令和4年10月最終週~11月第1週
10月31日(月曜)
厚生労働省が発表した本日の国内に於ける新規感染者は、空港検疫を含めて2万2341人。国内で死亡した者は北海道で6人、東京都で4人、三重県で2人、群馬県で2人、宮城県で1人、宮崎県で1人、山梨県で1人、岐阜県で1人、愛知県で1人、栃木県で1人、熊本県で1人、秋田県で1人、長崎県で1人の総計23人。重症者は昨日より1人増の129人。東京都内では新たに2019人が感染。先週月曜より284人増えて九日連続で前週同曜を上回り、また昨日に日本共産党委員長、志位和夫氏の感染も確認されたが症状は軽く、自宅待機となった由。大阪府内では、新たに1171人が感染。
物価高騰が続く中、日本労働組合総連合会。略称、連合の関連団体で在る頭脳集団の連合総合生活開発研究所。略称、連合総研が「首都圏や関西圏の企業で働く20歳から64歳の男女2000人」を対象に年に2回行う調査に関し、本年10月分の結果を本日に公表。「物価と賃金の状況を1年前と比較」する質問に対して「物価の上昇の方が賃金の伸びより大きい」と回答した人が57.4%と過半を占め、「ほぼ同程度」は15.6%、「賃金の伸びの方が物価の上昇より大きい」は7.7%。年代別に見ると「物価の上昇が賃金より大きい」と答えた割合は50代が69.8%、60代前半が71.9%と他の年代よりも高かった由。一年前に比して暮らし向きは「良くなった」が7.1%、「変わらない」が54.8%だった一方、「悪くなった」は34.8%と三人に一人は悪化を実感している模様。
更に1年後の予想に関しては「今より悪くなる」と回答した割合が35.5%となり、連合総研は「コロナ禍からの経済活動の回復が進む一方で急激な物価高騰が続き、生活の不安感が高まっている」可能性が有り「経済を上手く回す」為にも「賃金が上がる」事こそ重要、「企業は賃上げに取り組んで欲しい」し「国にも環境整備が求められる」と総括した由。
毎月15日に、全国から「市町村、調査単位区、世帯」の三段抽出に依って選ばれた8400世帯へ「今後半年間の暮らし向きがどうなるか」「自動車や家電製品が買い時になるか」等を尋ねた結果に基づき、消費者心理を推し量る消費者態度指数。今月の調査で「2人以上の世帯」の指数は29.9と前月を0.9ポイント下回り、2ヶ月連続で悪化。内閣府は「身近な生活必需品が値上がりしている」事と「家電製品等の買い替えの意欲が低下している」事が背景に在ると分析し、消費者心理の基調判断は「弱い動きがみられる」として本年7月以来の下方修正。其の一方で「1年後の物価の見通し」に関しては「上昇する」と答えた世帯が94.3%と2ヶ月連続で上昇したが、内閣府は「当面続くと見られる物価高騰」に感染第八波が重畳した場合、消費者心理に如何なる影響が及ぼされるかを懸念しているとの事。
本日に政府が公表した最新状況に拠ると、此迄に国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者の総数は8330万373人、全人口に対する接種率は66.2%。3回目接種率を年代別で見ると12歳から19歳は41.7%、20代は52.9%、30代は56.5%、40代は64.5%、50代は78.4%、60歳から64歳は85.8%、65歳から69歳は85.9%、70代は91.3%、80代は93.1%、90代は93.3%、100歳以上は88.2%。5歳から11歳に限定すると、3回接種完了は23万3059人で全体の3.2%。今月から始まった生後6ヶ月から4歳の乳幼児を対象にした接種で1回目の接種を受けた人は30人。4回目の接種を受けた者は全国で4064万7317人で、5回目の接種を受けた者は全国で10万9477人だが、先月から始まったオミクロン株対応型ワクチンの接種を受けた者は595万4195人で全体の4.7%に過ぎぬ由。
11月1日(火曜)
霜月に入り、本日の新規感染は6万5280人に増加。死亡は52人。重症者数136人は昨日より7人の増加。東京都内でも新たに6520人の感染が確認される一方、同時流行への懸念に対し、港区では「2回以上新型コロナのワクチンを接種した65歳以上の区民」等を対象に、集団接種会場の一つで「COVID用と流行性感冒用のワクチンを同時に接種する」事業を本日から開始。大阪府内では新たに4009人が新型コロナウイルスに感染。
先月5日にModernaが行ったBA.5やBA.4に対応するワクチンの承認申請に対し、昨夜に開かれた厚生労働省の専門家による部会が「18歳以上を対象に国内での使用を承認する」事を了承。オミクロン株対応型ワクチンに関しては先々月からPfizer、Moderna両社のBA.1対応型、先月からPfizerのBA.5対応型の接種が始まって居り、今回承認のModerna製BA.5対応ワクチンに就いても早ければ今月中に接種が始まる模様。
斯様に手筈が整いつつ在り、政府が「全ての希望者が年内に接種を終えられる様、1日100万回を超える進度の接種体制を整える」と宣言しているものの、オミクロン株対応型接種の現状に関しては昨日の項に記した通り。直近の接種進度は1日当たり30万回前後で「若い世代を中心に当初の想定より接種が進まぬ」情勢に対し、政府は「接種率の向上に向けてテレビCM等に依る広報の充実」等の対応を検討中との事だが、同じ画面から大量に「既にコロナ禍は終わった、再び自由を謳歌せよ」と言わんばかりの情報が流される現状では如何ともし難いか。
一方、本年5月の時点で政府が「屋外でのマスク着用は原則不要」、「屋内でも2米を目安に対人距離が確保され、会話を殆ど行わない場合は不要」等の方針を示し、先月9日に岸田総理が三重県の鈴鹿競走用環状道路で開催されたF1世界選手権第18戦、“Formula 1 Honda Japanese Grand Prix 2022”を視察した際も一旦、マスクを外して見せた。其の二日後から水際対策が大幅に緩和され、外国人旅行者が個人で入国する事も解禁されたにも関わらず、日本人の顔からマスクが剝がされる事は無く、今日に至る。
世人曰く「感染が怖いので、外す事が出来ない」。「皆の目が気になる」「皆が着けている中、自分だけ着けないのは違和感が有る」等々。九州工業大学の名誉教授、佐藤直樹氏の見解では、海外には「マスクの着用を法律や規則で義務化」した国が多いのに対し、「要請が中心」だった我が国でも多くの国民がマスクを着用したのは「同調圧力に因る所が大きい」。マスクをしないのは「人に迷惑を掛ける行為」として「世間の目が圧力を掛け」た事が法規制に等しい強制力を持ち、マスクの着用を浸透させた。故に海外では「定めた義務を撤廃すればマスクは外せる」との声明が国民に伝わるが、日本では「世間の目が変わらなければ外せない」。佐藤名誉教授は「国の最上位」から「屋外でマスクを外しても良い」と云う明確な声明が伝わって来ない事に問題が有り、「岸田総理自身が記者会見を開き、科学的根拠を用いて強い声明を出す」べきと御考えの様だが、必ずしも同意は出来ぬ。
現総理がテレビやYoutubeに毎日出演したとしても、「副作用は嫌なので、ワクチンは打ちたくない」「横並びでマスクを着けた儘、当面の快楽を享受したい」と云う国民大多数の思考を短期間に変える事は困難。事態打開には相当の時間が必要だが、其の間に襲来する第八波の規模に依っては、更にマスク着用が常態化する可能性も有るか。因みに多少の医学的知識を有しつつ、稍協調性には欠ける当方としては、以前から屋外では適当に外して来たが、今後も同様に振る舞う所存。
11月2日(水曜)
本日の新規感染は7万396人、死亡者は70人。都内では新たに6346人の感染を確認。先週水曜より1999人増えて十一日連続で前週同曜を上回り、大阪府内では新たに3868人の感染を確認。本日午前の記者会見で官房長官の松野博一氏は「先週、横這いだった新規感染者数が増加に転じ、特に北海道や東北などでは増加傾向が顕著」と説明すると共に、「今後は流行性感冒との同時流行も懸念される」と改めて指摘。オミクロン株対応型ワクチンに関して「高齢者だけで無く若い世代にも年内の接種を検討して欲しい」と呼びかけ、接種促進の為に「テレビCMやSNSを活用した情報発信、経済界や大学等への協力要請」を強化する意向を表明。
日本小児科学会が「生後6か月から4歳の小児に対するCOVID用ワクチン接種」に関する見解を整理し、本日に公表。「オミクロン株の拡大以降、小児に於いても感染者数が増え、重症化や死亡の事例が増加している」と指摘した上で「オミクロン株の感染が広がった時期でも、臨床試験に於けるワクチンの発症予防効果がは生後6か月から1歳で75.8%、2歳から4歳で71.8%」と高く、「重症化予防の効果も期待される」。接種後に副反応の疑われる症状が生じる頻度は「偽薬接種時と同等」にして「接種が先行している米国でも重篤な症状は稀と報告されている」。以上から学会は「長所が短所を上回る」、故に当該年代の小児全員に対して「接種を推奨する」と結論付けた由。我が子に注射を強いる事に躊躇する親御も多かろうが、学会理事で新潟大学教授の齋藤昭彦氏が「幼い子供はマスクも着用できず、唯一できる積極的な予防策がワクチン接種だ」と説くのも一理有る様に思う。
衆議院厚生労働委員会で審議が行われていた感染症法等の改正案に関して自民、公明両党、及び立憲民主党と日本維新の会が「法案の付則に野党側の主張を盛り込む」事で大筋での合意に達した由。「都道府県が感染症の予防計画を策定」「地域の中核となる医療機関と事前に協定を結び、病床や外来医療の確保を義務付ける」等の改正案に対し、政府が「COVID後遺症に関する医療の在り方について速やかに検討、必要な措置を講じる」、「COVIDの感染症法上の位置付け」に就いて「医療現場の負担を踏まえ、季節性流行性感冒を含む他の感染症との比較等の観点から速やかに検討する」等の条々(じょうじょう)が加えられた改正案は、今週4日に行われる衆議院厚生労働委員会での質疑を経て採決、可決される見通しとの事。
旧称、統一教会。昨今は世界平和統一家庭連合を名乗る新興宗教団体との接点が「外部からの指摘で次々と発覚」「其の度に追認を繰り返す」等と後手の対応が続き、先週に経済再生担当大臣職を事実上更迭された山際大志郎氏が、自民党の新型コロナ対策本部の本部長に就任。本日の会合で「ウィズコロナを維持する為、すべき事は沢山有り、政府と共に取り組んで行きたい」等と挨拶するも立憲民主党の衆院議員、小沢一郎氏が「もはや喜劇」「しかし、国民にとっては悲劇」とtweet。
作家の平野啓一郎氏も「議員辞職すべし」「自民党も自民党」と語り、劇作家で演出家、音楽家のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏が「呆れ果てた」「一年で記録を捨てて、どんどん記憶が欠落する人を、どうして長にするのよ」「どれだけ人材不足なのか」と嘆く等と批判が相次いだ模様。一方、本日16時半過ぎに防衛省が「北朝鮮から弾道弾の可能性が有る物が発射された」と発表。弾道弾は我が国の排他的経済水域(Exclusive Economic Zone; EEZ)外に落下したものと見られる反面、北朝鮮からは8時50分頃にも少なくとも2発が発射された模様。内憂外患。
11月3日(木曜)
本日は文化の日で、国内の新たな感染者は6万7473人。死亡は69人、重症者は146人で昨日より5人増えた。先月31日に行われたPCR等の検査数は自主検査を除いた速報値で6万880件。厚生労働省は東京都内で新たに6686人の感染を確認したと発表。先週木曜より2745人増え、十二日連続で前週同曜を超過。大阪府内では新たに3781人が感染した由。
日本野球機構/ Nippon Professional Baseball Organization(NPB)の福岡SoftBank Hawksが「球団会長、王貞治氏の新型コロナウイルス感染が確認された」旨を発表。82歳の王球団会長は昨日に37度3分の微熱を認め、本日に受けたPCR検査で陽性と判定。今日は36度5分まで解熱を認めるも咽頭の違和感を訴え、チームの宿泊先で療養した後、大事を取って宮崎市内の病院に入院したとの事。
11月4日(金曜)
全国の新規感染者数を1週間平均で比較すると、先月6日に至る1週間で前週比0.70倍、先月13日は0.85倍と7週連続で減少したが、先月20日は1.22倍と増加に転じ、先月27日は1.06倍、今月3日は1.38倍と増え続けた。全国に於ける一日当たりの平均新規感染者数は約5万人で先週から1万3000人余り増えて、全都道府県で前の週より多くなり、特に新潟県で1.70倍、宮城県で1.65倍、栃木県と長野県で1.63倍等と東日本を中心に増加の進度が上昇。現状に関し、政府分科会の構成員にして東邦大学教授の舘田一博氏は「全国的にじわじわと感染者が増え」「北海道や東北、関東甲信越等東日本を中心に増加傾向が強く」「正に第八波の入口に入りつつ在る」と評した模様。しかし、10月下旬から緩徐ながらも増加の一途を辿る感染者数の図表を眺めて見れば、「既に第八波は始まった」と見るのが妥当だろう。
本日に発表された国内の新たな感染者は、空港検疫等を含めて3万4064人。死亡者は大阪府で6人、北海道で5人、愛知県で5人、宮城県で4人、神奈川県で4人、福岡県で4人、静岡県で4人、徳島県で3人、東京都で3人、千葉県で2人、埼玉県で2人、岐阜県で2人、栃木県で2人、香川県で2人、兵庫県で1人、和歌山県で1人、山口県で1人、山梨県で1人、広島県で1人、滋賀県で1人、熊本県で1人、石川県で1人、群馬県で1人、茨城県で1人、青森県で1人の合わせて59人。重症者は、4日時点で161人となっています。重症者の数は3日と比べて15人増えた。今月1日、行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で6万5980件。
新たに3090人の感染が確認された東京都ではモニタリング会議が開かれたが、感染状況、医療提供体制とも4段階のうち第3位を維持。会議の席上で「新規感染者数の7日間平均が2日時点で4305.9人と前週に比べ130%となった」状況が報告され、専門家は「前回の97%から今回は130%と、感染拡大の指標となる100%を上回っていて、今後の急激な増加に注意を払う必要が有り」として警戒感を示した。また入院患者数は先月26日より344人多い1654人で、二週連続で増えた。感染者増加に関し、識者は「第6波、7波で獲得した免疫が落ちてきている事や寒くなって部屋の換気がされない事、また水際対策の緩和等が要因として考えられる」と分析し、換気やワクチンの接種等、感染対策の徹底を呼び掛けた。東京都知事の小池百合子氏は記者会見で「これからも臨時の接種会場を区部や多摩地域に設けて行く」「自分自身だけでなく多くの人の命を守るためにも、速やかな接種をお願いしたい」等と述べた由。大阪府内では新たに1536人の感染を確認。
PfizerとBioNTech は「COVIDと流行性感冒、両方に効果を有する混合ワクチン」に関して「米国で臨床試験を開始した」と発表。4型の異なる流行性感冒ウイルスに対応するワクチンと、オミクロン株BA.5等に対応するワクチンを組み合わせたもので、臨床試験では「18歳から64歳の180人」を対象に「安全性」「接種の適量」「ウイルスの活動を抑える中和抗体が如何程に作られるか」等を調査する予定だが、当該の混合ワクチンはModernaやNovavaxも開発中。
事前に自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の5党間で合意が得られた感染症法等の改正案に関し、本日午後に開かれた衆議院厚生労働委員会で総理大臣の岸田文雄氏も出席して締め括りの質疑が行われ、岸田総理は「流行の初期段階から速やかに機能する、保健医療提供体制の構築を図る事を目的として法改正を行う」「国民の命や健康を守るため、次期感染症危機に万全を期して行きたい」と発言。「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け」に関して付則に修正を加えた上で採決、賛成多数で可決されたが、共産党は「都道府県と協定を結んだ医療機関が指示に従わない場合に罰則が設けられているが、病床確保に必要なのは罰則ではなく財政支援だ」等と反対。
衆議院厚生労働委員会では「政府の新型コロナ対策等を担当した後で先月に大臣辞任」の山際氏」が「自民党の新型コロナ対策本部の本部長に就任」した件に就いても議論。立憲民主党から「山際前大臣は、覚えていないとの答弁を連発」、「今後の新型コロナ対策は緊張感を持たなければ過去最悪の事態を招くかも知れない」のに「政府、与党はコロナ対策を軽んじている」、「人事は撤回すべきだ」と糾弾。対して岸田総理は「党の人事の理由や内容に就いて私の立場から申し上げる事は適切では無い」が「此迄の経歴や経験を踏まえ、総合的に判断したものと承知している」等と返した由。また政府が先月、同時流行への対策として「発熱外来の逼迫を避ける為に、回線接続や電話での診察を呼び掛ける」と定めた件に関し、立憲民主党の新型コロナ対策本部長を務める小川淳也氏等が厚生労働大臣の加藤勝信氏と面会。「呼び掛けを始める基準や期間等を出来るだけ早く明確にして貰いたい」との要請に対し、加藤大臣は「感染が爆発的に起きた場合は可能な限りの協力を御願い」するも「詳細は検討して行きたい」と応じたとの事。
今週、Nature誌が“How to end COVID-19 as a public health threatOver 350 multidisciplinary experts from more than 100 countries reach consensus”なる論文を掲載。研究者達の説く所に拠れば、先月迄に「世界全体でCOVID-19症例が6億3000万人以上、COVID-19を原因とする死亡が650万人以上」も報告され、更に「実際の死亡者数は2000万人以上」と推定される。医学が目覚ましく進歩したにも関わらず、「誤った情報」「ワクチンに対する躊躇」「機器、ワクチン、治療の不公平な配布」等の「広範な政治的、社会的、行動的要因」。其等に基づく「一貫性に欠ける国際協調」が障害となり、COVID-19に対する世界的に有効な対応は実行されずに来た。
此の状況に対し、"la Caixa"財団の支援を受けたBarcelona Institute for Global Healthが研究を主導。112の国と地域を代表する研究者、臨床医と政策助言者、総計386人から成る委員会が、全世界で執拗に続くCOVID-19の脅威を終わらせる為に取るべき社会行動と健康の為に集結し、日本からは新型コロナ対策分科会のメンバー東北大学の押谷仁教授が参加。多用な文化と意見を有する様々な分野の専門家から構成される、此の集学的な国際委員会が41点の合意声明と57点の勧告を作成。其等は「情報伝達」「医療制度」「ワクチン接種」「予防」「治療と介護」「世界的大流行に於ける不平等」の6群に大別される。
最高位の推奨事項は3項目で、一つ目は「断片化された取り組みを回避する」為に「複数の分野や部門、関係者が関与する社会全体の戦略」を採用する事。次に「保健機構の自己回復力を特定、評価、対処」すると共に「人々(ひとびと)の需要を敏感に汲み取る」為の「省庁間調整等を含む政府全体の取り組み」。最後に「COVID-19ワクチン接種、予防対策、治療法、財政支援措置を組み合わせる手法、即ち“vaccines-plus approach”の継続」。また討論者達は「標的集団に到達可能な技術(ワクチン、治療法、サービス)を開発する」事を優先すべきと主張。最低99%の同意を得た他の推奨事項としては「一般市民との効果的な意思疎通」「国民の信頼の再構築」、そして「世界的大流行対応の管理に於ける地域社会の関与」が挙げられたそうだが、果たして本研究が世界復活の烽火となるか。
11月5日(土曜)
本日は新規感染7万4170人、うち東京7967人、大阪4159人。死亡72人、重症162人。今週水曜の項にも登場した山際大志郎氏が、今夕に地元の川崎市内で一連の経緯に就いて初めて支援者に説明。「当時は教団の人とは分からなかった」、現在は「きっぱり縁を切らせて貰った」等の弁明に「応援して来たのに残念」「国会での答弁が他人事の様だ」等の批判が飛んだ由。嘗て同党幹事長を務めた二階俊博氏は4回の接種を済ませていたとの事だが、今週3日に発熱。5日の受診でCOVID陽性が確認された為に派閥の研修会を取り止め、議員宿舎での待機を始めたとの事。
東京大学、国立国際医療研究中心、国立感染症研究所、米国のWisconsin大学やUtah州立大学が共同で「BA.4系統やBA.5系統のオミクロン株に感染した患者」の臨床検体からウイルスを分離して性状を解析。研究結果に関しては、東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の特任教授と国立国際医療研究センター研究所の国際ウイルス感染症研究センター長を兼任する河岡義裕氏と国立感染症研究所の感染病理部部長、鈴木忠樹氏が発表。BA.5株を感染させた腮鼠では「体重減少と呼吸器症状の悪化が見られない」等、病理解析の結果を含めた病原性は「デルタ株よりも低く、2月から6月頃まで流行していたBA.2株と同程度」。
BA.4株も同様で、何れも「腮鼠における増殖力と病原性はBA.2株と同程度、デルタ株と比較すると低い」事が判明した由。またBA.2株とBA.4株を同時に同じ個体に感染させて「何方の株が腮鼠の呼吸器でより増えやすいのか」の競合試験を行った所、「呼吸器で検出された株」の割合は「同程度か、ややBA.4株の方が高かった」が、BA.2株とBA.5株を同時感染させた腮鼠の呼吸器に於ける割合は「BA.5株の方が高かった」との結果が得られた。当該研究の成果は「行政機関が今後の新型コロナウイルス感染症対策計画を策定、実施」する上でも重要な情報となると見られ、今週2日付でNature誌の回線接続速報版でも公開された模様。
遠隔勤務の普及等を背景として、先月に全国で着工した住宅の戸数は7万3920戸と昨年同月より1%上昇し、2ヶ月連続の増加。国際線旅客の需要回復に支えられ、全日本空輸を含むANA Holdingsは、今年度の最終利益の見通しを従前の210億円から「400億円の黒字」へと上方修正。本年4月から9月に至る半年間の企業集団全体の決算は売上7907億円で昨年同時期よりも83%増、最終利益は195億円の黒字と前年同時期の988億円の赤字から大幅に改善。同じ半年間に於いて、日本航空の企業集団全体に於ける最終損益は21億円の赤字なれども、昨年同時期の赤字1049億円からは大幅に改善。7月から9月までの3か月の最終利益は174億円の黒字に転換。国土交通省の発表に依ると、先月30日から始まった国際線の運航計画では、日本を発着する旅客便は今月5日迄の1週間で1920往復と、昨年同時期と比べ3.2倍に増加した由。
JR東日本も企業集団全体に於ける本年4月から9月迄の半年間に於ける決算は売上1兆1150億円と昨年同時期より27%増え、最終的な利益は271億円の黒字。また国税庁に拠ると、昨年度に国内の企業等、306万余の法人が税務申告した所得の総額は79兆4790億円。前年度を9兆3489億円、率にして13%上回り、統計を取り始めた昭和42年度以降最高で、平成23年度の37兆円余に比して10年で2倍以上増加した由。
今週31日に開かれた職業野球と職業蹴球の関係者に依る新型コロナウイルス対策連絡会議の後、J.LEAGUE議長を務める野々村芳和氏は「此の三年間で様々な知見が蓄積され、コロナを知る事が大分出来た」と語り、今季で連絡会議を終了する方針を表明。感染拡大の勢いが弱まったとの風潮が広がる中で、本日に栃木県で「宇都宮餃子祭り」が三年振りに開催。原材料費高騰等の影響で1皿100円が200円に値上げされるも大勢の客が詰め掛け、今夜は茨城県でも土浦全国花火競技大会に全国の花火業者が集合。感染対策と共に「韓国は梨泰院の群衆圧死事件」を教訓とし、約二千人の警備態勢で雑踏事故を防ぐ対策についても万全を期した上で、約2万発の花火が発射される予定との事。
11月6日(日曜)
中国で国家統計局が製造業3200社を対象に調査した今月の購買担当者景況感指数(Purchasing Managers' Index; PMI)は49.2。先月より0.9ポイント下がったが、同時に宿泊や飲食を含む非製造業に関する今月の景況感指数も先月から1.9ポイント低下して48.7となり、共に景気判断の節目となる「50」を下回った。国際的な原材料価格が上昇して企業の利益を圧迫している事、習近平国家主席の側近で固められた指導部の経済政策が不透明な事に加えて、同国各地で感染拡大が起こり消費が停滞している事も主たる要因と見られる由。
同国政府が所謂、ゼロコロナ政策。英語圏で“zero-covid” approachesと呼ばれる方針を頑なに曲げぬ中、上海迪士尼楽園(Shanghai Disneyland)が今週31日から閉鎖。理由は「感染が確認された女性が入園して居た」との事で、上海市が「現在、園内にいる者はPCR検査が陰性で無ければ退園出来ぬ」とSNSで通知する事態に陥ったが、昨日の報道では未だ再開の目途が立たぬ模様。
然れども亜細亜諸国の交流も概ね復活に向かいつつ在る昨今、印度尼西亜国営のGaruda Indonesia航空が今週1日に成田空港とバリ島を結ぶ週3日の直行定期便の運航を再開。JR九州高速船が運営する我が国と韓国の釜山港を結ぶ高速船も、2年8か月振りに運航を再開。今週4日午前9時に128人の客を乗せ、博多から出港した由。
そして埃及では、考古学者のHoward Carter氏が黄金の仮面で知られるTutankhamun王の墓が発見されてから百年が経過。Luxorに在るカーター氏が暮らしていた家で同国政府が記念式典を開き、英国大使等の関係者が臨席して発見の功績を讃えた。更に日本の支援を受けて、首都カイロ近郊で開館が予定されている大埃及博物館にて王の黄金仮面や棺等が展示される予定だが、同国政府としては此等の活動を通して、世界的大流行で打撃を受けた観光業の立て直しを図る模様。
王墓発見に関しては巷間、「王家の呪いが発動して発掘者達は次々と謎の死を遂げた」等の噂有り。時代が下ると「呪いの正体は墳墓に潜んだ古代の病原体」との説も囁かれたが、史実としては「墓の開封に立ち会った人物のうち急死したのは出資者で第5代Carnarvon伯爵たるGeorge Edward Stanhope Molyneux Herbert氏のみ」。Carnarvon卿の死因も「蚊に刺された傷から細菌が入り、丹毒から菌血症、敗血症に至った」と推定されて居るが、医学の発達して居ない時代に異国へ滞在していた者に起こっても不思議は無い状況で、丹毒だとすれば病原は主にA群β溶血性連鎖球菌で特に珍しい細菌とも言えぬ。
都市伝説の起源は「発掘報道を独占したTimes紙に対し、他の新聞社が嫉妬」「発掘関係者と少しでも関わりが有る者が亡くなる毎に、呪いによる死だと書き立てた」所に在ると言われるが、前世紀のFake newsと云うべきか。「同姓同名の別人が交通事故で死亡した際、恰も王墓発見者のハワード・カーターが事故死したかの様に報道される」との椿事も乗り越え、カーター氏は快挙から十数年の余生を楽しんだ後、64歳の天寿を全うしたと聞く。