「人々が不満を抱いている」から抗議行動が「起きた」ものの「抗議しているのは主に学生や十代の若者だ」等と説明し、初めて習主席の認識が公になったとの事。
中国がゼロコロナ政策に固執する理由に関しては「高齢者のワクチン接種率が低い」「同国内で使用される中国産ワクチンは効果が比較的低い」、「人口当たりの看護師数とICU病床数が少なく、日本の3割程度」等の事情が有り、「ゼロコロナ政策を解除すれば感染爆発は必至」「医療崩壊して数百万人以上が死亡し、医療体制及び社会自体の大きな混乱を引き起こす」等の分析も為されている模様。莫大な国費を投じて軍備を拡大して来た中国が、集中治療室や看護師の不足を放置し続けたとすれば笑止千万だが、同国の医療崩壊や混乱は必ずや我が国にも甚大な影響を及ぼすものと予想される。