令和4年10月第3週
10月10日(月曜)
一昨年から体育の日改め「スポーツの日」と呼称が変えられ、今年は月曜日が重なっただけの事とは言え、昭和生まれからすると「十月十日が祝日」なのは矢張り落ち着く。厚生労働省の発表に拠ると、本日に確認された国内の新規感染者は空港検疫を含めて1万3038人。死亡者は50人、重症者は昨日より3人減って134人。先週6日に行われたPCR等の検査数は、自主検査を除いた速報値で4万3607件。東京都内で1372人、大阪府内で755人の新規感染が報告された由。
感染第七波が高齢者施設に及ぼした影響について、先月に東京都高齢者福祉施設協議会が、都内の高齢者施設を対象に電網上で質問紙調査を実施。対象全体の47%、特別養護老人ホームを含む入所型施設の273施設から得られた回答に依れば、本年7月1日以降の2ヶ月間で新型コロナウイルスに感染した施設の利用者は159施設の累計で1795人、職員の感染も155施設で1489人を数えた由。感染した利用者のうち、医療機関に入院出来たのは299人だったのに対し、保健所で調整が行われたものの入院出来なかった利用者は2倍近い570人に上った。「感染対応で困った事」について複数回答で尋ねた項目では、最も多い135施設が「職員の確保」を、次いで103施設が「入院が出来ない」を挙げたとの事。
集団感染に就いては、回答の3割に相当する95施設が「発生した」と答え、集団感染が発生しやすい理由として「利用者が自分で感染対策を行うのが難しい」等の要因が指摘されたとの事。軈て来る感染第八波に於いても、高齢者施設で相当の集団感染が生じる事は避けられぬものと覚悟すべきか。
10月11日(火曜)
本日の新規感染は1万3123人、死亡は27人、重症者は138人。コロナ禍で大きな影響を受けた観光業界を支援する為の政府の新たな観光需要喚起策、全国旅行支援が本日に始動。東京を除く46道府県は、本日から12月下旬、東京都は今月20日から12月20日に実施される予定との事。「宿泊と交通機関での移動が一式になった旅行商品」は1人1泊当たり8000円を上限に、「宿泊施設のみの利用や日帰り旅行」は1人5000円を上限に、何れも料金の40%の割引を受ける事が可能。また平日は1人当たり3000円分、休日は1000円分の土産物店等で使える引換券が得られるも、平日を手厚くする事で旅行客の分散を促す仕組。利用するには原則としてCOVID用ワクチン接種の3回完了か、検査に依る陰性証明の書類を提示する必要有り。
全国旅行支援を識者が評して曰く、感染拡大以降に広がった「旅行は自粛」との風潮に対して「旅行も可、観光も良かろう」と「消費者の背中を押す」意義が大なり。今回の新制度は「感染の急拡大を認めれば、自治体の裁量で運用を中止出来る」等と自由度が大きく、従前のGoToトラベル事業よりも感染拡大を招く恐れは少ない。一方で制度の窓口となる旅行会社は「各自治体に手続きを行わねばならず、膨大な事務作業を担う」事になり、事業者に過度な負担が掛からぬ方法も検討すべきだった。との事だが、本日は午前中から電網上で予約場所や旅行会社のhomepageに接続が集中。一部が繋がり難い状況に陥り、楽天TravelやJTB、じゃらんnetにClub Tourism等は午後に至るも接続困難が続いたとの事。
また本日から感染予防上の水際対策が大幅に緩和。1日当たり5万人の入国者数上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も凡そ二年半振りに解禁される等、概ねコロナ禍以前の状態に戻る事になる由。米国や韓国、英国を含む「68の国や地域から観光等で訪れる短期滞在者の査証を免除する」措置が再開され、地方の空港や港でも順次、国際線の受け入れを再開。発熱等感染が疑われる症状が無ければ、全ての入国者に対して入国時に検査は行わず、入国後の自宅等での待機も求めない事になるが、「3回のワクチン接種を済ませた旨の証明書」か「滞在先の出発前72時間以内に受けた検査の陰性証明」の提示を求める措置は続行。此等の措置が執られているのは主要7ヶ国では日本と米国のみとなるが、政府は今後「国内外の感染状況や各国の対応等を見極めて検討する」との事。 本日から来年1月末日の期間中に行われる「感染拡大防止対策を徹底した」運動観戦や映画等の催事を対象に、入場券価格から2割相当、上限2000円を割り引く「イベント割」事業も経済産業省の主導で始まり、国内の景気に好転が望まれる情勢。
感染対策としてのマスク着用に関し、政府は「屋外では原則不要」「屋内でも2米を目安に周囲との距離が確保され、会話を殆ど行わない場合には必要無い」等の目安を示して来たが、感染者の減少傾向が続いている事等から、此処で政府はマスク着用の規則も整理する方針。先週に木原官房副長官は「マスク着用の規則を含めた感染対策の在り方に就いては屋外、屋内問わず全体を整理すると理解している」「と発言。本日の閣議後会見で加藤厚生労働大臣が「政府が発信している今の時点に於けるマスク着用の考え方は、必ずしも国民の皆さんと十分に共有出来ているとは言い難い状況」で「マスクを外していると世間の目が有る」との話も聞くが「マスク着用の必要が無い状況が有る」旨を周知が必要。自民党の世耕参議院幹事長が「外国人観光客を受け入れる上では、日本の非常に厳しい規則を少し緩和して行く必要が有るのではないか」等と発言した由。
政府公表の最新状況に拠ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた人の総数は8256万3433人で、全人口に対する接種率は65.6%に到達。3回目接種率を年代別でみると12歳から19歳は40.9%、20代は52%、30代は55.7%、40代は64%、50代は77.9%、60歳から64歳は85.5%65歳から69歳は86%、70代は91.2%、80代と90代はそれぞれ92.9%、100歳以上は87.8%。5歳から11歳を対象にした接種で1回目を受けた人は164万6204人で全体の22.5%、2回目の接種を受けた人は157万1875人で全体の21.5%、先月から始まった3回目の接種を受けた人は8万8354人で全体の1.2%4回目の接種を受けた人は全国で3604万4119人、60歳以上は3116万8843人で対象者の82.7%。先月から始まった、オミクロン株に対応したワクチンの接種を受けた人は114万5322人で全体の0.9%との事。
10月12日(水曜)
後述の専門家会合で示された資料に拠ると、昨日迄の一週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.73倍と減少傾向が続く。首都圏の1都3県では東京都が0.67倍、神奈川県と埼玉県が0.69倍、千葉県が0.71倍と減少傾向が続く。関西では大阪府と京都府が0.69倍、兵庫県が0.73倍、東海でも愛知県が0.61倍、岐阜県が0.66倍、三重県が0.78倍となっていて、全て都道府県で前週より減少。人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、広島県が233.52人と全国で最も多く、次いで長野県が228.86人、北海道が222.50人、山形県が220.31人等となっているほか、大阪府が142.92人、東京都が130.89人、全国では142.77人。
本日の新たな感染者は4万5505人。国内で亡くなった人は54人、重症者は前日より3人減の135人。一昨日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は、速報値で1万5751件。東京都内で4790人の新規感染、先週水曜より723人増えて、十五日振りに前週の同曜を上回った。大阪府内では3436人。北海道内では新たに4023人の感染が確認され、2人の死亡が発表されるも一日の新規感染者数が四千人を上回るのは先月9日以来。道の新型コロナウイルス感染症対策本部指揮室は「三連休は医療機関が休みだった」分、昨日は「一気に受診が増え」、本日に「発表分の感染者が増加した」と考えられる。然れども「連休中に人出が多かった」のも事実で、「感染者の増加が一過性のものなのか、今後も続くのか」に就いては「慎重に経過観察して行く必要がある」との事。
昨日に全国旅行支援が東京を除く46道府県で始まるも、旅行会社等では「用意していた予約枠が既に埋まった」として「一部の自治体での旅行商品に関して受付を停止する」事例が相次いだ。近畿日本ツーリストでも昨夜の時点で一旦、予約受付が停止され、社内調整を経て本日にホ受付を再開したものの、予約可能な枠は減少。JTBや日本旅行等の旅行会社、予約場所を運営する一休.com等も「一部の自治体で予約の受付を停止した」との事。全国旅行支援は「5600億円程度の国家予算に基づき、都道府県から旅行会社等に補助金を配分して行われる」形式となって居り、国土交通省は事業が円滑に進む様に、今後の補助金配分に就いて「事業者の販売実績に応じて見直す」「追加配分を行う」等の対応を各自治体に促しているそうだが、御役所仕事は兎角、滞り勝ちだ。
本日に厚生労働省の第102回となる新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会。所謂、専門家会合が開かれ、「全国の新規感染者数は全ての地域で減少が継続している」ものの「連休や観光によって接触機会が増加する事が感染状況に与える影響に注意が必要」で、「冬に掛けて流行性感冒が例年より早く流行し、COVIDとの同時流行が懸念される」と指摘。
会合後会見で座長の脇田隆字氏は「海外の状況を見ると欧州等で新型コロナの流行が始まり、流行性感冒も一部の地域で流行が見えて来ている」が「仮に日本で同時流行が起きれば、医療への影響が大きい」。「必要な医療体制としては、重症化危険性の有る高齢者や脳炎の危険性が有る子供リが優先的に医療に接近出来る事が求められるのではないか」と指摘。其の他にも「オミクロン株対応のワクチンや流行性感冒のワクチンの接種を進める事は、流行の規模をなるべく小さくし、重症化を予防する為にも非常に重要だ」と述べた。また「第七波では検査キットが不足」「解熱薬が買い難くなったりした」事を踏まえて、「発熱した際に自己投薬を行って貰う為にも、今のうちに検査キットや解熱薬を買って置く」事も重要。「検査キットが購入しやすい環境を整える事も重要だ」と指摘した由。
10月13日(木曜)
本日の新たな感染者は空港の検疫等を含め4万5690人。国内で亡くなった人は78人、累計で4万5693人。重症者は143人、前日と比べて8人増えた。10月11日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で5万9573件。厚生労働省は東京都内で新たに4338人、大阪府内では新たに3313人の新規感染を確認したと発表。北海道では新たに3574人の感染が発表され、昨日に続いて前週同曜を上回った。
SARS-CoV2の中でも昨今に感染の主流となっているオミクロン株BA.5に対応するワクチンの接種が本日以降、準備が整った自治体から順次開始。「従来のワクチンで2回目迄の接種を終えた12歳以上」の全員が対象となるが、「前回接種から最短でも5ヶ月が経過している」事が必須。厚生労働省は年末年始に懸念される感染拡大に備え、オミクロン株対応型ワクチンの接種を進め、先月開始のBA.1対応型ワクチンと今回のBA.5対応型を合わせて年内に凡そ7652万人が接種対象になると見込んでいるが、効果の相違に関しては「比較する資料が現時点では確認出来ていない」故に「其の時、接種出来るオミクロン株対応ワクチンを出来るだけ早く打ってほしい」と呼び掛けている由。
米国では、先月からBA.4とBA.5に対応する二価ワクチンの12歳以上に対する追加接種が開始。更に昨日、疾病予防管理中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)は「ワクチンの対象年齢を引き下げ、PfizerとBioNTechが開発したワクチンは5歳以上、Modernaが開発したワクチンは6歳以上とする」旨を発表。「米国でもBA.5が感染の主流」「今月8日までの1週間に報告された感染者のうちおよそ8割がBA.5感染と推定された」との情勢に対し、より幅広い年齢層で追加接種を進めて今冬の感染拡大を防ぐ事が目的と見られる。日本でも12歳以上対象の接種は始まっているが、BA.5対応型の 5歳から11歳向けワクチンに関しても、本日にファイザーが厚生労働省に承認申請と、旧来の認可状況を考えると異例の速度で話は進んでいる模様。
また本日に総理大臣官邸で「COVIDと流行性感冒の同時流行」への対策を検討する特別委員会の初会合が開かれ、岸田総理大臣や加藤厚生労働大臣に加えて「医療関係の団体や地方自治体の代表」が出席。本日午後に感染症等の専門家でつくる政府の分科会も会合を開き、この冬に懸念される新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えた対策を検討。 政府分科会の尾身茂会長は会合後の会見で、同時流行に備えた対応に就いては「政府から示された方針を分科会として基本的に了承したとした」が、「コロナの次の感染拡大が更に大きなものになる恐れ」もあり「今後、具体的な対策を検討する必要が有る」と指摘。東京でも、本日のモニタリング会議で感染状況の警戒水準が1段階下げられて上から3番目になる一方、「今週14日からワクチンの大規模接種会場で其々のワクチンの同時接種を始める」旨を発表。
以前は毎冬に季節性流行性感冒が流行し、一回の冬季中に1000万人、多い年には2000万人が感染したと推計されるが、COVIDの世界的大流行が始まって以降、国立感染症研究所の推計で一昨年から昨年は約1万4000人、昨年は今年は約3000人と激減。元来、流行性感冒は「東南アジアやアフリカ等の熱帯から亜熱帯の人口の多い地域では1年を通して感染が広がっていた」ものが「国際的な人の移動で各国に流れ、ウイルスが広がる環境が出来やすい冬の時期に大規模な流行を起こす」と考えられているが、「感染対策で国際的な人の行き来が制限」「人と人との接触が減少」等の影響で、インフルエンザの流行が生じなかったものと見られる。しかし今年は「世界的な水際対策の緩和」「感染に因って流行性感冒の免疫を獲得した者の減少」との要因が重なった上に、「南半球の豪州で二年振りに以前と同程度の流行」を確認。
日本でも「三年振りの大流行が起き、其れがCOVID感染第八波と重なる」との最悪の事態が懸念されている模様。「コロナ禍を経て、人々の行動も変容」「以前程の大規模流行は起こり難いのではないか」との楽観論も聞かれるものの、流行性感冒もCOVIDも熱発、咳、咽頭痛等の主症状が類似して居り、医療機関の負担も懸念される。警戒するに如くは無し。
10月14日(金曜)
新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では先月15日までの1週間では前週に比べて0.77倍、先月22日は0.71倍、先月29日は0.77倍、今月6日は0.70倍、今月13日迄は0.85倍となっていて、七週連続で減少。一日当たりの全国の平均の新規感染者数は、最も多かった今年8月下旬と比べると20万人近く減って、およそ2万8000人。39都府県で前週より減少するも、大半の地域で減少速度が前週よりも鈍化。北海道、青森県、秋田県、山形県、福島県、山梨県、長野県、石川県の8道県では前週よりも増加。
人口当たりの感染者数が最も多いのは山形県で、先月29日までの1週間は前週の0.92倍、今月6日は0.84倍だったのが、今月13日までは1.07倍と増加に転じた。一日当たりの新規感染者数はおよそ457人で、人口10万当たりの感染者数は299.34人。1都3県を見ると、東京都は今月13日迄の1週間平均が0.81倍、神奈川県は0.75倍、埼玉県は0.79倍、千葉県は0.83倍。関西は今月13日迄の1週間平均が大阪府0.81倍、京都府0.79倍、兵庫県0.81倍。東海で愛知県0.74倍、岐阜県0.93倍、三重県0.77倍となっているが、何処も減り幅が狭まり、先週比1.0に近付きつつ在る。
北海道では先月29日までの1週間は前週の1.09倍、今月6日は0.79倍なれども、今月13日迄は1.04倍と再び増加に転じた。宮城県は先月29日迄が0.89倍、今月6日は0.85倍、今月13日は0.89倍。広島県は先月29日が0.81倍、今月6日は0.78倍、今月13日は0.75倍。福岡県は先月29日が0.56倍、今月6日は0.77倍、今月13日は0.83倍。沖縄県は先月29日が0.86倍、今月6日は0.80倍、今月13日は0.85倍。
政府分科会の構成員で東邦大学教授の舘田一博氏は、直近の感染状況に就いて「全国的に減少が続いている」反面、「多くの地域では下げ止まりの兆候が見られる」。前週より増えた北海道や東北等では「気温が下がって換気し難くなった事で、感染が広がりやすくなっている」可能性もある。全国旅行支援が始まり、水際対策が緩和された中で「人と人との接触の機会が増え、感染が増えて来る危険性が高まって」来た。「仏蘭西や独逸等では感染の再拡大が既に起きて」居り、日本でも水際対策の緩和で感染者の流入が増え、第7波を超える規模での感染拡大が起き得る。流行性感冒との同時流行も想定して「COMIDと流行性感冒のワクチンの接種を前倒しで進める」事等が重要と指摘。
本日の新たな感染者は3万6605人。また、国内で亡くなった人は63人、重症者は131人。10月12日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で5万9503件。東京都内では3495人の新規感染が確認され、 本日から都の大規模接種会場でBA.5対応型の接種を開始。一方で都知事の小池百合子氏は、中断していた外食需要の喚起策、「Go Toイートのプレミアム付き食事券」に関して「注意すべき所は注意して貰う」が「矢張(やは」り食は東京の魅力の一つ」。「事業を担うのは事業会社」だが「今月26日から販売再開だと聞いている」と発言した由。。
富士フイルム富山化学が新型流行性感冒の治療薬として開発したAvigan/一般名 Favipiravirは「新型コロナにも効果が見込める」として承認申請が行われるも、厚生労働省の審議会は「有効性を明確に判断するのは困難」として継続審議とした。
其の後、昨年4月から「重症化危険性を有する20歳以上の軽症のコロナ患者」を対象に、新たな枠組みで治験が進められるも、集まった84人のデータを解析した結果、重症化抑制の効果を立証出来ずとの経過を受けて、遂に同社は「新型コロナの治療薬としての開発を中止」「承認申請を取り下げる」と発表した由。感染拡大の当初は「政府が治療薬としての早期承認を目指す」と発表して備蓄も進められたアビガンが撤退を余儀無くされた事に関し、富士フイルムは「感染拡大の当初は新型コロナの治療薬の候補がなく、既存の薬を転用する形で開発が進んだが、病態の解明も進み役割を終えたと考えている」との声明を出すも、感染者が国内でも増加していたにも関わらず、社運を賭けた治験の対象人数が百人にも満たぬ少数とは面妖。早い時点でCOVIDには効かぬと断念されるも世間や株主の手前、形だけの治験が続行されたのではないかと思うのは邪推か。
国内で「自殺者が三万人を超過」していた平成18年に自殺対策基本法が制定され、翌19年に初の自殺総合対策大綱が発表された。以降も五年に一度、大綱の再検討が行われて来たが、本日閣議で「自殺者は減少傾向に在る」ものの「依然として毎年2万人を超える水準で推移」。「非常事態が続いている」とされ、更に「コロナ禍の影響で自殺の要因となるさまざまな問題が悪化」。「女性の自殺が一昨年から増加している」として、初めて「女性に対する支援の強化」が大綱の重点施策に盛り込まれた由。具体的には「予期せぬ妊娠等で悩みや不安を抱えた若い女性への支援」や「非正規雇用や子育て中の女性等にきめ細かい就職支援」が行われる模様。
また「子供の自殺も過去最多の水準」となっている事から、若年者への対策を強化し、SNSを活用した相談体制の拡充等が計画される模様。大綱決定前に開かれた自殺総合対策会議で、加藤厚生労働大臣は「誰も自殺に追い込まれる事のない社会の実現に向けて尽力をお願いしたい」と関係閣僚に協力を求めたとの事。
10月15日(土曜)
厚生労働省が発表した本日の新規感染者は3万5138人、東京都内で3239人、大阪府内で2674人。国内の死亡は67人、重症者は118人。一昨日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で5万6067件。
日本放送協会(NHK)の取材に対し、内閣総理大臣の岸田文雄氏は「内向消費を年間5兆円にする」事を目指し、様々な政策を立案すると発言。政府が今月に纏める新たな総合経済対策に「海外で日本の観光地を宣伝する」事業を加え、外国人旅行客受入を促進する目的で「観光施設や宿泊施設の看板やパンフレットに英語の表記を加える」「施設改修費用を支援する」等の支援も盛り込む方向で調整中。昨今の円安も利用して「農林水産物の輸出拡大」「半導体や蓄電池の工場を日本へ誘致」、「海外に拠点を持つ日本企業の国内への回帰を進める」等にも取り組む方針との事。先立つものが無ければ国政も成り立たぬのは当然で在り、深刻な感染再拡大を回避しつつ経済が立て直される事を望みたい。
当方の業務に直結する話題としては、日本摂食障害学会が「摂食障害の専門治療を行っている全国の医療機関」を対象とし、本年5月から7月に質問紙調査を施行。28箇所から得られた回答に拠ると、初診の外来患者で神経性無食欲症。所謂、拒食症と診断された患者は、2019年に400人だったのに対し、COVID感染拡大が始まった一昨年は丁度1.2倍の480人、昨年は1.5倍超の610人に増加。十代に於いては、2019年の199人が一昨年は296人で略1.5倍、去年は347人で1.7倍強になり、「昨年と一昨年に診断された患者の30%余にCOVIDが影響している」との事。研究者達は「学校の休校等、日常生活の変化」や「家庭の経済環境の悪化」等が負荷となり、また「人と関わる機会が減り、精神的負荷を和らげる機会が減っている」事が発症に繋がっているのではないか、と推定したとの事。
和製英語の“live house”、標準英語で云う所の“club with live music”に関しては「一昨年に大阪市内でCOVID集団感染が発生」等の情報から「三密の条件が揃い易い危険な場所」との認識が広まるも、当該業界の3団体は国や専門家の協力を得て感染対策の指針の改訂を重ね、「収容人数の制限」「マスク着用で声を出さぬ様に観客へ要請」等の工夫で生演奏の供給を継続。ワクチン接種の進展や感染者減少を踏まえて今週14日、「観客が声を出す事を認める条件を定め、会場の収容率を100%とする」為の指針が完成した由。具体的には「マスクの着用や換気」等の基本的感染対策を徹底した上で「観客の声が通常の会話の音量を上回らず、観客が声を出せる時間が1曲当たりの25%程度を限度とする」由。ライブハウスの担当者は「演者と観客の“call & response”が条件の範囲を超えて行われぬか」「演者が観客を煽り、大声を出させるような事が無いか」等の項目を照合表で確認。業界団体は全国のライブハウスに指針を周知すると共に遵守を呼び掛けつつ、感染状況に応じて見直しを行うとの事。
便利商店大手の本年8月に至る半年間の決算は、何れも国内事業で増収増益。連鎖全店の売上はSeven-Eleven Japan、FamilyMart、Lawsonで昨年同時期に比して約3%増加。本業の利益はセブンイレブンが2.9%、ファミリーマートが0.1%、ローソンは13.1%も前年を上回った。「勢力価格の高騰で店舗光熱費が増加」等の事情から、3社共に売上は感染拡大前の2019年同時期と比べても遜色無い程に回復するも、利益はコロナ禍前を下回る水準が続く模様。対してUNIQLOを展開するFAST RETAILINGは、本年8月迄の1年間の決算に於いて円安の為に利益が膨らんだ結果、最終的な利益が過去最高を記録した由。しかし、会長兼社長の柳井正氏は「円安で利点を感じる人は製造業でも殆ど居ない」「零細企業の方でも、給料生活者の方でも、企業経営の方でも、利点を感じている人の声が聞こえて来ない」「寧ろ短所で、経済は本当に酷い」と訴えたとの事。其れが氏の本心か、周囲の嫉妬を逸らす為かは知らぬ。
職を失った者が失業給付を受け取る為には公共職業安定所、愛称“hello work”へ最初の認定時に出向き、以降も4週に一度、職員と直接面談を行って「失業状態が続いているか」「求職活動を行っているか」を報告せねばならぬ旨が法の下に規定されている。しかし、以前から「遠方に住んでいる者等は移動の負担が大きい」との声が有る事を鑑みて、厚生労働省は此度、面談の回線接続化推進を決定した由。先ずは来年4月迄に「離島の失業者を対象とした回線接続での面談」を始め、「本人確認や就労の意思確認に支障は生じないか」等を検証。住民利便性の向上や行政運営の効率化を目的に、旅券申請等を含めた「行政手続の回線接続化」を進めるのが政府の方針で在り、今回決定も此の方針に沿った判断との事。
10月16日(日曜)
[鋭意執筆中]