令和3年10月第4週
10月17日(月曜)
厚生労働省が本日に発表した国内の新たな感染者は空港検等疫を含めて1万5372人、死亡は20人で、重症者118人は昨日より3人減。先週13日に行われたPCR等の検査数は、自主検査を除いた速報値で5万6067件。
東京都内では新たに1588人の感染が確認され、先週月曜より216人増。政府が「今冬にCOVIDと流行性感冒が同時流行」「頂点時には一日75万人の患者が発生」等の可能性を想定して対策を進める中、東京都も本日、都内医療提供体制の整備等を検討する会議を開催。出席者から「同時流行が起きると発熱外来の混乱が懸念される」「相談窓口や検査受診体制を準備し、都民への周知が重要」等の指摘、「検査キットや解熱剤を備蓄する重要性を都民に理解して貰う方法が必要」「回線接続診療の拡充と共に、COVID診療の可能な医療機関の数を更に増やすべき」等の意見も出た由。大阪府内では新規1001人が感染。
オミクロン株に対応したワクチン接種は「従来型ワクチンで2回目迄を終えた12歳以上」の全員を対象として先月から施行。職域接種も今月24日の週から始まる予定だったが、準備の整った会場では更に日程を前倒しして本日に開始。全日空と日本航空では本日午後に羽田空港の各社会議室にて操縦士や客室乗務員が医師の問診を受けた後、オミクロン株BA.1対応型のModerna製ワクチンの接種を受ける事となり、全日空は一日最大300人、日本航空は最大200人が接種出来るとの事。厚生労働省に拠ると「今回の職域接種には今月12日迄に全国で700以上の会場から申し込みが有った」との事で、今後も国内各所で順次接種が始まる模様。
政府公表の最新状況に依れば、国内でCOVID用ワクチン3回目接種を受けた者の総数は8275万5821人で、全人口に対する接種率は65.7%。年代別で見ると12歳から19歳は41.1%、20代は52.2%、30代は55.9%、40代は64.1%、50代は78%、60歳から64歳は85.6%、65歳から69歳は85.9%、70代は91.2%、80代は93%、90代は93.1%、100歳以上は87.9%となった由。5歳から11歳を対象にした接種で3回目接種を受けたのは13万1252人で、全体の1.8%。4回目接種を受けた者は全国で3720万2335人、このうち60歳以上は3158万9462人で対象者の83.4%。先月から始まったオミクロン株対応型ワクチンの接種を受けた者は221万5563人で全体の1.8%。都道府県毎に見ると、3回目接種率が高いのは秋田県77.06%、山形県74.78%、岩手県74.1%、新潟県73.8%、青森県と福島県が72.73%の順。大阪府は今回も59.13%と低く、沖縄県は48.81%と未だ5割にも満たない。4回目接種も秋田県39.0%が最も高く、岩手県38.31%、山形県38.05%、福島県35.47%、青森県35.1%と東北が高い。東京都25.28%、愛知県25.3%、大阪府25.09%と大都市圏が四半分で低迷しているが、更に低いのが沖縄県18.03%。
陸上自衛隊郡山駐屯地で「元1等陸士、五ノ井里奈氏が複数の男性隊員から性暴力を受けた」問題で、電網上で集まった10万人超の署名に押されて防衛省が動いた結果、本日午前に「関与した隊員のうち4人が、非公開の場で五ノ井氏に直接謝罪」するに至った。「加害者達は事実を認め、何度も頭を下げ」て「3人が土下座」した等の詳細が午後に都内で開かれた記者会見で語られ、五ノ井氏は「謝罪を受けた時は涙が流れました」「やっと此の日が来たんだと云う風に思いました」と述べ、「謝罪をされたから許される問題でも無い」「私の傷は一生の傷」「確りと自分のした事に責任を持って、罪を償って欲しい」と釘を刺しつつも「私が目的としていた加害者の方からの直接謝罪をもらえた」事を以て「本当に遅かったですけれど、私の区切りとさせて頂きます」と語った由。
10月18日(火曜)
本日の新規感染者は4万2294人、東京都内で4213人、大阪府内で3314人。国内で亡くなった人は56人、重症者は116人。茨城県は同県知事の大井川和彦氏に関し、「新型コロナウイルスに感染が確認された」と発表。今月8日に南米の茨城県人会が創立60年を迎え、大井川知事が伯剌西爾や亜爾然丁に公務で出張。昨夕に帰国する前後に咽頭痛を訴え、本日に発熱も認めて笠間市の県立中央病院で受診した所、今夕にPCR検査で陽性が判明するも軽症で、本日から最短でも今月24日までは自宅で療養し、遠隔勤務で業務を行うとの事。
世界全体の新規感染者数は減少傾向が続いている一方、既に多くの人が感染して免疫を有する筈の欧州は独逸や仏蘭西から感染者数や入院者数増加の報告有り。各国で感染対策として行われて来た様々な規制が緩和された事との関連が指摘されているが、今月11日から水際対策が大幅に緩和された我が国に於いても、全国の1週間平均の感染者数は、8月24日のおよそ22万7000人から10月11日にはおよそ2万6000人にまで減少したのに対し、昨今は横這いから増加傾向で、10月17日にはおよそ3万1600人と下げ止まり。
次の感染第八波は何時、来るのか。京都大学の西浦教授曰く「緩和を進めたり、マスクを着用しなくても良いと云った言説が発信されたりして、危機感の無い状況」だが「第八波は目の前に在る事が欧州の資料から分かるし、其の規模は可成、大きなものになりそうだ」。一方、名古屋工業大学の平田晃正教授が人工知能を用い、「ワクチン接種で獲得した免疫」と「感染で獲得した免疫」両方の効果を考慮し、今後の感染者数で予測。「人出が新型コロナが広がる前の状態に概ね戻った」だが「会食の開催状況やマスクの着用」等と云った「人々の行動に就いては今と同じ様に感染対策を徹底した状態が続く」と想定すると、「此の先も感染者数に大きな増加は見られない」と考えられるも、「年末年始に忘年会等で人々の行動が活発になった」場合は「来年1月中旬から下旬に掛けて、東京都での1日の新規感染者数は1週間平均で1万300人程度に達する」と予測された。また今回の予測では、新たな変異ウイルスが発生する可能性は考慮していない由。
次の感染拡大で主流を占めるウイルスは、果たして如何なる変異型なりや。9月21日の厚生労働省の専門家会合で、京都大学の西浦教授は海外の研究を基に「オミクロン株の変異が起きる速度は異常に早い」。「大きく変異した変異ウイルスが発生する可能性は常に有る」ものの「次の流行の波はオミクロン株の派生型によって起こるだろう」と語った。事実、感染が再拡大している独逸や仏蘭西では、今月上旬の段階でBA.5が90%程度を占めている。東京医科大学の特任教授、濱田篤郎氏も一つの可能性として「日本では第七波でのBA.5の流行が収まり切らないうちに季節が寒くなって流行が再燃し、第八波になる」と考えるが、別の可能性としては海外からの新たな変異株流入。特に懸念される変異ウイルスの一つとして、新嘉坡等で感染が広がっている“XBB”と呼ばれる型への懸念を語っている。
また米国では、今月15日の時点でオミクロン株BA.5系統が67.9%を占めているものの、BA.4から派生したBA.4.6が12.2%、BQ.1.1とBQ.1が其々5.7%、BA.2.75.2が1.4%、BA.2.75が1.3%等と、オミクロン株の一種なれども変異ウイルスの種類が増加。BQ.1系統とはBA.5が更に変異を重ねた型。BA.2.75.2は米国や印度、欧州各国で検出され、BA.2が変異を重ねたBA.2.75に、更に三つの変異が加わった型との事。此等の変異株の性質は不明なれども、「BA.5よりも免疫の働きが下がる」との報告有り。豪州で世界的大流行以前と同等の流行性感冒流行が起きた事を踏まえ、米国政府は「流行性感冒とCOVID、両方のワクチンを打ちに行って欲しい」「皆さんが然うしたならば此の冬、一日に何百人もの命が救われる事になるだろう」と国民に要請。予断を許さぬ状況が続く。
10月19日(水曜)
本日の新たな感染者は4万3555人、国内で亡くなった人は68人、累計で4万6014人。日本政府観光局に拠ると、先月に日本を訪れた外国人旅行者は推計で20万6500人。二十万人を上回るのは一昨年2月以来で、前月に比べて3万6700人、率にして21.6%増えた。先月7日に「3回目のワクチン接種」を条件に「全ての入国者に求めていた陰性証明書の提出の免除、添乗員を伴わない団体旅行も認める等、対COVIDの水際対策が緩和された事に因り、商取引や観光目的での入国が増加。国別では韓国が3万2700人、次いで越南が3万900人、米国が1万8000人、中国が1万7600人。水際対策は、今月11日に更に緩和され、観光目的の個人旅行も解禁。円安で外国人の日本旅行が割安になっている状況も有り、今後も外国人観光客の増加が期待されている由。
外務省が出す感染症危険情報は、海外に渡航する日本人等に向け、危険度の高い感染症に特に注意が必要と考えられる国や地域に4段階で出す情報だが、「新型コロナの感染状況が世界で総じて改善して来ている」等の理由で、本日付で外務省は感染症危険情報」の水準を引き下げた由。従前は76の国と地域を「不要不急の渡航」を自粛する様に要請する“level 2”として来たが、此れが「全世界を渡航に際して十分注意する」様に呼び掛ける“level 1”となり、今回の見直しで渡航自粛を要請する国等も無くなった模様。
国会の参議院予算委員会では、午後も質疑。立憲民主党の杉尾秀哉氏は、旧統一教会との関係が明らかになっている経済再生担当大臣、山際大志郎氏に関して「内閣改造が有った時に当然交代だろうと思ったが再任され、其の直後から話がボロボロ出て来ている」。「今からでも遅くないので、山際大臣を馘首にするべきだ」と求めた。しかし岸田総理大臣は重ねて要求を拒否。山際大臣自身も「旧統一教会の創始者、故人の文鮮明氏と会っていた事が明らかになれば辞任するか」と問われたが、「記憶の限りでは会った事は無い」が「何か出て来る可能性を全部否定する訳では無い」。仮に「何かが出て来た」としても「確りと点検して丁寧に説明したい」と述べるに留まった。
また自民党の石井正弘氏は「政府は入国時の水際対策を緩和したが、国際的な人的往来の活性化のためには外務省が出す感染症危険情報の水準も引き下げるべき」で「日本だけが厳しい条件の儘では世界の潮流から取り残されかねない」と指摘。岸田総理大臣が答えて曰く「世界の感染状況に総じて改善が見られる」「G7各国の対応」等を踏まえて「今日、水準を世界的に引き下げる」。「商取引往来等、国際的な交流を一層活発化させ」、今後も「感染拡大防止と社会経済活動の均衡を取りつつ、適切に判断して行きたい」と答弁。
同じく自民の比嘉奈津美氏は「台風銀座と呼ばれる沖縄で生まれ育ち、台風を多く経験して来た」そうだが「最近は大型化し、発生する場所や進路が変化して来た」。「深刻化する気候変動が原因ではないか」と指摘し、「2050年の炭素中和」の実現に向けた政府の取り組みを質問。西村環境大臣は「世界全体で実効性のある取り組み」が必要で、来月のCOP27で我が国が「巴里協定6条実施提携』を立ち上げ」、「来年はG7の議長国として国際社会の議論を先導していきたい」と応じたそうだが、此の辺りは党内の予定調和的な遣り取りと過ぎず、論じるに足るまい。
10月20日(木曜)
独仏等で感染者や入院者の増加が報じられる中、昨日に世界保健機関( World Health Organization; WHO)が寿府の本部で記者会見。一昨年1月からの「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言に関し、専門家委員会で解除の可否を初めて本格的に検討するも「世界での死者数が依然として多い」「変異ウイルスの危険性が未だ不明」等の意見が提出され、「解除には時期尚早」との結論に落ち着いた由。事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus氏は「今の世界的大流行は私たちを驚かせた」が「今後、再び驚かせる可能性が有る」と述べ、宣言を当面継続される模様。
我が国でも厚生労働省の専門家会合で示された資料に曰く、昨日に至る1週間の新規感染者数が前週と比べて1.35倍と8月下旬以来の増加に転じ、首都圏の1都3県では東京都が1.25倍、神奈川県が1.16倍、埼玉県が1.23倍、千葉県が1.20倍。関西では大阪府が1.40倍、兵庫県が1.49倍、京都府が1.22倍。東海でも、愛知県が1.28倍、岐阜県が1.46倍、三重県が1.45倍となり、更に和歌山県が1.75倍、北海道と香川県が1.60倍等と沖縄県を除く46都道府県で増加した由。
また会合では、東北大学の押谷仁教授や京都大学の西浦博教授を含む専門家が「多くの地域で感染者数が増加に転じている」上に「海外でも欧州疾病予防管理中心(European Centre for Disease Prevention and Control; ECDC)の報告では欧州の30か国中17か国で感染者数の増加傾向」が見られ、「亜細亜でも新嘉坡等で増加傾向が見られる」事から、「第八波の流行が起こる可能性は非常に高いと考えられる」と指摘。また米国はNorth Carolina大学の研究で「ワクチンの重症化予防効果が8ヶ月程度で下がって来た」との報告が有る事を紹介した上で「多くの高齢者は3回目の接種から8ヶ月たっている」「4回目の接種率が76%程度」「60歳未満の多くの人は今後4回目の接種となる」等の要因が「第八波のリスクに影響する」可能性有り。「呼吸器に感染するウイルスが流行しやすい冬に向かっていく」「12月以降は忘年会等の催事が増え、人の移動が増える」等の要因が感染拡大のリスクを高め、「冬場に心筋梗塞や脳卒中等で救急患者が多くなる」事も影響して「第八波でも医療逼迫が起きる危険性は高い」由。
会合後会見で押谷教授は「感染の波が少しずつ立ち上がっている可能性があり、第七波を超える規模になるかは未だ分からないが、大きな流行や医療が逼迫する状況は避けなければいけない」。京都大学の西浦博教授は「既に第八波が始まっていると考えている」。「都心部や北海道等全国的に増加傾向」だが「此れ迄、自然に感染する人の割合が余り多くなかった所で特に増えている様だ」と発言。一方、脇田隆字座長は「感染第八波が始まったのか」との問いに対しては「先週の連休の影響や検査の実施状況等も含めて評価すべき」で「暫く様子を見ていく必要がある」と判断を保留。第八波が始まっているか、此れから到来するのかは専門科の間でも意見が分かれる模様。
そして本日の新たな感染者は3万6110人。国内で亡くなった人は71人、重症者は113人。都内で新たに3489人、大阪府内で新たに2483人が新型コロナウイルスに感染。 オミクロン株対応型ワクチンを使用する3回目以降の接種は「前回接種からの間隔を少なくとも5ヶ月」と定められていたが、欧米の多くは「2ヶ月、若しくは3ヶ月」で「日本でも短縮するべき」との意見有り。昨日に開かれた厚生労働省の専門家による部会は「接種間隔を3ヶ月に短縮しても中和抗体価の上昇が確認された」「安全性に就いても特段の懸念は無い」として、国内でも接種間隔を3ヶ月にする事を了承。本日に開かれた分科会で「21日から運用を開始する」方針に決した。厚生労働省は年末年始に懸念される感染拡大に備え、希望者全員が年内に接種を行える様にする方針で、Pfizer社のBA.1対応ワクチンとBA.5対応ワクチン、Moderna製のBA.1対応ワクチン、合計9908万回分程度を来月下旬迄に自治体へ配送。間隔短縮に伴い、今月中に1800万人が新たに接種可能となり、先月迄に従来型ワクチンの接種を受けた約1億人も年内にオミクロン株対応ワクチンを接種可能となるが、十分に対応出来る量のワクチンが配送されるとの事。
本日に参議院予算委員会。日本維新の会の猪瀬参議院幹事長が「渋谷のスクランブル交差点と巴里や倫敦の街頭の写真」を比べて「何で日本だけマスクをしているのか」。「屋外ではマスク不要」との通知が「全然、周知されて居ないのでは無いか」と指摘。また平成27年に「文化庁が統一教会から世界平和統一家庭連合への名称変更を認めた」件に関し、共産党の山添拓氏は「裁判等を通して、違法行為の組織性も悪質性も継続性も十分把握」されていた筈だが「解散命令の請求は疎か調査も十分行わず、逆に正体隠しに加担する名称変更を認め」、被害が拡大する結果を招いた事に就いて「政府の責任をどのように認識しているか」と糾弾。岸田総理大臣は「其れを今日まで放置」した事に就いて「政府として強く、深刻に受け止めなければならない」。「宗教法人法の手続に則って事実把握に努める」と共に「被害者の救済」、再発予防に必要な「法改正」の「三つを進めて行く」と宣言した由。
10月21日(金曜)
全国の新規感染者数は、昨日迄の1週間平均も1.22倍と増加。新規感染者数の一日平均は約3万4000人で先週から凡そ6000人増え、徳島県、鹿児島県、沖縄県を除く44都道府県で前週より多くなった由。そして、本日の新規感染者は3万1593人、死亡者は67人、重症者は106人。
本日からオミクロン株対応型ワクチン接種の間隔を「前回から最短5ヶ月」から「最短3ヶ月」に短縮した運用を開始。「本年7月に接種を受けた者」も追加接種を受けられるようになり、都の大規模接種会場等でも「最多ならば5回目の接種」が可能な状況と為り、ワクチン接種を担当する松野官房長官は記者会見で「これにより、先月までに従来型ワクチンの4回目接種を受けた高齢者等も、年内にオミクロン株対応ワクチンの接種を受ける事が出来る」。「毎年、新型コロナは年末年始に感染が拡大」「今年は流行性感冒との同時流行も懸念」、更に「年末年始は帰省や受験等多くの方にとって大切な時期」故に「年内の出来るだけ早い時期のワクチン接種を御願いしたい」。「流行性感冒ワクチンとの同時接種も可能なので検討して欲しい」と呼び掛けた由。
10月22日(土曜)
厚生労働省が発表した国内の新たな感染者は3万4173人。国内で亡くなった人は合わせて78人、重症者は107人。東京都内では3231人、大阪府内では2816人の新規感染者が発生した由。今月16日迄の一週間に全国から報告された流行性感冒の患者数は前週から29人増えて97人となり、患者が報告された地域は19都府県から22都道府県に拡大。「1医療機関当たりの1週間の患者数」が「全国で1人を超えると全国的な流行期入り」との目安に対し、今の時点では0.02人のみで、コロナ禍以前の同時期と比して低水準に留まるも、昨年や一昨年よりは10倍程度に増加した由。
本年3月にEdinburgh大学等の研究者がLancet誌に発表した論文に拠ると、「去年12月迄に新型コロナウイルスに感染した約7000人」のうち「同時に流行性感冒に感染していた200人余」の症状を調べた所、COVID単独の患者よりも「重症化して人工呼吸器に依る治療を受ける」危険性は4.14倍、死亡の危険性は2.35倍に上昇。また昨年に長崎大学の研究者集団からも「腮鼠にSARS-Cov2と流行性感冒ウイルスを同時に感染させると、各々単独で感染させた場合よりも肺炎が重症化し、回復も遅れた」との報告有り。
昨年と一昨年の流行性感冒激減には国内外での対人交流制限、マスク着用や手洗い等の行動変容を含む多因子の関与が想定されて居り、「ウイルス干渉に因り、COVIDとの同時感染は起こり難いのではないか」と云う話も未だ仮説の域を出ない模様。現時点で流行性感冒が比較的少ないと言えども今後は予断を排し、日本政府には「コロナと流行性感冒を同時に診断可能な検査キットの市販を許可する」等の英断を求めたい。
10月23日(日曜)
JR東海の発表に依れば、今月1日から19日迄の東海道新幹線の指定席と自由席を合わせた利用者数は感染拡大以前、2018年の同時期に比して75%。今月20日から来月19日までの1ヶ月間に於ける指定席の予約数は、2018年の同時期と比べて90%程度まで回復しているとの事。10月11日から全国旅行支援が始まった事が影響したものと見られ、同社の金子慎社長も「利用や予約の状況を見ると、先々、旅行をする機運が高まって来たと思う」と語り、今後の利用者の増加に期待感を示した由。
全国の主たる超級市場の先月売上は1兆427億円で、既存店同市の比較で前年同月より1.1%上昇、3ヶ月連続で増加。感染者数が減り、外出の機会が増えた事で、衣料品や野外活動用品を含む旅行関連の商品が売れた模様。一方で外出や外食の機会が増えると野菜や肉、魚の販売は伸び悩み、食料品全体の売上は前年同月より2.3%減少。調査を行った日本チェーンストア協会からは今後の展望に関し、「10月以降も食料品の値上げが続き、更に円安で輸入された商品の価格も全般的に上がっている」「加盟する超級市場からは、消費者の節約志向が更に強くなっていると云う声が有り、厳しい状況となりそうだ」との見解が語られたとの事。
国内経済が回復に向かう一方で「一昨年春に東京都日野市の明星大学に入学」「その後に中退した元大学生」が、「教員から直接指導を受けたり、友人と交流したりする事を楽しみにしていた」にも関わらず「感染対策の回線接続授業で1年間に渡り、対面での授業が無い」。「大学の施設も利用出来なかった」旨を訴え、大学に対して授業料の一部返還や慰謝料の支払いを求めた裁判が今週19日に判決。東京地方裁判所立川支部の裁判長、西森政一氏は「オンライン授業を積極的に取り入れる運用」は「新型コロナが蔓延する中で休校となるのを避け、授業の実施を可能にするための合理的な選択肢」で、大学側も「1年生向けの交流会」を行い、「図書館を利用させる」等と「学生が回線接続授業の受講に終始しない様、配慮していた」として訴えを退けた由。
判決を受けて、原告は「納得出来ない」。「他の学部や大学が対面授業を再開した後に自分の学部も再開していれば提訴はしなかった」、「学生達の苦しみを大学は分かっているのか」と不満を訴えたとの事。同じ学部に不満を訴える学生が特に多く存在したのならば集団訴訟を起こすか、原告以外にも「学生達の苦しみ」を語る証人を揃えた方が法廷戦略としては有利だったかと思われるが、裁判の詳細は報じられて居ない模様。