令和2年7月第4週
7/20(月曜)
本日も日本各地で感染者増加の報道が相次ぎ、死亡者数はクルーズ船乗船者13名を合算すると、1002人に至った由。戦慄すべき数字だが、昨今の情勢を鑑みるに「2000人へ至る速度は更に早いのではないか」と危惧する。
7/21(火曜)
先月16日に英国政府が、新型コロナウイルスに感染した重症患者に対する副腎皮質ステロイド剤の効果について発表。同国・オックスフォード大学の研究チームが、デキサメタゾン6mgを10日間投与した感染患者2104人、即ちデキサメタゾン治療群と投与しなかった4321人、標準治療群で死亡率を比較する「RECOVERY試験」を実施。治療開始28日後の死亡率は通常治療群の24.6%に対し、デキサメタゾン治療群は21.6%と致死率が低下。呼吸補助を要する例で比較すると、酸素投与のみの場合は25.0%から21.5%に下がり、更に人工呼吸器装着患者では40.7%から29.0%へと大幅な低下を認めた由。
以上の結果を踏まえ、同月25日に米国のNational Institutes of Healthが治療ガイドラインを改訂。人工呼吸器や酸素投与を要するCOVID-19患者にデキサメタゾン使用を推奨したのに遅れる事、数週間。今月17日付で厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」第2.2版を発行。第4章「薬物療法」の第1項「日本国内で承認されている医薬品」にデキサメタゾンが追加掲載された模様。我が国では2例目となるが、5月に特例承認されたレムデシビルが用法・用量・投与時の注意点から入手方法まで懇切丁寧に解説されているのに対し、デキサメタゾンに関してはRECOVERY試験の結果やNIHのガイドライン改訂の経緯が記されるのみ。
此の相違は前者が新薬だったのに対し、デキサメタゾンは従前から各方面の臨床で汎用されている薬剤で在る事に起因するのかも知れぬ。デキサメタゾン製剤市場で高い占有率を誇るデカドロンの製造元、日医工が「新型コロナウイルス治療での必要供給量を見ながら」となるも「十分供給できる体制」を保証する声明を出した旨の報道も有り、供給の安定も承認決定の一因だろう。最も期待される予防や根治の手段では無いとして一部では不満の声も出た様だが、元来が無症状や軽症例も多い疾患。容易に入手出来る薬剤で重症患者の生命予後を改善させられるので有れば、其の意義は大きい。
7/22(水曜)
全国で新型コロナウイルスの感染が確認された人は795人となり、一日の感染者数としては過去最多を更新。此は緊急事態宣言が7都府県を対象に出されていた4月11日を上回る数字である。其の様な状況の中で「四連休やGo Toトラベル事業が始まる」と云う現実に戦慄。
7/23(木曜)
東京都知事の発表に依ると、本日に都内で確認された新規感染者は366人。一日当たりの感染者数が300人を超えるのは初めての事で、今月17日の293人をも上回って過去最多となる。今月9日から15日間連続で100人以上が続いており、累計感染者は1万420人に増加。
大阪府内でも、新規感染者104人が発生。昨日も過去最多の121人が確認され、感染者数は二日連続で100人超。兵庫県も緊急事態宣言解除後最多の35人、奈良県も過去最多13人と関西圏でも感染が拡大している模様。
7/24(金曜)
新型コロナウイルスの世界的流行で、延期を余儀無くされた東京オリンピック。来年の開会式開始予定と同日同刻である本日20時、白血病からの競技復帰を目指す競泳の池江璃花子選手が国立競技場に参上。
白い衣装の池江氏は聖火の提灯を掲げつつ「本当なら明日の今頃、此の国立競技場では開会式が華やかに行われている筈で」「私も此の大会に出るのが夢でした」と語り、自身の闘病生活を回想。感染症と戦う医療従事者に感謝を示した上で「今から1年後、オリンピックやパラリンピックが出来る世界になっていたら、どんなに素敵だろう」、「逆境から這い上がって行く時には、如何しても希望の力が必要」「希望が遠くに輝いているからこそ、どんなに辛くても前を向いて頑張れる」と語り、「1年後の今日、この場所で希望の炎が輝いていて欲しい」と世界に訴え掛けた由。無観客の式典なれども、組織委員会の公式ホームページで動画を公開。
同じく本日20時に、日本青年会議所が「新しい日本を始める合図」として全国46都道府県の117カ所で一斉に花火を打ち上げた。一部地域では天候等の影響で延期となるも、1分半~3分間、それぞれ約50発の花火が夜空を彩った事も報じられた。開催を望む人々の心情は解らぬでも無いが、残り一年のうちにコロナ禍が収まる保証無し。仮に無観客開催だとしても、五輪会場で集団感染が発生すれば、各国の関係者を介して世界への再伝播は不可避。個人的には一貫して「中止が賢明」との立場を取る。
7/25(土曜)
今月22日、アメリカ国務省は「アメリカの知的財産と個人情報を保護する為」として、Texas州Houston市に在る中国総領事館の閉鎖を宣告。総領事館に関しては「長年、アメリカの医療研究の結果を盗む為に使われ、その事はトランプ大統領も就任後に説明を受けていた」との報道が有り、共和党所属でTexas州選出の下院議員Michael McCaul氏も「アメリカの生物医学研究を盗む為のスパイ活動の震源地」、医療研究機関が集まるテキサス医療センターで行われている「ワクチン研究の成果」までも「中国が盗もうとしている」等と発言。
24日の時点で、米司法省の高官が「ヒューストンの中国総領事館職員が、研究機関に所属する研究者達に情報収集を指示していた」事を明らかにし、「活動は許容範囲を超えており、此処で止めなければ、更に活発になる恐れがあった」、「閉鎖命令は、中国の他の在外公館職員に対し、こうした活動を止めろというメッセージだ」と述べた。総領事館は、米国内で中国に対して反体制的な言動をする中国出身者を帰国させる"Operation Fox Hunt"の拠点としての役割も務めていた由。閉鎖期限が迫る中で、24日早朝から総領事館の職員達が公電用の鞄や段ボール箱を次々とトラックの荷台に搬入。
更に同日、「中国軍との関係を隠したまま不正にビザを取得した」容疑で訴追されていた中国人研究者の身柄を確保した旨を、司法省が発表。同省の高官、曰く「此の研究者は入国後に米国の大学で研究活動に従事したが、直近では在サンフランシスコ中国総領事館に逃亡していた」との事。退去期限の16時を過ぎると、国務省職員が裏口をこじ開けて内部に進入。
中国外務省は25日夜、「大使館や領事館の保護を定めたウィーン条約と米中の領事条約では如何なる方法でも館内を侵す事は出来ず、強い不満と反対を表明する」と米国を非難すると共に、対抗措置として四川省成都にある米国総領事館の閉鎖を通知した由。中国が潔白とは思えぬ諸般の事情も有るものの「超大国同士の対立は激化の一途を辿るのみで、コロナ禍の最中に手を取り合う事すらも出来ぬか」と思うと遣り切れない。
7/26(日曜)
今年の台風発生は、5月に1個、6月に1個の計2個。各地で豪雨被害が報道される一方で、今月に入ってから台風の方は本日に至るも発生無し。台風に発達し得る熱帯低気圧も確認されず、このまま7月の台風発生が無ければ、1951年の観測開始以来、史上初となる由。