表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
135/178

令和4年11月第2週

11月7日(月曜)

 新型コロナウイルスの新規感染者数を7日(まで)の一週間平均で比較すると、全国では1.42倍と全都道府県で増加。人口当たりの感染者数が最も多いのは北海道で、7日までの1週間は前週の1.37倍で、6日までの人口10万当たりの感染者数は803.75人。首都圏では東京都が前週の1.53倍、埼玉県は1.48倍、千葉県は1.35倍、神奈川県は1.54倍。関西は大阪府1.27倍、京都府1.43倍、兵庫県1.25倍で、東海が愛知県1.63倍、岐阜県1.43倍、三重県1.41倍。其の他は宮城県1.72倍、新潟県と長野県、福井県で1.62倍、広島県1.43倍、福岡県は1.27倍、沖縄県は1.09倍等と全都道府県で前週より多くなり、東日本を中心に増加の進度(ペース)が上昇している模様。

 厚生労働省が発表した本日の新たな感染者は、空港の検疫等を含め3万1622人。死亡は愛知県で5人、北海道で4人、和歌山県で3人、大阪府で3人、山口県で3人、佐賀県で2人、千葉県で2人、宮崎県で2人、栃木県で2人、福岡県で2人、秋田県で2人、三重県で1人、京都府で1人、大分県で1人、宮城県で1人、岐阜県で1人、東京都で1人、神奈川県で1人、群馬県で1人、茨城県で1人、青森県で1人、静岡県で1人、香川県で1人の合わせて42人。重症者174人は昨日に比して4人増で、先週3日に行われたPCR等の検査数は自主検査を除外した速報値で2万5759件。東京都内では3489人、大阪府内で1390人の新規感染を確認。

 政府が公表した最新状況に拠ると、国内でオミクロン株対応型ワクチンの接種を受けた者は858万2671人で、全人口に対する接種率は6.8%。このうち65歳以上の高齢者は189万2709人で、接種率5.3%に達した由。オミクロン株対応型ワクチンに関しては、今年9月からファイザーとモデルナのBA.1対応型、先月からファイザーのBA.5対応型の接種が始まったのに加えて、モデルナ製BA.5対応型に関しても厚生労働省が国内での使用を承認して、本日に「無料で受けられる公的接種に位置づける」方針に決した由。今月28日の週から来月下旬に凡そ300万回分が自治体に配送され、順次、接種を開始する予定。年内にオミクロン株対応型1億200万回分程度が自治体に配送される計画で、加えてNovavaxが開発したワクチンに就いても「オミクロン株対応ワクチンと同様に追加接種を行う」方針となった模様。

 準備は万端の筈なれども、肝心の接種は進まぬ情勢に対し、本日に総務省は幹部職員を集めた地方連携推進本」の会議を開催。寺田総務大臣が「ワクチン接種の加速化に全力で当たって欲しい」、「自治体に依る接種促進、自治体での夜間休日の接種等、接種し(やす)い環境の整備」や「首長に率先して接種して貰う」等と「更なる協力要請を」に就いて指示。今夜に総理大臣官邸で開かれた政府主催の全国知事会議にて、岸田総理大臣も「この冬のインフルエンザとの同時流行に備えるため、外来等の保健医療体制のさらなる拡充や、オミクロン株に対応したワクチン接種の最大限の加速が必要」「都道府県の協力が不可欠だ」と接種加速に協力を求めた。知事会会長と鳥取県を兼務する平井(ひらい) 伸治(しんじ)氏は「第8波に入り始めていると認識をせざるを得ない状況」で「国と地方が協力してやっていかなければならない」と応じる一方、「新型コロナとの戦いも3年目になったが、現場では第8波を感じている」と語り、全国知事会として「ワクチン接種の促進や検査キットの十分な確保等を国に求める」緊急提言を纏めた由。

 しかし、ワクチン接種は国から自治体等に補助金の形で支給され、昨年度にも2兆3000億円余の国費が投じられている。本日に開かれた審議会の会合で財務省担当者から「補助の対象や費用が無制限」、「医師不足から委託費が通常の3倍を超える」事例や「人口1人当たりの補助金の使用額が自治体間で最大24倍の格差」も有る等の実態が説明された。今後は季節性流行性感冒(インフルエンザ)等と同様に「接種希望者が費用の一部を負担する定期(ていき)接種(せっしゅ)に移行する」等の見直しを図るべきとの提議に対し、居並ぶ委員達からも「支援の緊急性は薄れている」との見解が語られ、見直しを求める事で概ね意見は一致。此の結論に対し、松野官房長官は午後の会見で、審議会の指摘は「今後の課題として」「重症化率や他の感染症との均衡(バランス)を見ながら」「定期接種化を検討すべきではないか、と云う趣旨と承知」。政府が当面の方針を「接種の加速化」としている事に「矛盾するものではない」と述べたそうだが、「自己負担が増えれば国民は接種に二の足を踏む」のが理の当然だろう。

 また「COVID用ワクチン接種と接種後死亡の因果関係が否定出来ず、予防接種法に基づいて死亡一時金を支給する」と国に判定された者は70代と90代の男女4人だったが、本日に厚生労働省は「接種後にくも膜下出血や心筋梗塞等で亡くなった44歳の女性」1人と「80歳から87歳の男女」5人に関しても救済の対象と決定した由。60代以下の認定は初。接種したワクチンの種類や接種回数等は未公表だが、(いず)れも高血圧症や糖尿病等の基礎疾患を有し、「死亡診断書や診療録(カルテ)記載等を踏まえて、因果関係が否定出来ぬと判断した」との事。国民大多数の生命や健康を守る為に行われた大規模事業の結果故に()むを()ぬ部分も有ろうかと思われるが、結果的に死亡一時金の支給が認められたのは総計10例に及び、此の報道を耳にして接種に消極的となる人々も居ようかと思われる。

 会計検査院が昨年度予算の検査報告書を(まと)め、本日に岸田総理大臣に提出。新型コロナウイルス対策に関わる事業では50兆8700億円余の予算に対し、支出額は33兆8000億円余だったが、このうち「感染者(うけ)(いれ)(ため)に病床を確保した医療機関に支払われる交付金」に於いては、神奈川県内の病院が「対象となる病床や単価の算定方法を誤り、22億円以上を余分に受け取っていた」等の事例が有り、総計55億円余が過大に支出されていた事が判明。Go To Travel事業に於いても「契約取消(キャンセル)分として旅行会社等に支払われた補償」、「需要が減少した木材の利用を促進する為に工務店に支払われた助成金」で「対象外のものが有った」等の事例が発見され、全体では310件、総額455億円の「不適切な支出等」が指摘された由。会計検査院は不適切支出分を返還させる事と共に「一定期間に多額の国費が投じられているCOVID対策事業では、特に確認を徹底する」事等を国に求めたとの事。


11月8日(火曜)

 本日の新たな感染者は先週火曜より1万6000人以上増えて8万1401人となり、重症者は2人増えて176人、死者の総計は70人。都内で新たに8665人の感染が確認され、加藤厚生労働大臣が閣議後会見で「現在の感染拡大が今後も継続し、第8波に繋がる可能性も念頭に置きながら、()るべき事を先手先手で取り組んで行きたい」と語る一方、東京都医師会の尾崎治夫会長からは「第8波に入り掛かっていると考える事も出来る」と多少、踏み込んだ発言有り。

 大阪府内で一日当たりの新規感染者数が前週同曜を上回る日が続く増加傾向が続いて、一昨日と昨日は二日連続で病床使用率も20%を上回るとの状況を受けて、府が本日に対策本部会議。感染状況等を伝える独自基準の大阪(おおさか)雛形(モデル)に関し、現在の「警戒解除を示す緑」から「警戒を示す黄色」に引き上げると定めた由。大阪雛形の黄変は先月10日以来で、府は「日没後に万博記念公園に在る太陽の塔を黄色く(ライト)(アップ)する」等で府民に感染対策の徹底を呼び掛ける事となり、会議の性状で府知事の吉村(よしむら)洋文(ひろふみ)氏は「()れから冬に向けて感染拡大の波が来る可能性が有る」「発熱した場合等に備え、自宅に新型コロナの検査キットや解熱剤を備蓄して欲しい」と述べたとの事。

 衆議院や各々(おのおの)の事務所が発表した所に拠ると、自民党前幹事長の甘利(あまり)(あきら)、組織運動本部長の小渕(おぶち)優子(ゆうこ)の両氏が昨日のPCR検査でCOVID陽性と判定され、自宅待機に入った由。幸か不幸か、()二方(ふたかた)とも日本の国政に不可欠な政治家と()う訳でも無く、俗事(ぞくじ)からは離れて療養に専念して頂きたい。


11月9日(水曜)

 本日に発生した新規感染は8万7410人、死亡は97人、重症者は177人。東京都内での新規感染は9012人。都は患者の対応を行う保健所の負担を軽減しようと「問い合わせの手法や患者情報の管理に関するデジタル化」を進め、本日に府中市の多摩府中保健所に於ける状況を報道陣に公開。同所でも従前は電話で患者への連絡を行って来たが、「携帯電話のshort mailで連絡事項を一斉送信」の機構(システム)を導入して職員の負担が軽減、迅速な対応が可能となり、紙に記入していた患者情報もPC入力から情報(データ)蓄積(ベース)化して管理される由。大阪府内で4244人、そして北海道内では9545人の新規感染が確認されたが、後者では昨日に続いて過去最多を更新すると共に、一日当たりとしては過去最多となる22人の死亡も発表された由。

 新型コロナウイルス感染が拡大する中、松野官房長官は午前の記者会見で「全国の新規感染者数は足元では増加傾向」に在り「とりわけ北海道では過去最多」、「病床使用率も増加傾向に在る」。「全国的な感染拡大に(つな)がる可能性も有る事から、緊張感を持って動向を注視して行く」と述べる一方、「オミクロン株と同程度の感染力や病原性の変異株に因る」感染拡大に対しては「新たな行動制限は行わず」、「社会経済活動を維持しながら感染拡大防止策を講じる」と発言。全国(ぜんこく)旅行(りょこう)支援(しえん)等の観光需要の喚起策を中断する可能性に就いては「都道府県が実施の継続の可否を判断する」が、政府としても「感染状況の動向を注意深く見守った上で適切に判断して行く」と述べた由。

 本日に所謂(いわゆる)、厚生労働省の専門家会合。第105回となる新型コロナウイルス感染症対策諮問(アドバイザリー)委員会(ボード)が開催。提示された資料に拠ると、昨日迄の1週間に於ける新規感染者数は、全国では前週と比べて1.40倍に増加。首都圏の1都3県では東京都が1.51倍、神奈川県と埼玉県が1.48倍、千葉県が1.35倍と増加が持続。関西では大阪府と兵庫県が1.24倍、京都府が1.40倍。東海では愛知県が1.58倍、岐阜県が1.44倍、三重県が1.45倍。徳島県で1.69倍、宮城県で1.66倍、福井県で1.60倍、福島県と長野県で1.56倍等と全都道府県で増加。人口10万当たりの直近1週間の感染者数は北海道が850.07人と全国で最も多く、次いで山形県が710.00人、長野県が688.91人、宮城県が557.47人、秋田県が552.47人、福島県が540.93人等と、北海道や東北を中心とした地域で多く、東京都は302.93人、大阪府は254.69人、全国では338.12人との事。

 現状を踏まえて専門家会合は「現時点で今年夏の第七波ほどは急激な増加にはなっていない」が「全国で増加傾向」特に北海道では第七波の頂点(ピーク)時に迫る高い水準の感染となり、東北や北陸、甲信越、中国地方でも大きく増加。今後は大都市でも増加傾向が続いて「此の夏の様な感染拡大に繋がる可能性が有る」と指摘。主流のオミクロン株BA.5系統の他にも、今後は海外で感染者数増加の要因と指摘されているBQ.1等に就いても注視が必要との事。座長の脇田(わきた)隆字(たかじ)氏からは、北海道等での感染者数増加に関して、今夏の感染第七波が「西日本中心に拡大し、東日本は西日本ほど高い波が無かった」影響で「現在、東日本でかなり大流行になっている可能性」有り。従前は「大都市圏から地方に拡大」していたが、今回は「()うでは無く」、「地域での免疫を持つ人の割合の状況や人と人の接触の程度の違い」が影響したのでは無いか等と指摘。北海道に関しては「既に可成(かなり)気温も下がり、換気がされ(にく)い」との要因も有りそうだが、遠からず本州にも冬が訪れ、同等の条件となろう。


11月10日(木曜)

 本日の新たな感染者は7万8577人。国内で亡くなった人は、北海道で22人、東京都で7人、大阪府で6人、愛知県で6人、神奈川県で6人、岩手県で5人、栃木県で5人、秋田県で5人、千葉県で4人、兵庫県で3人、宮城県で3人、山形県で3人、山梨県で3人、静岡県で3人、岐阜県で2人、岡山県で2人、沖縄県で2人、京都府で1人、和歌山県で1人、奈良県で1人、富山県で1人、島根県で1人、広島県で1人、福岡県で1人、群馬県で1人、茨城県で1人、長野県で1人、青森県で1人、香川県で1人、高知県で1人の合わせて100人。重症者は、10日時点で188人、9日と比べて11人増えた。

 東京都内で新たに7969人が感染。本日に都が公表した分析結果に拠ると、昨日時点で新規感染者数の七日間平均は約6452人で前週比2100人の増加。入院患者数も先週から382人を加えて2036人と、3週連続で増加。感染状況と医療提供体制の警戒水準は4段階中の第3位が維持されるも感染拡大の兆候を認め、現在の割合で増加が続くと「2週間後には現在の2倍を超える新規感染者の発生」で「感染の再拡大が危惧される」。「医療提供体制を強化する準備が必要な状況だ」との指摘される一方、Go To Eat事業の一環として販売される「東京都内の飲食店で使用可能なプレミアム付き食事券」のうち、アナログ券の申込受付が本日に開始。Smartphoneでの申込に接続(アクセス)が集中して繋がり難い状態が続き、17時頃に本日分受付が終了となるも、今回も感染者増加の最中(さなか)に於ける再開となった事を懸念する声有り。

 大阪府内で3780人の新規感染が確認された一方、北海道では釧路市立釧路総合病院で患者73人、職員36人の合わせて109人に及ぶ集団(クラスター)感染が発生し、緊急性の低い一部の外来や入院を制限。三次救急に関しては同院が釧路管内に於ける唯一の医療機関故、通常通りの対応が継続されるも、二次救急は原則停止。厚生労働省の災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team; DMAT)の医師2人が派遣され、院内で感染拡大防止に奔走している模様。

 本日午後に、政府分科会の尾身茂会長や厚生労働省専門家会合の脇田隆字座長を含む専門家達が総理大臣官邸を訪問。岸田総理との会談で「今後も感染者数の増加傾向が全国的に続き、医療体制の逼迫が起こり得る」旨を伝え、医療体制の強化やオミクロン株に対応したワクチン接種を進める事、抗原検査キットを自宅で使えるようにする等の対策が進められて来たが、改めて「換気を含めた基本的な感染対策の徹底」を呼び掛ける様に訴え、「国民に対して分かりやすく納得感のある情報発信をする」事の重要性も説かれた由。会談後、取材に応じた尾身会長からは「北海道等感染拡大が明らかな地域が有り、全国的に見て速度(スピード)の差は有りつつも感染は拡大傾向」「新しい波に入りつつ在ると言っても()いんじゃないか」と述べ、感染第8波が始まっているとの認識が遂に示された。

 感染再拡大に伴い、発熱患者とワクチン接種希望者が急増し、対応に追われる診療機関が出て来る一方、愛知県愛西市では「今月5日に行われた集団接種で、42歳の女性が接種5分後に咳や息苦しさを訴えて倒れる」「会場に居た医師等が酸素投与等を行うも、嘔吐等の症状が出現」「救急車で病院に搬送されるも接種から1時間半後に死亡」の事件が発生。女性には基礎疾患があり、今回が4回目の接種だったが、接種前の問診で特段の異常無し。

 亡くなった女性の夫が報道機関の取材で語った所に拠ると、死亡から二日後の今週7日に受けた状況説明で、市の担当者から「接種直後の経過観察中に息苦しさを訴えて倒れ、血の様な泡状のものを吐いた」。「心肺停止の状態で救急搬送されたが、病院で死亡を確認した」。医師からは「血痰が出ていたので肺からの出血と考え」、アドレナリン注射は行わなかったとの内容が謝罪と共に語られたとの事だが、現場で医師から看護師に「アドレナリン投与の指示」が出たものの「血管を確保出来なかった事から投与を断念した」との情報も有る模様。

 接種後にanaphylactic shockを起こした可能性が比較的高いと考えられる状況なれども、現場で適切な対応が()られたか否かが問題となり、愛知県医師会の柵木(ませき)充明(みつあき)会長から「女性はアナフィラキシー・ショックを起こしていた可能性が考えられる」「死亡に至った重大な事案と受け止めていて、臨時で医療安全対策委員会を開く事も含め迅速に対応して検証したい」。加藤厚生労働大臣から「厚生労働省としても必要に応じて情報の収集を行って居り、昨日、自治体に向けてアナフィラキシーが起きた場合に適切に対応できる体制を改めて確認するよう依頼する事務連絡を出した」との声明が出された。愛知県も本日に県内の市町村へ「接種と応急治療の体制等を再点検」「接種後にanaphylaxisや血管(けっかん)迷走(めいそう)神経(しんけい)反射(はんしゃ)等を呈した場合は国が作成した手引きに従って適切な対応を執る様に」との通知を出した由。


11月11日(金曜)

 全国の新規感染者数を1週間平均で比較すると、先月13日迄の一週間に於いて前週比0.85倍と七週連続で減少したが、先月20日は1.22倍、先月27日は1.06倍、今月3日は1.38倍、10日は1.30倍と四週連続で増加。全国に於ける一日当たりの平均新規感染者数は、先週より1万5000人前後を加えた約6万5000人で、全ての都道府県で前週より多くなった。増加の幅が大きい地域は徳島県1.69倍、福井県1.49倍、宮城県1.47倍、山梨県1.44倍等。人口当たりの感染者数が最多なのは北海道で先月27日に至る一週間は前週比1.28倍、今月3日は1.45倍、10日は1.23倍と五週連続で増加。1日当たりの新規感染者数は約6743人で、人口10万当たりの感染者数は903.40人。

 現状に対し、政府分科会の構成員(メンバー)で東邦大学教授の舘田(たてだ)一博(かずひろ)氏は「此から減少に転じて行くのか、2倍に近づいて第8波となってしまうのか」、「非常に大事な時期に差し掛かっている」。後藤新型コロナ対策担当大臣も「現在の感染拡大傾向が今後も継続すれば所謂(いわゆる)、第8波に繋がる可能性が有る」等と語ったそうだが、既に第八波が押し寄せて来ている件に関しては先週4日の項で既報。「先んずれば(すなわ)(えき)()を制し、(おく)るれば(すなわ)(やく)(じん)に制せらる」とも云うべき感染対策の領域に於いて、()(くに)(がら)とは言え、未だに責任者達が現状の過小評価を止めぬ事が()痒い。

 本日の新たな感染者は、空港の検疫等を含め7万4093人。国内で亡くなった人は、北海道で17人、千葉県で7人、東京都で7人、大阪府で6人、兵庫県で4人、神奈川県で4人、福岡県で4人、茨城県で4人、静岡県で4人、愛知県で3人、秋田県で3人、京都府で2人、宮城県で2人、愛媛県で2人、群馬県で2人、佐賀県で1人、山口県で1人、山形県で1人、岐阜県で1人、岡山県で1人、岩手県で1人、広島県で1人、栃木県で1人、滋賀県で1人、青森県で1人の合わせて81人、累計で4万7417人。重症者は210人で、10日と比べて22人増えた。今月9日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で6万2393件。東京都内で新たに7899人が感染。都内でオミクロン株対応型ワクチンの接種を済ませた者の数は今月1日に約4万5800人だったのに対し、今月8日には約7万2000人へと増加。都の集団接種会場は4箇所が設置済なれども今週末の予約枠は(ほぼ)埋まり、「高齢者を中心に5回目接種券の発送も進み、今後も接種希望者は増える」と見られている由。大阪府内では新規3709人の感染を確認。

 今週8日に開かれた衆議院本会議で付則に修正を加えて採決され、賛成多数で可決された感染症法等の改正案は、本日の参議院本会議で審議入り。岸田総理大臣は「流行の初期段階から速やかに機能する保健医療提供体制」を構築する為の改正案で「次の感染症危機に万全を期し」、COVID後遺症に就いても「患者が地域の医療機関で適切に医療が受けられる」様に「国内外の研究等で得られた知見を医療従事者に周知」、「積極的に情報発信して行く」と宣言。同じく本日の参議院本会議で、改正港湾法が与党等の賛成多数を以て可決、成立。此の法律には「燃料として用いられる物質のうちでも温室効果ガスの排出量が少ない水素やアンモニアを船に補給する施設」を港に整備する際に「税制上の特例を設ける」条項が盛り込まれ、「海上物流の拠点となる港の脱炭素を推進」。水素供給施設等の建設を助ける為に、土地利用の規制も緩和される由。また一昨年2月に横浜港に入港した大型客船内で発生したSARS-Cov2集団感染の如き事態を想定して、「災害を含む緊急時は港を管理する自治体に代わり、国が管理業務を行う事が出来る」制度に「感染症が発生した場合」も対象に加えられるとの事。

 一昨年6月19日にVersion 1.0.0から始まり、更新を重ねて来た新型コロナウイルス接触確認アプリ、COVID-19 Contact-Confirming Application。略称COCOAは「今年9月から感染者の全数把握が簡略化された」事から其の役割を終え、デジタル庁は今月17日から順次、機能を停止する事を決定。利用者に対しては「最新版に改訂(アップデート)を行った上で、情報送受信の機能削除の操作を行う」事を求め、更に利用者の同意を得て、感染者と接触した過去の情報等を収集し、今後の感染症対策に活用。利用者を対象に質問紙調査(アンケート)も行い、COCOAに関する検証結果を年内にも纏めるとの事で、デジタル大臣の河野(こうの)太郎(たろう)氏は「(これ)(まで)、御利用頂いた事に感謝申し上げると同時に、次の世界的大流行(パンデミック)を見据え、必要な情報の提供に御協力頂きたい」と述べた由。

 本日開催の分科会で、政府は「今夏の第七波以上になった場合等をlevel 3の感染拡大期とする」等、感染状況によって水準(レベル)(ごと)の対策をまとめた対応方針案を諮るも、専門家達から「外来医療の状況等を重視した水準設定にすべきだ」と反駁され、修正の上で了承の運びとなった模様。従前は5段階だった水準に対し、新たな対応方針では感染者不在のlevel 0を廃止。外来診療に患者が殺到し、重症化リスクの高い人がすぐに受診できない場合はlevel 3の「医療負荷増大期」と位置付け、都道府県が「対策強化宣言」を出し、有症状者に対して外出や大人数の会食への参加への自粛を求める等と慎重な行動を要請可能。最も深刻なlevel 4は医療全体が機能不全の状態になる「医療機能不全期」とし、出勤の大幅抑制、帰省や旅行の自粛、催事(イベント)の延期等、より強力な要請が可能。政府は斯様(かよう)の方針を都道府県に示し、今後の感染状況を見極めながら運用を始める時期等を検討するとの事。

 新たな対応方針ではオミクロン株の特徴を踏まえ、主に医療体制の負荷の状況を基準に4段階に分けて取るべき対応が示される。どの水準に在るかの判断に感染状況が参考とされるものの、「医療の負荷や社会経済活動の状況を踏まえて都道府県が総合的に判断する」との事。「感染小康期」にあたるlevel 1は、最大確保病床に対する病床使用率はおおむね0%から30%。外来、入院共に医療への負荷が小さい段階で、国は流行性感冒(インフルエンザ)との同時流行に備えてワクチン接種、検査キットや解熱鎮痛剤の購入、基本的な感染対策の徹底等を呼びかけ、都道府県等に発熱外来やオンライン診療体制の整備を求める。「感染拡大初期」に相当するlevel 2は救急外来の患者が増え、病床使用率は概ね30%から50%程度。感染者急増に伴って職場でも欠勤者が多くなり、業務継続に支障が生じる事業者も発生。国は重症化危険性(リスク)を有する者が受診出来る様に協力を呼び掛け、オミクロン株対応型ワクチン接種を更に推進、医療機関や高齢者施設、学校等で有効な感染対策の実効等を求め、医療機関に患者受入の協力要請を行う。

 level 3は「医療負荷増大期」に相当。今夏の第七波の如く医療の負荷が高まり、発熱外来や救急外来に多くの患者が殺到して重症化危険性の高い高齢者等も()ぐに受診できず、救急搬送困難事例も急増する段階。病床使用率や重症病床の使用率は概ね50%超が目安とされ、欠勤者が増えて業務継続が困難になる事業者も多く発生、重点医療機関でも医療従事者の欠勤が急増する。level 3の段階で、大きな感染拡大が起きている都道府県は「対策強化宣言」を行い、行動制限はしないものの感染拡大を防ぐ為の対策を講じ、住民に対して「より慎重な行動」を要請可能。具体的には「通常と異なる症状が有る場合は外出や出勤、登校等を控える行動を徹底」「混雑した場所や感染危険性の高い場所に行く等、感染拡大に繋がる行動を控える」「大人数での会食や大規模催事の参加を見合わせる事も含めて慎重に判断する」等。医療体制を維持する為に「濃厚接触者となった医療従事者が待機期間中でも出勤出来る様な運用を可能な限り行う」事や「集団感染が発生し易い高齢者施設等で集中的な検査を行う」事を医療機関に要請する。

 更に状況が悪化した「医療機能不全期」はlevel 4に該当。膨大な数の感染者に対して発熱外来や救急外来が対応し切れなくなり、一般外来にも患者が殺到。救急車を要請しても対応できない等と医療全体が逼迫し、機能不全を来す状態で「避けたい水準」に位置付けられる。欠勤者が膨大な数となって社会基盤の維持にも支障が生じる可能性があり、多くの医療従事者の欠勤と(あい)()って入院医療も逼迫する状況で、病床使用率や重症病床の使用率は概ね80%超が目安。level 4になった場合、level 4に移行しつつ在ると判断される場合に都道府県は「医療非常事態宣言」を出し、対人接触機会を減らすべく、より強力な要請を住民や事業者に行う事が出来る。医療非常事態宣言の(もと)では出勤の大幅抑制や帰省や旅行の自粛等、外出や移動は必要不可欠なものに限定する様に要請。飲食店や施設の時短営業は要請しないが、催事は延期。学校の授業は原則として継続するものの部活動の大会や学校行事は開催方法を変更する等、慎重な対応を要請。災害医療的な対応として、国や他の地域から医療人材の派遣等が行われる由。新方針の運用に依り、第八波の被害が最小限に食い止められる事を(せつ)に望む。


11月12日(土曜)

 本日の新たな感染者は7万9486人、東京で8021人、大阪で3945人。国内に於ける死亡は北海道で14人、東京都で8人、大阪府で5人、沖縄県で5人、兵庫県で4人、千葉県で4人、埼玉県で4人、山形県で4人、愛媛県で4人、秋田県で4人、京都府で3人、広島県で3人、愛知県で3人、神奈川県で3人、福岡県で3人、静岡県で3人、和歌山県で2人、大分県で2人、岐阜県で2人、熊本県で2人、石川県で2人、香川県で2人、三重県で1人、宮城県で1人、富山県で1人、岡山県で1人、群馬県で1人、茨城県で1人、青森県で1人、高知県で1人、鹿児島県で1人の総計95人。重症は224人。

 今週9日にHarvard大学等の研究者達が、New England Journal of Medicine誌上で報告。米国東部、Boston大都市圏で「本年2月に学校に於けるマスク着用義務を解除した70地区」と「校舎が古くて状態が悪く、1教室当たりの生徒数が多い等の理由から着用義務を解除しなかった2地区」の制と教職員の合計、約34万人に関して感染の状況を比較した結果、着用義務を解除した地区では「凡そ3か月半の間に感染した生徒や教職員は1000人当たり134.4人に上った」のに対し、着用が継続された地区では「66.1人に留まった」由。統計的分析に依ると「着用義務の解除に因り、感染者数が1000人当たり44.9人、合わせて1万1900人余も増加した」と推定されるが、此れは感染した生徒や教職員の凡そ3割に相当。研究者集団は「マスク着用で子供達ちの学習や発達が妨げられると云う明確な証拠は無い」「マスクには感染者数を抑え、欠席日数を減らす効果があり、感染拡大の際には有効な手段だ」と結論付けた由。

 本年9月から接種が始まったPfizerとModernaのBA.1対応型ワクチンに関し、厚生労働省の研究班が「接種してから1週間の副反応」を分析。昨日に開かれた専門家部会で公表された結果に拠ると、ファイザー製を接種した55人の副反応が起きた割合は接種翌日では全身倦怠感が61.8%、頭痛が43.6%、37度5分以上の発熱が34.5%。モデルナ製を接種した23人では全身倦怠感73.9%、頭痛52.2%、37度5分以上発熱43.5%。副反応が出たのは接種翌日に最も多いが、二三日後には収まる傾向が見られ、未だ調査の母数が少なく断定は出来ぬものの、従来型ワクチンの3回目接種時に於ける副反応と大差は無さそうとの評価有り。同じく専門家部会にて「BA.5対応のファイザーのワクチンを接種した2人の女性が死亡した旨、医療機関から報告を受けた」事を厚生労働省が公表。1名は今週10日の項に記した愛知県の事例と思われるが、其の他に「脳梗塞後遺症等の基礎疾患を有し、今月1日に接種を受けた三日後に亡くなった」87歳の女性も存在する様だが、死因は不明で接種と死亡との因果関係は現時点で評価出来ないとの事。


11月13日(日曜)

 今月6日に29の省や自治区で5400人余の新型コロナウイルス感染者が確認され、内陸部の河南省や南部の広東省で厳しい行動制限が行われた中国では、河南省の中心都市、鄭州でiPhoneの生産を請け負う大規模な工場の生産能力が大幅に低下。Apple社が「最新機種の出荷に遅れが出る」と発表する事態となった由。先月の同国内に於ける新車販売台数は250万5000台で昨年同月比6.9%の上昇。5ヶ月連続の増加とされるも、感染拡大の影響で「販売店が営業できず、部品供給が遅れて生産にも影響が出た」等の状況で販売が伸び悩んみ、伸び率は前月と比べて18.8ポイントと大幅に縮小。

今週10日に開かれた政治局常務委員会の会議に於いても、所謂(いわゆる)「ゼロコロナ」政策を継続する方針自体は変わらなかったが、11日になって中国政府は感染対策を見直す事を発表。入国者は「旅舎(ホテル)等の施設で7日間隔離、更に3日間自宅で健康観察を行う」とされて来たが、今後は「施設での5日間の隔離後、自宅で3日間隔離」と短縮。入国者は「航空機が出発する時刻の48時間以内に、PCR検査を2回受けて陰性証明が必要」とされて来た件に関しても、今後は検査を1回に減らされ、濃厚接触者に対する「7日間の隔離と自宅で3日間の健康観察」も「5日間の隔離と3日間の自宅隔離」に短縮される模様。此の発表から景気回復への期待感が広がった為か、同日の香港株式市場では代表的な株価指数の終値が前日比7.7%の大幅上昇。上海でも代表的な株価指数が1.6%上昇した由。

 米国の中間選挙では、与党の民主党が上院の多数派たる50議席を維持する事に成功。政府高官や連邦裁判所の判事の人事を従前通りに決める事等も可能となり、大統領のJoe Biden氏は訪問先の柬埔寨(カンボジア)から「良い事だ」。人気の残る「今後の2年間を楽しみにしている」と述べたそうだが、下院に関しては開票の途中で定員435のうち共和党が211議席、民主党が204議席と、23時台も過半数確保を巡る激戦が続く。

露西亜(ロシア)からは複数の独立系報道機関が「動員されて烏克蘭(ウクライナ)東部に派遣された露軍予備役兵500人以上が攻撃を受けて死亡」「一個大隊が壊滅した可能性が有る」と報じた。露西亜国防省は「当該部隊の人的損失は1%以下だ」と否定するも、昨夜に烏国大統領のVolodymyr Zelensky氏は「露西亜が一方的に併合を宣言したウクライナ東部南部4州のうち、南部kherson州のDnipro川西岸地域から露軍が撤退」「烏軍が州都kherson市のほか60以上の集落を奪還した」と発表。更に「南部哥力米(クリミア)半島でも解放の日に国旗を持った何百人もの人が通りでウクライナ兵を迎えるだろう」と述べた由。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ