令和4年8月第4週
8月22日(月曜)
全国の新規感染者数は今月12日に凡そ2か月ぶりに減少傾向となったが、21日迄は前週に比して1.12倍と再び増加に転じた由。東京医科大学の特任教授、濱田篤郎氏はお盆明けの感染状況に就いて「休みの間に検査を受けられず、休み明けに検査を受けた結果、陽性となった人が多くなっている」ものと考えられ、「お盆の帰省や旅行で接触機会が増え、実際に感染が拡大している可能性も有る」。「検査遅れだけなら一時的な増加で済む」が「接触機会の増加が主な背景なら拡大が続く可能性も有る」と指摘。夏季休暇が終わり、学校が再開する時期を控えて「高い感染水準が続く中、学校での流行が再燃し、それが家庭等に更に広がる事態を懸念している」。「今後、数週間の感染動向に注意が必要だ」と警戒を呼びかけた由。
本日は全国で14万1059人の新規感染。東京都で22人、埼玉県で19人、福岡県で19人、千葉県で18人、鹿児島県で15人、愛知県で12人、高知県で11人、神奈川県で10人、兵庫県で9人、和歌山県で8人、宮城県で7人、宮崎県で7人、京都府で6人、北海道で6人、栃木県で6人、新潟県で5人、茨城県で5人、大分県で4人、大阪府で4人、岐阜県で4人、沖縄県で4人、熊本県で4人、長野県で4人、静岡県で4人、三重県で3人、奈良県で3人、山梨県で3人、広島県で3人、愛媛県で3人、長崎県で3人、青森県で3人、山口県で2人、島根県で2人、群馬県で2人、香川県で2人、富山県で1人、福井県で1人、鳥取県で1人の、合わせて245人の死亡。640人の重症者が報告された由。東京都内に於ける新たな感染確認は1万5085人。福岡県9336人、神奈川県9212人、埼玉県8156人、大阪府7892人、兵庫県7263人、愛知県は6120人、北海道5397人、広島県5127人、沖縄県1700人。
内閣総理大臣、岸田文雄氏のSARS-Cov2感染が報じられるも、本日から療養している総理大臣公邸にて回線接続で公務に当たり、内閣広報室から「総理大臣公邸内の執務室で岸田総理大臣がスーツ姿で机に設置された端末の画面に向かい、回線接続で省庁の担当者らと話をしている様子」「ペンを片手に書類に目を通している様子」等の写真が提供された。官房長官の松野博一氏から「21日は微熱と咳と云った症状が見られた」が「22日朝の時点では平熱に下がり、少し咳が出る程度になったと聞いている」、総理の症状は軽く「22日から早速、遠隔勤務環境等も活用し、略予定通りに執務に当たっている」等の説明有り。記者団から「夏休み中の感染確認に電網上で批判が出ている」との指摘を受けたのに対しては「岸田総理大臣は、夏休み期間中も他人と接触する場合は常にマスクを着用する等、適切な感染対策に努めていた」と反論。「岸田総理大臣は官邸に出邸出来ない状況に在るが、適切に業務を執行出来る状態」で、内閣法で臨時代理を置くべき場合とされている「事故の有る時」には該当せず「臨時代理を置く必要は無い」との事。
総理大臣官邸に隣接する公邸で終日、公務に当たった後、岸田総理自身も19時過ぎに回線接続で会見。「少し咳は出るが既に熱は平熱に戻り、普通に生活出来ている」事から「医師にも相談の上、遠隔で仕事を続ける事にした」。「万が一の場合に備えて」整備された「光ファイバーに依る専用会議機構」を利用して「早速、本日から遠隔での執務を開始した」が「今の所、大きな不便を感じる事無く仕事を行う事が出来ている」。「自らの感染に対する様々な指摘は真摯に受け止め、国民の不安や心配に思いを巡らす機会としたい」「国政に遅滞が生じない様、全力を尽くす」等と述べた由。感染対策に関しては「感染症法上の措置の見直し」「水際対策の緩和」等と云った所謂「ウィズコロナ」に向けた「新たな段階への移行」に就いても「専門家や自治体の意見も踏まえ、早急に方向性を示して行く」。「ウイルスの特性を踏まえながら、感染防止と社会経済活動の両立を実現する為の対応を加速させて行く」等の発言有り。保健所や医療機関の負担軽減策に就いても「患者の情報を登録する“HER-SYS”の入力の簡素化」や「健康追跡中心の全国整備」、「検査キットのOTC化」等を進めている所だが、「更なる負担軽減策を一両日中に示したい」との事で、岸田総理大臣は今月30日迄療養を続ける模様。
広島県は「新型コロナの感染者数や入院患者数」を含む様々な情報をホームページで公表して来たが、此の内の「有症状者から保健所等が相談を受けた件数」に関しては、今月21日迄に掲載を中止。感染状況の兆候を把握する目的等に利用されて来た情報なれども「感染の急拡大に伴う保健所等の業務の逼迫」で集計の継続が不可能となり「正しい数字を把握するのは困難で、遡って修正する事も難しくなった」との事。公衆衛生に詳しい国際医療福祉大学の主任教授、松本哲哉氏に依れば「余りに患者数が増え、正確な把握が困難になった事は理解出来る」が「相談件数は医療機関が態勢を整える際に活用しているし、自治体等にとっても非常に重要な資料の一つ」故に「多少の誤差は有っても継続して把握出来る仕組みを今後検討して行く」事が重要との言有り。
神奈川県では、本日午前に知事の黒岩祐治氏が加藤勝信氏と回線接続で会談。神奈川県としては「全数把握の見直しに先駆けて、感染者全員に対する症状等の確認を中止」して「人数だけを把握する方法に変更したい」との意向が伝えられた模様。同県では、今月から軽症や無症状の者は「健康観察の対象外」とし、高齢者や基礎疾患が有する等の重症化危険性が高い者に就いても「具合が悪くなった場合は自分から医療機関や相談窓口に連絡して貰う体制に切り替えたい」との方針で、黒岩知事は「具合が悪くなったら自分で連絡して貰う」形に変える事で「一般の医療に近づける出口戦略を進めたい」と語った由。
医師が「都市部に偏り、地方の病院では不足する」問題に関して、全国の都道府県の中で人口当たりの医師の数等が少ない東北や関東、九州を含む12県の知事で構成される団体。「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が提言。本日に岩手県知事の達増拓也、新潟県知事の花角英世の両氏が厚生労働省と文部科学省へ書面を提出したのに対し、厚生労働省では医政局で局長を務める榎本健太郎氏が「医師確保の問題は切実で重大な問題なので、国としても地方の意見を聞きながら進めて行きたい」と応じた由。提言ではCOVID対応と継続的な地域医療の提供を両立させる為には「医師を始めとする専門人材の確保が急務」とし、「大学医学部定員の上限緩和」等を盛り込んだ「医療従事者の養成・確保」、「医師少数区域での勤務経験を管理者の要件とする」病院を全ての病院に拡大する事等を盛り込んだ「地域偏在解消の為の仕組みづくり」等の8項目を国に要求。達増知事は「新型コロナの感染拡大も有り地域医療の必要性を痛感している中、地方の現状を訴える事が出来て良かった」「医師の養成等を地方と共に取り組んで行きたいと云う国の姿勢も感じたので一緒に進めて行きたい」と語った由。
本日に政府が公表した最新状況では、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は8101万3693人で、全人口の64%に到達。3回目接種率を年代別で見ると12歳から19歳は37.6%、20代は49.5%、30代は53%、40代は61.5%、50代は78.7%、60歳から64歳は84.3%、65歳から69歳は82.7%、70代は91.2%、80代は95.3%、90代は95.6%、100歳以上は92.7%になった由。1回目の接種を受けた者は合わせて1億403万9850人で全人口の82.2%、2回目の接種を終えたのは1億262万174人で全人口の81%。此のうち5歳から11歳を対象にした接種で1回目を受けた者は155万2881人で全体の21%、2回目の接種を受けたのは141万324人で全体の19%。4回目の接種を受けた者は全国で2154万7924人で、此のうち60歳以上は2003万9046人で対象者の61.9%との事。
都道府県別に見ると、3回接種完了の割合は秋田県の74.49%が最も高く、次いで山形県では72.33%、新潟県で71.91%、岩手県で71.73%、福島県で70.53%、青森県で70.45%。最も低いのは沖縄県で47.65%、大阪府で57.49%、福岡県で60.75%、京都府で60.76%、愛知県で60.77%。4回目接種完了者が最も多いのは岐阜県で21.63%、次に山口県の20.92%、次が長野で20.38%、茨城県では20.15%。最も低いのは再び沖縄県で11.22%、秋田県で12.7%、三重県で14.55%、大阪府で14.75%と続く。沖縄県では未だに3回目接種が半数を超えず、観光客の流入も影響して集団免疫が成立する方が早いかとも思える。
8月23日(火曜)
総務省消防庁は「患者の搬送先が決まる迄に、病院への照会が4回以上有った」等を搬送が困難な事例と定義し、県庁所在地の消防本部を含む全国52消防機関の報告を毎週整理。今月21日に至る一週間は6107件で前週より600件余り減少するも、感染第6波で最多だった今年2月の6064件より40件余り多く、コロナ禍以前の2019年同時期の凡そ6.1倍。SARS-Cov2の感染が疑われる事例は2495件で、全体の40%を占めた由。本日に発表された全国の新規感染は20万8551人で、東京都は2万1770人、北海道は5587人、沖縄県は3803人。そして、全国の死者数は343人と今年2月22日の322人を上回り、一日の発表としては過去最多を記録。
政府分科会の構成員で東邦大学教授の舘田一博氏は「第七波では一日の感染者数が最大で凡そ26万人と第6波の頂点を大きく上回っており、死者の数が最多を更新してしまう事は残念ながら想定されていた」が、今回は「連日20万人を超える感染者が報告され」て「未だに感染の頂点が見えない」。過去の感染拡大で感染者数の増加に引き続いて死者数が増加する傾向が確認された事を鑑みると「亡くなる人の数は今後も増える可能性」が有り「一日も早く感染者数を減らす方向に持って行く事が重要」と指摘。更に、舘田教授は「若い健康な人達の重症例や死亡例は少なくなっているが、感染者が爆発的に増え、高齢者や基礎疾患の有る人にも感染が広がれば、如何しても亡くなる人は増えてしまう」「斯うした現実を今一度思い起こして基本的な感染対策を徹底して欲しい」と呼び掛けた由。
文部科学省は幼稚園と小中学校、高校、特別支援学校等に通う子供達の感染状況を月毎に纏めて公表。第七波の感染が広がった本年7月に感染が確認された子供は前月の5倍に増えて26万9468人となり、今年2月の25万1469人を抜いて過去最多。7月の内訳を見ると小学校が14万7698人と全体の半数以上を占め、中学校が6万5159人、高校が4万8605人等。感染経路の分析で最も多かった「不明」は小学校と中学校の64%、高校の59%。次いで多かったのが「家庭内感染」で、幼稚園と特別支援学校の30%台、小中学校と高校の20%台を占めた。「学校内感染」は高校の17%を占め、中でも部活動での感染が多かった由。先週19日の時点で、文科省はCOVID対策の指針を改定。「学級内で複数の感染者が出た場合」としている学級閉鎖の基準に就いて「各家庭で感染した事例等で感染経路に関連が無い場合は、学級閉鎖の必要無し」と追記し、教育委員会等に通知。夏休み明けを警戒しつつも、今後は或る程度は柔軟な対応が可能となる模様。
米国では食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)が、秋以降の追加接種に使われるワクチンに就いて「オミクロン株に対応する成分を加えたものを開発する」事を製薬会社に推奨。此れに呼応してPfizerとBioNTechは、昨日に「オミクロン株対応型ワクチンの緊急使用許可を求める申請をFDAに対して行った」と発表。当該製品は従来株に対応する成分、オミクロン株のBA.4やBA.5に対応する成分の2種類を含む2価ワクチンで、12歳以上の追加接種に就いて申請。そして本日、Modernaもオミクロン株対応型ワクチンの緊急使用許可をFDAに申請。当該ワクチンは同様の2価ワクチンだが、対象は18歳以上の追加接種。両陣営共に臨床試験の準備中だが、FDAの許可が得られれば直ぐにワクチンを出荷可能との事。疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)に拠ると、米国内で報告されるSARS-Cov2感染者数は今月中旬以降の一日平均が約10万人で、今月20日迄の一週間で凡そ9割がBA.5に感染したと推定されている由。
日本政府は感染症の研究や対応を一体的に行うため、基礎研究等を行う国立感染症研究所と臨床医療を行う国立国際医療研究中心を統合し、「日本版CDCを創設する」事を目指すと宣言。本日に厚生労働大臣の加藤勝信氏が此等の施設を訪れてCOVID患者に対応している集中治療室等を視察した他、職員と意見を交わした由。視察後に加藤大臣は記者団に対して「両機関とも感染症を始めとした医療分野の最前線で、様々な取り組みをして貰っている」が「統合して科学的知見の拠点となる専門家組織にすると云う政府の決定を踏まえて話を聞いた」。「厚生労働省内だけの検討ではなく、二つの組織等、色々な声を聞かせて貰いながら具体的な良い姿を描いて行きたい」。「感染症への対応を強化すると云う視点で確りと深めて行きたい」と述べたそうだが、本家CDCと同様に「科学者の意見を政治家が尊重する」と云う根本的姿勢が確立されぬ限り、羊頭狗肉に終わる事は必定。
8月24日(水曜)
自宅で療養するCOVID患者は第七波に入って急増し、今月17日時点で全国で142万3431人に上った。「自宅療養中に体調が急変、死亡する」事例の増加も懸念される中、茨城県では「65歳以上や重症化危険性の高い1人暮らしの感染者は症状が重くなくても、県が借り上げた宿泊療養施設へ入所する」事を強く推奨している由。今月21日迄の一週間に全国で確認された集団感染等は、合わせて1446件で前週から20件増加。内訳は「高齢者福祉施設」が前週より114件増えて850件、「医療機関」は30件増えて309件で何れも過去最多。続いて「学校・教育施設等」が75件、「障害者福祉施設」が74件、保育所等の「児童福祉施設」が67件、「企業等」が58件だったと厚生労働省から報告有り。
本日は全国で24万3483人の新規感染が報告され、今週では最多となった。神奈川県で28人、愛知県で27人、大阪府で26人、東京都で22人、埼玉県で19人、福岡県で18人、千葉県で16人、三重県で12人、兵庫県で12人、長崎県で11人、京都府で8人、沖縄県で7人、岡山県で6人、鹿児島県で6人、富山県で5人、山形県で5人、広島県で5人、熊本県で5人、佐賀県で4人、北海道で4人、大分県で4人、宮城県で4人、山口県で4人、岩手県で4人、愛媛県で4人、栃木県で4人、茨城県で4人、宮崎県で3人、岐阜県で3人、高知県で3人、奈良県で2人、山梨県で2人、島根県で2人、滋賀県で2人、群馬県で2人、青森県で2人、和歌山県で1人、徳島県で1人、石川県で1人、静岡県で1人、香川県で1人、鳥取県で1人の合わせて301人の死亡。重症者は636人。22日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で11万345件。
東京都では新たに2万5444人、大阪府は2万807人。愛知県は1万8199人、兵庫県1万1452人、埼玉県は1万912人、福岡県は1万717人。神奈川県は9790人、静岡県は7971人、広島県は7408人、千葉県は7106人、北海道は6886人、京都府は5766人の感染が報告され、三重県4674人、長崎県4316人、徳島県3182人、高知県2031人感は過去最多を記録。厚生労働省の発表では、園児や職員の新型コロナウイルス感染で全面休園となった保育所やこども園は、今月11日時点で37都道府県で総計138箇所。前週の数値に34箇所を加え、三週連続で百箇所を超過した由。「全面的な休園ではなく、一部の学級のみ休園とする」等の柔軟な対応が広がっている事を考慮すると、「今年2月に最大で700か所以上が休園する状況が続いた」感染第六波よりも状況は厳しいのかも知れぬ。
本日に開催された第96回新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会で、専門家達は「御盆や夏休み等、社会経済活動が活発化している影響」も有り「一旦は感染者数の減少や高止まりが見られた地域でも急激な増加が継続」「全国的に過去最多の感染水準が続いている」と指摘。年代別では10歳未満を除く全ての年代で増加していて、特に20代の増加幅が大きく、感染者数の増加に伴って病床使用率は大半の地域で5割を超え、一般の医療を含めた医療体制への負荷が長期間に及んでいる由。「多くの地域で増加傾向や高止まりが続く」可能性が有り「今後は夏休みが終わって学校が再開する影響が出る事が懸念される」。「早期に感染者数が減少する可能性は低く、医療体制の厳しい状態が続く事が予想される」。「亡くなる人の急増が続き、過去最多を超えて更に増加する」等の懸念も語られた模様。
医師法の第17条「医師でなければ、医業を為してはならない」、保健師助産師看護師法の第5条や31条等の規定に基づき、従前は「ワクチン接種を担当する者は医師、若しくは看護師に限る」と解釈されて来たが、コロナ禍に於いて接種の担い手が不足した事から、厚生労働省は昨春、特例的に歯科医や臨床検査技師、救急救命士に依る接種を容認。今後に関しても「新たな感染症が起きた場合、医師や看護師以外がワクチン接種を行う事の是非」「担い手をどのように確保して行くか」が問題となり、厚労省が昨夜に初の検討会を開催。薬剤師や診療放射線技師等医療に関する9つの団体が人への注射や採血等を教育課程でどの程度学んでいるのか等を説明し、専門家からは「今後の感染症に備えていざという時に人材を確保しておく事は必要だ」といった意見が出た一方、「実際にどの程度、担い手が不足していたかを確り調査したうえで検討するべきだ」等の意見が出た由。
本日に岸田総理大臣は関係閣僚等と協議を行った後、記者団の取材に回線接続で応じ、「日本人を含む全ての入国者に求めている陰性証明書の提出」を「来月7日から3回目のワクチン接種を条件に免除する」方針を公表。現在は2万人となっている一日当たりの入国者数の上限に就いても「主要7箇国並みの円滑な入国」を目指して「内外の感染状況や需要、主要国の水際措置等を勘案しながら、段階的に緩和を進めて行く方針」で「検疫体制の整備を進めて、感染状況を踏まえながら速やかに公表して行きたい」と述べた。患者に求めている自宅等での療養の期間に就いても「全体的な感染状況の推移を確り見たうえで、期間の短縮等を含めた全体像を出来るだけ速やかに公表したい」、「ウイルスとの戦いは容易では無い」が「過度に恐れる事なく、変化するオミクロン株の特性を踏まえながら」「出来るかぎり感染防止と社会経済活動の両立を実現して行く」為に「対応を加速して行く」等と語った由。
現状に於いては、査証の取得や陰性証明の提出に時間や手間が掛かる事に加えて、来日後も添乗員付きの団体旅行しか許されず「監視されているように感じる」等の不満が出て居た状況で、人数は少ないながらも日本を訪れた外国人からは、総理が自ら水際対策の緩和を宣言した事は概ね好意的に受け止められた模様。海外に渡航する日本人等に向けて「危険度の高い感染症に関し、特に注意が必要と考えられる国や地域」を4段階で発表する感染症危険情報に就いて、外務省が変更を行った由。各地の新型コロナウイルス感染状況等を踏まえて、勃牙利や肯尼亜等の41箇国を「渡航中止を勧告する水準3」から「不要不急の渡航を止める様、渡航自粛を要請する水準2」へ、印度尼西亜や比律賓等の55の国と地域を水準2から「渡航に際して十分注意する様、呼び掛ける水準1」へと引き下げた由。今回の措置に伴い、感染症危険情報が水準3以上の国や地域は無くなり、水準2が76、水準1が125となったとの事で、国の出入りは以前より容易に成り行く模様。
従前から問題とされて来た全数把握の見直しに関しても、本日午前に岸田総理大臣は回線接続で加藤厚生労働大臣や山際担当大臣と凡そ45分間会談した他、政府分科会の構成員と面会。其の後に記者団の取材に応じ、今後は「自治体の判断」で「患者の届出の範囲」を調整して、感染者全員の氏名や生年月日を含む詳細な報告から「高齢者、入院を要する者、重症危険性が有り治療薬投与等が必要な方等に限定する事を可能とする」と発言。加藤厚生労働大臣も今夜に記者会見を開き、届出をした都道府県は「年代別の感染者数の総数を毎日公表」する事を前提に、届出の対象を「65歳以上」「入院を要する方」「重症危険性が有りコロナの治療薬の投与や酸素投与が必要と医師が判断する方」「妊婦の方」に限定出来る様にすると述べ、厚生労働省の審議会で了承が得られれば、明日にも省令を公布して届出を受け付ける考えを示した由。
“HER-SYS”の運用は一昨年から始まり、開始当初には凡そ120も有ったと言われる入力項目は、此迄も段階的に削減されて来て、現在は最も重症化危険性の低い患者に就いては「氏名」「性別」「生年月日」「市区町村名」「電話番号」「医療機関からの報告日」「症状の有無等の診断類型」の7項目に絞られたが、第七波到来後に医療現場や自治体等からは更なる見直しを求める声が相次ぎ、今回の見直しに繋がったとの経緯有り。一般の若者等は今後、発生届の対象外となるも「感染者の総数と年代別の人数を把握する」事は続けられ、引き続き感染状況の把握は出来る筈だが、「発生届対象外の患者の体調が自宅療養中に悪化しても気付かれ難くなる」事態も懸念される。医療機関を指定して定期的に報告を求める定点把握に就いては、「具体的な制度設計に時間が必要」で「第7波が収まった後に検討する」との方針に変わりは無い模様。
今回の見直しに対し、全数把握批判の急先鋒たる全国知事会の会長、鳥取県知事の平井 伸治氏は山際担当大臣との会談で「知事会の要求に応えて頂いた事に感謝する」と語るも、東京都知事の小池百合子氏は「総理大臣が発表したと云う事だが、もう少し良く確認して行かなければならない」。「都は他県の何千件もの届出も手続きしている等の状況も有り、緊急で手を挙げると云う所に今、至っている訳では無い」と多少の温度差有り。大阪府知事の吉村洋文氏からは「全数把握が保健所や医療機関の負担になっているのは間違い無く」、「負担を軽減したい」との思いも有り「重症化の危険性(危険性)が高い人を守る事が重要」。「見直しには賛成」なれども「報告の対象から外れた人達の医療費の公費負担が如何なるのか」「宿泊療養施設への入所や配食サービス等の支援の手続きをどの様に行うのか」等の「仕組みが分からないと判断しづらい」との発言も聞かれたらしく、知事全員が諸手を挙げて賛同とは行かぬらしい。
また岸田総理は、本日に第2回のGX実行会議。即ちGreen Transformationを推し進め、日本の勢力の安定供給の再構築を図る協議にも回線接続で参加。此処で「再生可能エネルギーと原子力はGXを進める上で不可欠」と断じて、原発の必要性を力説。「次世代革新炉の開発・建設」と「運転期間の延長」を「将来に渡る選択肢として強化する為、検討を加速して欲しい」と指示。「足元の危機克服に万全を期す」と述べて、先に約束した今冬の原発9基の運転に加え、新たに7基の再稼働に全力を挙げる意向を公表した由。
2011年の福島原発事故の余燼が冷めた辺りから再び原発推進を狙って来た自民党政権と言えども、従前は新たな増設や建替に言及せず。総理自身も先の通常国会で「再稼働は確り進める」が、新増設や建替は「現時点で想定していない」と明言していた。火力発電の休廃止や異常気象で電気供給が逼迫、ウクライナ危機の影響で原油価格が高騰等の背景が総理発言に影響したと推測されるが、与党の公明党が先の参院選の公約に「原発に依存しない社会を目指す」と明記、立憲民主党は党綱領に「原発ゼロ社会」を掲げる情勢で、軽症と言えども病気療養中に踏み込んだ発言をせねばならなかったのだろうか。「旧統一教会問題を隠す為に打った奇策」と揶揄する声も、強ち荒唐無稽と片付けられぬ、と感じたのは我が僻目か。
8月25日(木曜)
昨日に世界保健機関(World Health Organization; WHO)が、世界全体のSARS-Cov2感染状況に就いて報告。今月15日から21日迄の1週間の新規感染者数は世界全体で530万6244人と前週より9%減少したが、日本の新規感染者は147万6374人と前週に比べて6%増え、世界全体の新規感染者数の凡そ4分の1を占めて五週連続で世界最多。同じ期間の日本の死者数は1624人と前週に比べて僅かに減るも、二週連続で米国に次いで世界で2番目に多かった由。「検査方針の変更に伴って検査数自体が減少している」国家も有り、「実際の感染者数や死者数は、更に多い可能性も有る」との事だが、日本の新規感染者数が多い事は間違い無さそうだ。
厚生労働省の報告でも、今月17日から23日迄の一週間に於ける新規感染者数は速報値で144万3216人。前週の 114万2188人に比して26.4%増え、年代別では20代の増加が目立ち、23万1187人と最多で全体の16%を占める。次いで40代が22万4680人で15.6%、30代が21万4283人で14.8%、50代が17万8081人で12.3%と働く世代を中心に感染が拡大。10代は16万6458人で全体の11.5%、10歳未満が15万7963人で10.9%。60代が10万9324人で7.6%、70代が7万8565人で5.4%、80代が4万8267人で3.3%、90代以上が2万451人で1.4%。前週は全ての年代で感染者数が減ったとされていたのが、此の週は逆に全年代で再び増加し、「10代」と「10歳未満」を除いて過去最多との事。
本日に全国で22万955人の感染。296人の死亡。東京都内では新たに2万3129人が新型コロナウイルスに感染。政府は感染状況を鑑みて観光需要の喚起策、所謂「県民割」の期限を8月末から更に延長する一方、新たな喚起策「全国旅行支援」の実施は再び先送りする事を決定。本日の参議院厚生労働委員会、閉会中審査では全数把握の見直し等を巡って審議。また立憲民主党が厚生労働省等政府の担当者から聴取を行い、出席した議員からは「判断を都道府県に委ねると対応が滅裂になり、混乱が生じる」等と懸念の声が相次いだそうだが、同党が全力で反対しようとも大勢には影響するとは思えぬ。
8月26日(金曜)
新規感染者数を昨日迄の一週間平均で比較すると、全国では先月28日迄の1週間では前週に比べて1.67倍、8月4日は1.11倍、8月11日は1.02倍で、8月18日は0.88倍と減少に転じたが、8月25日迄では1.18倍と再び増加。前週に比べて感染者数が少なくなったのは東京都、神奈川県、沖縄県の3都県だけで、8県では今月25日に於ける1週間平均の新規感染者数が過去最多となった由。本日は全国で19万2413人の感染、321人の死亡、重症者は626人。東京都内の26日の感染確認は1万8423人。COVID患者25人が死亡した中に「基礎疾患を持たぬ10歳未満の女児」も含まれていたが、都内で基礎疾患の無い10歳未満の感染者が死亡するのは初との事。大阪府で1万5498人、北海道で6395人、 沖縄県で3015人が新たに感染した旨の報告有り。
感染者の全数把握に就いて、加藤厚生労働大臣は記者会見で「自治体から早急に見直して欲しいという話が有り、方針を示した」、「感染者数や発熱外来の状況等を見て、現場に近い都道府県が判断して貰えれば良い」。「今月29日迄に、届け出があれば速やかに手続きを行い、対応を取れるようにしたい」と発言。対して東京都の小池知事は、本日の記者会見で「最近は軽症や中等症から突然、亡くなる人が目立つ」「重症者だけの部分では、軽症から突然亡くなる人を見逃してしまう」。「此迄も全数把握が出来る様、検査キットの配布や発熱相談の工夫等をして」来たが「此処で変えると反って現場に混乱が生じる」事が危惧される等と述べ、全数把握を続ける意向を表明。
埼玉県知事の大野元裕氏は、一昨日「感染状況の把握は自治体の判断に任せるのでは無く、国の責任に於いて全国統一で行う方が良い」。千葉県知事の熊谷俊人氏も全数把握の見直し事態は評価しつつ、「報告の対象を高齢者や重症化危険性が高い人等に限定出来るようにする」判断は都道府県に委ねるとした国の方針に就いて「想定していなかったので、大変驚いた」、「自治体に委ねると云うのが適当で無い場合も多々有る」等の発言が聞かれた。神奈川県の黒岩知事は「県が独自に行っている自主療養届け出制度が使えなくなる事が分かった」「制度設計が十分精査されていなかったと思わざるを得ない」と述べ、今後は国に見直しを求めたいとの事で、如何にも国と自治体の足並みが揃わぬ印象。定点把握に関しては「三重県では一昨年から試験的に県内70箇所の医療機関から厚生労働省の研究班へと定点把握の報告が実施されて来た」が「従前の全数把握から分かる感染者数の推移と同じ傾向が確認出来ている」等の報道有り。
数理疫学を専攻し、厚生労働省の専門家会合で情報分析を行う京都大学教授の西浦博氏は「定点把握では、感染者が増えているか如何かの傾向を掴む事は出来るが、毎日の増減といった微細な変化を掴む事は難しい」。「情報の更新が1週間に1回」となり、「1人が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数の推定」や「感染者数の推移の短期的な予測」等を「即時(リアルタイム」に分析するのは難しくなる」。従前の全数把握のデータにはワクチンの接種歴も含まれていて「データを活用して免疫を持っている人の割合を推定」出来たが、然うした分析も難しくなり、従って「木目細かく流行状況を分析して対策を練る事が難しくなる」。定点把握に移行する場合は「情報不足を解決する方法」を考えねばならないが「重要なのは1つの調査に頼りすぎずに重層的にデータを取る」事で「複数の調査を常に並行して行う」対応が必要、「英国で行われている様な詳細な抽出調査等も含めて、今の時点から準備する必要が有る」と指摘したそうだが、此方は技術的な問題で解決可能と見た。
8月27日(土曜)
内閣官房は、医療逼迫の情勢が政府分科会の示す「対策を強化すべき水準」の目安を超えた自治体が今月21日時点で42都府県、今週22日時点で43都府県、23日と24日時点で42都府県、一昨日の25日時点で41都府県を数えたと報告。
感染者全数把握の見直しに関し、回線接続での取材に応じた岸田総理大臣は「ウィズコロナに向けた新たな段階への移行策の1つとして進めるもの」で「全国一律で導入することを基本としている」が、定点把握の準備状況を見極めて移行時期を判断すると弁明した由。本年6月の時点で、政府は「感染症対策を強化する為、内閣官房に司令塔となる新しい組織を設ける」との方針を策定。其の後の検討を経て、新組織の名称は「内閣感染症危機管理統括庁」と決まり、来年度中の創設を目指して年明けの通常国会に必要な法案を提出する方向で調整開始。官房副長官級が組織の最上位に座し、平時は訓練や各府省の準備状況の確認等を行い、緊急時は初動対応を一元的に担う予定。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して作られる日本版CDCは「令和7年度以降の設置を目指す」との事だが、両者の関係に就いては不明。
また国は「SARS-Cov2の世界的大流行に対し、国産ワクチンの開発が欧米に比べて遅れた経緯を踏まえて「世界でも最上位のワクチンの研究や開発の拠点を作る」事を目指し、拠点となる研究機関を選定。今後5年間で総計515億円の研究開発にはが投じられる予定で、中核となる旗艦拠点には東京大学が選ばれ、ウイルスの研究で国際的に知られる東京大学医科学研究所の特任教授、河岡義裕氏が拠点長に就任する由。東京大学内に次世代感染症センターを新たに設けて、「将来、世界的大流行を引き起こす可能性の有る新たな感染症」に対するワクチンの研究を推進。北海道大学と千葉大学、大阪大学、長崎大学が免疫機構等、分野毎の研究を行う拠点に選ばれ、総計10の大学と研究機関が連携して研究開発を進めるとの事。
8月28日(日曜)
米国のJohns Hopkins大学の報告に拠ると日本時間の昨日に、世界全体に於けるSARS-Cov2感染者の累計が六億人を突破。最多は米国の約9417万人で、印度の約4440万人、仏蘭西の3466万人と続き、日本は約1819万人で十番目に多かった由。人口10万人当たりの感染者数では、散馬利那と氷州が6万人近く、韓国が4万4600人余で米国は2万8500人余、日本が1万4300人余等だが、日本は「他国よりも漏れ無く検査をしている故に人数が多く算出されているのではないか」と指摘する者も多い模様。
PfizerとBioNTechの連合が開発したCOVID用ワクチンに対して「Modernaが米国と独逸で両社を相手取り、特許侵害訴訟を起こした」旨の報道有り。「messenger RNA技術の重要部分に関する知的財産権が侵害された」とModerna側は主張しているものの、同社は当初「世界的大流行中に知的財産権を行使しない」と約束するも、其の後に「低所得国にのみ適用される」と誓約を修正した経緯が有り、訴えが認められるか否かは不透明。Pfizer側は自社ワクチンのComirnatyから約370億弗、Modernaも同じくSpikevaxから約180億弗を稼ぎ出し、特許料として支払われるのが前者の極一部だとしても莫大な金額になるが、現時点では双方の株価が1%台の下落を記録したのみに留まる模様。